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[jp] 報道のお春

土曜日は、「映像女性学の会」で「さようならUR」の上映会を開いていただきました。上映会は夜からだったので、お昼から、「レイバー映画祭」に行きました。

「レイバー映画祭」は、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クラインの「ザ・テイク(工場占拠)」が観られると知って、それが観たいがために行きました。ナオミ・クラインはイギリスにいる時に知ったのですが、イギリスの社会運動をしている人たちにとても支持されている人でした。

日本でも、東日本大震災に乗じて様々な改革が進められようとしていたときに、ナオミ・クラインが提唱した「ショック・ドクトリン」(惨事便乗型資本主義:大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革)が引き合いに出され、割と広く知られるようになったのではないでしょうか?

お目当ての「ザ・テイク」の上映は一番最後だったので、他の上映作品も観ることができました。おまけで観れてラッキーぐらいに考えていたのですが、「原発の町を追われて~避難民・双葉町の記録」(堀切さとみ監督・2012年・40分)がものすごく良かったです! 取り上げる人、インタビューの内容など、切り取り方、作り手の立ち位置みたいなものがすごい!と感激したのでした。

作品のあらすじは以下。(レイバー映画祭のリーフレットより)

福島第一原発のお膝元にあり、3・11直後、全世帯が避難勧告を受けた双葉町。町は役場機能を埼玉県加須市に移し、廃校になった高校を拠点に避難生活を送っている。原発と共にあった双葉町の人たちは、ふるさとを追われ、今何を思うのか。避難所で出会った人たちの声を集めた。

私は感激して休憩時間に監督を見つけ、声を掛けました。メディアールのビデオ講座で、松原明さんと土屋トカチさんにビデオ撮影・編集を教わったそうです。・・・話ながら、段々と自分の記憶がよみがえり、私は自分がメディアールで講座を担当した時に、受講生の方が堀切さんをインタビューした映像を見せてもらったことを思い出しました。市民が社会問題について情報発信をするというテーマの中で、堀切さんはインタビューに登場していたのでした。・・・なるほど!

まだ完成直後で、被写体となった方々にも見せていない状態なのだそうですが、この作品が色んな場所で上映されたら良いなと思いました。(早速、「映像女性学の会」での上映作品候補として推薦しました!) 

そんなわけで、思わぬ掘り出し物を見つけた、みたいなうれしい気持ちになったのでした。その後に観た「ザ・テイク」ももちろん良かったのですが。

「ザ・テイク」のあらすじ(レイバー映画祭のリーフレットより)

南米の経済大国として繁栄を謳歌していたアルゼンチンだったが、90年代に極端な新自由主義路線を突っ走って経済破綻してしまった。2001年相次ぐ工場閉鎖のなかで、アルゼンチンの労働者は工場自主管理闘争に立ち上がった。新自由主義の真実に迫った映画「ザ・テイク」は、世界の社会運動・労働運動に大きな影響を与えてきた。

以前このブログでも紹介した、ジョン・ピルジャーもイギリスでは支持されているジャーナリストで、私もとても尊敬しているのですが、私はナオミ・クラインの表現の方が良いなと思いました。というのも、ジョン・ピルジャーの場合、戦争を取材していると言うのもありますが、被害者は可哀想な人たち、悪いのは先進国の権力者たち、みたいな描き方をしています(実際そうなのですけれど)。被害者は全てを奪われ、無力で、無残な姿を晒し、助けを請うています。先進国側の良心ある私たちが、これを何とかしてあげないと、みたいな感じです。(でも、ジョン・ピルジャーの場合、被害者を取り上げるだけでなく、権力者たちに徹底的に向かい合って切り込んでいるので、それがすごいのですが)

でも、ナオミ・クラインの「ザ・テイク」に登場する工場労働者(=被害者たち)は、どん底から自力で這い上がっていくのです。社会的に弱い者とされる人たちの中の、内に秘める力強さ・可能性に光を当てているのが良いなと思いました。民衆の力を信じ、立ち上がる市民たちのポジティブな可能性を描く・・・ 私もそうなりたいです。

映画が終わった後、「映像女性学の会」上映会場である渋谷に向かいました。メンバーの方々が準備をされている最中でした。会場には、映像女性学の会上映の常連の方、PARCの講座で知り合った方、ドキュメンタリー監督の三浦淳子さんなどが来てくれました。

上映の様子
Dsc00151

上映後の質疑応答では、73号棟の今の状況について、撮影方法について、直撃取材についてなどの質問をいただきました。

質疑応答の様子(山上千恵子さんが撮影してくれました)
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上映後の飲み会。皆さん、精力的に活動されている方ばかりで、自己紹介だけで1時間近くあったかもしれません!
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そもそも、この「映像女性学の会」は、映画評論家の松本侑壬子さんが、10年前(? もっと前だったかもしれません)に、社会人向けの講座で映像女性学を教えた時の受講生有志で始めた会なのだそうです。「女性監督の作品を観る」という目的で、これまで上映会を開いてきました。今回で上映会開催は28回になるのだそうです!

「映像女性学」とは聞きなれない言葉だったのですが、松本さんによれば、例えば「映画の中で描かれるヒロイン像の変遷」や「歴代のセックス・シンボル」など、映画と女性のかかわりは、様々な切り口で捉えることができるのだそうです。私自身は、映画を沢山観ているほうではないし、なおかつ脈絡なく散発的に観たいものを観るだけなので、俯瞰的に見れていないのですが、お話を聞いていて女性学の視点で映像を読み解いていくことで見えてくるものがあるかもしれないと思いました。

1次会の後、2次会にも参加しました。この日は、山上さんの紹介で金徳哲(キム・ドクチョル)さんがいらしていました。在日のドキュメンタリー監督として、これまでに「渡り川」等の作品を発表。日本と韓国の国民性の違い、映画監督たちの表現の違いなど、日韓双方を熟知する金さんの分析は的を得て面白かったです。

その金さんは、私の理事長直撃取材シーンがとても印象に残ったそうで、「吉永春子さんに会ってみたら?」と言いました。吉永春子さん、名前をどこかで聞いたことがあるような・・・

以前、JCJのイベントで吉永春子さんの講演会があるというお知らせを頂いて、それでお名前だけ知っていたのでした。(ジャーナリストを目指していたと言いながら、吉永さんのことをほとんど知らない私が無知なのですが)

731部隊の徹底追及で知られる元TBSのディレクター、吉永春子さんは「報道のお春」と呼ばれ、どこまででも追いかけていくジャーナリストとして知られているそうです。80歳を過ぎた現在も、現役で取材をしているのだそうです。吉永さんについて、ネット上でインタビュー記事などがいくつかあります。例えばこちら

山上さんは吉永さんの印象について、「とにかく怖い人だった」とのこと。編集の時には竹の棒を持ち、吉永さんの指示と違う編集をすると、後ろからバシーッンと棒で叩くのだそうです・・・!! 今では暴力としてそんなことは(男女問わず)出来ませんが、山上さん曰く、当時は現場に女性は皆無で、それぐらいしないと(男性)スタッフたちが女性ディレクターの言うことなんて聞かなかった、とのこと。吉永さんの報道マンとしてのキャリアは、そのまま男性型社会とのたたかいでもあったのかもしれません。

会ってみたい! 吉永さん。TBSで手がけた731部隊の番組もぜひ観たいです。TBSのオンデマンドでは、吉永さんが作られた番組が3本見られるようになっているようでしたが、その中に731部隊のものはありませんでした。時々自主上映会のような形で、講演とセットにして上映されたりしているようですが?? 観たいなぁ!

どなたか、どこで見られるかご存知でしたら是非教えてください~

良い出会いに恵まれた映像女性学の会上映会でした。メンバーの皆様、映画を見に来てくださった皆様、ありがとうございました!

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