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出会いを大切に!(上映会報告2009/7/11)

土曜日は世田谷の駒澤大学で、初めての講演会をしました。4月に市民メディアセンター・メディアールで上映会をしたときに、駒澤大学で「世界政治とメディア」を教えている五野井先生が見に来てくださって、授業で上映とトークをやらないかというお話をいただいたのでした。

「グローバル・メディア・スタディーズ」という学部名、「世界政治とメディア」という講座名にまずひるんだ私ですが、せっかくの機会なのでやってみたいと言いました。

やってみたいと返事をしたものの、自分の中では不安がありました。というのも、これまでの上映会は、有料・無料に関わらず、自分の自発的な意思で映画を観に来てくれる人ばかりだったからです。なので、映画もきちんと観てくれるし、映画の後のトークも真剣に参加してくれます。でも、大学の授業は、自分がそうでしたが、”出席”や”単位取得”のためにだけ参加しているという人も少なくありません。

自分が話しているときに、おしゃべりしていたり、寝てたり、トイレに行く人が沢山いたら、かなり凹むよなぁ・・・そんな不安がありました。

そしてもうひとつの不安は、どんなことをどんな風に伝えたらよいのか?というものです。普段は平和活動をしている大人に話すことが中心なので、「平和活動」や「イギリスの政治」などが主な話題です。しかし、今回は必ずしも平和活動をしているとは限らない人たち、そして学生が相手です。私の映画はかなりテーマやジャンルが限定されているように見えて、実は他の映画同様、どんな風にも切り取って話すことが出来ます。その分、どこをどう見せようかと悩みました。

講義の前に2回ほど、五野井先生と手塚先生と打ち合わせをする機会がありました。そこで、「世界政治とメディア」という講座で扱うトピック、現在の学生の状況などをお聞きしながら、現在の大学生像、そして”駒沢”の大学生像を自分なりに描き、何を伝えたいかを自分なりに考えました。

新聞などでもよく報道されていますが、今の若い人たちは海外旅行に行かなくなり、就職は不況なので公務員を望み、貯金にいそしむ、保守的、お酒を飲まない・・・などと言われています。それが悪いこととは思いませんが、常々「もっと自己主張を!」、「周りになんと言われようと、自分のやりたいと思ったことに挑戦すべき」と考え、映画にもそのメッセージを込めた私は、「世界政治とメディア」という講座テーマからは離れてしまいますが、そのことを一番言いたい!と強く思いました。

さて、そうして迎えた講演の日。ちょうどその前の週に「日本ジャーナリスト会議新人賞」を受賞した私は、講演に間に合って何かしらの肩書きがもらえてよかったと安心しました。じゃないと、五野井先生はただの友達に講演をやらせているなんて言われてしまうのではないか、と心配したのです! 肩書きを持った私は安心して大学へ向かいます。

余裕を持って講演会場に着きました。DVDの絵と音のチェックをします。講堂には既に生徒さんが何人かいてお昼ご飯を食べているようでした。大きなスクリーンに絵が映りましたが、・・・音声が出ません!!

講堂の技術者の人と機械をあれこれいじってみましたが、まったく音が出ません。ちょっと前に市販のDVDでチェックした時にはきちんと音が出たのだとか。技術者の人曰く、「自家製のDVDの場合、以前も同じことがあった」とのこと。手塚先生によると、「音声トラックが別のところに収録されているのかもしれない」・・・。スイッチを切ったり消したり、ディスクを入れなおしても、全く音が出ません。

DVDはいまや簡単にどんなパソコンでも作成が出来ますが、その分DVD-RやRW、デュアルディスクなど様々な種類があって、互換性が問題となったり、再生が安定しないなどの問題もあります。少し傷がつくだけで画像が飛んでしまうこともあるし。こんな場合に備えて、DVDディスクも何種類か用意しておくとか、DVCAMテープ、VHSテープバージョンなども持ってきておくべきだったと痛感しました。(DVCAMデッキなどの設備があるかどうか事前に調べておくことも必要ですが)。

結局音声が出ないのは、DVDデッキが収めてあるテーブルを舞台中央近くに移動した途中で音声ケーブルが抜けてしまったという原因であることが判明しました。原因が究明できて良かったですが、でも今後のためにやはり他の手段も用意して上映会に望むべきだと思いました。

講演が始まりました。講演の時間は通常の授業と同じく90分。これでは映画の全編を流すことはできないので、私の話をメインに、映画は抜粋上映にすることにしました。まず簡単に自己紹介を済ませてからチャプター1を上映。そのあとでブライアンの活動についての話をしました。

なんとなく場の流れで「平和活動」、「危険なイギリスのデモ現場」、「監視社会」、「警察の取り締まり」などを熱く語り始めてしまったのですが、途中でふと(いきなりこんなラディカルな話ばかりしたら”何者?”って感じでしょう!)と思い直し、話の方向を180度転換して、私の大学生時代について話し始めました。大学時代の私が、何を考え、どんなきっかけで世の中に疑問や興味を持ち、社会とかかわり始めたか、というようなことを具体的なエピソードを用いながら話しました。

それからまたしばらく話した後、今度はバーバラとマリアの映像を見せました。私の映画の場合、わりとチャプターや登場人物ごとに話がまとまっていますので、分割してもそんなに違和感はありません。それでも、順を追って映画全てを観るのではないので、ところどころ話の文脈が分からない部分があります。私はごくごく簡単な前フリだけで映像を流し始めましたが、今後はもうすこし詳しく背景を説明したり、”活弁”スタイル風に映画の解説を加えながら上映するという技術を身に付けていくのも良いと思いました。

あと、抜粋上映のときに気をつけるべきことは、見せる場面と順序に必然性をもたせるということです。見せる映像と前後のトークの内容が全く摺りあわなかったら、観る側は(??)でしょう。今回は、そのあたりは五野井先生がリードしてくれたので、全体の流れとしての一貫性を持てたと思います。

私が講演して映像を見せた後、生徒さんたちからの質問を受けることになりました。最初はちょっと手が上がりにくかったようですが、1人、また1人と質問が出るうちに、いろんな人から質問が寄せられました。授業が終わってからも質問をもらいました。「なぜアメリカではなく、イギリスでジャーナリズムを勉強したのか?」、「なぜ公務員を辞めたのか? 親に反対されなかったのか?」、「途上国のスラム街に行ったことがあるか?」、「自分も留学がしたい」、「ジャーナリストを志望しているが、途中からジャーナリストになるのは難しいか? 卒業後すぐなるべきか?」、「これからの人生はどうするのか?」、「自分も映画を作りたい」、「自分の苗字も早川です、びっくりしました」などなど。

講演の最後で「まとめをお願いします」と五野井先生に言われた私は、「世界政治とメディア」の授業にはふさわしくないものの、私から大学生の皆さんに伝えたかったことを言わせてもらいました。

”映画作りが初めての私が、大学で上映してもらえ、講演が出来たのはなぜか? 人生で一番大切なことは資格でも就職でもなく、人との出会い。それを大事にしていけば、きっと将来何か面白いことが出来ると思う。私は大学を卒業して12年がたった。12年もたつと、ある程度の一まとまりとして卒業後の道のりを振り返ることが出来る。同窓会などで、昔格好良かった先輩がただのオヤジになり(←ゴメンナサイ)、学生時代を懐かしがり、今の愚痴を飲み屋で言っている。こんな風にはならないで欲しい”

このような趣旨のことを言いました。今実際に言葉として書いてみると、すごく生意気な感じがしますが・・・! でも、私としてはこれからの大学生たちに、主体的に、前向きに生きて行って欲しい、と願っているのです。そういう人が増えれば、結果としてメディアも変わるし、世界政治も変わる・・・こういう順序なのではないかと考えるのです。

私の熱い気持ちは別として、でもそれが学生に伝わったかどうかは分かりませんでした。”教える”というのは今までやったことがありませんが、熱意だけでなく、やはりそれなりのテクニックというのが必要でしょう。でも、授業の後に学生たちから寄せられた感想メモをみて、中には「これからは、人生いつも今がピークだ、と言えるように生きたいです!」とか書いてあるのを見て、私の気持ちが伝わったのかとうれしくなりました。”無気力な若者”のイメージを覆す、うれしい反応が沢山あり、かえって私のほうが元気をもらったぐらいです!

今回の講演は、授業内容としてはかなり”異色”になったかもしれませんが、とてもよい経験をさせていただきました。五野井先生、手塚先生、どうもありがとうございました。駒沢の大学生の皆さんのこれからに期待しています!!

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