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[jp] 対立ではなく対話

先日は、最近レコード・レーベルを立ち上げた友人の伊藤さんに会いました。ドラムン・ベースに傾倒し、日本&世界のクラブシーンを知り尽くしている彼ですが、意外にも前職は音楽とは無縁の、ごみ処理施設・メーカー、関連官庁を取材・執筆するライターでした。

仕事の関係で、”世界最大・最悪のごみ”である放射性廃棄物についても、20年以上前から取材をしていたそうですが、その闇社会をた~くさん見聞きしても、彼らは広告主でもあるため、ひとつも活字にすることは出来なかったそうです。

「それって、すごいジレンマではないですか? どうやって不正義に目をつぶって、仕事を続けられてきたのですか?」と聞きました。だって、知ってしまった以上は、それらに目をつぶってひたすら広告記事を書くなんて作業は、精神的に出来ないと思ったからです。

伊藤さんは、原発やごみ処理の問題を深く知るにつれ、この構築された巨大な産業システムを切り崩したり、変えていくことはほとんど不可能なのだ、と感じたそうです。そこで取り組んだのが、サウンド・パレードでした。数万人規模のパレードや野外フェスを90年代に始めたのです。音楽や楽しいことを通じて、自然や環境と調和して生きることを自然と学んだり、それが可能になるような選択をする人間を育てていく・・・。その人たちが大人になり、社会の中核を担うようになる頃、原発は要らないのだという選択をする人間になる、ドイツなどの国々もこのようにして原発を止めてきた、と言っていました。

直接的に原発のシステムと闘うわけではないように見えて、実は一番近道なのでは?と思いました。

もうひとつ興味深い話がありました。私は「さようならUR」を作る過程で、フリーランスという立場もあって、取材にとても苦労しました。高幡台73号棟の取材申込、イコール、URとしては「批判される」分かっているので、映像取材には応じてもらえませんでしたし、ペン取材でも”本音”といったようなものは聞くことが出来ませんでした。

そのことを話すと、伊藤さんは「対立では本音は聞けない。対話じゃないと」と言っていました。「対話って・・・?」と私が聞くと、「担当者と一緒に飲めば、全て話してくれる」と言われました。”組織”として”組織”のために働いている人たちだけれども、具体的な判断(例えば○○という地域にごみの最終処分場を建設するかどうかの判断)を下すのは一人ひとりの人間でしょう? その人と会って、話して、飲めば、一人の父親(母親)や、一人の人間としてのその人の一面を知れるし、お互いに心を開くようになる。そうなればもうぜ~んぶ話してくれるんだよ」と。

取材という関係から、一体どうやって飲みに行くようになるのか、私にはにわかには想像できないのですが、でも彼の言っていることは一理あるように思いました。最初から対立・批判精神むき出しの相手に、わざわざ本音を言おうとする人なんていないでしょう。対立だと、扉は固く閉められてしまい、そこを開けるのは難しいと思います。感情的でもあるし。”対話”(広い意味で。もう一方の側ともコミュニケーションを図るという意味で)という形式にするほうが、よっぽど得られるものは大きいようにも思います。

・・・でも、そんな風にして得た情報も、結局一言も活字に出来ないのでは、理不尽な気持ちが残ると私は思ってしまうのですが・・・!!

ちなみに、昨年末に、江畠香希さんの新作ドキュメンタリー「理由のない逮捕」を観て、それこそ”理不尽”な家宅捜索の際に、江畠さんが怒りを押し殺しながらも、家宅捜索に全面的に協力し、その一部始終を記録するという、びっくりするドキュメンタリーを観ました。もし江畠さんが家宅捜索で捜査員にブチ切れたら、撮影は全く不可能だったと思います。

あの撮影が可能だったのは、(もちろん表面的にですが)江畠さんが捜査員と対立せず、感情的にならずに応対したからだと思います。

伊藤さんの話を聞きながら、そんなことを考えました。社会問題を扱うジャーナリストやドキュメンタリー制作者は、問題の指摘や告発、糾弾も必要であると思いますが、深いレベルで有用な情報をいかに入手するか、正面から押すだけではない、あらゆる方法・スタイルを模索する必要があると思いました。

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