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環境を仕切る

今日見返していた撮影素材は、住民の会の代表の方のインタビューでした。午後3時ごろに伺って、結局夕食までご馳走になり9時近くまでいました。

私にとっては、この代表の方へのインタビューが一番初めでした。もともと何人かの住民の方にインタビューをしたいと当初から思っていましたが、順番として、まず代表の方にインタビューをして全体的なことを説明してもらい(もちろん個人的なことも聞きますが)、それでこの問題の全体像を把握してから、今度は個別の状況を見ていこうと考えていたので、そのような順番にしたのです。

実質的なインタビューは3時間ほどでしたが、ご主人&奥様ともにとても活動的で忙しい方で、家にいるのは週末ぐらいという状態なので、インタビュー中も宅急便が届いたり、電話がしょっちゅうかかってきたり、とかなりあわただしい状態の中でのインタビューでした。

さすが代表を務められていることもあって、何度もこの問題に対してこれまでに取材を受けてきた経験があるので、お話はとても分かりやすくて良かったのですが、インタビュー中に入ってくる音(電話や玄関口での話し声)などがとても気になりました。大事なところを話している最中でも、”ピンポーン”ときます。しかもかなり大きい音で。あとからテープを見直したときに、「裁判になったらどうなるか?」みたいな話をしている途中でピンポーンときて、「は~い、ちょっとまってください」といってから、答えていたりするのです・・・。これはかなり見るほうにとっては集中力の妨げになってしまうよなぁ・・・

私も「あ、すいません、今音入っちゃったんで、もう一度いいですか?」とか聞けばよかったのでしょうが、なんか、こういう撮りなおしってお芝居みたいで嫌だなと思ってやり直しをしなかったのですが、今から思うと、さりげなくもう一度聞くなどして、良い音の状態で撮れることを優先すべきではなかったかと思います。

絵がきちんと撮れている事が、映像では一番大事と思われがちかもしれませんが、実は音のほうがもっと大事、というのは私の個人的な意見ではなく、映像に携わる方たちの多くがそういいます。私も前作を作って以降、本当にそう思います。映像は部分的に多少ぶれていたり、全く良く撮れていなくても、何かの映像をかぶせることでカバーできますが、音声の悪いのはカバーしようがないのです。なので、音については、雑音が入っていないか、入ってしまったら、勇気を持って「もう一度いいですか?」とお願いすることが必要だと思います。

一度、市民テレビ局の撮影で、ある方のお宅でインタビューしたときのこと。その家の居間でインタビューだったのですが、その居間では金魚の水槽がありました。部屋に入ったとたん(嫌だな・・・)と思ったのですが、ボコボコと酸素ポンプの音がしていました。インタビューというのは、大抵被写体の方はその部屋を掃除して用意してくれることが多いので、他の部屋をリクエストするというのをアドリブでお願いするのは難しかったりします。しかし、他人の家にお邪魔して、インタビューで邪魔だから、金魚の酸素ポンプをはずしてくれなんて、お願いできないですよね?!?! インタビューごときのために、金魚が苦しんでも構わないのか!ってことになるわけですから。

しょうがないので、水槽のボコボコ音がしたまま10分ほどインタビューを続けました。でも、私の落ち着かない表情が伝わったのか、「この音入っちゃってませんか?」と途中で聞かれたので、申し訳なさそうに(でもはっきりと)「ハイ、かなり・・・」といったところ、あっけなく酸素ポンプをはずしてくれたのでした。

結局最初の10分間のインタビューは、良いことを話してくれていたにもかかわらず、ボコボコ音のせいで使えず。でもやっぱりこれに関しては自分からはさすがに言うことはできなかったので、しょうがないとあきらめました。

しかし、そのほかの気になる音に関しては、やはり取り直しは聞かないのだから、「すみません、もう一度いいですか?」といって、音をきちんと撮ろう、という気持ちでいます。結局耳障りな状態での録音では、被写体の方にも失礼だと思いますし、被写体の方は音には無意識でいたりするので、言われて「あ、そう」という感じで、気軽にやり直しに応じてくれたりするものです。

インタビューなら以上でよいのですが、難しいのは改まったインタビューではないときの場合。何度もお邪魔している家では、インタビューで伺ったのではなく、ただご飯に呼ばれたときでも、普通に暮らしている日常を撮らせてもらうために、さりげなくカメラを回し始めることがあります(もちろん被写体の方もそれは分かっています)。そんなときは、テレビを見ていたり、ラジオを聴いていたりと、音としてうるさかったり、もしくは著作権に引っかかってしまうような場合もあります(JASRACのサイトでは、意図して撮ったものではなく、ラジオやテレビから入ってしまった音楽についても著作権の手続きが必要と明記してあります)。きちんとしたインタビューで撮っているときではないときにもかかわらず(←本人にとってはリラックス時間)、「音楽とめてもらえますか?」というのは、図々しいのではないか?? と思うのです。

でも、いろいろと世間話をしているうちに、やっぱり話題は住まいのことになったりして、せっかくの良いお話をきちんと録音できないのももったいないですし・・・。

私の中で試行錯誤するうち、被写体の人がトイレや台所に行った隙に、さりげなくラジオを切ったり、テレビを消すなどをするようになりました。(←これも図々しいんですが)

あとは、本当にどうしようもないときは「すみません、テレビ消していいですか?」と申し出たり。(そうすると、「え~、何、撮るの?」といって恥ずかしがられてしまうので、自然体ではなくなってしまうというジレンマが・・・)

自分自身で気がついたことは、だんだん映画を作るという気持ちが強くなっていくにつれて、自分のリクエストを相手にはっきり伝えるようになってきたということです。最初は(ここはまあこんな風に撮れていればいいか)と妥協しながらやることもあったのですが、きちんとした映画にして、この問題を社会に広めたい、とか、だんだん住民の方々の気持ちに感情移入していったりすると、もじもじして悩むところから、自分でも驚くぐらい、例えばデリケートな問題のときでも、「この日、撮影させてもらってもいいですか?」とか、「この日は私も同行して良いですか?」、「音を小さくしてもらってよいですか?」などと相手に伝えるようになるのです。なので、どちらの気持ちが強いか、良い映画にしたいという気持ちが強ければ、言いにくい事でも言うという風に変わっていくものなのかもしれません。

でも、これがエスカレートして、被写体の方の気持ちを全く察することなく、自分の希望だけでずかずか相手の中に入り撮影するというような、乱暴なやり方になってはいけませんが。。。その辺のバランスは大切だし難しいと思います。

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