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今年最後の上映(上映会報告2009/12/19)

12月19日の土曜日は、今年最後の上映会(一部抜粋上映)+講演会でした。映画を完成させたのが今年の2月で、4月から上映を始め、私にとっては本当にあっという間の1年でした。今回のイベントは、そんな今年の最後を飾るにふさわしい、豪華な対談をさせてもらいました。

今回は「草の実アカデミー」が開催しているイベントの第11回目で、「二大侵略国家の反戦運動~ドキュメンタリー映画2本上映と監督対談~」ということで、イギリスの反戦運動を取材した私と、アメリカのイラク帰還兵たちによる証言集会を取材した「冬の兵士・良心の告発」の田保寿一監督の対談でした。

会場は文京区の全水道会館。
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(この日は、私が普段使っているデジカメを修理に出していて、携帯のカメラで撮影しました。デジカメに不具合が発見され、メーカーが回収して修理するということで、数日間カメラを手放さなければならなかったのです。私の携帯のカメラの性能はものすごく低いので、この日はうまく写真を撮れませんでした。残念。デジカメがないということが、こんなに不便なのかと改めて感じましたweep

「草の実アカデミー」のブログ
http://kusanomi.cocolog-nifty.com/

第二言論の結集「草の実アカデミー」の設立の経緯については、草の実アカデミーの運営に携わるジャーナリスト・林克明さんのブログに、林さん個人の想いも交えて書かれています。
http://ankoku-mirai.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_db7a.html
(こちらのブログは広範なトピックが網羅されており、情報源としても貴重なブログです)

今回のイベントに呼んでいただいたのは、11月に林さんのインタビューを受けたのがキッカケでした。その少し前に、林さんは田保さんのインタビューもしていました。ちょうど、アメリカ、イギリスの反戦活動をテーマにした二人の監督を続けて取材した林さんは、この二つの映画を組み合わせて、侵略戦争を牽引する二大国家の反戦運動として取り上げたら面白いのではないかということで、今回の企画が実現しました。

田保寿一監督「冬の兵士・良心の告発」ウェブサイト
http://wintersoldier.web.fc2.com/index.html

映画を2本全て上映する時間はないので、田保さんは、映画本編に含まれていない「序章」を上映し、私はいくつかのチャプターを抜粋上映しました。

田保さんの「冬の兵士」本編は、私は4月に渋谷のアップリンクで拝見しました。偶然知り合いの方に上映会の情報をいただいたので、興味を持ち、観にいったのです。戦場・イラクに派兵された元帰還兵の証言集会を記録したドキュメンタリー。私はこれまでにイラクの元帰還兵の証言を聞いた事はありませんでした。二十歳やそこらの若い兵士たちが、大学に進学できることを夢見て軍隊に入隊し、イラクでの凄惨な攻撃に加わる。帰国してPTSDに悩まされ、アルコール中毒になり、自殺を考え、もう元通りの生活は出来なくなってしまったという彼ら・・・。

観終わって、私は初対面の田保さんに、たまらなくなって話しかけました。というのも、この作品は反戦活動を描いた作品であり、登場人物は反戦のために活動しているのですが、私にはどうしても引っかかる部分があったからなのです。私は田保さんに「反戦活動をしているあの元帰還兵の人たち、どこかでまた戦争があったら戦争に行ってしまうのではないですか?」と言いました。

映画に出てくる元兵士たちのなかには、「9/11のニュースを見たとき、ピザ屋で働いていた私は、”全てのアラブ人をぶっ殺してやる”と報復のために立ち上がり、軍隊に入隊し、イラクに派遣された。自分がこう思うようになったのは、マスメディアの責任。軍隊に入った後は大学に進学できるという夢は壊された。今はまたピザ屋の配達だ。大学に本当に行きたかったのに」と、怒りで震えながら証言します。他の元兵士も「正義のために立ち上がった。ファルージャで戦闘を行っているときも、イラク国民のために良いことをしていると思っていた。私は洗脳されたのです」といった趣旨の発言していました。

政府やマスメディアが戦争を正当化させようとした(している)ことは確かですが、でも、だからと言って”アラブ人を全員ぶっ殺す”と立ち上がって、イラクへ向かおうとまで思う米国市民がいる・・・。これは私にとって衝撃でした。

元兵士たちが何度となく口にする”正義”という言葉も、かなり危ういと感じました。この人たちは、かつて”正義”のために立ち上がり、それがうそだと分かり、今は政府やメディアを批判している。でも、今後もし、また世界のどこかで、(彼らが考えるところの)”不正義”がまかり通っていると判断したら、また彼らは立ち上がり、戦闘地へ向かうのではないか。私は彼らを見ていて、そう心配したのです。

その質問をぶつけたときに、初対面の私に、田保さんはアメリカでの平和思想・運動について、詳しく説明してくれました。「草の実アカデミー」の講演でも話題になりましたが、アメリカの平和活動の主義・主張は様々で、冬の兵士証言集会を主催した団体・IVAW(反戦イラク帰還兵の会)内部でさえも、大きな隔たりがあるそうです。(主義によっては、「共和党を支持する」というものや、「アフガンへの派兵については同様ではない」という立場のものまであるそうです!)

しかし、大小の違いにこだわっていては団結することは不可能なので、IVAWでは会全体としての主張を3つだけに絞り、そのもとで団結し活動していこう、としているのだそうです。その3つの主張とは「イラクから軍隊の無条件即時撤退」、「全ての帰還兵に対するケアの要求」、「イラクの国と被害者に対する国家賠償要求」。その3つに関しては、みなが合意することが出来るので、活動しているのだとか・・・。

ある種の妥協とも映るかもしれませんけれど、そうでもしない限り、まとまることは不可能なのかもしれません。平和活動をめざす人々の間でさえこうなのですから、その他の紛争(国土、民族、宗教など)の解決の難しさといったら言うまでもありません。

上映後の対談では、その他にも9/11以降のアメリカのメディアがどう変容したかについての興味深いお話もありました。

イギリスの反戦運動、メディアに関しては、私が実体験として持っている情報は、私が渡英した2007年以降のものです。しかし、取材を続ける中で、イギリスがどのようにイラク、アフガニスタンに参戦したのか、それに対する国民の反応(当時から現在まで)を理解するようになりました。

イギリスでは、2003年のストップ反戦連合(Stop the War Coalition)が主催したロンドンでのデモに、2百万人が参加したと言われています。実際にそのデモに参加した人にも沢山会いましたが、それはもう歩けないほどの混雑だったと言います。(講演会のとき、会場からは「当時、イギリス国民の7割近くが戦争に反対だった」という報告もありました。)

私が通っていたジャーナリズム学校の先生は、TVの仕事でそのデモを撮影していましたが、マスメディアの取材場所は制限されていて、沢山の人が参加しているようには映させないようになっていた、と言っていました。政府の決定に反対する民衆の声は、実際に沢山あったとしてもそう伝わらないようにされてしまっているのです。

(イギリスに限らず)政府は国民の声を反映していないのではないか?、議員は国民の声を反映した構成にはなっていないのでは? という点について、会場での議論では、「小選挙区制という制度が問題なのではないか?」という意見が出ました。イギリスも小選挙区制です。ひとつの選挙区から一人を選出する小選挙区制では、候補者の票数がたとえ接近していても、最高得票者だけが当選するので、死票が多く出ます。全体の票数は僅差でも、結果的に議席数に大きな差が生まれてしまう場合もあるのです。

「草の実アカデミー」の前回の講演は小選挙区制と二大政党制をテーマにしたものだったそうで、参加できませんでしたが興味を持ちました。以下はそのときの案内文。
http://kusanomi.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/1121206-41ab.html#more

講演は1時間半以上に及びました。田保さんも私も、そして会場の皆さんも(?)、まだまだ話しつくせないといった感じでしたが、いったん講演会は終了となりました。講演会終了後は、「草の実アカデミー」の忘年会が小石川後楽園内にある集会場「涵徳亭(かんとくてい)」であり、そちらに参加しました。涵徳亭、私は初めて行ったのですが、趣のある日本家屋でとてもステキでした!

忘年会の様子
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林さんの挨拶
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忘年会は、参加者の自己紹介だけでも1時間近くかかったのではないでしょうか? 様々な分野で情報発信する人々に出会い、まさに”第二言論の結集”を実感した夜でした。

イベントを企画してくださった林さんをはじめ、草の実アカデミーの皆様、田保さん、イベントに来てくださった皆様、どうもありがとうございました!

追記:
講演会に来てくださった高円寺書林さんのブログにイベントのレポートがあります。そちらも是非ご覧ください。

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