« 出会いを大切に!(上映会報告2009/7/11) | トップページ | コマーシャルではない限り(広島1日目2009/7/18) »

アナキズム!(上映会報告2009/7/12)

日曜日は、下北沢のブリティッシュ・パブHeaven's Doorで、初めての英語字幕版上映会をやりました。今回主催してくれたのは、東京に住む外国人・日本人のアクティビストたちのグループ・Tokyo Springです。

Tokyo Springウェブサイト
http://www.tokyospring.org/

彼らは、2003年春にイラクへの侵攻が始まった際、東京のアメリカ大使館前で抗議活動をしていて知り合い、このグループを結成したのだそうです。結成当初は、アクティビズムなどに関する読書勉強会を月イチで開催していたそうですが、本を読んで来ない人も多かったため、途中から映画の上映会に変えたそうです。もう6年近く、毎月上映会を開いているというのだからすごい。これまでに、イギリスの著名なジャーナリスト、ジョン・ピルジャーの「War on Democracy」や、イギリス・ブライトンのグループ、Smash EDO campaignの「On the Verge」などを上映したそうです。(この2作品とも私はイギリスで観ましたが、すごく良かったです!)

これまでにサウンドデモに行った時なんかに、外国人のアクティビストを見かけたりしましたが、Tokyo Springのことは知りませんでした。今回偶然「英語版の上映会をしたい」とTokyo Springのマークさんからメールをもらい、今回の上映会が実現しました。

事前のメールのやり取りで、「上映の後にディスカッションが出来るか?」と聞かれていました。そしてグループのイベントに参加する人たちについての説明を受けました。(毎回違いはあるけれども)参加者はみな基本的には「戦争反対」。でも、どうやって平和を実現するのかという方法と手段についてはかなり人によって開きがあるとのこと。徹底的な平和・非暴力主義者の人もいれば、アナキスト(無政府主義)の人、反資本主義者、ダイレクト・アクション(日本では”直接行動”と言われているもの)を重視する人、目的達成のためには破壊行為も必要と考える人・・・などなど。

普段の上映会の時だって、映画を観に来てくれる人たちの中には意見や活動内容は多少の開きがあります。でも、どうなんでしょう、徹底的な非暴力なのか、アナーキストなのか、反資本主義者なのか・・・こういった種類のバラエティーにはどれだけ富んでいるのか分かりません、というより、そういった立場が映画の感想なり、ブライアンの抗議活動への評価に影響するということは、ほとんどなかったように思います。(例えば「自分はアナキストだからXXXと考える」と言ったような発言は、これまでありませんでした)

それで、私はTokyo Springのような団体が、私に上映会とディスカッションの話を持ちかけてくれたことに興味を持ち、「ぜひやりたいです!」とお願いしたのでした。一体どんなディスカッションになるのでしょうか!!

当日15時に下北沢駅で待ち合わせをしました。マークさんとは初対面なので、電話で「身長がどのくらい、髪は何色、メガネをかけている・・・」などの身体的特徴を教えられました。面白かったのは「ラディカルなアナキストらしく、上下とも黒の洋服で行く」と言われたことです! そういえば、アナキストのファッションは洋の東西を問わず黒。、これはなぜなのでしょうか??

当日の下北沢は、幸運にもアナキズムファッションは彼一人だけで、私は簡単に彼と他のメンバーにあうことが出来ました。会場であるパブはまだ閉まっていたので、近所の喫茶店でお茶を飲みながら、お互いの自己紹介や、私の政治的な立場の表明(・・・ってそんなたいしたものじゃないのですが、聞かれたので言いました)などを話しました。

上映の予定時間である16時近くになったので会場へ向かいました。まだお店の人が来ていません! マークさんがしきりに電話をかけても留守電。日本にある店でも、かなりの”英国式”です! お店の外には、私の友達が7~8人待っている状態・・・。

30分以上お店の人が遅刻してやってきましたが、”ノー・プロブレム”風でした。お店の鍵を開けてもらい、中のテーブルや座席をスクリーンにあわせて並び替えます。ブリティッシュ・パブと聞いていたので、スポーツ中継を見るようなテレビが四方に飾られているタイプがと思っていましたが、大きなスクリーンが格納されていて本格的でした。サウンドもきちんとしていて、上映会場として十分です! しかも、大小さまざまなタイプの椅子やソファがいい感じ。

予定より45分ぐらい遅れて上映会を始めました。参加者はほとんど外国人かなと思っていたのですが、実際は20人ぐらいが日本人で、外国人は5人ほど。オックスフォード・ユニオンのディベート・シーンの英語がかなり難関で、英語字幕ではかなり厳しかったのではないかと思いました。(私も編集のときに相当苦労しましたから!)

映画の上映が終わり、小休憩を挟んでディスカッションを始めました。Tokyo Springのルールは、皆で車座に座り、自分の名前と映画についての簡単な感想、質問を一人ずつ話していくというものです。そして全員が話し終わった後で、特定のトピックについてもっと深くディスカッションしていく・・・という流れ。

ディスカッションの様子
Dsc03652

皆さんの感想を聞いていて、これまでの上映会との違いをとても感じていました。この映画は、作り手である私自身からして、「運動としてどうなのか? どれだけ効果的な運動か?」といったことには注目をしていません。それよりも、ブライアンという人間について、パーラメント・スクエアで生きるということについて、表現の自由についてなどが主なテーマで、それによって私たち個人個人がどう生きていくかを考えるキッカケになればという思いで作っています。

しかし、今回この映画を観てくれた人たちから多く寄せられた意見は”ブライアンの活動の成果の検証”でした。アナキストで反資本主義者の人たちからは、「ブライアンは8年もあそこにいて、でも戦争を止められない。それは彼らのやり方が効果的でないからだ。ブライアンは政府の批判をするために国会の前にいるけど、”政府とコーポレーション(企業)”を批判すべきなのだ。ブライアンの主張にはコーポレーションが欠けている」・・・こんなことを言われたのは初めてでした。

Dsc03656

そういえば、完全なるアナキズムの立場に立つ人と議論すること自体が私にはうまれて初めてだった様に思います。なので、アナキズム、アンチキャピタリズムという視点から語られる反戦というのをとても興味深く聞きました。「人類の歴史の中で、政府が国民のために何かしてくれたことは、これまでもなかったしこれからもない。そんなことは期待しないほうがいい」、「資本主義の最終形が戦争。戦争の全ての原因は資本主義。これを破壊しない限り平和はない」、「戦争に行かされ死ぬのは貧しい労働者階級。ブライアンは労働者階級の立場に立って抗議活動をしているというより、理想主義者、ヒッピー的な感じ。”愛”や”宗教”じゃ戦争は終わらないし、問題の本質は突けない。」などなど。

ブライアンたちの活動の成果についてこんなにシビアに検証するということは、これまでになかったと思います。彼らは、国をまたいでインターナショナルに活動しているアクティビストなのだと思いました。なので、同じアクティビストとしてブライアンの活動がどうなのかを論じているのです。

では、ブライアンの活動は無意味なのでしょうか? 無政府主義、反資本主義を主張しているようなラディカルな彼らたちでさえ、実際は仕事を持ってお金を稼ぎ、税金を払いながら生活を続けています。この資本主義社会を嫌々ながらも支えてしまっているということです。反資本主義を実行するのは、実際相当至難の業です。(その点では賃労働をせず、消費税・タバコ税以外の税金を納めずに8年以上暮らしているブライアンのほうが、より反資本主義を実践してしまっていると言えるでしょう)。

反資本主義の仲間を増やそうにも、この世の中のシステムでは難しいのですから、なかなか大きな勢力にはなっていません。アナキズムについても同じ。現状では、ブライアンのような平和主義も、ラディカルなアナキスト、アンチキャピタリストも、どれも戦争を推進する政府に立ち向かう大きな勢力とはなり得ていないのです。

こんな例えを間違っていると言う人もいるかもしれませんが、私はブライアンの存在は日本でいう「憲法九条」のようなものなのではないかと思っています。確かに戦争を止められてはいない。でも、彼があそこにい続け、政府を批判し続けることで、戦争を”やりにくく”させているのだ、と。仮定論なので、ブライアンが抗議活動をしていなかったらイギリス社会がどうなっていたのか知る由もありません。でも私は、ブライアンはかなりの抑止力として働いているのではないかと思うのです。この点で九条と似ていると思います。

色んな意見が出た後で、Tokyo Springのマークさんが最後に言っていた言葉がすごく印象に残りました。彼は「この国を変えるのはあなた達日本人なのですよ! 私たち外国人には出来ないのだから」と言っていました。何かの縁で日本に来て生活するようになった外国人アクティビストたちが、私たちをインスパイアしている。これはすごい事だと思います。「政府はナショナリズムで労働者を結束させようとしている。でも、労働者はもともとインターナショナルな存在。私たちは連帯していくべき」とも言っていました。主義・主張の違いを超えて、とても刺激になるイベントでした。

次回のTokyo Springイベントは8月9日。会場は同じく下北沢のHeaven's Door。シアトルのダイレクト・アクションについての映画を上映するそうです(日本語字幕つき)。興味のある方はぜひ!!

そして、当日のビデオ、カメラの撮影をしてくれた横山さんと高口さん。ありがとうございました!!
Dsc03648_2
Dsc03673_2

|

« 出会いを大切に!(上映会報告2009/7/11) | トップページ | コマーシャルではない限り(広島1日目2009/7/18) »

上映会報告(日本語)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 出会いを大切に!(上映会報告2009/7/11) | トップページ | コマーシャルではない限り(広島1日目2009/7/18) »