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[jp] 震災と写真

仙台取材の後半です。8月21日の日曜日は、お昼にフローランスさんと待ち合わせをして、長町にあるレストランの復興支援チャリティーコンサートに行きました。

「びすた~り」という名前のレストラン。築120年のお屋敷を改造したレストランはとってもおしゃれ!
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店内は程よく人で埋まっていました。バイオリンとピアノの演奏を聴きながらの優雅なコースランチ。
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フローランスさんと
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コンサートのあとは、長町の仮設住宅に立ち寄りました。というのも、9月30日に住まいの貧困に取り組むネットワーク「住まいるチャンネル」企画で、仮設住宅から生中継をするため、その電波状態の確認をする必要があったのです。

チナツさんのノートパソコンとWiFiを借りて、長町の仮設住宅に向かいました。集会所から生中継をしたいと思っていたのですが、なんと土日は集会所が休み・・・! どうしよう、なるべく仙台に滞在している間に、9月30日の放送のためのあらゆる下準備をやっておきたいのですが・・・。

そこで、図々しくも、仮設住宅にお住まいの鈴木さんのお宅にまたお邪魔して、インターネットの接続テストをさせていただくことにしました!

電波はそれなりに入っていますが、スカイプを接続したところ、ビデオ通話ボタンが選択できないようになっているのです・・・! (おかしい、パソコン内蔵のカメラのはずなのに・・・)と思いつつ、あれこれ試すも、やはりビデオ通話が出来ません。結局、音声通話のみ確認して、後は3人でネットサーフィン。現在、インターネットのない生活をしている鈴木さんは、被災地の写真などをあれこれ見ては、「これ、うちのすぐ近くだ!」とかお話されていました。

被災されていた方は、その後避難所などで生活されていたので、テレビがなく、現場に身を置いているにもかかわらず、テレビで観ている私たちより、観ている映像の量は少ないのかもしれないな、と思いました。

フローランスさんは、毎日欠かさず撮っている写真を、インターネットに載せるように心がけているのだそうです。それは情報発信の目的でなのかと思ったら、それだけではなく、震災後「全てが流されてしまう」という現実を目の当たりにして、写真の実物を手元に持っておくだけでは消えてしまうという危機感を持ったのだそうです。ブログなどにアップしておけば、津波が来ても写真が消えてしまうことはない・・・(←ブログを運営している会社のサーバーがダウンしたらダメですが、リスクは分散できます)。そう思って、インターネットにも載せるようにし始めたのだそうです。

しばらくおしゃべりしていると、鈴木さんが「俺、遺影にする写真が出来たんだ!」と、うれしそうに話し、何枚かの写真を見せてくれました。フローランスさんは(不謹慎な!)という顔をしていましたが、私は心から良かったなと思いました。その写真というのは、仮設住宅に入居して以降、数多くの取材を受けるようになり、プロのカメラマンが取材で撮った写真を送ってくれたものの中の1枚なのだそうです。いかにもプロが撮った感じの背景がぼやけたポートレート写真で、鈴木さんの表情は、大震災のことを語っているとは思えない、経験したとさえ感じさせないような、自信と希望、尊厳に満ちた、とても素晴らしい表情をしていました。どこかの社長さんか、有名な俳優さんのような佇まいでした。

もうすぐ70歳になる鈴木さんは、生きてきた長さの分だけ写真や思い出の品もあったと思いますが、家は津波で、土台だけを残して流されてしまいました。写真を拾って、洗って、展示してある場所にも何度も行きましたが、自分の写真はもちろん、知っている人の写真さえ、一度も見かけませんでした。

全てを失ってしまった鈴木さんにとって、「これが自分だ!」と思える写真、遺影にさえしたいと思う写真を、新たに手にすることが出来たというのは、なかなかあることではありません。まだまだこれからもきっと長生きされる鈴木さんですが、遺影に出来るぐらいのお気に入りの写真が、この地震後に生まれたということを、私はとてもうれしく思ったのです。

私も良く写真を撮るほうで、気軽な気持ちでブログにも掲載していますが、震災に遭われた人たちは、また特別な気持ちで写真を見たり、インターネット上に掲載したりするのだな。。。そんなことを考えました。

鈴木さんのお宅にて。
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またまた3時間近く居座ってしまい、気がついたら6時近くになっていました。鈴木さんの家を離れ、メディアテークに戻りました。山川さんは取材で東京に戻らなければならず、根来さん、チナツさん、ユソンと、仙台名物・牛タンを食べに行きました。

仙台の牛タンは輸入物が多いそうです。和牛だったら1500円程度では食べれない、と聞きました。なぜそもそも仙台の名物が牛タンなのか? 和牛の生産地だからではないのか?と聞くと、仙台が地元という人から、「始まりは、仙台にも駐留したGHQの残したタン」だったとのこと! 地元の名物料理にも、戦争や歴史的な背景が刻まれているのですね。。。

ウィキペディアでも「牛タンー歴史」の項目にそのことが書かれてありました。

おいしかったです! すごいボリュームだし、タンを使った様々なメニューがセットで1400円程度。安い!
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翌朝、会議もあったので東京にバスで戻りました。今回の仙台取材の旅の報告は、これでおしまいです。

ところで余談ですが、仮設住宅の写真をブログに掲載したところ、写真を見たイギリス人の友達から「イギリスでも第2次世界大戦のあとに、家を失った人たちのためにプレハブ住宅が造られて、今でも住んでいるんだよ!」とメールをもらいました。

かわいらしくペインティングされたプレハブ住宅の写真も記事の中には見られます。

戦後60年以上たっても、まだ現役で活用されている、イギリスの仮設住宅。仮設暮らしが良いという意味ではありませんが、日本の場合、それなりにコストをかけて建設するプレハブ住宅でも、基礎工事をしていないので仮設の使用期限の2年でちょうど柱が腐るようになっている、と聞いたことがあります(建築に携わる複数の人から聞きましたが、どこかで言及・引用される方は事実確認をされてからお願いします)。

2年で腐るように作られるプレハブの仮設住宅というのも、どうなんだろう・・・と思ったりします。それなりにお金をかけるなら、仮設といわずに、ある程度、きちんとしたものを作るのが、それこそTVや新聞の広告で、あらゆる企業が宣伝文句として使う「エコ」なんじゃないですか、と。

短時間でたくさんの量を供給することが必要なのはわかりますが、そのせいで、初期の仮設住宅には施工不良のものが大量に発生しているという報道もあります。

災害のときには、短期間で膨大なお金が流れます。急場しのぎのものを、長持ちしない品質で作るのは、そこで”生活”を営まなければならない人たちにとっては、とても住み心地が悪いもののようにも思います。

そんなことを考えました。

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