« トルコでホームステイ! トルコ映画祭④(映画祭報告2009/12/6) | トップページ | ムーブメントは始まったばかり トルコ映画祭⑥(2009/12/8) »

いよいよ上映! トルコ映画祭⑤(映画祭報告2009/12/7)

オズギュンの家に泊まった日は、朝は11時ごろに起きました。私が起きたときには、オズギュンは監督を迎えに空港まで出かけていて、お母さんが家の掃除をしていました。他人の家でこんなに遅くまで寝ているなんて・・・相当疲れていたのでしょうか。お母さんは、私が起きたのに気が付くと、朝食を用意してくれました。朝食はホテルで出されたのと同じ、白いチーズにオリーブ、トマト、パン、ストレートの紅茶といったものでした。

お父さんの実家は農業を営んでいるので、オリーブやレーズンは彼の実家から送られてきたものだと言いました。少し食べてみると、とても美味しくてびっくり! すっかり気に入って沢山食べていると、「これ日本に持って帰る?」と聞かれました。ふと税関のことが頭をよぎりましたが、きちんとパックされていれば大丈夫と思い、持ち帰りたいと言いました。私は一握り程度と思っていたのですが、お母さんはかなり大きめの袋を持ち出して、ぎゅうぎゅうに詰めてくれますcatface。これだけで2~3キロはあったはずです。

自家製のオリーブ(日本まで無事持ち帰り、家で写真を撮りました)
Dsc06816
保存用のタッパー3つ分にもなりました!
Dsc06818
レーズン。色は薄い緑色。(普段私がスーパーで見るのは濃い紫色のものがほとんどですが、この前輸入食品のお店に行ったとき、これと同じうす緑色のものが「シルクロードのレーズン」として売られていました。)
Dsc06820
Dsc06813
こちらも保存容器に移し替えました。
Dsc06819
ご飯を食べた後、ボスポラス海峡沿いを散歩しようと誘われました。私は今日の夕方から自分の上映があり、お母さんも家庭教師の仕事は夕方から(子どもが学校から帰って来てから教えるので)ということで、まだ時間がありました。

お母さんと商店街を通り抜け、海峡沿いへ向かいます。新市街からやや離れた住宅街のこの辺りでは、外国人が珍しいのか、皆がジロジロ見てきます。トルコ人のお母さんと一緒に歩いているのが不思議なのか、いろんな人が話しかけてきました。

ボスポラス海峡沿いに立つイスラム寺院の中に入りました。中はシャンデリアで飾られている珍しい寺院です。スカーフを被ったお母さん。
Dsc06726
Dsc06724
イスラム寺院とボスポラス大橋
Dsc06728
Dsc06730
お母さんと海峡沿いのカフェでお茶を飲んだ後、家に戻り、荷物を持って、新市街に向かうことにしました。お母さんは「今日も泊まりに来てくれていいのよ」と言ってくれました。たった一晩の滞在でしたが、別れるときはずいぶん寂しく思いました。

オルタキョイからバスに乗り、新市街へ向かいます。20分ほどでバスはタクシム広場に着き、ホテルへ戻りました。ホテルで荷物を整理し、ネットカフェでメールをチェックします。トルコについてからもうだいぶ経っている気がしましたし、ずいぶん満喫したと思うのですが、本来の仕事である上映はまだだということが不思議でした。今日がいよいよ初めての上映です。上映の後には質疑応答もあるということでした。せっかくだからビデオに撮ろうと、ビデオカメラや三脚も持って上映会場に向かいました。

会場はイスティクラル通りをタクシム広場から15分ほど歩いたところにある場所。テュネル駅近くのMuammer Karaca Tiyatrosu(TiyatrosuはTheatreで、劇場という意味)。

劇場の入り口
Dsc06744
劇場の中に入ると、カタログやTシャツを販売するブースが設置されていました。
Dsc06751
会場。かなり大きいです・・・
Dsc06746
会場の中に入ると、スタッフの人たちが字幕の投射位置を調整していました。
Dsc06749
トルコ語の字幕が付くのですが、トルコ語の字幕は別のプロジェクターで投射します。各字幕の投射は手動で行う(字幕が変わるたびにボタンを押す)のですが、投射係の男性は私の映画を見るのが初めてとのこと・・・coldsweats02。これではかなり難しいのではないでしょうか?!

不安に思いつつも、上映時間が近づいてきました。映画祭にゲストでやって来ているポルトガル人監督のフランシス、ブラジル人監督のダニエラ、そしてオズギュンのお父さんも見に来てくれました!

字幕投射の調整に時間がかかり、映画は予定の20分遅れで始まりました。画面からやや離れて下に投射されているのがトルコ語の字幕です。
Dsc06753
私の映画を見るのが初めてという投射係の人は、馴れているからかタイミングよく字幕を切り替えくれました。それにしても1時間半以上集中して字幕の操作をするのは、かなり神経を使う仕事でしょう!
Dsc06754
上映の後は、質疑応答がありました。ボランティアスタッフの大学生が私の通訳(英語⇔トルコ語)をしてくれました。
Dsc06755
質問は、どうして映画にしようと思ったのか、どれぐらいの期間撮影したのか、撮影して自分の変化はあったか、この映画はこれまでどこで上映されたか、ロンドンの前市長、ケン・リビングストーンにはインタビューをしたか、ブライアンを題材にした映画はこの映画のほかにもあるのか、ブライアンのサポーターたちのその後は、イラク、アフガンへの侵攻を私はどう考えているのか・・・etc、お客さんの人数はそれほど多くなかった割りに、沢山の質問をもらって、とてもうれしかったです!
Dsc06762
ケン・リビングストーンにインタビューを試みたのか?という質問の背景ですが、彼はリベラル派で知られ、反戦活動にもわりと積極的に参加する人だったので、私の映画の中に「ケン・リビングストーンがブライアンたちのテントを撤去した」というくだりがあるのを、不思議に思われたからです。実際、彼は反戦のデモにも時々参加はしていましたが、一方でロンドン警察からのブライアンの撤去の要請にも応じています。”自分の職を失うほどの反戦の主張はしない”というのが、彼の姿勢だと私は思います。一般に、ケン・リビングストーンはリベラルの人たち全般に好意的に受け入れられていますが、実際に反戦活動をしている人たちは支持をしていない、というのが私の印象です。
Dsc06766
通訳を介しての質疑応答は、私にとって初めての経験でした。ひとまとまりごとにトルコ語に翻訳してもらわなければならないのですが、ついつい盛り上がってくるとそれを忘れて話し続けてしまいました。”訳し易さ”も考えて話さなければならないですねcoldsweats01

大抵の質問は、日本での上映会とそんなに差はありませんでした。しかし、「イラクとアフガンの侵攻について、あなたはどういう意見なのか?」と聞かれたのは初めてのことでした。日本での上映会だったら、これは反戦の映画なのだから、もちろんイラク・アフガンの侵攻にも私自身反対なはず、と推測されるのでしょうが、以前書いたアメリカの反戦運動を取材した「冬の兵士」でも出てくるように、イラク派兵は反対だけれども、アフガン派兵は賛成という反戦活動家も、海外では少なからず見受けられるわけです。なので、これは海外ならではの質問だと思いました。

自分の上映の後は、そのまま同じ会場で次の作品を見ました。「H2Oil」というカナダの作品です。カナダでは各地で大規模な油田開発がなされ、今やアメリカへの最大石油輸出国となっているそうです。その一方で見過ごせない環境汚染が進み、地元住民の健康被害も報告されている。その実態を告発したドキュメンタリーでした。

上映後の監督質疑応答
Dsc06774
この映画の後は、イスティクラル通りにあるレストランへ向かいました。映画祭主催のディナーがあるからです。映画祭のスポンサー企業でもある「SANAT」レストランでの食事でした。映画祭のゲストは入れ替わり立ち代りでやってきますが、今夜が一番多くのゲストが揃うため大きなディナーパーティーが用意されていました。来場監督、スポンサー企業、映画祭スタッフなど、総勢60名以上のディナーです!

パーティーで、映画祭代表の乾杯。
Dsc06776

私の席は、私の映画字幕を担当してくれたボランティアのセミール、そしてオランダ人の映画監督アリオナ(Aliona van der Horst)たちのテーブルでした。アリオナの作品「Boris Ryzhy」の評判は、いろんな人から聞いていました。オランダ最大のドキュメンタリー映画祭、アムステルダム・ドキュメンタリー映画祭で銀賞を撮ったこの作品は、26才という若さでこの世を去ったロシアの詩人、Boris Ryzhyを追ったドキュメンタリー。厭世的でハンサム、カリスマ性があり、死んでもなお多くの若者に支持されているという彼は、日本でいう尾崎豊のような人物だったのかもしれません。

残念ながら、その作品を見ることは出来ませんでしたが、驚いたのはアリオナの強烈なキャラクターでした。今回の映画祭で来場するゲストは、シリアスなテーマを扱っている人が多いからかは分かりませんが、どちらかというとやや静かで思慮深く話すようなタイプの人が多かったのですが、彼女は「皆さん、私の話を聞いてくださーい!」と突然立ち上がって、自分の次回作の宣伝を始めたりする人なのです! びっくりする一方、(なかなかこんな風に自分の作品を堂々と宣伝できないよなぁ)と感心さえしました。彼女が話し続ける間に、電話に出たりしたら「あたしの話は終わってないのよ!」と注意しますcoldsweats02。でも、他の人が彼女に話しているときには、突然席を立って他の人に話しかけに行ったりする・・・。色んなタイプの監督がいるんだなとつくづく実感・・・。

そんな彼女の次回作は、なんと日本人の女性アーティストが主人公! 向井山朋子(むかいやまともこ)さんの「wasted」という作品についてのドキュメンタリーで、今年(2010年)には完成するそうです。オランダで映画の上映をしたときに、上映後に向井山さんがアリオナに話しかけて彼女のアートプロジェクトを説明し、それでドキュメンタリーを作ることになったそうです。向井山さんはもともと国際的に活躍されているアーティストのようですが、自分や自分の作品のドキュメンタリーを違う国の人に頼んでみるというのは、新たな視点が加わって面白い結果を産むかも、と思ったりします。

wasted ウェブサイト(日本語・英語)
http://www.wasted.nl/

この「wasted」のプロジェクトの概要がウェブサイトに記されています。(以下、「wasted」ウェブサイトより一部抜粋)

・・・’wasted’の核となっているのは、太古の昔から変わらず「豊穣」の象徴として女性に顕れたもの、すなわち「月経」である。「産み出す力」の証でもあるこの身体現象に対する人間の感情は、世界各地でさまざまな慣習や文化を作るきっかけとなってきた。それはしばしば「忌むべきもの」として扱われ。月経について話すことはタブーとされてきた。しかし同時に月経はいつの時代にも全ての女性が共有する、すなわち最も力強く人間同士を結びつけるものでもある。実際、あなた自身が今ここにいることの源でもあるのだ。・・・

そんなコンセプトをもつ彼女の作品は、数千もの白絹のドレスで埋め尽くされた迷路の中を歩くことによって、現代に生きる私たちが自身の体を見つめなおし、自分の生命の尊さを祝う旅に出る、というもの。昨年夏の新潟県十日町で開催された「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2009」で展示されたそうです。そしてトリエンナーレでのインスタレーションを撮影するため、アリオナも日本へ行ったそうです! インスタレーションを見た人の反応はどうだったか、特に男性はどう思ったのかと聞いてみたところ、ある農家の男性は「まるで鎮魂歌のようだ」と言ったそうで、アリオナが「チンコンカ!」と何度も言っていたのが面白かったですhappy01 私も展示を見られる機会があったら是非行って見たいですし、映画も楽しみです!!

アリオナは、映画祭のボランティアスタッフの女子学生たちに、「あなたたちの月経について教えてほしい」と言っていました。彼女は封建的なアラブの国々での女性と月経について知りたいのだそうです。彼女たちはちょっと返答に困っていました。(アラブ諸国ではなくても、生理を話題にする機会は普段あまりないかもしれませんが・・・coldsweats01

月経の話から、話題は「トルコは保守的か?」という話になりました。イスタンブールに留学して、現在はイスタンブールにあるドイツの経済省でインターンの研修をしているという、ドイツ人の女性が言いました。「アラブについてあれこれ言われていることや、統計というのは、トルコには全く当てはまらないのよ」と。例えば、イスラムの女性が被るスカーフ。スカーフは保守的、封建的のシンボルのように思われていますが、実際、スカーフをかぶっていなくて、肌丸出しの派手な格好で歩いている女の子たちが、意外にも超保守的な考えを持っていたり、その逆に、スカーフを被ってはいるけれど、かなり進歩的な考えの女性もいるそうです。スカーフは保守的かどうかの物差しにはならないと言っていました。

イスタンブールは大都市なので、トルコの他の都市に比べたらリベラルなのでしょう。また、この映画祭のスタッフは、イスタンブールの平均的な人々に比べて、さらにリベラルだと感じます。よって、映画祭のスタッフと話しているだけで「トルコは・・・」とは全く言えない。むしろ彼らは超少数派。イスタンブールでいろんな人に会ってきて、私はこう実感していました。
Dsc06777

ところで、いまやヨーロッパの多くの国では「建物内は禁煙」と法律で定められている国が多く、日本でも場所によっては分煙を実施しているところもありますが、トルコではレストランやバーで皆タバコを吸いまくっています。ポルトガル人監督のフランシスはタバコが苦手で、「何でトルコは禁煙じゃないの~!?」と不満を言っていました。ところが、トルコでも2年ほど前に「建物内は禁煙」と法律で定められたそうです! ではなぜ皆吸いまくっているのでしょうか???

聞いたところ、「見回りの警察官は建物の1階しか見て回らないから、2階以上の階ですうなら大丈夫」と言うのです! 「トルコで法律が定着するには5年はかかる」とも・・・。イギリス滞在時にちょうど「建物内は禁煙」の法律施行の日を体験した私には、この感覚は驚きでした・・・!

23時ごろにディナーはお開きになり、ホテルへ戻りました。

|

« トルコでホームステイ! トルコ映画祭④(映画祭報告2009/12/6) | トップページ | ムーブメントは始まったばかり トルコ映画祭⑥(2009/12/8) »

上映会報告(日本語)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« トルコでホームステイ! トルコ映画祭④(映画祭報告2009/12/6) | トップページ | ムーブメントは始まったばかり トルコ映画祭⑥(2009/12/8) »