どこかで一端止めないと
私が現在制作中の団地問題については、毎週火曜日の夜に、住民たちによる定例会が開催されています。
ここ最近、この定例会に今後出続けるかどうかを考えていました。映画で使用したい分の撮影はもう終わっているのですが、この問題は現在も流動的で今後どうなるか分かりません。映画制作に集中するも、現場から遠ざかって、現実と乖離したものを作るのは嫌ですし、何かある場面には立ち会って撮影したいという考えもありました。
私は団地からそう遠くない場所に住んでいるので、いくらこれから編集作業が忙しくなるといっても、物理的&肉体的に時間を作り参加することは可能です。週1回でもあるし。
ですが、被写体となる当事者の人たちと会い続けて、常に新情報が入り続けるのは、編集モードにならないと思うのです。編集して何か作品を作るということは、自分なりにその人を作り上げる(というと語弊があるけれど)、その人の特にどこに焦点を当てたいかを決めるような感じがします。人間はもちろん誰しもいろんな面を持ち合わせているものですが、その中でも特にここを強調したい、みたいな。でも、会い続けていると、自分の中でのその人像がいつまでたっても固まらない気がするのです。
そんなわけで、参加は可能ではありますし、これまで4月20日から半年間、定例会自体が連休やお盆でお休みだったときを除き皆勤賞だった私にとって非常に寂しくもありますが、今日を持ってしばらくお休みすることにしました。
今日のミーティングで皆さんに、上記の事を説明しました。それに加えて(制作者にとってはこちらの方が重要ですが)、たくさんインタビューをさせてもらったけれど、尺の長さと、ストーリー構成によって、使われる部分がものすごく短かったり、もしかして全く使われないという人も出てくるかもしれない、自分が意図していなかった部分だけ取り上げられることもあるかもしれない、とも説明しました。
また、基本的には、私は住民の言い分を理解しているし、その声を社会に広げたいという想いでいるということ、でも住民の言い分をマニフェストのごとく並べても、他人には響かなかったりするので、あえて反対意見も取り入れたり、他の関係者(機構側や省庁など)の言い分にもある程度の時間を割いたりする、とも言いました。だから、出来上がった作品を見て、当事者としては違和感を感じることもあるだろう、とも。
既に数回テレビなどで取り上げられている彼らなので、言う必要は無いのかもしれないが、私は彼らを取り上げた他メディアとは異なる付き合いをしてきたので(ご飯も何十回とご馳走になったり)、ガッカリさせないように事前に伝えておきたかったのです。(確実にガッカリさせるとは限らないのですが)
もちろん当事者の方々に喜ばれる作品を作りたいとは思いますが、でも、当事者の方たち”向け”につくる内輪のものでは、結局他人に観られずに、作り手にとっても当事者の人にとっても不本意な結果になると思います。基本的に、映画は他人が見るもの、社会に訴えるもの、出来上がった作品は一人歩きを始めるもの、という前提に立ってやっていきたい・・・etcのことを私から説明しました。
どの道、今回120時間ほど撮影し、それを70分程度にまとめるということは1%以下の使用率です。だから、事実というより、私が構成するもの、ということになる・・・。それは恐ろしいことでもありますが。
住民の会の方たちは、私の説明に「うん、うん」という感じで聞いてくれました。(ま、それでも出来上がって文句が来るかもしれませんが!)。今日の定例会の最後には、住民の方が一人ずつ私に対して挨拶をしてくれました。大方の意見は「最初は(この人何?)と思ったけれど、途中から空気のような存在になった」とか、「姉妹そろって痩せているから(本人註:実際そんなに痩せてませんが)、栄養足りているのかなと思って、色々食べさせた。よく食べる人で驚いた」とか、そんな感じ。
代表の村田さんが、「早川さんが初めて撮影に来て、ミーティング風景を撮影しているときに、撮影しながらパンをかじっていたので驚いた」と言っていました! え、だって三脚使って撮影していたし、私はその時期”幻の派遣社員”をしていたので、仕事の後に定例会に参加して夕ご飯を食べていなかったのです。だから静かにパンをかじっているのは、自分的にはOKなんですが、珍しいのですかね??
私は撮影も今まで一人で自己流でやってきたから、上司に叱られるってこともないし、特に撮影なんて長時間にわたるのですから、ご飯やトイレは、基本的にできるときにやって置かないと、タイミングを逃すのではないでしょうか? あ、でもやっぱり撮影しながら飲食は、普通ありえないんでしょうか・・・。ありえなくも無いけれど、初対面ではびっくりされるか・・・。よく海外ドラマとかで、ウェイトレスがドーナツ食べたり、ガム噛みながら応対する、ああいう感覚なのでしょうか?
自分でも謎ですが、自然体でやっているとんでもないことが他にもあるかもしれません!
そんなわけで、今日で定例会への出席は映画が完成するまでお休みとなりましたが、でも、毎週の例会後にメールで報告を頂いたり、緊急に事態が動いた場合にはお知らせしてもらうことになっています。これでいよいよ編集モードになるかしら。(ならないと困る!)
| 固定リンク
「新作制作状況」カテゴリの記事
- [jp] 281_Anti nukeドキュメンタリー『FOUR YEARS ON』、ネットで公開!(2015.03.10)
- [jp] 【予告】281_Anti nukeドキュメンタリー『FOUR YEARS ON』、311直前に公開!(2015.02.22)
- [jp] 最新作『FOUR YEARS ON』、2/20(金)プレミア上映@経産省前テントひろば(2015.02.17)
- [jp] 『踊る善福寺』DVDリリース記念上映&dislocate2014オープニング・パーティー!(2014.09.02)
- [jp] 2014年9月西日本ツアー詳細!(2014.09.02)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント