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[jp] オレオレ詐欺!?

昨日、仙台から戻りました。またブログ復活です! 仙台に到着した18日から、雨が降ってすごく涼しくなり、取材も体力的に助かりました。

仙台のメディアセンター「仙台メディアテーク」に向かい、スタッフの皆さんと再会しました。到着初日は夕方だったので、取材の予定は入れていませんでした。お仕事上がりのチナツさんに、仙台でお気に入りだという居酒屋「鈴本」へ連れて行っていただきました。

お通しのウニが殻つき!!
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日本酒もおいしかったです。一升瓶の写真を撮るチナツさん
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「鈴本」のご主人と。昔赤坂の料亭で7年間修行されたそうです。
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今回は「仮設住宅」の取材をしたいと決めていました。翌19日に、東北工業大学の新井先生に仙台の「あすと長町仮設住宅」へ連れて行っていただき、取材をしました。

仙台で一番最初に作られた仮設住宅「あすと長町仮設住宅」
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仙台といえば大都市ですが、長町駅は仙台駅から2つほどにもかかわらず、線路沿いや駅前に空き地がやたら多いのです。普通はどんな駅でも、駅前ぐらいは開発されているはずなのに、「仮設住宅をここに建ててください」といわんばかりの、空き地が広がります。なぜ???

敷地に近づいてみると、そこには「国鉄清算事業」の看板が。。。
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国鉄清算事業団が所有し、URも絡んでいる土地が、あちこちにあるのでした・・・。ここにもURかぁ・・・。ほんと、どこにでも絡んでいるんだなぁ。ワルサしてないといいですが・・・。
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「あすと長町仮設住宅」の案内図
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新井先生に案内をしていただきながら、仮設住宅の敷地内を歩きました。ボランティアらしき人たちの姿が結構目に付きます。聞いてみると、高齢者が多い仮設住宅なので、孤独死などを防ぐため、そして生活の困りごとなどの相談に乗るために雇われている相談員(パーソナル・サポーター)なのだそうです。被災地での雇用促進のため、被災された人がなるべく雇われ、研修を受けた後に、相談員となるそうです。

「埼玉県警」などと背中にかかれた警察官数人も、見回りをしていたりして、この大震災で、いろんな人が全国からやってきているのだなと思いました。

仮設住宅では、収納設備が十分ではありません。被災した人の中には、津波で家が全て流されてしまった人もいれば、半壊ですみ、家具を運び出せた人もいます。そんな人たちの場合、仮設住宅の収納では到底間に合いません。また、仮設住宅はいわゆる「玄関(靴を脱ぐスペース)」がないので、下駄箱を自分で作ったり、収納を自分で外に取り付けたり、短い軒下部分を延長させるなど、自ら工夫している人たちが多くいました。建築学科の大学生なども、協力しているそうです。

手作りの収納スペース
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仮設住宅内の集会所。スロープがついてバリアフリー仕様となっています。
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ここの仮設住宅は、一番最初に急いで作られたため、プレハブ協会のプレハブで、鉄の柱がむき出しになっていたり、断熱材も不十分で、夏はとても暑く、そして冬はとても寒くなるそうです。光熱費の節約や、もともとエアコンを嫌う高齢者も多いので、熱中症が発生する危険性があります。

仮設住宅内の集会所には、「なか、冷えてます」の張り紙が。こういうことも、とても大切だと思います。
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集会所の壁に貼られた様々な情報。芸能人の慰問コンサート、二重ローンについて、入浴介助など、生活に必要な情報が張り出されています。
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最初にお話をお聞きしたのは、震災で家を失った個人タクシーの運転手さんでした。タクシーの運転手という仕事柄、仙台市内から離れてしまうと仕事が難しくなってしまうため、仮設住宅に住むことを選んだそうです。奥さんは宮城県内の実家に暮していて、週に数回ここを訪ねてくる、という生活をしているそうです。

その後は、「あすと長町仮設住宅について聞きたいならこの人!」とみんなから言われている、鈴木さんのお宅にお邪魔してお話をお聞きしました。家に上がらせてもらうと、近所に住んでいるという、仙台に住んで28年(!)のフランス人、フローランスさんが遊びに来ていて、鈴木さん、フローランスさん、そして新井先生の、それぞれの3月11日、その後の生活をお聞きすることが出来ました。

お話がすっかり盛り上がってしまい、気がついたら2時間以上いました。奥さんにお昼ご飯を用意していただいてしまいました・・・!

仮設住宅でいただく、初めてのご飯
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フローランスさんと、鈴木さん
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ここの仮設住宅の第1期入居者として入居された鈴木さん。阪神淡路大震災の教訓として、「地域を分断させないように」という判断から、当初、仮設住宅の入居は10世帯単位で申し込むこと、という決まりがあったそうです。

とはいえ、荒浜地区に住んで津波から命からがら逃げた鈴木さんたちは、地域の知り合いはバラバラの避難所にいたり、連絡が思うように取れなかったりで、この10世帯というのは、かなり大きなハードルでした。がんばっても5世帯分の同意しか取り付けられず、思い切って炊き出しの時間に「皆さんに話をさせてください」と前に出て、仮設住宅への入居を呼びかけたそうです。そこでやっと10世帯を集めることが出来、ここの仮設に応募したそうです。

鈴木さんには13歳になる犬がいるため、民間賃貸住宅のみなし仮設(民間のアパートを仮設住宅とみなして、一定金額まで家賃を負担してもらえる制度)ではペット可の物件が少ないため、それで仮設住宅に入ろうと考えたそうです。

やはり10世帯というハードルが高かったためか、第1次の入居は3コミュニティ25世帯が入居。全233戸ある仮設住宅はがらがらの状態でした。予想外の不人気に焦った行政側は、以降の入居募集では10世帯単位という条件を廃止。その結果、ここの仮設住宅は9割が寄せ集めの入居者たちで、南相馬市など県外からも入居する人たちがいて、お互いに顔の知らない、横のつながりがない仮設住宅なのだそうです。

仮設住宅の暮らしにはたくさんの不満や改善の希望などがありますが、一番身近なパーソナルサポーターに言っても、彼らの権限にないことなので出来ません。行政(区や市)の窓口に文句を言いに言っても、一人で行っては「個人的な問題」としか扱ってもらえません。

仮設住宅で暮し始めた鈴木さんは、この単独世帯ばかりの仮設住宅で、自分たちの暮らしを住みよく改善するには、住民によるコミュニティーを作ることが必要だときがついたそうです。住民による自治、自治会があって、そこでの意見となれば、行政だって簡単には無視できません。

しかし、この仮設に入居した5月以降、既に3ヶ月以上がたつのですが、行政による住民への説明会や交流会などの呼びかけは一度も行われていないそうです。唯一あったのは、パーソナルサポーターの自己紹介のための説明会だけ。行政としては、「何か不満があれば、パーソナルサポーターで対応すればよい」とだけ考えているようです。

しかし、「暮らす」というのは、孤独死を防ぐために見回りをして、不満を聞いていればいいということではありません。(しかし、そのパーソナルサポーター自体も、もともとその分野の専門家ではなく、被災によって臨時雇用され、短期間の研修を受けた人たちなので、十分なアドバイスが出来るかどうか、難しいところもあるでしょう。被災者の雇用を促進する、という発想自体は良いことだとは思いますが・・・)

”住民同士”の横のつながり、というのも、人が暮していく上で、とても大切なことです。でも、例えば見回りにやってくるパーソナルサポーターに「隣の棟にはどんな人が住んでいるの? なんていう名前の人?」なんて聞いても、現在は個人情報保護の壁に阻まれて、それらの情報を教えることは出来ません。

まさに「箱さえ与えてりゃぁいい」的な仮設住宅に対する行政の態度が現れているようです。

鈴木さんは、バラバラの状態になってしまっている「あすと長町仮設住宅」の居心地を少しでも良くして行こうと、とにかく住民みんなで一度集まって色々話す集まりを持ちたいと思っているそうです。既に呼びかけの文章まで作られていました。

・・・鈴木さんのお話を聞いていて、高幡台団地73号棟の住民たち同様、当てにしていた大家さんから見放されることで、住民たちの間に自治の芽生えが生まれる・・・そんな瞬間を見ているように思いました。

私も、やはり行政はあてに出来ない、使い物にならない、というのが基本的なスタンスで、鈴木さんも「自分たちでやるしかない」という結論に行き着いたようなのですが、二人で「でも何のために税金払っているのって、腹が立つよねぇ!」と話していました。

もうひとつ、73号棟との共通点を感じたことがあります。仙台駅から数駅しか離れておらず、買い物にも、移動にも便利な長町の仮設住宅ですが、街の中に突然出来た単身高齢者中心の仮設住宅は、地域からも孤立しているのです。鈴木さんは、「あるお母さんがお子さんに”あそこの地域は可哀想な人たちが住んでいるの。だから近寄ってはダメよ”と言っていた」と、涙を浮かべながら言いました。「家が流されてしまったという点では”可哀想”かもしれないけど、なんで”近寄っちゃいけない”の?」と。

今後、あすと長町仮設住宅でコミュニティーを作るとき、ぜひ地域も巻き込んでのコミュニティーが作られていってほしいと願っています。同じ長町の近所に住むフローランスさんが「鈴木さんたちに会いに来るのが大好き」と通い続けていることに、希望を感じています。

気がついたら数時間お邪魔していた私に「ここの仮設住宅に住んだら?」と言われました! 私も間違いなく”家無し”なんですが(数年以上)、でも、今後は仙台を訪れるたびに会いたい人たちが出来て、つながりが出来て、とてもうれしく思いました。今後も鈴木さんたちの取り組みに注目して、応援して行きたいと思います。

ところで、このインタビュー中に、かなり強く、長い地震があったのです! 福島では震度5弱だったそうで、仙台にも津波警報が出ました。東京も揺れましたか? 仮設住宅で取材していた私は、ぐらぐら揺れ、仮設住宅に取り付けてある地震警報がピーピー鳴り響き、やはりかなり怖かったです。

フローレンスさんや、鈴木さんは家族を心配してすぐに携帯で電話をかけましたが、通信規制のため繋がらず。彼らは私に向かって「東京の両親が心配しているんじゃない? 電話をしたら?」といわれたので、うちは3月11日の大地震でも電話はかけなかったのですが、皆さんがあまりにも言うので「それなら」と電話をかけてみました。

幸い私の携帯会社は通信規制をかけていなかったらしく、一度で繋がりました。母親が出たので「今仙台で地震があったんだけど、みんなが電話かけろって言うから、電話したんだけど・・・」と話し始めたら「どちら様ですか? 何の用件ですか?」と実の娘からの電話をオレオレ詐欺扱い・・・!!!! 確かに私は名乗りませんでしたが、でも、これにはびっくりしましたし、フローランスさんたちも唖然としていました!! いやいや、地震以上にびっくりな出来事でした。

鈴木さんの取材を終え、近くの棟にお住まいで、ひときわ大きな家庭菜園を作っていらっしゃる中澤さんにお話を聞きました。新井先生は用事があって帰られたので、私一人でアポ無し取材。中澤さんは快く取材を受けてくれ、被災時の様子やこれからの生活についてなど、語っていただきました。80歳近くになると、もうローンも組めない、仮設住宅は2年で出て行けといっているから、これからどうすればよいのかとお話していました。もともと仙台に引っ越されたのが終戦直後で、空襲で家を失い仙台に引っ越してきたそうです。「またこんな事になるなんて・・・」と言っていました。
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取材を終え、メディアテークに戻りました。以下はメディアテークの写真。
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前回4月末にメディアテークに来たときは、再オープン前の状態だったので、こうしてオープンして、人が集まっている光景を見るのは、とても感慨深い気持ちでした。

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「3がつ11にちをわすれないためにセンター」
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機材も充実!
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翌日の映像ワークショップのために東京から到着した山川さん&根来さん、そしてメディアテークのスタッフの方々と飲みに行きました。

まるで映画のセットのような「文化横丁」
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昭和の中ごろから改装していないのでは?と思うような焼き鳥やさんへ。

根来さんは、「東京の雰囲気より仙台のほうが明るい」と話していました。私も確かにそう思いました。東京のほうがよっぽどピリピリしているし、人々の間に不安があるし、景気も悪い・・・。でも、仙台の飲み屋街は、結構にぎわっていました。

聞くと、仙台の飲み屋街は「いまだかつてない好景気」に沸いているのだそうです! 仙台は東北の玄関口なので、復興のために色んな人(建築関係、自衛隊関係、ボランティア団体など)が集まってきますし、沿岸部のホテルは被災して宿泊できないところも多いため、仙台で泊まったり、居酒屋にも行くのでしょう。そんなわけで、この賑わい・・・。こういう好景気の恩恵が、一部の人だけではなく、幅広い人たちに還元されていると良いのですが。。。

翌日は、午後から映像のワークショップでした。震災の記録を自分たちで残したいと願う学生(主に)たちに、映像について、撮影についてレクチャーする2日間の講座です。講師は山川さんと根来さんで、私は授業の撮影記録を担当しました。講義はめちゃくちゃ濃厚で、とても面白い内容でした!!

ワークショップ終了後に根来さんと
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3がつ11にちをわすれないためにセンターには、Ustream生放送用のスタジオがあります。ちょうど講座終了後に、「おやじストリームカフェ」なる番組が生放送されていました。
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その後は、また一昨日にお邪魔した居酒屋・鈴本へ。
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韓国から来たユソン、山川さん、根来さん
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てんぷらも超おいしかったです!
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ちなみに、チナツさんの家ではこんな感じで寝泊りさせてもらっていました。毎日お仕事でお疲れなのに、大人数で泊まって、すごく疲れさせてしまったのでは・・・
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今日はここまで。旅の後半は明日書きますhappy01

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