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[jp] ハードコアな出自(ソウル4日目)

ソウル4日目の4月23日。この日は朝9時に起きました。ソウルに着いて以来、連日の雨でしたが、この日になってやっとうす曇に。朝食のあと、ホテル近くの郵便局に行き、前日に書いた葉書を投函しました。国際郵便の葉書で、1通30円程度。安いのに驚きました。(そういえば、地下鉄の料金も安いです)

身支度を整え、歩いて映画祭の会場へ向かいました。

会場付近の様子
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前日、上映後のQ&Aの様子を記録した写真をもらえるかと映画祭のスタッフに聞いたところ、翌日だったら渡せるということだったので、それをUSBメモリーに入れてもらおうと、映画祭の事務所に立ち寄りました。

映画祭のプログラマー・ジェヨン(向かって左)と、ホスピタリティーチーム担当のキョンヨン(右)
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映画祭の事務所。みな忙しそうに働いています!
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映画祭会場から歩いて、シンチョン駅に向かいました。
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シンチョンの駅前にある現代百貨店で、花束を買いたいと思ったのですが、まさかの定休日(時間が早かったのかな?)で、買えず。近くにいた人たちに教えてもらい、別の花屋さんを教えてもらいました。残念ながらそこでは花束は売っていなかったのですが、小さな鉢植えの花を買いました。

この日は、12時に市庁前駅で、日本のインディペンデント・メディア&アクティビスト界では超・有名な、ドヨンと待ち合わせをしていました。私は2008年の洞爺湖G8反対運動で、ともに札幌&洞爺湖にいたはずなのですが、話したことはなく、面識もありませんでした(実際、別の人のことをドヨンだと今まで勘違いしていましたcoldsweats01

今回、ソウルに行くにあたり、レイバーネットの安田さんに「ソウルでインディペンデントのメディアをやっている人たちに会ってみたいのだけど、どなたか紹介してもらえませんか?」と聞いてみたところ、「ドヨンに聞けば、いろんな人を紹介してくれるかも」と、連絡先を教えてもらったのでした。

この日は、ドヨンと、ドヨンの友人でメディアクトでも活動をしていたキム・ジヒュン、インディペンデント作家のナヴィとともに、市庁前で待ち合わせをして、市庁前で労働者不当解雇に対して、2009年から座り込みを続けているサンヨン自動車の抗議テントを訪問しました。(サンヨン自動車はSsan-Yong Motorsって表記されているのですが、韓国語読みのローマ字表記って、日本人からすると「これでどう読めってことなの??!!」と思うような綴り方が多くないですか? 私だけかしら・・・)

経営状態が良いにもかかわらず、更なる利益を求め、2,646人もの労働者の解雇をし、生活苦・ウツなどになって、これまでに22人が命を絶ったということです。(2,646人の解雇の以前にも大規模な解雇を実施)。私は買ってきた鉢植えの花を、抗議活動テントにお供えしました。

市庁前駅では、場所柄、サンヨン自動車だけでなく、オキュパイ系の人たち、児童向けの書籍の出版社を解雇された労働者たちなど、様々な抗議活動が行われていました。

市庁前駅周辺の様子
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サンヨン自動車抗議活動テントの前にて。解雇されたエンジニアの人と。
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韓国の労働者と言うと、映像や映画で見る限り、”激しい”感じの人ばかりだと思っていたのですが、この人はとても穏やか。(でも、いざと言うときには豹変するのかもしれませんが)
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ここでの抗議活動は違法だとして、警察から常に撤去の要請をされているそうです。特に、この秋の大統領選挙までに警察は撤去したいそうで、話を聞きながらロンドンオリンピックに向けて排除されそうになっているパーラメント・スクエアの活動を思いました。

夜もここで寝泊りして抗議活動を続けるそうですが、この簡素なつくりではマイナス10度近くになる冬の韓国ではかなり厳しそうです・・・。
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韓国語のほか、英語や日本語でも彼らの主張について説明する看板が立てかけられていました。(写真はクリックすると拡大するので、それで内容を読むことが出来ます)
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エンジニアの方から、ここを訪問した記念にメッセージを書いてほしいと言われました。

かなり立派な芳名録!
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日本語でメッセージを書きました!!
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(なんか、日本語ネイティブの割には、文章がちょっとたどたどしかったかしら・・・? こういう寄せ書きみたいなものは、普段書く機会がないので・・・coldsweats01

この日は、メディアクトのジヒュンから、私と日本のインディペンデントのメディア状況についてインタビューをしたいと言われていましたが、そのインタビューのために”通訳者”として、韓国に留学中の日本人、カゲモトさんが来ていました。

カゲモトさんは、私が書いた日本語のメッセージを韓国語に翻訳してほしいとエンジニアから言われ、私のたどたどしいメッセージを翻訳することに!

中央のメガネをかけた男性がカゲモトさん(・・・って、男性陣全員メガネだわ・・・)
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かなり難航し、時間がかかっているようです・・・
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無事翻訳完成!!
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サンヨン自動車抗議テント訪問のあと、あいち女性映画祭で知り合ったジミンも合流して、お昼ご飯を食べに行くことになりました。サンヨン自動車のエンジニアの人は、だいぶこのエリアに詳しくなったらしく(サンヨン自動車の工場自体はソウルから高速バスで1時間ほど離れたところにあるそうです)、いまどき珍しい、ご飯を釜で炊く美味しいお店を紹介してくれました。

初対面のドヨンでしたが、共通の友達が沢山いて、改めてびっくり!
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ラーメンが入った鍋
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これが噂のご飯!! 確かにめちゃめちゃ美味しい!!
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お釜にご飯がある程度残るぐらいに、別のお皿にご飯を映して食べます。お釜に残ったご飯には水をいれ、ふたをして蒸し、おこげにしていただきます。

向かって左がジヒュン、右がナヴィ。
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右側はジミン(横姿で残念。。。)
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ジミンからは彼女の前作「She saw spring」のDVDをもらいました!
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平べったいお皿にご飯をよそって食べていたら、それはご飯の”フタ”だと店員さんに言われてしまいました!! ご飯用のお茶碗を店員さんが出し忘れていたので、知らずに平べったいお皿を使っていたのでした。ご飯用の茶碗に入れなおします。。。
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ご飯を食べた後は、ジミンと別れ、その他の人たちで、ジヒュンたちが事務所として入っている、オープンしたばかりのメディアセンターに行き、そこでインタビューをすることになりました。(メディアセンターとしてのオープンは今年の5月の予定で、現在は数ヶ月前から合同事務所だけがオープンしています)。

ジヒュンは映像制作者ではなく、市民メディア活動の政策立案者、リサーチャーとして活動をしているのだそうです。日本だと、人手不足から映像制作者であり、運営者でもあり・・・と、一人が何役も兼務しているケースが多いですが、韓国では層が厚いのか、政策立案を専門にやると言う人もいるんですね。(日本では、大学の研究者とかがそういう役割を担っているのでしょうか? それとも、そもそも、そういう役割を持つ人って、日本ではどんな人なのだ??)

元は病院という建物を、現在は大学が所有し、それをソウル市がメディアセンターとして借り受けているんですって。
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カゲモトさんは「そういえば、ここ消毒臭い」と言っていました。エレベーターも、担架が入るように長細く設計されていました。
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ジヒュンたち始め、3団体が事務所として入居している部屋。大体10畳ぐらいのスペース。
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インタビューの前に、ここのメディアセンターの設備を見学させてもらうことにしました。正式オープン前なので、ジヒュンたちもまだ見たことがないそうです。
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全国のメディアセンターの名前が書かれているそうです。テレビ局も市民メディアに関わっています。(MBCの名前がいくつか見えます)
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気楽な見学のつもりで、事務局の人に「建物の中を見ても良いですか?」と聞いたところ、「上の者に聞いてきますので・・・」的なやり取りが2回あり、最終的にはここの施設の責任者の方が出てきて案内をしてくれるという大掛かりな事態になってしまいましたcoldsweats01

メディアセンターは、市民に開放し、登録すれば誰でも無料、もしくは低料金でビデオ制作の講座を受けたり、カメラ機材を借りれたりすることができます。

・・・ということは聞いて知ってはいたものの、その設備の素晴らしさ・グレードの高さに改めて驚きました。

責任者の人
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編集作業をするための部屋。マックなんだ~
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講義を受ける部屋
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貸し出し用の機材が置いてある部屋。機材はどれも民生用~業務用までそろっています。
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驚いたのが、この本格的なレコーディングルーム。私もナレーションとカリンバの録音で、レコーディングスタジオを利用しましたが、そこよりもはるかに良い設備!
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「これ、ほんとに登録した市民の人たちが使うための設備なのですか?」と聞くと、「もちろん」とのこと。でも、例えばこの本格的過ぎるミキサーなど、使ってもいいよといわれたところで、使いこなすのは難しいのでは?と聞くと、それはサウンドエンジニアが一緒に作業したり、使い方を教えながらやる、と言っていました。う~~~ん、それにしてもすごすぎる。

「日本のメディアセンターはどうですか?」と聞かれました。表情からして(日本はもっと素晴らしいに違いない)という期待が見て取れましたが、私が知る限り、東京では行政がメディアセンターとして開放している施設で(←メディアセンターと呼べるレベルのものがあるかどうかも微妙ですが)、ここまで優れたものは見たことがありません。(ですよね? こんな設備がタダ同然で使える場所をご存知の人がいたら、教えてほしいぐらいですよ!!)

韓国では、こういったメディアセンターが全国に約30もあるんですって!! メディア教育にとても力を入れているので、このような施設が充実しているのだとか。

・・・でも、話を聞きながらちょっと不思議な気もしました。MBCテレビのストライキにあるように、イ・ミョンバク政権以降メディアに対する介入が激しいと聞いていたのに、市民のメディア教育にここまで力を入れるというのは、相反するのではないか?と。政権がメディアをコントロールしたいなら、市民にメディアを持たせないようにするのが普通なのではないか?と思ったからです。

そう聞いてみると、こんなに素晴らしい施設があっても、それでも当初よりだいぶ市民メディアに関する予算は削減されてしまったのだそうです。本当なら、もっともっとメディア教育が充実されるはずだったのに、と話していました。

う~~~ん、これでも”だいぶ削られた”結果なのか。。。日本に暮らす私からみれば、だいぶ恵まれているように思うけど。。。

でも、実際、インディペンデントのドキュメンタリーを上映する専門の公営の映画館が出来たそうですが(←うらやましすぎる!)、イ・ミョンバク政権になって映画館の運営者が変更されてしまい、現在はインディペンデントと言っても政治的メッセージのないアート系のものばかりが上映されている、と言っていました。

また、インディペンデントのメディア団体や関係者への弾圧や逮捕なども行われ、中には”リツイート”(Twitter上で他人の発言を引用・転送すること)しただけで逮捕された人もいたのだそうです!!

施設見学を終え、ジヒュンによるインタビューが始まりました。質問は私自身に関することや、日本の社会問題、日本でインディペンデントのドキュメンタリーを作る人々について(良く「何人ぐらいいるのか?」って聞かれるのですが、これ、すごく難しいですよねぇ・・・。”インディペンデント”の定義自体難しいし、インディペンデントの中でも更に幅があるし・・・。どう答えたら良いのでしょうか??)、日本のメディアについて、など。あ、あと、「日本のインディペンデントの人たちがどうやって生計を立てているのか」というのは、必ずと言っていいほど、韓国滞在中に聞かれました。「いや、生計は立ててないと思うんですけど・・・」って答えておきましたけどcatface

ちなみに、韓国のインディペンデントの制作者たちは、韓国には沢山の映画祭があるからそれらに応募して上映をする機会には恵まれているものの、それ以外の方法となると、その選択肢の狭さや財政的な厳しさは、日本と似たり寄ったりのようでした。

インタビューは大体1時間ぐらいでした。今回のインタビューは、ジヒュンさんたちが発行するオンラインの月刊誌に掲載されるんだそうです。どんな内容になるのか、楽しみです!

インタビューの話に耳を傾ける男性陣。。。
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インタビュー終了後に記念写真
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ジヒュンと別れ、ドヨンとカゲモトさんとともに、”ドヨンの行きつけの安い居酒屋”に行くことになりました。ドヨンについて歩いていくと、なぜかセブンイレブンに・・・
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セブンイレブン入り口の脇には、簡素なテーブルとイスが置いてあり、そこがドヨンの居酒屋なのでした!!!
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月曜日のまだ午後4時ごろ。フツーの人は働いている時間に、コンビニの脇でお酒を飲む私たち・・・。ある意味、すごく贅沢かもしれません。(私は疲れていたし、次の予定があったのでコーヒーにしましたが)。

このブログを読んでいる人の中には、ドヨンにあったことがあり、彼を良く知っている人もいるかもしれませんが、ドヨンは大阪の釜ヶ崎で生まれたのだそうです! 1~2歳でソウルに渡ったので、釜ヶ崎での記憶はほとんどないということですが、生まれが釜ヶ崎と聞いて、とっさに「うわ、それすごいハードコア!」と私は言い、不思議な顔をされました。え、だって、釜ヶ崎生まれで今アクティビスト(?こう表現してよいのか分かりませんが)って、なんか、なるべくしてこうなったと言うか、宿命的なものを感じるなと思ったので・・・。私としては”賞賛”のつもりで”ハードコア”って言ったんですけど、あまり一般的な褒め言葉ではないですね、確かにcoldsweats01

私の「さようならUR」に対して、韓国の人からは良く「ヨンサン」のことを引き合いに出されます。ソウルのヨンサン地区で、再開発に反対し、立ち退きを拒否し立てこもった商店主たちが、警察や機動隊と激しく対立し、その対立のさなかに火炎瓶に火がついて大火事となり、商店主と警官の5人が犠牲となった事件です。確かに根っこの部分では同じ問題ですが、さすがに日本では放水車や催涙ガス、ヘリコプターによる空からの警官投入といったような派手(?)な応酬は、浅間山荘事件以降、めったにあることではありません。

ヨンサンの大惨事のすぐあとに、ドヨンはヨンサンの建物内にメディアセンターを開設して、そこから情報発信を続けたそうです。ドヨン曰く、「誰もが気軽に来れる場所作りをしたかった」とのこと。そんな彼は、日本でも2008年の洞爺湖サミットを始め、東京や大阪、仙台、福島、Jビレッジのすぐ近くまで行くなど、さまざまな”現場”に身を置き、交流してきました。日本の草の根の活動や知る人ぞ知る場所なども大抵知っていてびっくり。

色んな世間話をしていて、話は「ソンミサン・マウル」のことになりました。今回、私は訪問したいと思っていたが、訪問できなかった、でも、ソンミサン・マウルについて、ドヨンはどう思うか、と。ソンミサン・マウルは理想的なコミュニティビレッジなのではないか?と、日本での紹介記事を読んで興味を持っていた私は、前日の「ナメクジ・ユニオン」のインタビューの際に、そのことを持ち出しました。そのときに、ナメクジ・ユニオンのメンバーからは、意外にも「ソンミサン・マウルは例外。住宅問題解決の参考にはならない。彼らはミナ教育、生活水準が高くて、一般的な韓国国民に応用することは出来ない。ソンミサン・マウルのように恵まれた人たちではなく、そうじゃない人たちのことを考えるべきだ」と言われたからです。

なので、ドヨンは「ソンミサン・マウル」についてどう思っているのか、彼の意見を聞いて見たいと思ったのでした。

ドヨンは、ソンミサン・マウル内に住んでいる友達もいるそうですが、ソンミサン・マウルについては、閉鎖的で外の人たちと付き合おうとしない、良い噂は聞かない、と言っていました。。。

う~~~~ん、一方では「ソウルで最も住みたい町」とまで紹介されている場所が、実際に住宅運動や貧困の問題に関わる人たちからは、冷ややかな目で見られているというギャップはなんなのでしょうか。。。

成功している例が周りからやっかみも含めて色々言われるということもあるかもしれないけれど、色々と話を聞いていると、(全員とは言いませんが)ソンミサン・マウルに住む人たちは、高い意識と生活レベルを共有できる人たちの、理想郷的な場所を目指しているようで、格差や貧困、野宿者といった問題に取り組む人たちとはあまり交流がないようです。

話を聞いていて、そういう傾向は日本でもあるかも、と思いました。例えば、コレクティブ・ハウスや、コーポラティブ住宅などの住まい方に関心がある人たちは、割と高収入だったり、知的な職業についていたりと、意識の高い人たちだったりします。”住まい”には関心を持っているけれども、だからと言って野宿者や貧困問題まで関心を持っているかといえば、それは人によります。

「一番いいのは、実際にその中に入って、3ヶ月でも住んで見る事だよ」とドヨンに言われました。確かに、自分の目で確かめるのが一番いい。情報は、(私のブログもそうですが)、その情報を発信した人の目線と関心で書かれているものなのだから、それが全体的なものを代表するとは決して言えないのだし。なので、「ソンミサン・マウル」がオルタナティブ・ビレッジの理想として絶賛されているのも、一方では事実なのだろうし、また別の視点に立てば違うと言うことになるのだろうと思います。

今回、ソウルに行く前にネットで沢山検索をして、韓国の住宅問題について書かれている資料はそれなりに読んで一夜漬け勉強をしてきました。でも、ソウルについて、実際に人に会って話を聞くことで、(あれ、ちょっとニュアンスが違う・・・)と思ったことがいくつもありました。

例えば、韓国の不動産賃貸の方式、チョンセ。これは、入居時に高額な資金を大家さんに預け、退去時に無利子で返してもらうというシステムです。大家さんは預かった資金を運用し、その利子を得る仕組み。このチョンセについて、事前に日本で読んだ資料では、「韓国ではチョンセという独特の仕組みがあり、このチョンセ金を用立てするのが難しくて不動産を借りれない」と、ネガティブな感じで書かれてありました。

しかし、ナメクジ・ユニオンのハンソルによれば、チョンセは預けたお金がそのまま返ってくるので、家賃が実質タダということになるので、とても良いシステムだと話していました。しかし、現在では不動産運用でそんなに高利益が望めないため、チョンセをやらない不動産屋が多くなってしまったとのことです。ハンソルはチョンセに対して好意的ですが、でも、まず不動産を借りる大前提となるチョンセ金を用立てすることができる経済力があることが前提ですけれども。。。

チョンセは一例ですが、このように、自分がネットで調べた知識と実際が異なるケースが良くありました。でも、考えてみたらそれは当たり前のことで、今回の自分の旅は、自分が頭でだけ仕入れた知識と現地での情報のギャップを埋めること、だとも言えるかもしれません。ネットで詳しく書いてあると、分かったような、十分のような気になってしまいますが、やはり現地を訪ね、人と話すことは大事だと改めて思いました。

ドヨンは「日本の運動、例えば三里塚や宮下公園なども、韓国では実際より美化されて伝わっているよ」と言っていました。なるほど。。。運動体の中でかき消されてしまうマイノリティーの存在などについても話は及びました。

6時ごろになり、ドヨンたちと別れました。私はこの日、7時から映画祭の会場近くの居酒屋で、映画祭が主催する「ディレクターズ・ナイト」の飲み会に参加することになっていました。月曜日の夜が来場監督中心の「ディレクターズ・ナイト」で、火曜日の夜が映画祭全体の「フェスティバル・パーティー」ということでした。

私は結局、映画祭に行った初日のドキュメンタリー1本しか観ておらず、その後はずっと外に出かける予定だったので、飲み会だけ行くというのがちょっと心苦しかったのですが、でも飲み会だといろんな人に会えるし・・・と思い、月&火の飲み会だけは参加することに決めていました。

同じテーブルには、いろんな国の女性監督が並びました。向かって左から、ジュディ(アメリカの監督アン・レントンの友人でアーティスト)、タイ人監督のPuangsoi Aksornsawang、オーストラリア出身で現在はロスで映像制作をしているアン・レントン、そしてフランス人監督のエマニュエル・ミレット。
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Q&Aをするのが初めてで緊張していると言うタイ人監督に対し、これまでにトライベッカ映画祭などでも上映をしてきたアン・レントン監督(The Perfect Familyという作品の監督)は、「意地悪な質問をする人がいても、聞き流せばいいのよ。でも、韓国の観客はみんな優しくて熱心だったわ。あ、でも質問が多くて長いわよ。」とアドバイスをしていました。果たして、翌日のタイ人監督のQ&Aは如何に・・・。

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パーティーの途中で、映画祭のスタッフから、今回の映画祭についての感想やコメントなどの聞き取りがありました。
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私の前に座った監督は、シンガポールのKaz Caiという監督で、今回の映画祭にはコンペの短編で参加したとのことでした。私の隣が浜野佐知監督で、3人で話始めました。Kaz監督は、20代後半から30代ぐらいかと勝手に想像していたのですが、これまでの仕事の話や今やっているプロジェクトの話などを聞いていくと、あれれ、この人いくつなんだろう??と混乱してきました。

映像業界に入って20年。最初は編集マンとして働き始め、編集をしながら映像に関して学びました。昼間は編集の仕事をし、夜は自分で脚本を書くようになり、それで実験的な映像を自分で作るようになりました。その後フリーになり、シンガポールも飛び出し、ここ10年ぐらいはエージェントやクライアントとその都度契約し、CMやコンサートの映像を作るのが本業なのだそうです。しかもそのCMの仕事と言うのが、例えば今度のロンドンオリンピックのコカコーラのCMとかだったりするわけ! コカコーラが企業として良いかどうかは別として、CMを生業としている人たちの間では最高レベルの仕事ではないですか? 彼女曰く、企画をエージェントに出し、クライアント(コカコーラやナイキなど)が気に入れば、実際にCMを制作する・・・というのが日常の仕事のプロセスなんですって!

彼女のウェブサイトに、これまでの仕事をつないだサンプル映像があります。彼女はこれをiPhoneみたいなデバイスに入れて持ち歩いています。多分、クライアントに提示するときに、その場で見せられて便利なのでしょう。

浜野監督と、彼女の作った映像を観ながら、映像のスタイリッシュさやスピード感、洗練さに驚きました。普通にテレビで見るような”カッコイイ”CMのようです。でも一方で、誰が作ったのか分からない、作り手の顔が見えない映像でもあります。自主制作とは対極にあるともいえるでしょう。そんな業界の第一線で活躍する彼女が、”自分”や”個性”と言ったものが出る(出ざるを得ない)自主制作の映像で、どんな作品を作るのか、とても興味のあるところです!

彼女は、浜野監督がこれまで歩んできた道にとても興味を持っていました。私は2人の間で通訳まがいのことをしていましたが、二人とも興奮しながら質問が次々と飛び交い、思わず私の通訳にも熱が入ります!

3人で記念写真!!
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このパーティーは7時ごろから始まったのですが、気がついたら11時を過ぎており、私以外の外国人監督たちはいつの間にか、みんな帰ってしまっていました。外国人監督たちと入れ替えで、韓国人の新人監督の一団がやってきました。彼女たちは、卒業制作が短編のコンペで上映され、今はアルバイトをする生活なので、仕事を終えてやっと飲み会に来れたところでした。私以外は全員が韓国人監督、そして映画祭のスタッフたちという特殊な環境ではありましたが、なぜだか異様に盛り上がって、気がついたら12時過ぎに! とうとう終電で会がお開きになるまで私は残っていたのでした。。。

韓国の新人監督たちと!
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普段は化粧品販売のアルバイトやレストランなどで働いているそうです。ガンバレ!!
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日本プログラムのプログラマー、ミョウジョウさんも参加。(向かって右側)
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お開きのあとは、ミョウジョウさんにホテルまで送ってもらいました。歩きながら、ミョウジョウさんとゆっくり話ができたのがうれしかったです。私よりちょっと年下で、ソウルで映画批評を学んだあとに、インド、そしてアメリカへ留学し、昨年ソウルに戻ってきて映画祭に関わるようになったそうです。日本語が出来るのですが、日本語を勉強したことはなく、全て日本の映画からの習得・・・!! すごいなぁ。。。

ホテルに着く頃には1時を過ぎていました。この日も盛りだくさんな一日でした。

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