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[jp] どちらの立場も分かるけど!

だいぶ時間がたってしまいましたが、先月末の横浜・ジャックアンドベティで行われた横浜多文化映画祭のことを少し書きます。

この映画祭で作品を上映された、映画監督の中井信介さんに誘われて、初めてジャックアンドベティに行きました。映画祭の最終日に行ったので、観れたのは「孤独なツバメたち~デカセギの子どもに生まれて」1作品だけ。でも、上映後には監督の舞台挨拶があり、その後には劇場の1階で交流会的なものもあると聞いて、ラッキーと思ったのでした。

「孤独なツバメたち~デカセギの子どもに生まれて」は、日本とブラジルの2つの故郷で揺れ動く日系ブラジル人の青年たちの青春を追ったドキュメンタリーで、予告編などは公式ホームページにあります。

何の前知識も、この映画祭での上映後の反響なども知らずに行った私は、普通に映画を観て、上映後の監督舞台挨拶になってはじめて、(あれ?緊張感漂ってる??)と、ただならぬ雰囲気を感じたのでした。

舞台挨拶では、監督と、この映画を観客として観て「一言言わせてほしい!」とやってきた日系ブラジル人の女性が舞台に登場しました。

向かって右側が監督の中村真夕さん
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短い舞台挨拶でも、すでに緊迫感が漂っていましたが、その後劇場1階の会場へ移動。小さな部屋は満席に。
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監督自身は、作品の冒頭でも、この映画は夜の浜松の街で偶然出遭った若者たちを追っていると、一応断り書きを入れているそうですが(←でもそういうのって、観客は大抵見落とすでしょう)、映画に登場する日系ブラジル人たちは、中卒、暴走族、刑務所出入りを繰り返す、ドラッグ、職を転転とする・・・といった、問題児(?)たち。

でも、彼らの状況は、単純に自業自得とは言えないというのは、映画の中ではそこまで描かれていないのですが、でもいちいち説明されなくても、分かりますよね? だって、スタート地点から既に、自分の意思とは無関係に、歴史的&経済的に厳しい環境で生きていかなければならない状態に置かれているのですから。

・・・しかし、自分も日系ブラジル人で、でも真面目に勉強して大学まで卒業し、定職についてがんばっているというその女性(や他の日系ブラジル人)にとっては、日系ブラジル人に対する偏見を助長しかねない人物像ばかりがこの映画に登場するということが、耐え難いのだそうです。

確かに、真面目に勉強して日本の社会にも溶け込んでいる日系ブラジル人から見れば、自分たちのイメージが悪くなるので嫌と言うのも分かる。。。

「なぜこういう人ばかりを映画に登場させたのですか?」、「もっと日系ブラジル人にも色んな人がいる、頑張っている人もいるのだということを知ってほしい」という発言も出ましたが、監督としては「たまたま出会ったのが彼らだった。そしてとても心を開いてくれて、魅力的だった」、「真面目に頑張っている日系ブラジル人にも会ったが、日本に溶け込めている日系ブラジル人の場合、考え方も日本人のようになっているようだった(日系ブラジル人らしさがあまり感じられなかった)」、「日系ブラジル人がなぜこういう立場に置かれているのかという背景的な事情を入れることも考えたが、説明的になってしまうので省いた。青春群像劇として描きたかった。日本の若者たちにも共感してもらえると思った」と監督は説明。

う~~~ん、私も観客として、そして制作者として、どちらの言い分も分かるなぁ! なんだかとてももどかしい気持ちになりました。監督としては一応冒頭で「偶然会った人たち」とかいているわけですが、日系ブラジル人を描く、イコール、その映画を観る人たちにとっては日系ブラジル人をある程度代表させてしまう、ある一定のイメージを与えてしまうという効果は否めないからです。

会場には、日系ブラジル人の女性だけではなく、地域で日系ブラジル人やフィリピンからの移民などの日本語支援などをしている人たちも多く来ていて、参加者の大半は日系ブラジル人の女性に同調している感じでした。

私は悶々としながらもそのやり取りを聞いていたのですが、監督の日系ブラジル人に対する描き方だけでなく、観客の人たちからは、インタビューで語られるプライベートな内容についても話が及びました。例えば、登場人物の一人は、麻薬所持で捕まってしまい、強制送還されるために出頭しなければならないのですが、カメラは行方をくらまそうとする彼を駅で見送ります。これに対して、本人に対して不利になってしまうであろう映像を、たとえ本人の許可があったとしても公にするのはどうなのか、制作者の倫理としてどうなのか?という質問が出ました。

監督は「未成年者でなければ、本人の同意があれば可能」という立場でした。なので、その撮影内容が犯罪に関することでも、本人に不利になりそうなことでも、20歳を過ぎた本人が同意しているのであれば、映画に使用してよい、と・・・。それに、この映像を公開することで、彼の人生に何か不利になるかというと、それはないと思うとも話していました。彼はその後強制送還させられて、そうなるともう日本に戻って来れないのだから、日本でこの映画が上映されても、不利にはならないと。

う~~~ん、どうなんだろう。私だったら、同じ状況に立たされたとき、どう判断するか。多分、バッチリとその状況が分かってしまうような、決定的瞬間の映像は使わないような気がします。それとなくほのめかすとか、後は観客の想像にお任せする、たぶんそうなったんだろうな・・・みたいな、そこまでで十分と思います。犯罪に関わる事案ならなおさら、慎重になると思います。その人がもし、二度とこの国に戻って来れないとしても。それは犯罪の隠匿とかそういうことからではなくて、やはり映像がその人の人生に及ぼしてしまう影響の大きさを考えてのことです。(それでももし使うのなら、それは使うこちら側(制作者側)も、それを背負うだけの覚悟が必要だと思います。)

実際私も、犯罪に関わるような事案ではないですが、インタビューの中の発言で、映画の趣旨と関係ない話題で、本人の評価が無駄に下がるような内容の発言(例えば昔の人が無邪気に使う差別表現など)は使わないようにしています。

・・・と、私はこういうスタンスなのですが、会場からの意見はさらに「被写体本人の同意があれば何でもできる、はおかしいでしょう。映像を使ってよいかどうか判断する第3者機関が必要だ」という発言が出て、私は「それは違うと思います!」と発言しました。被写体本人の同意があってもなお、制作者は使う映像に対して慎重に判断すべきだとは思いますが、第三者機関が発言内容をチェックするなんて、検閲だし、その弊害の方が大きすぎます。なので、それに対しては違うと思います。

なんと、気がつけば映画本編と同じ時間、約1時間半も白熱した議論が続きました! 制作者としても考えるところが多かったですし、何かをテーマとして取り上げることの難しさ(コミュニティだったり、何らかのカテゴリーの人たちだったり)も思ったりして、とても考えさせられるアフタートークでした。ビデオに記録されていなかったのが悔やまれます。

会場のパラダイス会館もステキな空間でした。地図に面白いものが貼り付いてるし・・・!
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トークの後は、黄金町の色街を巡るツアーに中井さんと参加しました。このあたり、暗くなってくると50~100メートル間隔で女性(男性用の男性も)が立つのだそうです(実際、結構立っていました!)。その場で交渉し、契約が成立すればホテルへ。詩人の中村さんに案内してもらい、黄金町の有名スポットを歩いて回りました。

中村さんによると、こちらのお店は女性もペンギン体型なんですって。どういうこと?!
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色街ツアーを終えたあとはパラダイス会館で一杯。ビールと餃子。
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この日は、現役女子大生によるスナックが開かれて、中井さん大興奮。こんなにうれしそうな中井さんを見たのは初めてcoldsweats01(写真後方の町内会のおじさんがガンミしてるのが笑えます。女子大生効果、恐るべし!)
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ビールと餃子で腹ごしらえをした後は、詩人中村さんの、色街にまつわる自作の詩の朗読を聞かせてもらいました。
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中村さんの体を張った黄金町色街体験と、そこから紡ぎだされる詩の世界に引き込まれていきます。臨場感あって、面白すぎ!! さすが詩人です。
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横浜多文化映画祭、面白かったです! また行きたい。

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