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[jp] 新年会!

昨日は、昨年の映画道場ワークショップの参加者や、山形ドキュメンタリー映画祭に関わる方たちの新年会に参加しました。

ドキュメンタリーの作り手、映画祭のスタッフ、そして音響設計の菊池信之さんや撮影の内藤雅行さん、編集の秦岳志さんなど、にぎやかな顔ぶれでした。

内藤さんからは、お年賀として参加者にノートのプレゼントがありました。B5サイズで表紙はしっかりしていて、ノートがかばんの中で開いたりしないよう、ゴムでとめられるようになっていました。私も1冊頂いて、(このノートには映画のアイデアとか、面白いと思ったことを書き記そう!)と思いました。

偶然私の席の隣が内藤さんだったので、撮影についての面白いお話を色々と聞くことが出来ました。内藤さんは、カラスやすずめ、鳩の習性にとても詳しく、よく観察しているとまるで人間世界のようなドラマが鳥たちの中で行われているのだそうです。いずれ鳥のドキュメンタリーを撮ってみたいとも言っていました。

「撮影するには、その被写体の習性を良く知っていなければならない」といっていて、そうでないと、ベストの場所・タイミングで撮る事ができないのだ、と。大好きな舞台に関しても、どこから撮るのが一番良いか、という話をされていました(ただし、舞台とひと言で言っても、歌舞伎とシェークスピア演劇では、ベストな場所は異なります)。

「被写体」とは人間や動物に限らず、植物にも及びます。例えば、植物から芽が出て育っていく様子を固定カメラで捉える場合。芽や根がどの方向に、どの程度伸びるのかを初めに予測してカメラを固定する位置を決めなければなりません。そして、予測するだけでなく、習性を熟知すると今度は自分から「仕掛ける」こともできます。仕掛けることによって、理想的な状態で撮影が出来る、と。

私は以前友達のダンスを撮影したことがあり、カメラがダンスの動きについていけずに苦労したことがありました。お芝居やダンスなどを撮影するときには、あらかじめ話(やダンス)の展開を理解し、その展開を先回りしてベストな位置でカメラを構え撮影しなければなりません。行き当たりばったりで撮る面白さもあるけれど、お芝居やダンスなど、演出され魅せるように作られているものに関しては、事前に熟知して撮影方針を決める必要があると思ったのでした。

新年会の参加者の半分近くは、ドキュメンタリーを作っている人たちでした。映像系の学校を卒業して、現在はテレビドキュメンタリーの制作アシスタントをしている人、アルバイトをしながら自主制作のドキュメンタリーをしている人などがいて、ほとんどの人は映像製作に関わってからのキャリアが2~5年程度と、私と同じような状態でした。(私自身は映像を始めたのが遅かったので、年齢は私の方が上でしたが)

アルバイトをしながら自主制作でドキュメンタリーを作っている人たちはお金がないことが悩みで、制作会社で働きながらいずれは自分のドキュメンタリーを作りたいと思っている人は、時間がないのが悩みでした。共通して言えることは、ドキュメンタリーを作る・作り続けるのは難しい、ということでした。

私自身はアルバイトも何もしていないので「どうやって生活しているの???」と不思議がられました。私も全然お金がありませんが、でもアルバイトをしてしまったら、映画を作る時間がなくなってしまうのでやらないのです。「ドキュメンタリーは何かあったらすぐ現場に駆けつけたいのだから、週1のバイトだって足かせになる」と私は言いました。(それに週1で何かを受け持つと言うことは、1週間以上の出張・旅行などが出来ないと言うことでもあります)

そうしたら他の人たちは「いや、週3ぐらいまでは大丈夫でしょ」と。「それに、いざとなった時に休ませてくれるような仕事であれば」とも。私は「週3は絶対無理だと思うけど、例えば週1で、しかもいつでも休んでもいいような仕事だったらしても構わない」と言ったのですが「そんな人、わざわざ雇わないでしょ!」と言われ、(それもそうだ)と妙に納得したのでした

興味深かったのが、制作会社で働いていて、いずれ自分のドキュメンタリーを作りたいといっている人に対して、周りの人が「映画を作りたいなら、逆に映像業界にいないほうがいい」というアドバイスをしていたことです。私自身は、映像業界にいたほうが色んな技術を習得できて、勉強になるのでは?と思っていました。しかし、映像業界は、TVや映画など、どちらも労働時間がとても長く、泊りがけは当たり前の激務です。なので、自分の映画を作るなどという余裕は、映像業界にいる限りほとんどないのです。「公務員で働いているほうが、映画は作れると思う」と言っているのを聞いて、それもそうだなと思いました。

とはいえ、その人は就職してまだ1ヶ月ということですので、稼ぐだけ稼ぎ、技術を学び、消耗させられないうちに辞めて、今度は自分のためにドキュメンタリーを作ったらよいと思いました。

「やりたいことを仕事に」というのは、学生時代~社会人になってもスローガンのように言われ続けていることですが、現代の労働市場で「やりたいことを仕事に」というのはなかなか成立しないことのように思います。「やりがい」を盾に搾取されてしまう業界もたくさんあるし。そして、仕事=やりたいことだと、企業側の論理で仕事内容を妥協させられることに腹が立つかもしれないし。案外、「お金のため」と割り切って、自分の適正と能力を生かした効率の良い賃労働を最小限する、が「お金にはなりにくいけどやりたいことがある」という人には良いかもしれません。

・・・そんなことを書きつつ、今年も私はアルバイト等はせずに、まずは映画について今自分がやるべきことを精一杯全力でやりたいと思います。”仕事”並に、自分で目標、進捗状況を管理して、大切な1日1日を無駄にしないように。。。

そんなことを考えた新年会でした。

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