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[jp] 山形ドキュメンタリー映画祭報告その5(10月10日)

この日も朝8時に起きて朝食を食べました。相変わらず、ラップにくるまれたおにぎり、味噌汁(具はほんの少しのわかめと、これ以上小さくはカットできないぐらいの豆腐)、漬物、のり(一袋)、コーヒーでした。

でも、実はおにぎりの具が一応毎日変わっていることに気がつきました! 微妙に工夫してるんだ・・・
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おにぎりって、握ってあるので、結構なご飯の量があります。昆布おにぎりのほうをかばんに入れ、おなかが空いた時に食べるようにしました。意外に、こういうタイプの朝ごはんは便利かもしれない、などとさえ思うようになってきました。
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朝ごはんの時に、下之坊さんと同席になり、予想外だった昨夜の出来事を話しました。下之坊さんも、字幕を入れたバージョンを映画祭期間中にアップするとは想定していませんでした。「あと30分ほどで終わるところまできました」と伝えると、下之坊さんも朝、様子を見に立ち寄るということになりました。

川口さんより、このビデオリポートシリーズは、映像作家が映画祭をどう見たのかという感じでやっているので、突然ティーさんのインタビューが始まるのは、他の作品と比べて違和感があるかもしれない、なぜ私がこのインタビューをしようと思ったのかという経緯を最初のほうで述べたほうが、観る人は(そういうことなのね)と思って観れると思う、と言われ、私もその通りだと思ったので、最初にインタビューをすることになったいきさつを加えることに。

インタビューをすることになったいきさつは、私たち3人のホテルが一緒だったから、なので、ちょうど私はホテルでの朝食を撮った写真があることを思い出し、その写真にコメントを入れていく形で導入部分を作ることにしました。

下之坊さんは普段ファイナルカットを使われているということだったので、写真&コメント入れの作業を下之坊さんがされることになったのですが、バージョンが違うと色々使い勝手が異なるようで、結局また川口さんにやってもらうことに。
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これがファイナルカットの画面。マックは基本的にデフォルトの画面文字サイズが小さすぎると思います。画面の色も薄いし、目に負担がかかりそう。私はマックは使いたくないな。
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「あと30分で終わる」などと目論んでいた私の思惑は、またしても外れ、結局3時間もかかってしまいました。この日も、午前中の映画はあきらめることにweep。でも、午前中でビデオリポートを完成することが出来たので、晴れて自由の身となりました! 

完成したビデオはこちらです!! 20分もあるのですが、最後まで見てくださいね!!

とってもお世話になった川口さんと
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お昼ごはんを簡単に済ませ、午後はインターナショナル・コンペの「監督失格」(平野勝之監督)を観にいきました。日本からもインターナショナル・コンペには多分たくさんの応募があったのだと思いますが、日本作品で唯一、このプログラムで上映される作品です。

映画は、亡くなった女優の林由美香さんを生前に撮影した映像と、由美香さんの死後も前に進めないでいる監督の赤裸々な様子が描かれています。

監督の目を通して、由美香さんの魅力が語られているわけですが、私はやはりこれは由美香さん自身がものすごい魅力的だったのではないか?と思いました。私は由美香さんが亡くなる数年前に、とある飲み会で同席したことがあるのですが(光栄にもお酌までしていただいたのです!)、女優というオーラを放ちつつも、びっくりするぐらい気さくで、あっけらかんと話す彼女をま近で見て、感動したのでした。

映画では由美香さんを描きつつも、肝は監督自身の迷いや苦悩にあるのだと思いますが、実は私が一番印象に残ったシーンは、由美香さんのお葬式で”かつての男たち”(7~8人の年代も様々な男たち)によって由美香さんの棺が担がれ、運ばれていくシーンでした。それを見た時に、(あぁ、由美香さんは皆のものなんだなぁ・・・)と妙に納得したのです。

監督質疑応答の様子
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映画のあと、夕方5時からはなんと取材が入っていました! 以前のブログでも書きましたが、山形の映画祭で、初めて私に取材申込があったのです! 海外からの来場ゲストも多いのに、しかも何の前評判もない私の映画に興味を持ってもらえたことがとてもうれしく、(一体どんな人だろう?)と楽しみにしていました。

5時に映画祭の受付に行き、ライターの水上賢治さんとお会いしました。映画祭のプレス用貸し出しDVDにて、既に映画は観ていただいたとのこと。「最近、ああいう映画は珍しい」とか「最近は、ドキュメンタリー映画を観て胸がスカッとするような感覚は味わえたことがない」、「あの作品は女性監督だから出来たのだと思う。男性監督では、どうしても距離をおこうとなってしまう。あの吹っ切れ方は、女性でないと出来ない。男性監督ではやろうとしてもできない」etcなどのコメントをいただきました。「インタビュー」ではありましたが、私に対する質問だけでなく、水上さんの感想や最近の映画全般の傾向などもお聞きすることが出来、楽しい時間でした。

水上さん
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今回の映画に関しては、私が制作当時に意図したもの、編集時で感じたもの、そして完成してから他人が観て面白いと思うもの、それらがずいぶん違うのだということを感じました。

まず、この映画を作ろうとなった時に、私としては裁判用に作るという目的がありました。映画祭では、まず興味を持たれない内容だろうと思っていました。(逆に「ブライアン~」の時は、すごく映画祭向きだと自分では思っていましたcoldsweats01)。住宅問題に興味のある人たちなら見てくれるだろう、と。だから、当初は映画祭にも応募をしていなかったのです。でも、2年前に空想の森映画祭で「ブライアン~」を上映してもらった縁で、当時の事務局代表の井上さんのほうから3月に「新作のDVDを送ってもらえませんか?」とメールを頂き、(こんなテーマでも映画祭が興味を持ったりするんだ?)と意外に思い編集途中のDVDを送り、送った後に井上さんから「ぜひ上映したい!」というメールが来て、ではせっかくだし他の映画祭にも送ってみようかな・・・といった調子の、本当に消極的なスタートだったのです。

また、「住宅問題」という限定的なテーマで作り始めた映画でしたが、作り初めてしばらくすると、これは「大家である国家と闘う普通の住民」を記録するという「住宅問題」の映画ではなく、「権力に取材を挑む、自主ドキュメンタリー監督の私」の記録でもある、と思うようになりました。UR住宅の住民でもない私が、「URのやり方は許せない!」と住民同様に(時には住民以上にcoldsweats01)怒っていたのは、マスメディアに所属していない私の取材に応じないURに対する怒りがあったからなのだと思います。だから住民の怒りだけでなく、増幅された私の怒りも合わさって、すごいエネルギーになっていたのでしょうcoldsweats01

でも、基本はやはり「団地の削減」をテーマにした作品であると私は思っているので、自分で書いた作品紹介では、「耐震性不足で取り壊されることになったUR(旧住宅公団)の団地。立ち退きを拒否して住み続ける住民と、居候暮らしで家を持たない映画監督が出会う。取り壊しの背景は民営化?日本の公共住宅を考える、異色の“住宅”ドキュメンタリー。」としました。

しかし、山形の映画祭側がカタログに書いた作品紹介では、「耐震性の不足を理由に取り壊しが決まった、UR(旧住宅公団)管理の高幡台団地73号棟(東京・日野市)。突然の決定に戸惑い、理由を求める住民たちに密着し、住宅問題に関わる専門家への取材を皮切りに、UR、国交省にもたったひとりで斬り込んでいく。ユーモアさえ感じるその姿勢によって、公共住宅問題に潜む、日本の組織体制の問題点を浮き彫りにする」となっています。

私が書いた作品紹介では「追い出しに直面する住民×居候監督」と書いて、住宅問題と自分が半々、そして興味のない人からは敬遠されがちな住宅問題の映画を、少しでも近づきやすそうなものに・・・という思惑で書いたのですが、山形のほうの作品紹介を見ると、これは私という監督が一人で権力に対し闘いを挑む映画という要素が前面に出されています。そして、その姿勢にはユーモアさえ感じられる、と。

それぞれ短い作品紹介ではありますが、作品の捉え方の違いが良くあらわれているように思います。

”ユーモア”に関して思うことは、私としては、大真面目に作った(撮影した)つもりの映画でしたが、編集段階になって気がついたことは、私が真面目に怒れば怒るほど、それは他人からみてコメディーになるということです。私自身は直撃取材の時も必死で、「小川さんも天下りでしょう!」と叫ぶところなど、撮影当時はもちろん私も小川さんも笑いなどなかったです。ですが、これが映画となると、このシーンで笑いが起こるのです・・・。必死でやっているからこそ可笑しい・・・、これは今回の映画作りで初めて気がついたことでした。

自分の意図したものと、周りの反応がこんなに違うって、今後は何を狙ってやったらいいのかしら!?って思うのですが、変に何かを狙ってコケるのもあれですし、結局は自分の思ったとおり、やりたいようにやるのが一番では?と思います。それが他人にはあまり評価されなかったとしても、自分自身は(これで良かった)と納得できるのだろうし。

あー、でもつくづく、人の反応って分からないものだな!と思います。人の反応が全く気にならないということは、正直無いのだし。。。

さて、5時半過ぎにインタビューが終わり、私は同じホテルに泊まっているタイ人監督、ジャカワーンからホテルの自転車を借りて、歩いたら15分かかってしまうフォーラムの会場へ、自転車で向かったのでした。(歩くとジャカワーンの作品の上映に間に合わないといったら、ジャカワーンが自転車を貸してくれたのでした)。

会場に到着した時は、ちょうど「大海原へ」の上映が終わり、中国のグー・タオ監督の質疑応答の最中でした。

質疑応答が終わり、いよいよジャカワーンの「偽りの森」の上映です!

私は仙台メディアテークのイベントの関係で、事前にこの作品の詳細なプレスリリースを送ってもらっていました。なので、この作品を作るに至った経緯や、描きたかったことについて知っていたのですが、それを知らないで観る人にはちょっとわかりにくい部分があったかもしれません。

でも、映画では映像・音の美しさが際立っているので、そちらに重きを入れて監督は作りたかったのだろう、とも思いました。上映後の質疑応答で、アフリカでの録音状態があまりよくなかったので、タイに戻ってからスタジオでかなり音を直した、と言っていました。今回の映画祭で、すごい!と思った作品の多くは、音にこだわりを持ってきちんと作っているので、やはりこの音作りはかなり作品の出来に差をつけるのだ、と感じました。ラストのほうのシーンで滝の映像と滝の音があるのですが、その滝の音は本当の滝の音ではなく、音楽を使っているのだそうです! それもびっくり!!

質疑応答の様子
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質疑応答が終わり、会場を出ようとしたら、鶴岡の佐藤高雄さんに会いました! 映画祭が始まる前から、高雄さんも全日程映画祭に参加すると聞いていて、山形に到着してから何度か携帯のメールで連絡はしていたのですが、チナツさん同様、本当に人と待ち合わせをするのが至難の業なのです! 映画祭5日目にして初めて、高雄さんと会えたのでした。

映画祭では、めいいっぱい映画を観ようとすると、会場の移動や上映スケジュールなどでご飯を食べるのさえままならない、ということは私も学習したのですが、既に山形の映画祭に来たことがあり、映画をめいいっぱい観たと言う高雄さんは(今回は以前ほどではないそうですが)、パンをたくさん買って持ち歩いていると言っていました。高野さんもぶどうを買って持ち歩いていましたし、さすが映画祭上級者の知恵だと思いました。

高雄さんからパンを分けてもらいました!
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そのあとは、「アジア千波万波」プログラムの「柔らかな河、鉄の橋」を観ました。ベトナムのティーさんのメディアセンター・ワークショップから生まれた作品です! 観るのをとても楽しみにしていました。ハノイ近郊の鉄橋で、4人の監督がそれぞれ撮った作品を1本にまとめたもの。橋の上での露天商を取り締まらなければならない警備員が、露天商たちの状況に理解を示しながら日々橋の上を歩く様子、川で裸で泳ぐ老若男女、物売りの女性たち・・・。ベトナムの日常・息遣いがそのまま伝わってくるような作品でした。

上映後の質疑応答(監督よりも、プロデューサーのティーさんのほうがたくさん話していました)
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この作品のあとに、私はふと、ジャカワーンに借りた自転車を返し忘れていたことに気がつきました!! あわてて外に出て、タイ語通訳の高杉さんに電話をします。もしかしてジャカワーンたちと一緒にいるかもしれないと思って。

あいにく高杉さんとケイは、ジャカワーンたちとは別行動とのことでした。これから晩御飯を食べるところだというので、私も2人に合流することに。ケイがマツキヨの袋を持っていたので、何を買ったのかと聞いたらお母さんへのお土産だそうです。(薬局で何を?!?!)と思い聞いてみると、お母さんから日本で買ってきて欲しいシャンプーや化粧品類を購入したのだとか。でも、日本のシャンプーなんて、欲しい銘柄をどうやって指定するの??と思ったら、なんと、空き容器をケイに持たせて、それを薬局で店員に見せ、買えたのだそうです!! お母さんはまだ若いんだろうし、お金持ちっぽいから、日本の美容品に興味を持ったりするのでしょうけど、私だったら旅先でこんな面倒くさいお土産の指定はうんざりですが・・・!!

高杉さんとケイ
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今年の3月に雲南の映像ワークショップで知り合ったときは、ケイは週3日、バンコクのアートギャラリーで働いているといっていました。大学の中にあるギャラリーで、外国人の対応をすることも多く、受付のほかに、イベントなどのビデオも撮ってそれを編集したりする、と言っていました。週3日なので給料は少ないけど、自分の制作時間も持てるからちょうどいい、とも。

その仕事がどうなったのかと聞いてみると、7月頃にやめたとのことでした。「つまらないから」と言っていました(←理由はそれだけではないかもしれないですが)。今はフリーランスになって、つい最近までポーランドの監督がタイでお坊さんのドキュメンタリーを作るプロジェクトのタイ側コーディネーターをしていたと言っていました。

破天荒な生き方をしてきた若者がお坊さんになる前&後でどのような変化があるのか、それを追うドキュメンタリーだといっていました。その被写体探しをするのもケイの役目だったそうです(大変そう・・・!)。無事、対象となる人を見つけ、プリ・プロダクションは終了したところで、次の撮影は来年になるとのこと。その間何をするかはまだ決めていないと言っていました。

タイの伝統では、男性は結婚前にお坊さんになるのが、一人前の男性になるために良いとされている、というようなことを言っていました。日本だったら、仏の道に入る=俗世を捨てるということですから、会社員を辞めてお坊さんになり、数年後にまた会社員に戻る様な感覚では、お坊さんになる人はいないかと思います。その点についてケイに聞くと、タイではいったんお坊さんになってまた普通の生活や仕事に戻るのはよくある、と言っていました。若い男性の人生修行の場というように捉えられているのでしょうか?

12時ごろになり、この日は香味庵に行くことなくホテルに戻ることにしました。帰り道で、吉田孝行さんにばったり出会いました。山形には、映画批評のワークショップで参加しているとのことでした。今日まで忙しくて、明日からやっと映画がちゃんと観れる、とか言っていました。明日って、実質上映画上映の最終日じゃないですか! 映画祭に全日程参加するといっても、その過ごし方は本当に人それぞれなんだなぁ、とつくづく思いました。特に日本の監督の作品に注目しているので、私の映画も観に来てくれるとのことでした。

この日で3連休が終わり、映画祭期間中に出会った人たちで、全日程参加するのではない人たちの多くが、「10日までで帰る」ということでした。普通に会社勤めをしている人ならば、3連休の休みで映画祭に来るのが一番来やすいし、実際週末にかけての人の数は映画祭初日よりも断然多いと思いました。映画祭の居酒屋である香味庵も、「週末は人が多すぎで、2階の床が抜けてしまうと困るから、2階の入場制限をかけたりする」と聞いたりして、圧倒的に週末の人出の方が多いと思いました。

映画祭のお客さん自体、今日で随分はけてしまうし、明日の自分の上映はどうなるのかな・・・と思いました。席は300席もあります。事前に自分でも宣伝はしたし、知っている人たちに向けて「東北方面にほとんど知りあいがいないので、宣伝に協力してください!」と”最後の訴え”的なものもしたのですが、どうなることやら・・・。

ちなみに、朝ごはんの時には土井さんと一緒になり、土井さんは「自分の上映は同じ時間に『311』とぶつかって、お客さんが少なかった」と話していました。自分の作品の上映時間に、大きな話題作があったりすると、そちらに人が流れていってしまう・・・。

映画祭に行く前に寺澤さんからは「300席埋めるって大変なことだよ。お客さんが15人だったとしても、ちゃんと写真を撮って送ってください」と言われ、大きな会場にお客さんがポツポツと蛍のように点在する光景を私も想像していました。

今こうして映画祭のことをブログに詳細に書いているのは、映画祭期間中に毎晩、ノートにその日あったことを綴っていたからなのですが、上映日前日のページには、そんな私の切実な胸のうちが書き連ねてありました。

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明日は上映。ブルーレイディスクが、最後まで問題なく再生されてください! それだけが私の願いです。その次は、なるべくたくさんお客さんに来てもらえる事。でも今日で帰ってしまう人が多いそうだ。でもここまで来たらもうお客の数はどうでもいい。ぴあの人は映画を面白かったと言ってくれたのだから、胸を張ってみんなの前に立ちたい。おやすみなさい。
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今から読むと、スーパーに飾られてある七夕の短冊にしたためられた願い事のようで笑えるのですが、私は文字通り祈るような気持ちでこれを書いていたのです。

翌朝は朝食を食べるのをやめ、ゆっくり寝て上映に備えようと思いました。1時過ぎに寝ました。

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