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[jp] 再び鶴岡へ・その1(11月12日)

11月12日~13日にかけて、山形・鶴岡市へ行ってきました。約2年前に、「ブライアン~」の上映をしていただいて以降、お世話になっている佐藤高雄さんが中心となり「庄内地域づくりと子育て・文化協同の会」主催で、「さようならUR」の上映会を開いていただいたのでした。

お昼過ぎに、富樫勝彦さんに鶴岡駅へ迎えに来ていただき、上映会場である「こぴあ」へ。映写と音声のチェックをしました。
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2時からの上映の前に、富樫さんとともに、こぴあ内にある「平田牧場とん七」へお昼ごはんを食べに行きました。東京ミッドタウン内にも系列店のある、全国的にも有名なお店なのだそうです。
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小さなすり鉢でゴマをすりつぶして、ソースと絡めるようになっています。
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富樫さん
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私が注文したのは、モッツァレラチーズ入りヒラボクかつ膳。すごく美味しかったです!!
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お昼ごはんを食べながら、富樫さんと色々お話をしました。地元の方だと思ったら、数十年間東京で暮らし、お父様の具合が悪くなったのを機に、つい1年前に地元に戻り、初めて農業(稲作)を始めたのだそうです。今年初めてのお米の収穫があり、とてもうれしかったとお話されていました。

日本有数の稲作地帯でもある庄内地域は、今問題になっているTPP交渉の参加は、大きな打撃となります。でも、富樫さんは「世間では”農家が困る”というように捉えられ、報道されているけれど、TPP参加で一番困るのは消費者なんだよ」と言っていました。農家は自分の食べる分は自分で作れる、でも消費者は買うことしか出来ないのだ、と。消費者こそ声を上げていかなければならないのだ、と。それもそうだと思いました。

お昼ごはんを食べ終わった頃、「庄内ドキュメンタリー映画友の会」の飯野昭司さんがやってきました。飯野さんは、庄内地域でドキュメンタリー映画の自主上映会を続けているそうです。昨年2月以降はしばらくお休みしていたそうですが、また最近活動を再開し始めたとのこと。今回は、上映後の質疑応答の司会を担当していただくことになっていました。

上映開始10分前になり、会場へ向かいました。上映前には、大高全洋さんより挨拶がありました。

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上映の後には、飯野さんの司会で質疑応答を行いました。飯野さんからは、この映画を作ったきっかけについて質問をいただきました。
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司会を担当していただいた飯野さん
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そのあとは、会場の方から質問をいただきました。東日本大震災で73号棟に影響はあったのか、直撃取材のこと、住宅問題に関心を持つ前提として六本木のゲストハウスで生活したことが影響しているのか、マスメディアの報道を問題にした映画を作って欲しい(!)など、さまざまな質問、感想、今後のテーマの要望をいただきました。

質疑応答の様子
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山形の映画祭で知り合った、山形新聞の岡崎孝さんがご夫婦で鶴岡の上映にいらしてくださったので、岡崎さんにも急遽挨拶をお願いしました。山形の映画祭で上映された岡崎さんの作品「私たちにできたこと できなかったこと」の紹介と、「さようならUR」の感想をいただきました。「さようならUR」に関しては、「良い意味でオーソドックスな作品。最近は個人の内面に関心を向ける作品が多く、社会的な問題をテーマにした映画は少くなってしまったが、この映画は社会的なテーマを扱った映画だ」と言っていました。また、新聞記者である岡崎さんは、私の直撃取材や張り込み取材の裏話などについて、自分の駆け出し記者の頃を思い出したと話しました。

岡崎さん
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この日は山形の映画祭で「よみがえりのレシピ」を上映された渡辺智史(さとし)監督も会場に来てくれました。「よみがえりのレシピ」はこの日から鶴岡の映画館「鶴岡まちなかキネマ」で公開だそうで、映画の紹介もしていただきました。
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渡辺監督からは、「直撃取材を見てマイケル・ムーアのようだと思ったが、マイケル・ムーアの作品をどう思うか?」という質問をいただきました。う~~~ん、マイケル・ムーア。。。確かに、直撃取材と言えばマイケル・ムーアの代名詞だと思いますが、私の映画全体は直撃取材を除いては、マイケル・ムーアと共通する部分は少ないのではないかと思います。でも、私も社会問題を中心に映画を撮りつづけているし、そういう点では共通するといえるかな? ・・・難しい質問です!!

マイケル・ムーアに関して言えば、直撃取材も確かにトレードマークですが、それ以外に私が注目するのは、硬派に描かれがちな社会問題を、エンターテイメント性を持って描いていることだということだと思います。そうすることで、多くの観客の注目・共感を呼ぶという効果があると思います。私も、いくらシリアスな社会問題を扱うとしても、”映画”という手法を表現手段として選ぶ以上、エンターテイメント性を持たせることが必要だと思います。(エンターテイメントとは、単に笑わせることに限らず)。なので、そういった意味でも、マイケル・ムーアのやっていることや、社会派ドキュメンタリーの分野で切り開いた境地は、賛否両論の意見はあったとしても、私はすごいと思います。

予定終了時間となり、上映会は無事終了しました。この日は最終的に約80名の方が観に来てくださったそうです。ありがとうございました!!

上映会場入り口付近のギャラリーでは、画家の渡辺八郎尉門さんがシベリア抑留の実体験を基に描いた絵画の展示会が開催されていました。残念ながら展示は上映会当日までで終了してしまいましたが、展示会に関する記事が山形新聞に掲載されています。

展示されていた絵のいくつかを写真に撮りました。
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会場の撤収作業のあとは、懇親会を開いていただきました。会場は「蕎麦会席」が味わえるという「悦波」。お蕎麦の会席なんて初めてです
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本日は貸切営業なり
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かわいらしいサイズの会席料理が並びます。お蕎麦や庄内地方の特産品が様々なメニューにアレンジされて登場。
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懇親会の冒頭では、大高さんよりブライアンの訃報に関してお悔やみの言葉がありました。
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上映後の質疑応答でも、ブライアンの死について触れました。以前「ブライアン~」を上映していただいたのがきっかけで、「さようならUR」の上映会も開いてくださる方々には、いつもブライアンのことを伝えるようにしています。約2年ぶりの新作上映という、本来は喜ぶべき再会でブライアンの死についてお知らせするのは本当に悲しいことですが、でも、上映を通じてブライアンのことを知っていただいた方には、きちんとお伝えしなければと思っています。

次々と運ばれてくる会席料理をいただきながら、参加された皆さんに自己紹介をしていただきました。
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高雄さんは、山形の映画祭でも「さようならUR」を観に来ていただいていました。今回のこぴあでの上映について、「音が悪かった。音が小さかったし、会場の造りも影響していたかもしれない。山形での上映に比べて面白さが半減してしまった。ちゃんと台詞が聞き取れないから、笑いのツボがずれてしまう。日本語の字幕も小さかった」と話していました。

私も音について、最後列に座っていて(少し小さいな)と思いました。事前に映写と音のチェックをしましたが、開場前の人が全く入っていない状態と、人が数十人入った状態では、音の響き方に違いがあると思いました。開場前の状態(事前の映写チェックは大抵そうです)よりも、気持ち音を大きめに設定しておいたほうが良かったのではないか?と思いました。

高雄さんはこぴあの音響設備が山形の設備に比べて悪いからと言っていましたが、確かに山形では良い音響設備をそろえているのかもしれませんが、だからといってこぴあの設備がひどいのかと言うと、それはないと思います。「普通」だと思います。なので、やはりもともとの作品の音自体がそんなに良いものではないというのと、音量の設定が今回の原因ではないかと思います。

また、日本語字幕の小ささについては、私のほうで用意したブルーレイディスクに問題がありました。ブルーレイが再生できるならそれが一番画質が良いので、今回はブルーレイで上映したのですが、ディスクは山形の映画祭できちんと再生が出来たものを使いました。

山形で使ったディスクなので、英語字幕が入っているバージョンです。英語字幕を入れるために、もともとの画面を小さくして上にずらし、下に2段までの英語字幕を入れるスペースを確保したということは、以前このブログで書きましたが、もともとの画面を小さくする際、画面に入っていた日本語字幕も等倍率で縮小されたため、英語字幕よりやや小さいのです。また、英語字幕のほうは黒地に白字で入っているので、はっきりと表示されているため、画面上に載せてある日本語字幕のほうは、より観づらく感じてしまいます。

巨大なスクリーンであれば、やや小さめの日本語字幕も問題ないのですが、普通の会場に備わっている通常サイズのスクリーンで、しかもお客さんは日本語が分かる人ばかりという環境ならば、やはり英語字幕併記版ではなく、日本語のみのバージョンにすべきだったと思います。(日本語のみバージョンのブルーレイ、実はまだ作ってないのです!!)

そんなわけで、今後の上映会の時には注意して、改善して行きたいと思います。

ちなみに、岡崎由美子さんが「早川さんはか弱い女性なのに、突撃取材をされて・・・」と話されたときに、皆さんから一斉に笑いが起こりました。笑うって失礼じゃないですか!!! しかも、それを誰かがご丁寧に「それ笑うところじゃないですよね」と指摘してくれたおかげで、また大笑い。2年ぶりに私を見た観客からは「貫禄がついた」という意見もあったそうで、ますます微妙な気持ちになりました。言うまでもありませんが、ほんとはか弱いんですよ

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一通り皆さんの自己紹介もすみ、ざっくばらんに色んな話題が出てきました。大高さんからは、これまでの「衣食住」は第一段階で、もちろんそれは満たされるべきものだけれど、今後はそれらに加え、第2段階として「医(医療)・職(仕事)・充(充実度、幸福度)」の必要性も考えていかなければならないとお話されていました。

前回の「ブライアン~」上映にも来てくださった村田則子さんは、前回の時に、介護施設の入居者の人生について聞き取りインタビューをしたい、ビデオカメラで撮影できるようになりたいと話していました。私はそれがその後どうなったのかずっと気になっていました。今回再会した時に、その進み具合を聞きました。村田さんは撮影はされているそうですが、編集の仕方が分からず、編集しないままでいると聞きました。村田さんが使われている編集ソフトは、私と同じエディウスです。私が知る限り一番簡単で使いやすいソフトだと思うので、始めてしまえば簡単なのに!!ともったいなく思いました。今度は”編集合宿”で鶴岡に!という話も出たりして、私もそれは面白そうと思いました。

岡崎さんからは、私が山形の映画祭の後に書いた膨大なブログの話になりました。岡崎さんは、私が岡崎さんの作品を観て書いた感想(ウィンドウズ・ムービー・メーカーのトランジションを多用している)という点について、自分の仕事でも、新人記者の文章指導をするときに、新人ほど余計な表現・言い回しが多いと感じるそうで、「映像編集もそれと同じなのかな」と言っていました。確かにそういう一面もあるかもしれません

また、私がブログで書いている内容について、よく記憶しているとも言われました。岡崎さんと映画祭の時に話した会話の事実関係が正確だ、と。それは私が映画祭期間中に毎日簡単におぼえ書きをしており、映画祭終了後、記憶の新しいうちにブログを書いているからなのですが、事実を正確に記憶するというのは、ジャーナリストにとって必要な資質だといわれました。なぜなら、取材対象や状況によっては、メモ書きや録音が出来ない場合もあるから。そこで話されたこと、みたものを正確に記憶するということが必要になるわけです。なるほど、と思いました。

渡辺さんとは、これまでどのように映像を学んできたか、という話になりました。私の場合は、このブログを読んでいただいている皆さんはもうご存知だと思いますが、いわゆる学校などに通って学んだことはありません。一方の渡辺さんは東北芸術工科大学で映像を学び、映画監督に師事し、映像制作を学んできたそうです。今回の「よみがえりのレシピ」でも、これまでのお仕事や人間関係のつながりから、様々な分野をその道のプロにお願いし、例えば音声は5.1チャンネルにしているのだそうです!!! 

渡辺さんとお会いするのは、私は今回が初めてでしたが、とても謙虚で人の話を真剣に聞く、誠実そうな人柄が伝わってきて、先輩や周りの人からいろんなことを学びながら、試行錯誤で映画を作られていっているのだなと感じました。

そんな映像制作のスタイルをうらやましいと思いつつ、私自身は、そういうようなやり方が自分にできるだろうか?と考えました。これは映画祭の後で、漠然と考えてもいたことですが、「3作目をどういう制作スタイルでやるのか?」と考えたのです。

これまでどおりの自主制作で、基本的に自分一人で撮影・編集・仕上げをするのか、それとも、プロやベテランの人たちを、編集マンやプロデューサー、整音などのプロセスに関わってもらい、作品のレベルを引き上げてもらうのか?

私は様々なプロが制作過程に関わるといった制作スタイルや、大阪のNDSのように共同で制作を行うというスタイルを、とてもうらやましいと思っていました。いろんな考えの人や先輩の意見を取り入れながら、よりよいものを作り上げていくというプロセス。一人で作品を作っては、一人よがりになってしまうのだから。

でも一方で、(私には共同制作が出来るのか? それは作品や私にとってプラスになるのか?)とも考えました。というのも、私は自分の映像スタイル(個性)や映像に関する考え方や表現力がまだ未熟で、確立されていないと思うのです。なので、例えば、制作の過程に誰かが”プロデューサー”や”編集マン”レベルでがっつりと関わってきた場合、作品について議論となっても、私はきっと相手の言っていることが正しいと思い、その通りにしてしまうのではないかと思うのです。議論できるだけの、確固たる映像の世界観が自分の中に確立されていないので、対等に議論できずにオペレーターのようになってしまう、みたいな。

なので、今の自分の状態では、人と共同制作することで自分の作品がよりよくなる、よりも、他人の意見で自分の個性が埋没してしまう、最終的に自分の作品とは呼べないようなものが出来上がってしまうような危惧があり、回り道だったとしても、もうしばらくは、私は自分で試行錯誤しながら、自分の世界観が全面にあふれ出すような作品を作ってみよう、と思ったのでした。

もちろん、「さようならUR」の最終的な編集の段階で、批評会を開いて色んな意見をいただいたことが、作品にとってとても良かったので、次回もそれと同様、もしくはより深い形で意見をいただけるような環境を作りたいと思っているのですが、例えば”プロデューサーを立てるかどうか”みたいなレベルでは、やはり今の時点では、「さようならUR」と同じ体制(=居候で自主制作をする)を踏襲するのではないかと思います

・・・ところで、この「蕎麦会席」なんですが、5時から懇親会を始めて、ひたすら食べ物が出続け、最終のデザートが出たのはなんと9時過ぎでした!! 懇親会の終了は9時半過ぎでしたので、4時間半も宴会をやっていたことになります
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デザート前の最後のメニューは、もちろんお蕎麦!
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この日の「蕎麦会席」の献立。ぎっしりと書かれています! これを全て食べたのですから、動けないほど満腹になるのは当たり前ですよね

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最後まで残った皆さんと。どうもありがとうございました!!
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前回の鶴岡上映の時は、ビジネスホテルに宿泊しましたが、今回は高雄さんの家に泊めていただきました。

玄関だけで、既に私の全居住空間より広いです・・・!!!(翌朝撮影)
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12時過ぎに寝ました。充実した鶴岡の上映会でした。また戻ってこられたことを、うれしく思いました。

翌13日の内容は、次のブログに書きます。

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