[jp] 雲南その3(3月26日)
今日は午前中~午後にかけて、デジカメで撮った動画を編集していました。エディウスには編集途中の新作のデータがあるので、エディウスを使って編集するのはやめ(デジカメとビデオカメラでは画面サイズや画質も違うので、もし何か設定を変にいじって変わってしまったら嫌だと思ったので)、ウィンドウズ・ムービー・メーカーを使って編集をしました。
メディアールの授業でも使っていたムービー・メーカーですが、これ、無料というだけが利点ですが、本当に使いにくいですよねぇ!! でも、本当に単純につなげて、少しのキャプションを入れただけなので、何とかこれでやりましたが。9本のミニビデオを作ったんですよ! 疲れた・・・
さて、もう3時近くになってしまいましたが、雲南レポートの続きを書きたいと思います。出来れば3日分ぐらい。最低でも2日分を。。。
3月26日は、朝に予定がなかったので、ゆっくりと10時ごろまで寝ました。映画祭のあとに1週間弱の『映画道場』の予定も控えているし、最初から飛ばすのではなく、きちんと寝れるときは寝ておこうと思って、朝を遅めにしました。
今日は終日フリーとなっていたので、まずは一人で外に出てみます。初めての一人外出。映画祭からもらったホテル・映画祭会場近辺の地図を片手に、人にも聞きつつ外を歩きます。この日も相変わらず寒く、そして雨。
中国からポストカードを出したいなぁと思ったのですが、街中に切手を売っている場所を見つけることが出来ません。街の人に「切手」とかいても、この単語は中国語と同一ではないようで、理解してもらえません。ましては「Stamp」では誰も・・・。大きな高級ホテルに行けば、英語も通じてフロントで販売していることもあるかも?と思い、公園そばの高級ホテルに行ってみることにしました。普段歩く側とは反対側の通りです。
歩いてみて分かったのですが、ちょうど雲南大学を境にして、湖を取り囲むように下町と高級住宅地が分かれているようなのです。
高級マンションは、ゲートもあり、高級な外車も駐車されています。
豪華なホテルではありましたが、残念ながら切手やポストカードは売っておらず、断念。お腹がすいたので、朝食を食べに行くことにしました。
図書館近くの庶民的なエリアを目指して歩き始めます。
図書館手前のわき道に大衆食堂群を発見! 私って、こういう場所を見つけるの、自分でも得意だと思っています(自慢できる能力ではないですが)
通じるかどうか半信半疑でしたが、「トーショーメン!」と言ったところ、中椀、6元で刀削麺が出てきました!!
めちゃめちゃおいしいじゃないですか!! しかも、コリアンダーやレモングラスに加えて、大きな強いミントの葉も沢山入っており、それがとても良いアクセントになっていました。
ご飯を食べ終わった後は、周辺をぶらぶら。食材のマーケットがあったので、覗いて見ることに。
生鮮食料品ばかりなので、お土産品を買うには不向きですが、眺めている分には楽しいです。
雲南に住んでいた経験のあるさとるさんに教えてもらった天然蜂蜜のお店に行って見ます。
いくつか試食させてもらい、1瓶購入。30元ほどでした。
かなりずっしり。
お店の外に出ると、フランス人のセバスチャンにばったりと道で会いました。彼も映画祭の会場にこれから向かうそうです。私もそろそろ映画祭会場に・・・と思っていたので、一緒に行くことにしました。
ちょうどお昼ごろになっていて、映画祭は1時間半のお昼休憩の時間でした。夜の部も、6時から1時間半の休憩時間が設けられています。セバスチャン曰く、中国人にとって食事の時間はとても大切だから、映画祭でも長く食事休憩が設けられている、といっていました。
セバスチャン自身は、露天で買った中国風ドーナツをかじりながら歩き、昆明にいる間に少しでも沢山の映画を観ようとしていて(彼は中国現代文化の研究者でもあるので)、そのお昼休憩の時間ももったいないようで、図書館の2階に設けられている映画祭のブースでiPodで全作品が観られるようになっている場所に行き、見逃した映画を観るつもりだと言っていました。
私も彼について、2階のブースに行って見ました。が、残念ながら、iPodは全て貸し出ししてしまっていて観られず。仕方なくまた1階に戻りました。
おそらくコンピューター化もされているとは思いますが、図書目録。
図書館の部屋の中はかばんの持込が禁止(ロッカーに預ける)なので、中には入りませんでしたが、外からの様子。
午後の部に何を観ようか決めていなかったので、中国映画に詳しいセバスチャンに何を見たらよいか、お勧めを聞きました。すると、中国のドキュメンタリーといえば彼!というぐらい有名らしい(私は知らなかったのですが)、Lu Binが企画・コーディネイトする「The Eye of Villager」を観るべきだ!と言われました。これは、少数民族の村人たちにカメラ機材を提供し、ワークショップをして、彼ら自身で映像を作り、発表していくというプロジェクトで、10年以上続いているのだそうです。映像による自己発信、作り手の多様性を信条としている私としては、そのコンセプトにものすごく共感し、見る前からすでに感動! そのプログラムを見ることにしました。
会場はあまり大きくない3の部屋。開映30分前からすでに人が集まっています。(結局上映開始後は立ち見が出るほどの状況に!)
他の会とは明らかに違う客層で、チベット(正確にはチベットではなく、中国国内の地域)の僧侶、少数民族の衣装を着ている人、そして欧米人の観客が多くいました。(Lu Binのこのプロジェクトは、特にフランスやスイスなどで絶賛されていると聞きました)
チベット僧がカメラを構える姿に、私は萌える女だということが判明(それにしても限定的だなぁ)。写真とりまくりました! だって、これってすごい光景だと思いませんか?!?!
Lu Bin
プログラムは中・短編あわせて5本ほどが上映されました。中でも「牛糞」という作品がものすごく良くて、観客からも大絶賛。ちなみにこの作品は賞もとりました。
牛を飼い、その牛の乾燥した糞を集めて、日常生活のあらゆるところに使いまくる村人の生活を描いた作品です。乾燥した糞を水で緩め、砂を混ぜ、家の壁を作ったり、炭のように燃料にしたり、犬小屋を作ったり、果ては薬にも使う・・・と糞を有効利用しまくりの人々なのです!
牛の糞を水で緩め、手でこねるうら若き乙女。
砂を混ぜた糞は、乾燥するとかなり高度があるようで、塀も作れます。(ちなみにこのエリアは乾燥地帯のようです)
糞を粘土のようにして小さなイスを作り、冬にはソリにして子供たちが遊ぶ・・・
ビジュアル的に強烈なのですが、彼らにとってはそれは先祖代々受け継がれてきた自然な生活。それがごく自然に村人の視線で描かれていて、すばらしいのです!!
またまたカメラを構えているチベット僧を発見! ・・・でもこんなに興奮して写真を取り捲るのは、逆に差別的かもしれません・・・。やや反省。
一人で観にいったし、中国語字幕しかなかったので、映画の詳細やその後のQ&Aは理解できなかったのですが、映像自体がものすごくパワフルなものばかりで、十分楽しめました。
プログラムの終了後、興奮してそのプロジェクトにかかわる人に話しかけたところ、DVD2枚(うち1枚は自分で購入)と本(村民たちに教えるワークショップの内容について中国語&英語で書かれた本)をいただいてしまいました!! うわ~、超貴重な資料です!! 時間が出来たら、じっくり読んで研究したいです。
やっぱり現地に行って人に会わない限り手に入らない情報とモノって言うのは、沢山ありますね。この映画祭で、私にとって一番大きな収穫となりました。
プログラム終了後は、ワークショップに参加するためにやってきたタイの映画監督たちを紹介してもらい、一緒に夕食を食べました。また図書館内の大理レストランへ。そしてまたてんこ盛りの料理です。
向かって左側がケイ、右側がイン。
手前からチャリダー、ウィ、イン。
彼らにタイの映像制作事情を聞きました。タイでは、半分が異性愛者の男性、もう半分が同性愛者の男性、そして残りのほんの少しが女性、という構成になっているのだそうです!
ほんの少しの女性映像制作者たちは、別にフェミニストではないので、特にジェンダーを意識して連帯するようなことはなく、みんなバラバラに制作をしているのだとか。チャリダーは海外から時々「タイの女性作家を紹介してくれ」と頼まれるそうですが、このような事情のため、困るのだそうです。国によって本当にさまざまだなぁと思ってしまいました。
食事には、映画祭のオーガナイザーの一人であるイ・スチャンが、一人の若い中国人男性をつれてきていました。名前を失念してしまいましたが、彼は昆明の映画館で働いていて、今回の映画祭の作品選びで大活躍した、将来有望な人なのだそうです。新しい仕事を得て、昆明から離れて北京へ行ってしまうそうですが、その仕事というのがFacebookのようなネットワークを中国で立ち上げること。
世界中で使われているFacebookですが、中国では禁止されているのだそうです。なので、それに代わる仕組みを作り上げるとのこと。タイ人の参加者たちは、「タイの政治や友達のこと、全てのことは今Facebook上で起こっている。中国にいる間はFacebookにつながれないので、情報に乗り遅れちゃう!」と言っていました。やはりネットはいろいろ規制されているようなんですね・・・。
夕食のあとは、メイン会場のプログラムを観にいきました。中国の若手監督が、ビンボーな自分と彼女の出口のない生活を赤裸々に記録した「The Days」という作品。監督は、後にワークショップで同じ班にもなったWei Xiaoboです。
Q&Aの途中までジダンと一緒に見て、その後は3時間以上超盛り上がっているというトークショーの会場へ。残念ながら写真を撮り損ねてしまいましたが、『映画はどうあるべきか』といったような壮大なテーマをめぐり、3時間超にわたり大激論を交わしていると言うではありませんか! 私は最後の15分ぐらいしか見られませんでしたが、車座になって熱くかたっている彼らの様子に圧倒されました。
トークショーのあと、その場にいた監督やスタッフ、お客さんたちとともに飲みに行きました。ほとんど面識のない人たちについていったので、周りは中国人ばかり。唯一、スイスから招聘された女性監督と中国人の通訳者・デービッドがいたので、その席に加わって私も話をしました。(←席順とか、加わる場所とか、言葉の壁があるとこういうのがかなり重要だったり、面白かったり、ストレスになったりします。)
初日のパーティーで話した詩人の映画監督も加わりました。
私の隣がスイス人(中東出身)のEdna Politi、向かい側が昆明出身の詩人&映画監督のYu Jian。
中国の自主映像作家は、撮影・編集・監督と全て一人でこなすスタイルが多いそうです。ヨーロッパベースで作っているEdnaにとってはそれは良くない、他者の目が必要だ、と言うことで意見が割れました。Jianは、「他者の目が入って、それで自分と意見が違ったらどうするんだ!」と驚いていましたが、でももともと他者の目を入れるのは自分と違う意見を聞きたいからですよね?? その辺の説明にEndaはてこずっていました。
私もほぼ一人完結でやっていますが、それは予算がないからそうしているわけで、お金と上手くタイミングの合う信頼できる目を持った人がいれば、もちろん複数で制作をしてみたいです。
また、現在アフリカで革命が続いていますが、「中国で革命が起こるのはいつ?」という質問が出ました。デービッドはそれに対し「中国の人々が、各自今もっているものを全て捨てる覚悟が出来て、何かひとつの目標を見つけ、それに向かって団結したときに、初めて可能になる。今はまだそのような状態ではない」と言っていました。
社会に対して不満はある一方で、物質的に昔と比べて満たされている部分もあるので、なかなかそれを捨てることは難しい・・・ということでしょうか?
気がついたら2時ごろになり、ホテルに戻りました。
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