[jp] DOCLAB ティさん スカイプトーク・ビデオ1
今日は、3月3日「路地と人」で行われた、ベトナムのインディペンデント・メディアセンターDOCLABの創設者ティさんとのスカイプトークを収録したビデオの1を紹介します。(スカイプトークは全体で約1時間半あり、ビデオは7つのパートに分けてYouTubeにアップしていく予定です)
フェローシップで年明けからバンコクに滞在しているティさんですが、スカイプの時は一時的にハノイの自宅に戻っていました。スカイプの冒頭にちらっと娘さんが覗いています!(ちなみにティさんの旦那さんはアメリカ人で、ハノイでカメラマンをしているそうです)
スカイプトークでは、まず大村さんから質問がありました。「DOCLABは開設してまだ日が浅いのに、こんなに質の高い映画が作られるというのは、想定していたか?」というのが質問の内容でした。
それに対するティさんの回答については、ぜひビデオでご覧いただければと思いますが、一部誤訳も発見したため(スミマセン!!)、以下にも概要を少し書いておきます。
DOCLABのワークショップの受講者たちは、ほとんど映画制作をしたことがなかった人たちです。まず、3~4ヶ月の基本的なワークショップを受講しますが、それだけで終わるのではなく、その後の上級者編のワークショップを受ける人もいます。今回上映された作品の中には、上級者編のワークショップを経て完成した作品もあるので、質が高いと思われたかもしれません、ということでした。
もうひとつの理由は、これは山形の映画祭でのインタビューでも答えていますが、とにかく受講生を厳選するということ! 100~200人の受講希望者から、選ぶのはたった10人ほど。選ぶ基準は、最も将来伸びる可能性を持った、映像制作にコミットする気のある(このCommitという英単語は、日本語に訳しにくい単語のひとつではないでしょうか? 傾倒するとか専念するとか、そういう意味ですが、例えば恋愛関係でもよく使われますね)、”アマチュア的な趣味”で映画を勉強するのではない人。
この”アマチュア的な趣味で学ぶ人”ですが(彼女は"study like amateurish hobby"と言っていました)、これは実際にはなかなか難しいところです。私は昨年初めに、メディアールで根来さんとともに3分ビデオ講座を担当した際、まずどのような人を生徒としてターゲットとするか?について、2人で延々話ました。
映画作りというのは、旅行や行事(運動会とか)以外のものを撮影したことがある人なら経験があるかもしれませんが、とにかくかなりの時間を要するのです。完成品はたった5分の映像だとしても、その何十倍も撮影したり、編集にはそれ以上の時間がかかったり・・・と、”片手間”には出来ません。
なので、結果的には相当やる気がある、覚悟を決めた人たちしかやり続けることは出来ないのですが、(ビデオカメラって面白そうだな)と少し興味を持った程度の人に、仕事をやめて専念するぐらいじゃないと、なんて言うのは、いたずらに映画制作のハードルを高くして、人を遠ざけてしまうのではないかと思うのです。(ビデオカメラ自体は小型化して、安価になり、機材としてはますます人に近づいてきているのに)
あらゆる人に表現の可能性はあるのだし、間口を広くしてそこから興味を持ってのめりこんでいく人が一人でも見つかれば結構、ということで、メディアールの時は「あなたも作れる3分ビデオ講座」として、ビデオカメラを触ったことがないという人でも、撮影→編集→YouTubeへのアップロードまでを一通り学べる、ということを講座の内容としたのでした。
間口を広げるのか、狭めるのか。。。ティさんの場合は、ワークショップの受講生を選ぶ最終目的を「その後インディペンデントのドキュメンタリー制作者になる人」と明確にしています。だから狭めてびっちりとやるという方法を選んだのでしょう。一方で、3分ビデオ講座では必ずしもドキュメンタリー制作者になる人を育てるのではなく(それももちろんではありますが)、映像という表現媒体を使って、自分を知る・他人と繋がる・武器にする・セルフエスティームを高めるetcのほうを、より重要視していました。
例えば受講生には、難民の人もいたのですが、”社会的弱者”とされ、”撮られる側”、”可哀想と言われる側”に置かれがちな人たちが、自分でカメラを持ち、記録することによって、自分たちのことを自分たちで他人に伝えることが出来るし、社会の偏見を打ち破ることも出来るかもしれない・・・ ビデオカメラがそんな風に使われたら、そんなにうれしいことはありません。
・・・でも、やっぱり”何が何でもやる・やり遂げる!”ぐらいの強い意志がないと、途中で脱落してしまうので、ティさんの厳しい選考方法は、やはり大事なのだなぁとおもいますが・・・。
ちょっと話が脱線しましたが、ティさんの話の続き。DOCLABでは、ワークショップは週に1回ですが(私は「ワークショップの中には1週間の短期のものもあると誤訳してしまいました、すみません)、それ以外の時間に自分で学ぶ必要性(映画をたくさん観たりetc)も話していました。ワークショップは、授業を聞くというよりも、お互いに批評しあったりするスタイルが多いそうです。お互いに自分の作品を持ち寄って、批評する。そうやって学んでいくのだとか。
映像制作のノウハウを学ぶだけでなく、映画を観る目もとても大事ですものね。DOCLABの教授法、なんだかすごいです。この後も続きます!
今回のパート1のビデオはこちらよりご覧いただけます。
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