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時代と言葉

昨日から今日にかけては、ある住民の方のインタビュー映像を見返していました。口は悪いけれど、照れ屋で心の優しい方です。口癖は「バカヤロウ!」。ずっと、インタビューを申し込んでいたのですが、答えは「バカヤロウ」で、全く取り合ってもらえませんでした。

普通、インタビューはもちろん相手の方の合意をもらい、日時も事前に決めます。しかし、この人に関してだけはそれをせずに、ノーアポで訪問しました。家にいてくれることを願いながら。

午後だと出かけてしまう可能性があると思ったので、午前11時ごろに伺いました。チャイムを押すと、インターホン越しに挨拶。「インタビューに伺ったんですが・・・」というと、「俺はインタビューなんて、やらねえよ」といって、それきりインターホンは切れました。

なので、ドアの前でじっと立っていたら、1分ぐらいしてドアが開いて「だから、俺は何も話すことねぇっつうの!」と言われ、今度は扉をバタン。

3分ぐらい、扉の前でじっと立っていました。

すると、ドアが開いて、「そんなところで突っ立っていられたら、こっちが困るから。コーヒー飲むだけな」と言われて、部屋に入れてくれました!!!

・・・っていうか、こういう取材方法は、これまでにやったことはもちろんなく、相手によってはかなり微妙でスレスレな方法でもありますが、でもこの人にはこの方法が一番良いはずと勝手に判断してやりました。

コーヒーを入れてくれ、しばし雑談。そのうち話題は自然とこの団地のことになり、成り行き(計算?)でインタビュー撮影が始まりました。

これまでの生い立ちや人生も聞かせてもらったのですが、あまりにもドラマチックで驚きました。満州で生まれ命からがら引き上げてきたときのこと、戦後の貧乏暮らしなど…。

この団地で残っている方々の多くは60代~70代の方が多いのですが、話を聞いていると、如何に戦争が人生に多大な影響を及ぼしているのかということを感じます。満州に住んでいた人も何人かいますし、沖縄戦を経験した人もいます。国家が起こした戦争というものに、翻弄される人々。そして定年後の日々を静かに過ごしていたら、今度は国家に住まいを脅かされる・・・。まじめに生きてきた人たちが、国家によって人生を狂わされるのが、とても悔しくなります。

そんな時代を生き抜いてきた住民の方は、人柄も話もとても魅力的で、インタビュー映像を見返していて飽きることがないのですが、しかし、いろいろと問題もあるのです。

例えば、言葉。全く悪意はないし、過去には普通に使われていた言葉でも、現代では差別表現とされてしまうものが所々に出てきたりするのです。決して現実の差別がなくなっているとはいえないのに、言葉上だけ気をつけるようになっているというのも、それはそれで問題があると言う人もいるかもしれませんが。。。言葉遣いだけでなく、漢字表現も最近は気をつけるようになりましたよね。例えば、「障害者」→「障がい者」というように。

そんな時代にあって、例えばインタビューの中では、「親戚のおばさんで本当に美人で親切な人がいてさ。30過ぎて”行かず後家”だったんだけどね」とか、そういう発言が時々出てくるのです!! 行かず後家って!!!!

もちろん、彼の話し方や、話している内容から、もちろんその”行かず後家”さんを嫌ったりしているのではないと言うことは明らかです。むしろ、とても慕っていたと言うことが伝わってきます。でも、やっぱり映像で使うのはなかなか厳しいものがありますよね・・・。

そういう調子で、そういう言葉遣いがよく出てくるのです。。。その人の人柄や時代感は伝わるけれども、難しいよなぁ・・・。

今日、イギリスの友達とスカイプで話していたときにこの話題になったら、イギリスも同じと言っていました。英語ではPolitical correctness(政治的妥当性)と言われているあれですが、例えばその人のおじいさんは昔犬を飼っていたそうですが、その犬は黒い犬で、おじいさんはその犬を「ニガー」と呼んでとても可愛がっていたそうです・・・!!! 「現代じゃありえないよね」とその人は言いました。

ニガー(nigger)は、アフリカ系の人たちに対する蔑称で、今そんな言葉を公の場で使ったら、大騒ぎでしょう! いまだに人種差別がなくならないイギリスですが、言葉づかい上は日本同様、差別表現は差し控えられています。
(アフリカ系の人たち同士では親しみをこめてお互いをniggerって呼び合っていますが、それを白人が言ったらダメなんですよね・・・。ややこしい状況だ!)

今回は、時代が変わるにつれて、言葉も変わっていくのだぁということを実感したインタビューでした。本当は、言葉だけでなく、実態も変わっていかないといけないのですけれど・・・。

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