« [jp] 街中のショーウインドウに秘められた可能性 | トップページ | [jp] 違和感を感じたのは私だけ? »

[jp] 震災以前から壊れていた

3月10日は、各地で震災・原発関連の催しが行われていました。日本外国人特派員協会が主催する「震災特別企画 映画試写会 震災から一年:ぬぐい去れない映像祭」にも行きたかったのですが、私は第3回若者ホームレス支援ネットワーク会議の「若者ホームレスと日本の未来」というイベントに行くことにしました。

「さようならUR」の制作を通して、日本の貧困問題、住宅問題などを見聞きする機会が多かった私は、「大震災で世の中が変わってしまった」というよりも、「大震災のだいぶ以前からこの国は壊れていた」、「大震災で日本がないがしろにし、無視し続けてきたことが、一気に噴出したのだ」という方が自分の感覚として納得できるような思いがしていました。なにしろ10年以上連続して、東日本大震災の死者・行方不明者合わせた数より多い、年間3万人以上の人々が自ら命を絶つ道を選んでしまう社会ですもの。。。

そこで、日本の貧困問題の象徴ともいえる「若者ホームレス」問題のイベントにいって見たいと思ったのでした。

イベント内容については以下(もやいホームページより引用)
============
第3回若者ホームレス支援ネットワーク会議 「若者ホームレスと日本社会の未来」

日時:2012年3月10日(土)
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター 国際交流棟 国際会議室

リーマンショック以降、増え続ける“若者ホームレス”とその予備軍。彼らが路上に出た背景を紐解いていくと、非正規雇用、ワーキングプアなどの労働問題に留まらず、ニートや引きこもり、家族の経済格差や地域間格差といった、日本社会の抱えるさまざまな問題が浮かび上がってきます。

若者ホームレスが象徴するのは、本来彼らを支えるべき家族や地域、すなわち「社会のセーフティネット」の弱体化です。私たちは今、既存の「働き方・住まい方・家族のあり方」を問い直す必要があるのではないでしょうか。

第3回会議は「若者ホームレスと日本社会の未来」と題し、市民のみなさまと共に、新しい社会のあり方を考える集いとしたいと思います。ぜひご参加ください。

●日時:2012年3月10日(土)
―会議14時00分―17時00分(13時30分受付開始)
―チャリティ交流会17時00分-(参加自由、軽食費無料)

●場所:国立オリンピック記念青少年総合センター 国際交流棟 国際会議室

●定員数 :200人(参加無料)

●内容
①宮本みち子「ホームレス問題が提起する暮すと社会の未来」

②若者ホームレス当事者の発言

③日本社会の未来をつくる6つのテーマ
 -多様な住まいづくりの試み
 -つながりをつくれる居場所づくり
 -社会とつながる仕事づくり
 -当事者による発言や活動の可能性
 -若者支援の現場から
 -被災地・福島からの報告

④市民討論

⑤6つのテーマによるチャリティ交流会

*終了後の17時~(自由参加・軽食費無料)

●若者ホームレス支援委員会メンバー
 稲葉剛(特定非営利活動法人自立生活サポートセンター・もやい理事長)
 工藤啓(NPO法人「育て上げ」ネット理事長)
 佐野章二(特定非営利活動法人ビッグイシュー基金理事長)
 鈴木綾(NPO法人ビーンズふくしま/こおりやま若者サポートステーション理事)
 宮本みち子(放送大学教授)
(アドバイザー)雨宮処凛(作家) 星野智幸(作家)

●若者ホームレス白書
(PDF版 http://www.bigissue.or.jp/pdf/wakamono.pdf
●第1回若者ホームレス支援ネットワーク会議の様子
http://www.bigissue.or.jp/activity/info_11111802.html
●第2回若者ホームレス支援ネットワーク会議の様子
http://www.bigissue.or.jp/activity/info_12012602.html

●主催:若者ホームレス支援ネットワーク委員会、特定非営利活動法人ビッグイシュー基金

●助成:独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業
==========

会場の国立オリンピック記念青少年総合センターには、200名を超える人が集まっていました。
Dsc07498

開会の挨拶の後は、「ルポ若者ホームレス」著者でノンフィクションライターの飯島祐子さんによる講演。
Dsc07471

Dsc07472

リーマンショック後に販売者の平均年齢が10歳も下がった(56歳→45歳:東京事務所)というのには驚きました。講演では、若者ホームレスについて、多くの人が抱く3つの疑問(①見かけたことがないけど? どのような生活を送っているのか、②なぜ実家に帰らないの? どのように育ってきたのか、③なぜ働かないの? どんな仕事をしてきたのか)について、分かりやすく説明をしていました。

続いて、「若者ホームレス当事者の発言」として、ビッグイシューの販売員をされている2人より、家族のこと、これまでの仕事のこと、そして今後の目標などが話されました。
Dsc07475_2

Dsc07474

放送大学教授で、家族社会学、青年社会学、生活経営学専攻の宮本みち子さんの講演。「ホームレス問題が提起する暮らしと社会の未来」。
Dsc07480

休憩の後は、第2部。「日本の未来を作る6つのテーマ」ということで、もやいの稲葉さん含む6名の登壇者より、発表がありました。

第2部の後で、「隣の席の人と感想や思っていることを話し合ってください」という時間があり、私は近くに座っていた方とお話しする機会がありました。子どものケアをする活動をしている人で、なんとドキュメンタリーが好きでアップリンクやポレポレ東中野にも良く行くという人でした!(もちろん私の映画のことは知りませんでしたがcatface

会場では、沢山のチラシや冊子も置いてありました。中でも、特に興味深かったのが、「被災地の路上から」と題するリーフレット(2012年3月1日ビッグイシュー基金発行)で、NPO法人「仙台夜まわりグループ」のインタビューでした。震災後の仙台での野宿生活者について、夜回りをしている人ならではの鋭い観察で溢れていました。震災後、仙台では野宿者の数自体はほぼ変わらないものの、顔ぶれは以前と全く違うそうです。今まで路上にいた人が、瓦礫撤去などの仕事で一時的に飯場やネットカフェに移っている一方で、仕事を求めてきた新しい人が路上に溢れているのだとか。

そして、新しく路上に出た人の特徴として、30~50代と年齢が若く、被災地だけでなく全国各地から来ているそうです。被災地なら仕事があると思ってやってきたものの、思ったよりも仕事がなかったり、十分な賃金をもらえなかったりして路上に出たのではないか、と分析しています。また、建設現場の仕事ばかりで女性の行き場がないせいで、相対的に女性の割合が増えている、とも。

震災後の雇用保険が切れた人も出始めている今、生活相談に関する電話も徐々に増え始めているそうです。震災直後、3ヵ月後、半年後、1年後、数年後・・・、震災の生活に与える影響は、形を変えながら続いていくということが伝わってきました。

インタビューに答えている理事長の今井誠二さんは「路上に出てきてしまう前にやれることは沢山ある」と話していました。SOSのサインを見落とさない、SOSを出せずにいる人にも届くこと。これらが大切になってくると思います。

仙台夜まわりグループのサイトはこちら

そしてもうひとつ、面白い冊子を手に入れました。「路上文学賞 受賞作品集」と書かれた、結構分厚い冊子です。
Dsc07487

第2回と書かれているのに、これまで知りませんでしたが、調べてみたらブログもありました!(テレビでも取り上げられたそうなので、知っている人は多いかもしれませんが)

路上文学賞についての説明(ブログより引用)
==========
路上文学賞は、ホームレス状態にある人、または経験した人を対象に、これまでの人生や経験を想像力を通して自分の言葉で表現してもらうために創設されました。

ホームレス問題を社会的課題と捉え全体を見渡す視点とは別に、当事者である「書き手」と多くの「読み手」の人たちが、文学という地平で、書く楽しみと読む楽しみを共有してもらうことが狙いです。簡単に言うと「路上の文化祭」です。

この賞は今年で2回目を迎えますが、第1回は応募作品を読んだ読者やマスメディアの方々から大きな反響をいただきました。

今年は「紙がなくても ええじゃないか」をモットーとし、全国のホームレス支援団体の方々に協力して頂き、多くの作品が寄せられました。

【選者】 星野智幸
1997年、『最後の吐息』(第34回文藝賞)でデビュー。『目覚めよと人魚は歌う』で第13回三島由紀夫賞、『ファンタジスタ』で第25回野間文芸新人賞、2011年『俺俺』で第5回大江健三郎賞を受賞。

(選者のことば)
「路上は、自分の生きる場所でありながら、自分の場所ではありません。
じつは文学も同じです。たとえば、小説は、自分の書きたいことを自分の言葉で書いているはずなのに、それは書いた瞬間に、自分のものではなくなります。読む人がいて、初めて小説として成り立つからです。書く人、読む人が、同じ立場で接しあうわけです。
「文学」という場所は、書いた人の居場所でもなければ、読む人の居場所でもありません。 書いた人が、「おまえら、俺の言葉をわかれ」と命令するのでもなければ、読む人が「私たちにわかる言葉で書いてください」と要求するのでもない。両者が、自分のいる場所から外に出て、少しずつ歩み寄る、誰のためでもない場所なのです。逆に言えば、どんな人でもそこに来てよい場所。だから、文学は路上が似合うのです」

主催:路上文学賞実行委員会、ビッグイシュー基金
==========

いやいや、これがすごく面白いのです! イベント中にもかかわらず、後半からはこの冊子を読み出して止まらなくなってしまいました! 自分の半生を綴ったもの、ギャンブルの必勝法を詳細に記したもの、短歌、小説、中には宣言(?)というようなものまであり、とにかく自由すぎるのです。

「1974年 大阪駅構内の手配師による半タコ部屋」と題した文章。タイトルからしてすごすぎます。
Dsc07492

中には達筆すぎて読みづらいものもありました・・・coldsweats01
Dsc07489

上に紹介したブログのURLより受賞作品の全文が読めるようになっていますので(手書き原稿がそのままスキャンされています)、興味のある方はぜひ読んでみてください!

約3時間のイベントの後には、交流会があり、軽食も用意されていました。
Dsc07505

美味しそう!!
Dsc07503

ビッグイシュー代表の佐野さんによる乾杯の挨拶
Dsc07511

Dsc07510

貧困や格差、心のケアなどの問題に携わるNPOの人たち、ボランティア、学生、そしてビッグイシューの販売員etc。美味しそうに並べられた食べ物が、(失礼ですが)一瞬でなくなってしまうのではないかと、山形の映画祭の経験から警戒(!)した私でしたが、みんな少しずつ食べながら、交流パーティーの本来の目的である”交流・会話”を楽しんでおり、イベントの最後のほうまで食べ物は残っていました。(これ、山形の映画祭だったら絶対1~2分でなくなるよね? ドキュメンタリー映画界って、一番飢えてる???)とやや愕然としました。

言葉を交わす人たちのお話はどれも興味深くて、話はつきませんでした。

とあるビッグイシューの販売員の方とお話したのですが、その人は生活保護を受けて現在はアパート暮らしをしているそうです。健康に気を使っていて、毎日栄養バランスを考えながら自炊しているといって、自分が作ったご飯を携帯で撮影した画像を見せてくれました。

私もかなり自炊にこだわりがあるほうですが、その人の献立、バランス、品数の多さに驚きました!
Dsc07514_2

餃子も手作りしたそうです!
Dsc07515

久しぶりに会えた人、新しく知り合えた人もいて、充実した1日でした!

|

« [jp] 街中のショーウインドウに秘められた可能性 | トップページ | [jp] 違和感を感じたのは私だけ? »

新作制作状況」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [jp] 街中のショーウインドウに秘められた可能性 | トップページ | [jp] 違和感を感じたのは私だけ? »