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[jp] 自治会のこと

昨日に引き続き、今日もほぼ終日再編集作業に集中することが出来ました。

再編集を考えるときに、つい最近に聞いた二人のコメントがとても心に残っていました。一人は、映画を映像制作者批評会で観てもらった中井信介さんです。現在、中井さんも新作の編集真っ只中で、中井さんの場合はフィリピン語のドキュメンタリー、しかも完成披露上映会は私よりも早い日程で、缶詰状態で編集作業をしているそうなのですが、ついこの間、元気にしてるかなぁと思って携帯にメールしてみたら、私の映画について「あとは住民の人たちの人間臭さが出ると良いですね」と書いてありました。

批評会のとき、他の人から「住民に寄り添うスタンスの映画を」と言われたとき、なんとなくそれに対して異質感を感じていたのですが(もちろん制作者の私個人は寄り添って取材をするけれども、映画自体も寄り添って編集される・・・というのが、どんな結果になってしまうのか、と自分はそのとき不安になったように思います)、中井さんの”人間臭さ”という言葉を聞いたときに、なぜかそちらはスッと自分の中に入ってきたのです。でも、批評会のときに、他の人たちが”寄り添う”って言っていたのは、もしかしたらこの”人間臭さ”のことであったのかもしれないな。。。そんな風に考えたのでした。

意味的には同じことを言っているアドバイスでも、場所、時間、誰に、どんな風に言われたかで、受け止め方が違ったりすることがあるのかなぁと思いました。批評会は、編集直後に開いたので、今から思うと、特に自分の編集についてのこだわりの気持ちが強かったかもしれません。

もう一人は、映画道場でお世話になった菊池さん。彼にもDVDを観てもらっていました。構成については緻密になされている、と書いてあったものの、「住民の人が、自分たちでこの映画を撮ったら、もっと怒りがストレートに出ていたでしょうね」とも書いてありました。それが、私の中で引っかかっていました。

この問題が始まったのは2008年の3月でしたが、私が彼らに初めて接触したのは、2年後の2010年3月でした。すでに200世帯以上が移転しており、住民の人たちにインタビューしたときは、2年前の出来事(URの説明会とか)は結構淡々と、感情的にはならずに説明をしていました。

・・・とはいえ、やはりURに対する恨みとか、住民に相談することなくURの提案を受け入れた自治会に対する恨み言は、インタビューで沢山聞かされました。URよりも、自治会に対して怒っているという人も、少なくありませんでした。私は、自治会に対する不満を取り上げるかどうかで迷ったのですが、そもそもこの原因を作った張本人はURであり、住民組織の自治会はその決定に従っただけ。なので、自治会を取り上げるのは問題の本質ではないと思ったし、この映画を全国の団地自治会でも上映してほしいと思ったので、自治会の批判については触れないでおいたほうがベターかも、と思ったわけです。

しかし、自分たちの住まいが脅かされることになったときに、唯一の頼みの綱は、まず自治会です。自治会が、その会員でもある73号棟の住民たちに、報告・相談もしないでURの申し出に同意してしまったというのは、かなりショッキングな事実でしょう。そして、住民たちは、自治会を支持する派、反対する派に分かれて対立していく・・・。

立ち退く、立ち退かないが理由で、本来は争う必要のない住民同士が対立させられ、分断させられる。建物に居残る住民たちが孤立する・・・このような構図になってくれれば、追い出しを成功させたいURとしては、とても都合が良いわけです。自らが手を汚すことなく、住民同士がいがみ合うことで、追い出しが進んでいくのですから。(こういった構造は、原発や米軍基地の受け入れをめぐってコミュニティーが破壊されるのと、全く同じ構造だと思います)

このような巧妙なURの追出しの仕組みを明らかにしていくためには、やはり自治会のことも取り上げるべきではないか?と思いました。これから、URに限らず、公社住宅なども削減が進んでいきます。住民の追い出しが増加する中で、唯一の住民による組織である自治会が、本当の意味でその力を発揮するようになることを願って、私は敢えてこれを取り上げようと思いました。

ちょうど今日、言論・表現の自由を守る会の垣内さんとメールでこの新作についてやり取りをしていた際に、ご主人が団地の自治会長さんをされているということで、自治会や自治協のことが話題になりました。そのことについて意見を交換する中で、(自治会については必ず取り上げたい)という思いは決定的になったように思います。

そんなわけで、再編集では、住民の怒りや素朴な声がもっと反映された映画になっていくと思います!

・・・そんな風に思うようになると、たちまち、3月21日上映版が物足りないものに思えてきました。。。weep

今日は、そんな思いで、素材について全部書き出したノートを最初から読み返していきました。全7冊あるのですが、集中して読んでいったら、先ほど全てを読み返し終わりました。

全7冊のノート(再活用で重宝するので、苦労して作った甲斐がありました)
Dsc01324

新たな目で見返していって、面白いと思ったエピソードにどんどんピンクの蛍光ペンでマーキングをしていきます。こんな感じ。
Dsc01328

かつて「X」印をつけた箇所も、結構復活しました。

Dsc01330

印をつけたページにはポストイットを貼り付けておきました。ポストイットはこんなに沢山になりました!
Dsc01326

この作業、構成も何も考えずに、面白いと思った箇所だけをマーキングしていったので、とても気楽な作業でしたが、でも、実際にどこに、どうやって使うのかを考えたり、実際の映像を観てみたら、つかえないものが沢山あると思います。もともと、トピックとして使わないとして「X」としただけではなく、素材そのものとしても「きちんと撮れていなかった」とか、「話が途中で変わっている!」とか、そういった理由でボツになったものも多いのですから。

最もありえるパターンは、このノートは、とった素材の内容の”要約”でしかないので、実際の素材を観てみたら、語りが冗長でだらけてしまっていたり、実は要点がぼやけていた、とかがあります。この点について、例えばドロップアウトTVの遠藤さんの、テープ書き起こし作業を以前少しお手伝いした際に、「会話は一字一句そのまま書き出すこと」という方針で、数人がかりで数十本の書き起こし作業をしたのですが、それはものすごく大変な作業ではありますが、”これは本当に使える素材かどうか”を瞬時に見極めるには、それが一番有効だと思います。

実際に一字一句の書き取りをやってみると、人の会話はかなり無規則・無秩序に進んでいることがわかります。例えば、「ええと、昨日は、本当はいったん家に帰ろうかとも思ったんですが、でも、仕事がまだ残っていたし、あ、そうだな、家にまっすぐ帰りたくないという気持ちも、実は少なからずあったわけですよ。だから、行きつけの飲み屋があって、まぁ、昔からの腐れ縁みたいな感じですかね、そういう友達が何人かいて、みんなそれぞれに今は家庭を持ったりして、昔は羽振りのいい奴もいたんですよ、これでも。数年前に健康診断で引っかかっちゃいましてね。深酒はするまいと決めているんですが、やっぱりダメですね、断れないんです」・・・といった状態で進んでいくわけです! 結局のところ、”要約”では「この人は昨日まっすぐ家に帰りませんでした」と表記されるに過ぎないのですけれど。実際の人の会話というのは、ニュースキャスターが原稿を読むように語るということは、皆無なわけです。

私の場合、素材テープの一字一句の書き取りはしませんでした。だって、私の場合は170時間以上テープがありましたから!! なので、また実際に候補の箇所を見返さなければならないのですが、でもまぁ、そんなにとんでもないボリュームを候補としてあげたわけではないので、何とかなるかなぁと楽天的に考えています。

明日は、これらのマーキングした箇所を再び読み返し、キャプチャーして取り込んであるデータは実際に再生して確認をし、素材管理のエクセル表に記入していきます。中には、キャプチャしていないものもあるので、それらに関しては、キャプチャ作業もします。多分これらの作業に3~4日間ぐらいかかるかな。

今日はそんな状態でした。

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