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[jp] 議論を持ちかけてみたものの・・・

先日、29日の中村葉子監督講演会。待ち合わせは高幡不動駅に12時でしたが、私は1時間前に駅について、買い物をしました。この日に納棺、2月1日には出棺となる、73号棟住民の畦地さんに、ちょっと早めのバレンタインチョコとお手紙を書こうと思ったのでした。

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京王アートマンで、肌や髪の色も様々な子供たちが仲良く並んでいるカードを見つけました。畦地さんだったら、こういうの好きなのでは?と思って、それを買い、メッセージを書きました。

のんびりコーヒーを飲みながら手紙を書いていたら、待ち合わせ時刻に5分ほど遅刻してしまいましたsweat01

高幡不動駅改札で、中村さんと、山形の映画祭で知り合った佐藤さんと待ち合わせをしました。お昼ごはんをあまりゆっくり食べる時間がないので(高幡台団地では、かつてはお蕎麦屋さんなどがあったそうですが、73号棟問題で商店街が潰れてしまったため、駅でご飯を食べてから向かうことにしていました)、駅ビル内にあるお蕎麦屋さんに入りました。

中村さんと佐藤さんは初対面だと思っていたら、そうではありませんでしたし、お互いにかなりドキュメンタリーに詳しい様子。ドキュメンタリーを作っているにもかかわらず、ほとんどドキュメンタリーを観ていない私は、ただただ二人の詳しい知識に驚くばかり。

お昼ごはんを終えた後は、バスに乗って高幡台団地へ向かいました。そういえば、団地はどこも”○○台”とか”△△ヶ丘”とか、そういう名前が多いです。中村さんの作品「空っ風」も「桃山台団地」です。丘陵地や山を切り開いて高度成長期にたくさんの団地が作られたのだろう、という話になりました。

73号棟の前で記念写真を(思いっきり逆光です・・・)
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会場である、中央公民館・高幡台分室に到着。プロジェクターを受付で借りて、設営作業をします。
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佐藤さんには、ご近所さんということで今回お誘いしたのですが、結局プロジェクターの設営から、受付、カンパの呼びかけetc、たくさんお手伝いしていただきました。すみません&ありがとうございます。

73号棟の村田さんたちも来てくれて、イスを並べる作業をしました。果たしてイスをいくつ用意するか。映画上映が中止になったと知らずに来る人がたくさんいるか、それとも、映画上映がないなら行かないと、来る人が減るか。想像がつきませんでした。

結局、25名ほどの方が来てくれ、会場はほぼ満員となりました!
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映画の上映が中止になったことを知らずに埼玉から来られた方もいれば、映画の上映が中止になるいきさつを読み、それで興味を持って講演会に来られたという方までいました!

会の初めに、私からのお詫びと挨拶、そして、共催者である73号棟に住み続けたい住民の会と高幡台団地を考える会よりひと言ずつ挨拶を頂きました。

予定では、中村さんの1時間の講演、10分間の休憩、後半は20分程度私からの質問、40分は会場との質疑応答としていました。

今回、直前になって上映会が中止となり、講演会へ変更したのですが、私としては今回の件で中村さんが動揺したり、対応に追われて、講演会の準備をすることなく本番を迎えてしまうことを心配していました。私の経験からして、1時間の講演をするというのは、それなりの準備が要ります。そして、中村さん自体講演をするのが初めてと聞いていたので、ますます準備が必要だろうと思い、事前にメールのやり取りをしていたときに「中村さん、1時間講演するって、かなりの準備が必要ですよ!」とおせっかいにもメールをしたのでした。私自身、上映会は中止になってしまったけど、講演会は成功させて、将来の上映会につなげたいという思いがあったからです。

予定していた中村さんの1時間の講演は、お客さんからの質問も途中でどんどん入ってきてしまったこともあり、主催者としては(どこで私が出て行くべきか)とハラハラしながら見守っていたのですが、予定時間を40分ほど過ぎたころにとりあえず終了となりました。

初めてとは思えないほど、用意してきていただいた資料もきちんとしていて、お話の筋道も分かりやすいものでした。逆に、映画よりも(私は3回観ていますが)、団地の抱える問題について全体像がよく分かりました。(←映画というのは部分的にフォーカスしたりするものなので、必ずしも全体像を捉えているものとは限りませんし、その必要もあるわけではないと思います)。

休憩後、今度は私からの質問タイムとなりました。中村さん自体、東京でイベントに出演されるのが初めてということでしたので、中村さんを紹介するという意味合いも込めて、映像制作を始めたきっかけや、所属するNDSについて、というあたりからお聞きしました。私自身も、実は中村さんにお会いするのが2度目で、ほとんど知らず、私がまず知りたかったと言うのもあります。

質問は事前に色々用意してきたつもりでしたが、千里ニュータウンの建替え問題に関する質問は、前の講演会でほとんど網羅されていたので、話題は強制執行のことや、今回の上映中止に至る経緯のことになりました。

私自身も作り手として、同じ問題は自分にもいつでも起こりうることですし、映画に登場される人とどのように信頼関係を築けるのか、撮られる側の気持ちは・・・etc、中村さんにも、会場に来られた団地問題の当事者、住宅運動に関わる支援者たちに聞いてみたかったのです。

そのあたりの質問をしてみたのですが、中村さんとしても、当事者の方と関係がこじれたままの現在の状況では、公の場で語れることは限られますし、会場に来られた団地問題の当事者(73号棟の住民や、高幡台団地の分譲の居住者など)は、「空っ風」で起きたような切迫した状態を経験したことがないこともあってか、全てを、自分にとって好・不都合も含めて全て洗いざらい撮られることに対して、いまいちピンと来ないといった反応でした。(私の投げかけ方が悪かったのかもしれませんが)

例えば、73号棟の住民からは、私の取材に対して「早川さんを全面的に信頼して撮影をしてもらっていた。信頼していたから、どんな映画が出来ても、どんな描かれ方をされても、それは構わないと思った」というような発言があったのですが、一方で「裁判と強制執行は別。判決によって強制執行がなされ、それは裁判所の命令なのだから。従わざるを得ない。そこで撮影者が撮りたいからと居座られたら、こちらの不利になるから、それはもちろん止めてほしい」という発言も同じ方からありました。

これは、私を信頼しているといいつつも、やはり、当事者の認めた範囲内での撮影の自由である、ということなのだと思います。どこかで、究極の事態で、私と当事者の思惑が異なれば、それはもちろん当事者の意向を尊重してもらわなければ困る、それは記録することの社会的意義うんぬん以前の問題だ、と言うことなのだと思います。

そもそも強制執行の現場を撮るということが、なぜ当事者に不利となるのか。それこそ、不都合な現場は法的な根拠なく撮らせたくないという権力側の意向に、当事者が乗っかってしまっていると思うのですが、その辺のことも説明はして見ましたが、会場の反応は薄いと感じました。なので、それ以上議論することはせず、まだ団地建替えの問題に話題を戻しました。

結局、今回のイベントは予定より1時間半もオーバーして、5時半に終了となりました。イベントの主目的である千里ニュータウンの建替え問題に関しては、十分な講演と質疑応答で有意義な意見交換が出来たと思いますが、私にとってのメインテーマである撮る・撮られるの関係については、ああいう場ではなかなか議論が難しいものなのだな、と思いました。そのあとで、村田さんも交えて晩御飯を食べに行った時に、またその話題を持ち出したのですが、そのときは少人数だったので良い議論が出来たと思います。そういう感じで個人的に話したり、聞いたりするのが良いのかもしれません。

イベント終了後は、畦地さんのお宅に伺いました。畦地さんの奥様は、中村さんに「泊まってくれることを楽しみにしていたのに・・・」と話していました。

たくさんのお花に囲まれて、不謹慎かもしれませんが、私の第一声は「うわぁ、きれい!」でした。お花も、畦地さんの写真も、本当にきれいだなと思ったからです。さすがに、棺の中に納められた畦地さんの顔を見た時は、涙があふれてきましたが。

奥様に畦地さんあてのバレンタインチョコとお手紙を渡しました。お棺に入れてくださるとのことでした。

畦地さんのお宅に寄った後は、中村さん、佐藤さん、村田さんと共にご飯を食べに行きました。村田さんがおごってくれると言うことで、私ははりきって特大鍋を注文したのですが、中村さんや佐藤さんは遠慮したのか小さめのご飯。「野菜てんぷら丼」なんて、その遠慮がいじらしいです。私だったらそのような類のものは絶対頼まないですし、せめて特大えびぐらいは入っていてほしいものです。
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食べながら、NDSの制作方式について聞きました。「空っ風」では、NDSの数人がカメラを回しています。監督のサポートと言うよりは、それぞれが自主的に撮影をしている感じが画面から伝わってきました。なので、共同で製作、撮影という場合、その作品の”監督”はどう決まるのか、何をするのが監督なのか?と質問しました。すると、最初はみんながそれぞれに撮影をしているのだけど、ある時点で、ある出来事やもしくは決定的な人との出会いをした時に、メンバーの中で自然に(このテーマはこの人のもの)と決まるのだそうです。

「釜の住民票を返せ!」の金さんは、あるおじさんとの出会いによって、そして「空っ風」の中村さんは映画に登場する白い布をまとった女性とのかかわりによって。。。そんな風に決まるとは、驚きでした。

ご飯をご馳走になった後、村田さんは車で帰り、私たちは高幡不動駅前の居酒屋に行きました。既に半日が経過しましたが、一番肝心なことをまだ話し合えていませんでした。今回の問題が起きて、今後どうするべきか。どうやって当事者の方と信頼関係を回復し、映画を上映するか。それを、中村さんと話したいと思いましたし、ドキュメンタリーに広くネットワークを持つ佐藤さんともお話ししたいと思いました。

当事者の方との関係がこじれた経緯や、現在の状況、メールでのやり取りなどについて聞きました。現在も交渉中であるので、ここには詳しく書けませんが、やはり結論としては、まずこれまでの対応をお詫びし、当事者の方の気持ちをきちんと聞くこと、ではないか?ということでした。私としては(もし重要なパートを削れと言われたらどうするのか?)等々先回りして色々心配したのですが、まずはお詫びしてお話を聞かない限りは先に進めないし、考えられないとのこと。確かにそうです。。。

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居酒屋でしたが、お酒は最初の一杯のみで、あとはソフトドリンクにスイーツという、女子会的な雰囲気でしたhappy01 中村さんが妊娠中だということは知っていましたが、8ヶ月で、洋服に隠れていた大きなおなかを見て、びっくり!! こんな時期に東京にくるのは大変だったのでは?と、予定通りきていただいたことに感謝しました。

会話の途中で突然寝る佐藤さんhappy01 テレビの制作って、大変なんだろうなぁ・・・
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気がついたら11時過ぎになり、お開きとなりました。中村さん、講演会に来ていただいた皆さま、共催者として多方面で協力していただいた住民の会&団地を考える会の皆さま、そしてスタッフ並にお手伝いいただいた佐藤さん、どうもありがとうございました!!

以下に、会場でアンケートにご協力いただいた方の中で、「公開可」という方のアンケートをご紹介します。

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千里団地から、住民の追い出し、強制執行に至るまでのプロセスはよく理解できた。
上映禁止の背景もよく伝えた。
何とか住民との関係を修復して、上映に結び付けてほしい。
(50代、男性)
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映画が上映されず、残念ではありましたが、周りの方の話を聞いて、大まかにどんな内容かは分かりました。上映できるようになったら、ぜひ観たいと思います。
(40代、男性)
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アンケートへのご協力、ありがとうございました。

そして、会場にいらした皆さまからいただいたカンパは総額11,500円になりました!! 全額中村さんにお渡ししました。どうもありがとうございました!!!!!

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