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[jp] 雲南その2(3月25日)

25日は朝9時に起きました。疲れすぎていると、かえってあまり寝られない傾向が私にはあるようで、寝たような寝ていないような状態でした。

10時にジダンたちと待ち合わせして、朝食を食べに行きました。「団地」の映画を作っている私としては、中国のアパートに興味津々。
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出窓状(?)になっているのがこちらのアパートの特徴のようです。窓と格子の間のスペースで花を育てている人が多いよう。ジダンによると、この造りの見た目が現在の市長は気に入らないらしく、こういった造りのアパートはやめていく方向にしたいのだとか。

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朝食は、米麺の汁そばに鶏肉をのせたものをいただきました。かなり大きなボウルでしたが、1杯100円程度。安い! ジダンは週の半分は外で朝食を食べると言っていました。こんなに安くておいしければ、外で食べたほうが良いよなぁとおもいます。
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中椀(6元)。ネギやコリアンダーが効いています。
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大学の周辺なので、安くておいしいお店が多いそうです。見るからに庶民的。
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雑貨屋さんとかもいろいろあります。
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朝食を食べた後は、映画祭の会場へ。昨夜は暗くて分かりませんでしたが、会場の図書館、大きすぎ! いくら人口の多い中国とはいえ、こんなに大きいと中は人&モノともにスカスカです。(セバスチャンに後で聞いたら、中国の国立の建物は大抵これぐらい大きいそうです)
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映画祭の看板
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映画祭会場の受付
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この日は午後から日本プログラムの上映があり、私の新作も上映されることになっていたので、12時からは会場で絵と音のチェックをしました。会場はメインの部屋ではなく3の部屋。
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サウンドチェックの様子
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立派な図書館ですが、プロジェクターや音響機材はとても古く、図書館側はそれらを新しくしようとしないそうです。今回、映画祭会場レンタル代(1週間分)として4万元(約60万円)を映画祭は図書館に支払ったそうですが、半分は担当者たちの懐に入ってしまい、図書館側にわたったのは半分だけ。機材を更新するための資金なども、同様に携わる人たちの間で着服されてしまうそうで、機材の更新までお金が行き渡らないそうです。

絵と音のチェックを終えたあとは、図書館内のレストランで昼食をとりました。大理という地域の伝統料理を出すレストランで、従業員たちも大理の少数民族である「白族」の衣装を着ていました。

ジダンと良太さんとともに。
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大理の有名な湖(ジカイ)で取れる野菜のスープに、アスパラガスのピリ辛炒め物。
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お昼ごはんを食べながら、ジダンに映画祭のことをいろいろ聞きました。この映画祭が2007年に中止の危機にあったと聞いたことがあったので、そのあたりを聞いてみました。

中国では、あらゆる団体やNGO、NPO活動などは禁止されていて(有償、無償、ボランティアなどを問わず)、何か人が集まって活動をするためには、必ず政府のどこかの機関に所属していなければならないそうです。この映画祭の場合は雲南省の人類学研究所に属することで、活動を続けています。ジダン曰く、研究所の担当者たちが矢面に立ち、映画祭の自主性(100%ではないけれども)を守り続けているのだそうです!

映画祭のプログラミング・スタッフたちは、作品選びの際に(ここまでならぎりぎり大丈夫)と考えながら作品を選ぶそうで、(これはやばい)というような作品(中国の体制を正面から否定するようなもの)はあきらめたりするのだとか。

2007年に、ある作品を上映したいと思って、その監督と電話やメールでやり取りをし、上映が決まったとき(でもまだ公式には全く発表していない段階)、即座に当局から映画祭中止の命令が入ったそうです。メールや電話が全て見られていた(今も)そうで、その作品が政府の上映禁止リストに入っているため、映画祭の禁止を命じられたと言っていました。

でも、その上映禁止リストはもちろん公開されていないので、映画祭側としては(これは大丈夫かな?)とか推測しながら作品を選定するしかありません。うわぁ~、大変そう!
(私も今回、映画祭カタログのために原稿のやり取りを何度かしていますが、きっとそういうのも全て見られているのでしょうね・・・。まぁ、別に悪い事しているわけではないのだから、気にしませんけれども)

そんな厳しい環境ではありますが、映画祭期間中に観た作品はかなりがんばって声を上げている作品が多くありました。ジダンは「この映画祭で流している作品が、もしテレビで流れたら革命が起こるよ」と言っていました。政府としてもあまり規制を厳しくしすぎると、その反動が強くなってしまうので、監視しつつ、ある程度は許容しながら、様子を見ているようです。

そのため、普通どの映画祭も観客を集めるために宣伝をがんばりますが、この映画祭の場合(他の中国のドキュメンタリー映画祭も?)、あえて大きな宣伝はやらないそうです。映画祭の規模が大きくないということも、当局が目をつぶるかつぶらないか、大きな違いがあるそうです。

中国では有料で映画を見せる場合、作品は国の検閲を受けなければなりません。そのため、映画祭の入場は無料。でも、こんな大きな会場を借りて、ポスターも作っているし、海外からゲストも招聘しているし・・・一体どうやって資金を集めているのでしょうか?

映画祭のカタログもかなり豪華です。
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さようならURの作品紹介ページ
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ジダンにそのことを聞いてみると、映画祭の資金は海外の助成金に申請してそこからお金をもらっていると言っていました。ヨーロッパ諸国や日本など。しかし、大抵の助成金団体は1度支給すると、その後数年は同じ団体には補助したがらない傾向があるそうで(助成金団体としても、色んな活動に幅広く資金を提供したいというのもあるのでしょう)、海外の主な助成金団体からはもう大体もらってしまったので、今回は資金集めが特に大変だったと言っていました。映画監督のジャ・ジャンクーその他からまとまった資金を出してもらったそうです。

話が戻って、中止を命じられた2007年の映画祭。その年は映画祭を中止し、でも、映画祭を楽しみに集まる中国国内の映像制作者たちを集めて、大理の山奥で合宿をすることにしたそうです。ただの旅行ならば、政府に禁止される筋合いはないわけですから。そこで、泊りがけでお互いの作品を鑑賞し、討論しあって、それはとても有意義な経験だったそうです。今回のワークショップ(山形ドキュメンタリー映画祭の事務局が中心となって開催している)「映画道場」の企画は、このとき参加した藤岡朝子さんの経験がヒントになっているのではないか?とジダンは言っていました。

お昼ごはんを食べ終わると、そろそろ上映の時間になりました。日本の道場参加者プログラムとしての上映でしたが、内藤さんの作品以外は英語字幕しかないので、内容を理解できる観客はかなり限られています。もっと早めに英語字幕が出来ていれば、中国語字幕を入れてもらう時間があったかもしれませんが、あのスケジュールでは到底無理でしたので、それはあきらめるしかありません。

上映前のジダンの挨拶
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若井さんからも挨拶
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内藤さんの「ドキュメンタリーごっこ」に続けて、良太さんの「ここにいることの記憶」(2009年山形ドキュメンタリー映画祭上映作品)が上映されました。なくなっていく団地とその記憶を綴った作品で、偶然にも私の作品とは「団地」つながりでした。私の映画が団地がなくなる原因や背景を社会問題としてストレートに扱っているのに対し、良太さんの作品は、何かがなくなっていくと言う感覚、言葉では表しにくい「感情」や「記憶」といったようなものが、幻想的に表されていて、両方をつなげてみることで、私にはいろいろと面白い発見がありました。

良太さんのQ&A(通訳は、雲南に以前住んでいたさとるさん)
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最後は私の作品の上映でした。急いでつけた英語字幕なので、何か見落としがないか不安でしたが、字幕の不備はなかったようで一安心。非ネイティブ向けの字幕ということを意識して、英語表現の格調を追い求めるよりも、なるべく平易な、簡潔な表現を用いることを心がけました。英語字幕を1時間以上追うのは、非ネイティブにとってかなりしんどい行為ですから。それでも、会話が矢継ぎ早に続く部分はどうしても字幕が早く切り替わってしまい、それは難しかったのですが・・・。

この映画祭では、MP4データで上映をしました。映画祭側から、もともと「高画質で上映をしたいので、データファイルをHDDに入れて持ってきてください。予備でDVDも」と言われていました。なので、MP4ファイルを作り、それをHDDに持って行き、マックとつないで上映しました。(こちらの映像制作者はマックユーザーが多かったです)

上映後、私の作品についてのQ&Aが始まりました。(ビデオで撮ってもらっていたので、写真がなく残念)

観客から出た意見や感想は、「この映画には独特のリズムがある」、「追い出しに起こる住民の話なのに、監督も住民もかなり抑え目だ。自分がこれまでに見た日本の映画は、大抵押さえ目に描かれている。これは日本の特徴なのか」、「音楽が面白いが、どうやって見つけたのか」etcでした。

そもそも、この映画のメインテーマとなっている「追い出し行為」や「官僚との癒着」については、全く問題ではないようなのです。・・・っていうか、聞いてみると中国の追い出し、すさまじいのです! 日本以上に、現在は中国のほうが再開発の嵐(=追い出し)ですが、なんと、最後まで残り続ける住民がいても、建物ごと爆破してしまうのだそうですーーーーー!!! OMG-----! 日本では、さすがにこれはありえない行為でしょう。人が住んでいるのに、ビルを爆破?!?! 

そして、中国の場合、立ち退きに抗議する住民たちは抗議のための焼身自殺をするそうで、そこまでやればやっとメディアが自分たちを取り上げてくれる(小さな記事で。再開発に絡む追い出しは体制批判ではなく、”個別案件”扱いとなるので、メディアでも取り上げることはOK)のだとか!! 

中国でも、立ち退きの場合はわずかなお金が支払われるそうですが、その仕組みがまたユニークで、住民が他の住民の追い出しを説得した場合、支払われる金額が高くなるそうで、最初のほうに出て行く住民は安い金額だから損、とか言っていました。粘るほうが得な仕組みですが、でも最後まで粘ってしまったら、ビルごと爆破されてしまうわけでしょう??? こんなことがまかり通ってよいのでしょうか???

そんなわけで、中国人からは「URって優しいんですね」なんて言われてしまいました。

・・・この映画、中国での普及は難しそうですcoldsweats01

プログラムのあとで、記念写真。
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プログラムが終わったのが6時で、その後は夕飯を食べに行きました。こちらでは緑色の看板はイスラム系のレストラン。ハラル食です。街中にはかなり緑色の看板を見かけましたので、イスラム教徒も結構いるのでしょうね。
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ラーメンのほかに、串焼きも食べました。スパイシーなラム肉と豆腐の串焼き。ビールがほしくなる味ですが、寒くてそんな気分にはなりませんでした。
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ジダンの親戚は、追い出される住民専門の弁護士をやっているそうですが、中国では追い出し案件の裁判で国民が国に勝つのは無理と言っていました(日本でもどうなるか、全く未知数ですが!)。裁判所に訴えても、裁判所自体が「これは裁判になりません」といって、取り扱わない(裁判にしてくれない)ことが多くあるそうです。ジダンの親戚の弁護士は、政府から業務停止命令を言われることも多く、つい最近も数ヶ月仕事が出来なかったそうです(しかも負けてばかりなので、全然お金にならない、とも)。

面白かったのは、ジダンが「中国では、法律は小さなことに、政策は大きなことに、政治はすごく大きなことに対して働く」と言っていたことです。例えば、日常生活で生じる問題(離婚など)に対して、法律は解決に役立ちますが、追い出しや国家事業のような大きなものに対しては、法律はあってもそれは役に立たない、ということです。

夕食を食べた後は、映画祭会場に戻り、Sha Qing監督の「Fading Reflections」を見ました。これも154分の大作。・・・っていうか、こちらの映画は4時間越えは珍しくなく、2時間台は当たり前のようにあります。私なんて90分でも長いかもと思って編集していたぐらいなのに。

Q&Aが終わり、ロビーに出ました。昆明のホテルでは若井さんと同室なのですが、彼女は市内の北部にある別の映画祭会場に映画を観にいっていて、鍵も彼女が持っているので部屋に入れません・・・。フロントでは英語は絶望的だし(その前の晩に部屋のトイレの鍵が内側から閉まってしまい、深夜にフロントで「トイレ」と何度も言ったのですが分かってもらえず、最後には筆談でトイレに入れてもらいましたが、「部屋の鍵がないので入れない」なんて文章を伝えられる自信は全くありません・・・)

一緒に映画を観たタイからの参加者(今回審査員として参加したチャリダーと、タイの映画財団(?)で働くウィ)の部屋で、若井さんが戻ってくるまで待たせてもらうことになりました。

チャリダーは、審査員としての参加なので、毎日メインホールでコンペ作品を見ています。東京国際映画祭でも審査員を努めた経験があるそうですが、ひたすら映画を観続ける(観続けなければならない)のは、それはそれで大変でしょう!

今は映画祭の後半部分に差し掛かっているので、この日は審査員で中間会議をやったそうです。審査員の中で意見が分かれているそうですが、次回の会議が最終決定。どうなるんでしょうね??

1時間ほどたった後、ジダンが来て部屋を開けて貰えましたが、チャリダーが審査員としてどんな目で作品を見ているのかということについてあれこれ聞けて、面白かったです。

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