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[jp] 本編よりも面白い?!

先日より販売を開始した「さようならUR」のDVDですが、映画に登場する73号棟住民の皆さんにはその1週間ほど前にDVDを贈呈していました。

先日の住民の会ミーティングで、住民の皆さんから特典映像の感想を教えてもらいました。中には「本編より面白かった」という人までいて、(まぁ、本編あっての特典映像なんですが)、制作者としてはうれしいような、やや複雑な心境で聞きました。

以下、主な感想:

「あの映画を作るのに、色んなところを撮っていたんだなと思った。奥が深いと思った。畦地さんの映像が出てきて、懐かしく思った」

「裁判が終わったら、この映画だけが懐かしいものになるだろう。この裁判の結果によって、この映画の趣も変わってくるのでは?」

「吉津さんの料理のシーンが良かった」

「座談会では、住民たちの本音が語られていた。あれは自分たちの今の素直な気持ち。是非弁護士たちにも見てほしい。映画とは違った意味で、生の人間が出ている」

・・・といったような感想に加え、皆さんが口々に語ったのは、村井さんと私のやり取りのシーンでした。全部で67分ある、「1年後の住民インタビュー+未公開映像」の中で、3分の1近い18分を占める、契約最終日の村井さんと私の応酬。URの職員を電話で誘い出し、追出しの現場をカメラに収める計画について村井さんと私の思いがぶつかるシーンを観た住民の皆さんからは:

「自分が村井さんの立場だったら出来ない」

「村井さんがかわいそう」

「村井さんの決意がすごかった」

「うちであれをやられたら困っただろう」

「あんな赤裸々なやり取りが映像に撮られることはまずないのでは?」

「村井さんは監督のOKが出るまでやらされた」

「あそこまでしないと、映像って撮れないのね」

「早川さんの主張は、制作者寄り」

etc、撮影者としての私と、当事者の村井さんの思いがぶつかる様子に、映画としてその取材が必要だったということは理解しつつも、でもちょっと・・・というような感想が相次ぎました。

一体何が問題なのか、詳しくは是非特典映像をご覧頂いて判断してほしいと思いますが、私はこの時のやり取りを明らかにすることによって、撮影者は当事者の問題に、どこまで踏み込むことが出来るのか・許されるのか、社会問題を記録するというのはどういうことなのか、という問題提起をしています。

”社会問題”というと壮大な感じがしますが、結局はどんな社会問題も、個人の生活のうえに成り立っているわけです。その社会問題を社会に知らせることには、被写体の人もその必要性は感じていたとしても、その人の思いとは異なるような(しかし映画としては不可欠な)取材やその人の願いを超えた取材はどこまで出来るのか、撮影された後、被写体の人はどのように感じたのか?・・・映画を作り終えて、その時のことをきちんと振り返りたい、当事者にも尋ねてみたいと思ったのでした。

こういう問題は、別に新しいテーマではなく、制作者が上映後のトークで取り上げたり、文章にしたためたり、見聞きする機会はあります。しかし、実際の現場の赤裸々なやり取りが全て記録され、それがそのまま明らかにされる、というのは、なかなか見る機会がないものだと思います。実際、私はこの取材の直後、村井さんを訪ねてきた村田さんに全てお話しました。なので、村田さんも何があったのか、どういうやり取りだったのかは知っているのですが、それでも「実際の映像を観てびっくりした」と言っていました。

ドキュメンタリーを撮り続ける限り、一生この問題から逃れることは出来ませんが、私としては、自分の恥(かなりきわどいやり取りだから)も承知で、考える材料としてこれを取り上げています。(・・・こう書くと、相当シビアなやり取りがあったように思われるかもしれませんが、直撃取材同様、あまりにも真剣で、リアルで、今映像としてみるとその真剣さに逆に笑いが起こるような、そんなやり取りです。)

女性の住民たちは、一様に「私には無理」と言っていたのですが、私は(彼女たちなら絶対できる)と確信しています。同じ状況になったとき、きっと彼女たちなら最後には腹を括ってやるはずだ、と。ま、男性陣の中にはプライドが邪魔をしたり、腰が引けたりして無理な人もいるでしょうけどねcatface

それにしても、「監督のOKテイクが出るまでやらされる」って、まるで劇映画ですよね・・・! 私としてはもちろんそんなつもりはありませんでしたが、(絶対できる! ここで頑張らなきゃどうする)という強い気持ちがあったので、絶対譲らなかったのかも。

気になる当の村井さんの感想ですが「URの人に申し訳なかったな~と思う」ですって・・・! 相変わらず村井さん良い人過ぎる!! そして「大変だった」とも、「楽しかった」とも話していました。撮影当時、私は村井さんとは個人的にお話したことがなかったのですが、逆にこの時の取材が両者にとってあまりにも強烈な体験だったために、この取材を通して人間関係が出来た(=撮影時は人間関係、ましてや信頼関係はなかった)と思います。

時々私の作った映画を見て、今度は自分たちの活動を撮ってほしいといってくださる方々がいらっしゃるのですが、私に限らず、他者に取材されるということは、良いことばかり&自分の思い通りではないと思うので、「撮って欲しい」という人たちが、こういう映画制作の舞台裏を見たらどう思うか、興味がありますhappy01 そういうのも全てひっくるめて、それでも取材OKなのか・・・?!(でも、最初は「無理」と思っても、お互いに取材を続けていくにつれ、関係が出来上がっていくにつれ、考え方が変わっていく、というのもあると思います)

住民の中ではDVDプレーヤーを持っている人の方が少ないので、先週は畦地さんのお宅でDVDの鑑賞会をやりました。以下はそのときの写真です。

畦地豊彦さんの仏前にお線香を上げます
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特典映像では、畦地さんの映像も結構入っています。
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10時間近く撮影して、結局30秒ぐらいしか使われなかった吉津さんですが、特典映像では、一人暮らしの吉津さんが家事をする様子が取り上げられています。
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冷やし中華の具を切りそろえてタッパーできれいに保管する様子に、女性陣から「可愛いわねぇ」との声が。
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最初の住民インタビューを見終えた時点で、お昼近くになりました。畦地さんの作ったチラシ寿司をご馳走になりました。
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豪華な食卓!
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お昼を頂いた後は、特典映像の2番目、寺澤さんのインタビューを観ました。
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寺澤さんを見て、女性たちから「あら、いい男ねぇ」という発言が出たので、寺澤さんが喜ぶと思ってそう伝えて写真を送ったら、「隣の遺骨は何!」と言われてしまいました。・・・私は全然気にしていなかったのですが、確かに自分の映像のすぐ隣に遺骨が置かれているのは、気になるものかもしれませんcoldsweats01Dsc00808

映画作りの話とはまた次元の異なる、調査報道にまつわる様々なエピソードを、住民の皆さんも真剣に聞いていました。
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この後はよこはま若葉町多文化映画祭に行ったのですが、そのことは次回報告しますね!

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