[jp] レコーディング!
昨日は、人生初の、ナレーション&音楽の録音を、録音スタジオにてやりました!! 中野にある録音スタジオをネットで見つけて、2月に下見に行き、そこでやることを決めていました。カリンバ奏者のSageさんの演奏の録音と、私のナレーション録音。2時間のコースを予約しました。
レコーディング開始は4時。Sageさんは、バスが遅れているということで、私のナレーションから先に始めることにします。ナレーション原稿は2枚印刷し、1枚はサウンド・エンジニアを担当してくれる河野さんに渡します。
ナレーション録音の前に、カリンバをかぶせたいシーンのみ抜き出したMP4を、スタジオのマックで読み込みます。マックのクイックタイム形式ならば、モニターで再生しながら演奏が出来るということだったので、私もMP4でデータを作り、DVDに焼いて持参していました。
・・・ところが、MP4データはクイックタイム・プレーヤーで再生はされるものの、サウンド編集用のプロソフトで、画像が読み込まれません!!!!
マックとウィンドウズの互換性には、映像製作でもこれまで散々悩まされてきましたが、MP4で作ったものもダメなんて・・・。事前にデータを河野さんに送って確認してもらうべきだったと後悔。。。
例えば、マックのファイナルカットで取り込んだAVIデータや、完成したDVDは、ウィンドウズのパソコンで再生は問題なく出来るものの、編集ソフトへの取り込みは画像のみ取り込まれて音声が再生されなかったりするわけです。未だにこの解決法を私は知らないのですが(どなたかご存知ですか?)、マック環境で制作する人とコラボするのは、ウィンドウズ派にとってはかなり障害が大きいです。(それに加え、私はさらにヨーロッパ規格のPAL環境でもある)。音楽の分野でも、同じだとは知りませんでした。
取り込んだMP4データを、iPod形式に変換してみたり、ノートパソコンで取り込んでみたりと、あれこれ試すこと1時間近く。。。でもやっぱり、上手く再生されません。マック上で、MP4変換をすると、どうやらマック上でも再生できるらしい・・・との予兆もありましたが、でも変換に1ファイル20分近くかかるようで、それはあきらめることにしました。
そうこうしているうちにSageさん到着。モニターの件を話し合った結果、今回はカリンバをかぶせるシーンは少ないし、全体に短いのでモニターがなくてもほとんどのパートはいける。それに、パートにあわせて演奏するのではなく、短いフレーズをループにして使うほうが、使いやすいかも、ということで、モニターは使わずに、フレーズの録音をすることにしました。
Sageさんのカリンバ(自分で作るのだそうです! この日は10個ぐらい持ってきてくれていました)
ということで、データの取り込み問題は解決したので、早速ナレーションの録音から始めます。私はすでに自分でナレーション録音をしていましたので、原稿は何度も読んだことがあります。ですが、完全防音の1畳半ほどのブースに入り、小さな小窓があるだけの環境で、本格的なマイクが前に立ってしまったりすると、やはり緊張! 全体的に声が緊張していた感じだったなぁ、と思います。
ヘッドホンで河野さんと話が出来るようになっていて、「どうぞ」と言われ、読み始めます。
通しで録音をした後に、それを聞いてみて、やり直したいところを再度読んでいきます。再生される音を聞いて、私が家で録音したときの「ジー」というビデオカメラの内部の動作音などは一切ない代わりに、私から発せられる”声”以外のあらゆる”音”がめちゃめちゃ強調されているのです!! 例えば、読み始める前に軽く息を吸う音、つばを飲み込む音、自分の体内でしか感じられないような、口を閉じたときのわずかな音・・・。普段普通に誰かが話しているのを聞くのとは全く違う、まるで人間の体内に入って聞くかのような音に、「録音されすぎていてかえって不自然」と感じたのです!
ナレーション録音が終わった後に、ミキサールームで河野さんと再度再生しながら話しました。プロのナレーターの人の場合、読み声以外のそういった音を自分でちゃんと抑えるのだそうです。「スタジオの環境で録音すると、上手い人は上手く、下手な人はもっと下手に録音されてしまう」と言っていたのに、私はものすごく同感してしまいました。だって、本当にそのとおりなんだもの。
私は自分のナレーションをどうするかですが、昨日録音してもらったナレーション素材を使うかどうか、よく考えたいと思います。ナレーション部分は、ナレーション以外の完全無音ではなく、背景音(団地で採取した音)やパートによってはカリンバ音もかぶせます。ナレーションのみだと、声以外の体内音が目立ってしまってまずいですが、他のもあわせれば大丈夫な感じになるかもしれません。
もしくは、カメラのアクセサリー・シューの上にマイクをつけて自分で録音をしましたが、それでビデオカメラ内部の動作音を拾ってしまっていたので、自分が持っている別のマイク(長いケーブルでつなぐピンマイク)での録音も試してみたいと思います。それによって、もしかして動作音の問題は解消されるかもしれません。
・・・音の録音でかなり手間取っていますが、やっぱり音ってそれぐらい大事だし、とても気になるものだなぁ、とつくづく思います。前作制作時は、今から思うとありえない雑音の多さですが、そのときは私自身が音に対する配慮が皆無でしたので、気になっていませんでした。
私のナレーションが終わったので、今度はいよいよSageさんの番です! この写真では見えませんが、実はマイクは天井、顔の位置、そして床と3つあり、それぞれで録音した音を合わせていきます。
ブースには小窓だけ。
ある程度演奏した後で、いったんブースから出て音を確認します。
収録は、まず短いフレーズの繰り返しを5パターンほど。そのあとで、曲を2曲(曲を演奏してもらったのは、例えば上映会場とかで、上映の前にBGMとして流せたら、と思ったからです。新曲もあわせ、とっても素敵な曲を演奏してもらいました!!)、そして映画の冒頭で廃墟のようになった73号棟にカメラが入っていくシーンに合わせた演奏。
シーンに合わせた演奏のみ、ノートパソコンでDVDを再生しながら演奏するやり方にしました。これが意外と苦戦! カリンバと一言で言っても、大きさや種類はさまざまで、どのカリンバのどの音(高・中・低音)で演奏するかによって、演出される雰囲気がまるで違うのです。私としては「不思議で、飄々とした、でも明るくない音」を希望していました。低音で演奏してもらったら暗すぎて、中音でまとめてもらったら、暖かみのある「ふるさとに帰ってきました」風になってしまい・・・と言った具合に。二つのカリンバを合わせて不協和音も試してみましたが、すると今度はエクスペリメンタルになりすぎてしまう・・・。
私の注文の多さにSageさんもびっくりしたようで、「いったん外に出て休憩してきます」とのこと。私は自分でも最近思うんですが、意外に自分は、自分のイメージやこだわりを強く持っているようです。しかも、何気に妥協しない。それ自体は別に普通かもしれませんが、タチが悪いのは、最初からイメージやこだわりを伝えるのではなく(←前にも書きましたが、当人に任せるのが一番良いと思っているから)、途中からあれこれ言い出すのです。だから、やってくれる側の人も多分(え? こんなに求められているものがあったの?)的に感じてしまうかもしれません。この点については、私が今後もさまざまな分野の人たちとコラボする上で、改善していくべき課題だと思います。
でも、なんだろう、言い訳かもしれないけど、私自身はその分野に詳しくないので、最初から希望を言うのも逆に難しいんですよね。とりあえず出来上がったものをみて、そこからムクムクとアイデアが膨らんできたり、自分がもや~っと考えていたものが、言葉になって出てきたりするので。
Sageさんが休憩から戻った後、さらに試行錯誤を続けた結果、高音はどこか張り詰めたような空気があって、それに時々中音を登場させることによって、どこか不思議な、予想の出来ない、飄々とした感じの音が演出される、という意見でまとまり、それで録音をしました。
何パターンかとって、全て保存してもらいました。なぜなら、すでにレコーディング予定の2時間はとっくに過ぎ、4時間ぐらいやっていました。ずっとスタジオにこもって。そうすると、もう思考回路が訳分からなくなってくるわけです。(こちらのほうがいい、いや、さっきのほうが良かった)という感じで。
きっと、翌日とか、もっと後になって、自分の部屋で聞いてみたら絶対印象が変わる、と思ったので、全てのデータをもらい、そのシーンの録音は無事終了しました。
最後にもう1曲Sageさんに曲を演奏してもらって、レコーディングは終了! 気がついたら8時に。。。
レコーディングの後は、録音した音のレベルやエフェクト調整を河野さんにしてもらいました。調整しながら、音について色んな話題が出ました。中でも、特に印象に残っているのは、最近の音関係のプラグインソフトは、大抵昔の音に近づけるためのソフトだ、と。昔聞いていたレコードやカセットテープの音に近づけよう、近づけよう、としているのだそうです。また、現在音楽はMP3とかで聴く人が多いですが、「技術は進歩しているのに、音史上最低の音で聴いている」とも。確かに、MP3はデータを圧縮するために耳には聞こえない色んな部分がカットされていますよね。音を再現する技術は進歩しているにもかかわらず、史上最悪の音でわざわざ聴いている・・・。それは皮肉な話だなぁとおもいます。
映像の分野では、前にも書いたかもしれませんが、メーカーの意図的(多分)な販売戦略で、規格がめまぐるしく変わっています。ハイビジョンでも、新しい規格を出し続け、そうすると、ビデオカメラを買い換えなければならないし、それに合わせてバッテリーやレンズなどのアクセサリー類も買い替え、編集ソフトも対応したものにアップグレード、ケーブルの差込口も変更されているので、それも買い替え・・・となるわけです。それと同じことが音楽の世界でも起こっているそうで、対応する機器を備えつづけるのは、本当に大変と言っていました。特に、録音・編集スタジオとしてお仕事をされている場合は、外部から持ち込むさまざまな形式のデータに編集マシンを対応させねばならないのですから、自分の環境だけそろえればいいというのより、さらに大変でしょうね。。。「ソフトを購入しても3年も持たない」と嘆いていましたが、そのとおりだと思います。
もう、こういうメーカーの開発方針は本当に迷惑この上ないです! だって、メーカーにとっては、同じ規格のままグレードアップさせていくことは技術的には可能なのでしょうから!!
さて、話が脱線しましたが、無事音をミックスしてもらい、CDとUSBにデータを入れてもらいました!! 終了は9時!! うわ~、3時間もオーバーです!! (・・・っていうか、やはり録音2時間って短すぎる見積もりだったのかもしれません) でも、おかげ様でとても良い音を手に入れることが出来ました!!! Sageさんと河野さんに感謝です!!
最後の曲のレコーディング時には、私はカメラをブース内に三脚で置いて、Sageさんの演奏の様子を撮影させてもらいました!!(私は外に出ましたが)。そのときのビデオをYouTubeにアップしましたので、ぜひご覧ください。
ちなみに、その映像から静止画を切り出してエフェクトをかけたら、グラフィティみたいな感じに変身! 面白いなと思ったので、ここに載せておきます
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