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2012年10月

[jp] 文系・理系の垣根を越えて

27日の土曜日は、午前中に住宅研究集会に行き、午後は早稲田大学の大学院で建築を学ぶ学生さんたちの自主勉強会に参加しました。自主勉強会で、「さようならUR」の上映とディスカッションするためでした。9月のドキュメンタリー・ドリーム・ショー@ポレポレ東中野で映画を観た、院生の本間さんが企画してくれました。

副都心線の「西早稲田」駅で降りると、早稲田大学理工学部専用のような出口が! さすがマンモス大学と、小規模大学卒の私は驚きました。
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建築学科の学生、建築学者、建築家、建築事務所etcと聞くと、ハード面(建物)に興味があって、ソフト面(そこに住む人)に関心がない人たちが多い、というイメージを勝手に持っていました。

実際、この日大学に行く前に、住宅研究集会で、建築家たちの間では少数派の、居住権や居住福祉を研究している人からは、「あの映画は、建築を学んでいるだけでは理解しにくいだろう。耐震性が不足している建物というだけで、まず(なぜ引っ越さないのか?)と思うだろう。住まいに対する愛着や引越しの難しさは、社会経験やある程度年をとった人でないと、実感をもって理解しにくい。建築よりも社会学や公共政策、福祉を学ぶ学生の方がまだ理解できるのでは?」と言われました。

・・・そんな風に言われると、(上映後のディスカッションは、果たしてかみあうのか?!)と一瞬不安にもなりましたが、事前に本間さんから自主勉強会について聞いていましたので、(多分大丈夫)と思って向かいました。

本間さんたちが活動する自主勉強会は、「家の根本義ゼミナール」というユニークな名前。その活動内容について、以前メールに書かれていた説明を引用すると・・・ 

「家の根本義ゼミナール」は、「家とは何か」という根源的な問題を、建築計画学だけでなく、社会学・歴史学・文学・民俗学・人類学など横断的な領域から検証していくブレインストーミングゼミです。

社会学者の上野千鶴子さんが「家は家族を容れるハコである」と主張したことに対して、「果たして家とは本当に単なるハコなのか」という問題意識を出発点に活動している今年3年目の自主ゼミです。

とのこと。なので、きっと建築の技術的な関心だけではなく、もっと総合的・複合的に建物や住まいを考える人たちでは?と思いました。

1時ごろに待ち合わせをして、教室へ。簡単に挨拶をしてから、早速映画の上映が始まりました。
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上映後はディスカッション。まず、私から自己紹介と、映画を作ったいきさつや、この映画を作ってUR団地・日本の住宅政策について思ったこと、見方が変わったことなどを話しました。そして、大前提として、私はドキュメンタリー制作者として、社会問題・住宅問題という視点からこの問題に興味を持った、建築を学んではいない、ということも説明しました。

その後、ランダムに質問や感想をもらいました。裁判で住民側は何を求めているか、何を持って目的が達成された(=勝利)と思うか。URが宣伝している多摩平の団地再生の事例を聞いていたので、この映画で取り上げられていることは、URの表向きの姿とはだいぶ違うと思った。自治会はどうなのか。あっせんの具体的な内容は。高幡台団地の規模は。他団地の事例は参考にしたのか等々。(参考にした他団地の名前を当日ど忘れしてしまいましたが、73号棟の建物とよく似た構造の、横浜にある「UR奈良北団地」の耐震改修でした)

質問を聞きながら、映画で伝えたいメッセージが理解された上で質問をしているということが伝わってきました。また、質問は建物に関することが中心になるかなと思っていましたが、実際は映画作りに関わるような質問も沢山頂いて、文系と理系が普通に入り混じっているような感じでした! これは珍しいことではないでしょうか? 

例えば、エンディングのクレジットで、ドキュメンタリー映画なのに「登場人物」と書いてあるのはなぜか、欲しい映像を撮るための”演出”はどこまで許されると思うか・・・なんていう質問まで出たのです。

一通りの質問の後で、今度は一人ずつ自己紹介と映画の感想をもらいました。名前と、所属と、そして出身地・・・。出身地は別に言わなくても?と思いましたが、実際聞いて見ると、確かに出身地の環境も考え方に影響を及ぼすので、なるほどと思いました。

大学院レベルで建築を学ぶというと、もちろん大学では建築を専攻した人たちだと思っていたのですが、実はかなり多様なバックグラウンドを持った人たちが学んでいるのでした。幼少期を海外で過ごし、今は建築を学んでいるけれど、将来は演劇の道に進みたいという人。美大を卒業後に大学院で建築を学ぶ人。育った場所には団地のような集合住宅はあまりなかったという人。中国からの留学生。大学では民俗学(多分?うろ覚えsweat01)を学んでいたという人等々。

それぞれの人の感想は、それぞれのバックグラウンドから来る質問が多くて、それも興味深かったです。例えば、美大で学んだ人は、私の映画を見て、住民の人たちの部屋の様子にとても興味を持ったようでした。各住民の部屋はそれぞれ全く同じ間取りのはずなのに、40年も暮らすと、まるで別の住まいのように見えます。それを私は「40年かけて作る小宇宙」と勝手に命名しているのですがhappy01、グラフィックデザインなどに興味のある人には、彼らの部屋が醸し出す圧倒的な生活感は、面白いのでしょうね。

また、中国からの留学生からは「中国では公共事業が優先される。国が道路を作りたいといったら、立ち退かせられる。その代わりに別の土地や家をもらって、それで生活していける」と話していました。(ちなみに、彼の研究テーマは人間の行動心理などだそうで、例えば「休憩室を作っても、あまり使われないのはなぜか?」、「斜めの床で生活するとどうなるのか?」などを研究しているそうです。つくづく、”建築”とひとくくりにはできないほど、建築の分野は多様なのだ、と実感)。

また、映画の内容とは直接関係ありませんが、自治会やコミュニティーについて話題となったとき、文系出身の人から「建築に関わる人たちは、やたら”コミュニティ”という言葉を使いたがる。この言葉はちょっと使われすぎ。人が集まれるスペースを作れば、”コミュニティ”は自動で生まれるかのように思っているふしがある」という発言も出ました。確かに、特にこの高齢化社会が進んで、しかも震災が起きてからは”コミュニティ”という言葉が、実態からかけ離れて、万能な解決策のように使われていますよね。

文系からも大学院で建築に進む人がいるというのは衝撃でしたが、文系や理系という垣根を越えて活動する人が増えたら、それはより実社会の感覚に近くなれるでしょうし、良い結果を生むのではないでしょうか? この日のディスカッションで、そんなことを考えました。

本間さんからは、映画に登場する建築家の先生が「耐震性を持ち出したら、一般の人はもう分からない。専門知識・技術は、本来住民のために使うものであって、欺くために使ってはならない」という発言が、自分も専門知識を学ぶ者としてとても印象に残った、という感想をもらいました。

この発言を聞いて、私は以前、映画に登場する住民の畦地さんが話していたことを思い出しました。UR内部にも建築の専門家がもちろんいて、その人たちが(政治の思惑や経営者の意向によって)耐震不足&改修工事はしないという方針にお墨付きを与え、必要な資料などを作成したり、住民説明会で発言したりしたわけです。相原先生が憤ったように、畦地さんも、専門家がその知識を住民を欺くために使ったことに対し、とても怒っていました。

「世界で一番頭がいい人たちが集まって、何を作った? 原子力爆弾だよ。大量に人を殺す兵器だよ」と畦地さんは言いました。原子力爆弾は極端な例に聞こえるかもしれませんが、専門家がその専門知識を国民生活のために使わずに、地位やお金、研究のために国に取り込まれ、国民を苦しめるような結果になってしまうことを言っていたのだと思います。

これは技術者や科学者にだけ言えることではなく、御用学者として国の有識者会議に参加する法律家や、三権分立といいながら国に加担する裁判官、さらには戦時の従軍作家、映画監督など、あらゆる職業に及びます。

専門知識・職能は国民の生活のために!と、つくづく思います。

気がついたら2時間以上もディスカッションをして、5時過ぎになっていました!!

ディスカッションの後で。
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皆さんと。どうもありがとうございました!
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↑微妙に立ち位置が変わっているのが面白いです。。。happy01

ディスカッションの後は、研究室を見せてもらいました。私は大学院で学んだことがないので、研究室に入るのは(たぶん)初めて。

ズラ~っとマックのパソコンが並ぶ様は、研究室というより、デザイン事務所みたいな印象。
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私はパソコン自作派なので、必然的にウィンドウズなのですが、なんで全部マックなのか、建築系はマックを使う人が多いのかと聞いたところ、かなり「先生の好み」によるところが大きいようですhappy01。なるほど。

大学のゼミや自主勉強会で、上映やディスカッションをしてもらうのは初めての経験でしたが、おかげさまでとても楽しく、刺激を受けました。

企画してくださった本間さん、そして参加していただいた皆さん、どうもありがとうございました!

追伸:
それにしても、まだ新しい「西早稲田」駅、構内のベンチ・デザインがひどすぎてびっくり。
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以前、このような記事を書いた私としては、会社から頼まれてこういうデザインをするデザイナーも、「職能を国民のために使っていない!」一例だと思ってしまいます。こんなベンチ、座りたいと思わないですよねぇ・・・bearing

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[jp] 意外にも活用

このブログでも度々触れていますが、原則第4金曜日に開催されている「女たちの一票一揆」集会で、私は撮影を担当しています。つい先日、26日にも集会があり、私は撮影をしました。

主催者の方から、集会を最初から最後まで記録して、それをDVDにしてほしいと言われているので、毎度そのようにしているのですが、私としてはこういう集会の記録というのは”とりあえず撮っておく”ためのものなのだと思っていました。後から記録することは出来ませんので、今は具体的な使い道はなくても、将来のために記録・保存しておくということです。実際、私もそのようなつもりで撮影した素材は、これまでにた~くさんあり、保管箱(ダンボールcoldsweats01)の中で数年間眠っています。

なので、先日の集会のあと、主催者の方々から「あのDVD、とても役に立って、助かっている」と言われて、驚きました。主催者の主要メンバーは福島に住む女性たち(「原発いらない福島の女たち」)なので、毎月集会のために東京にやってくるのがとても大変で、参加できなかった人たちが、DVDで集会の一部始終を知ることが出来て、とても役に立っているのだそう。

(将来何かで役に立てば・・・)というつもりで撮影をしてきましたが、今実際に役に立っていると聞くと、うれしいものです。撮影する側としても、モチベーションが上がります。

これまでは、ずいぶんのんびりと撮影後の素材のDVD化をしていましたが(次の集会に間に合えば・・・ぐらいな感じ)、待っている人たちのことを思うと、急いで作らなければ、と思うようになりました。

次回の「女たちの一票一揆」集会は、金曜日ではなく水曜日です。お時間のある方は是非ご参加ください!

次回の開催概要
11月28日(水)13時~
衆議院第一議員会館多目的ホール
資料代500円
内容
松崎道幸医師による「今、福島の子どもたちを守るために何をすべきか?
福島の子どもたちの最新甲状腺検査とチェルノブイリ、原発労働者のデータから」

以下、先日の集会の写真を掲載します。
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[jp] ドキュメンタリーのハードルを低く!

ここ数日あまり、10月28日(日)に予定されている、JCJジャーナリスト講座の内容を考えていました。私はこの講座が初めてなので、先週末は第1回目の高知新聞(元北海道新聞)記者の高田昌幸さんによる、「報道の文章をどう書くか」という講座を見学しに行きました。

定員40名をかなりオーバーしているのでは?と思うほど盛況で、マスコミを志望する学生らしき人たちの参加も多く見られました。

高田さんの講座は、分かりやすく、とても実践的で、マスコミ志望の学生には就活の試験にも役立ちそうなアドバイスも沢山ありました。また、マスコミを目指しているわけではないけれど、ジャーナリズムに関心があるという社会人にとっても、分かり易い文章を書くのに使えるテクニックが満載で、私も(なるほど~)と思いながら聞きました。

・・・さて、では私が担当する回はどうなるのか・・・

私は、私自身が実践していること、そしてそんな私に講師の誘いをしてくれたJCJが私に期待していることは、高田さんに期待するものとは根本的に違うのだと思っています。

まず、大きな違いとして、私の場合は「インディペンデント」(もしくは「フリーランス」)の表現者であるということが、大前提にあると思います。これはとても大きな違いで、インディペンデントか否かは、あらゆる過程(題材、取材、撮影、構成、編集、上映etc)に違いが出てきます。また、起こる問題も違います。

よって自分の講座は、「インディペンデント」という立場で社会を記録して、情報発信をしたいという人に向けた内容ということになるのだと思いました。マスコミに就職希望の学生さんにとっては、ほとんど役に立たない内容かもしれませんが、マスコミを経て将来フリーになる人には、何か参考になるかもしれませんhappy01

1回きり、100分の講座ですので、撮影や編集の技術的なことには触れませんが、技術よりも大事なのは考え方や心構え(特にインディペンデントのドキュメンタリーは)だと思うので、考え方や制作のベースに役立つようなことをお話したいと思っています。

講座では、「インディペンデント」であることと、「映像による表現」であること、そこから派生する様々なことに触れたいです。私の信条として、ドキュメンタリー制作の敷居を低く、あらゆる人が表現者に、という思いがあります。なので、「お金がない」、「企画が通らない」etcがゆえにドキュメンタリー制作をあきらめるようなことがあってはならない!と思うので、あらゆる手段を駆使して、マスメディアに頼らず、自分たちで取材し、情報発信していくための方策などをお伝えできたらと思っています。

でも、何よりもまず、映像を全くやったことがないという人にとっては、「ドキュメンタリーを撮る」と聞いたら、ハードルが高そうに聞こえてしまうのではないでしょうか? 何か大きな社会問題を撮らなければならないのでは?と思ってしまう人もいるかもしれません。でも実際は、あらゆる”社会問題”は(誰かしらの)日常生活の延長線上にあり、私たちの身の回りで日々面白いことや困ったことが起きています。それらを記録すること自体、既に”ドキュメンタリー”の制作行為だと私は考えます。

そのことを示す、好都合な映像を見つけました。それは私が4年前にロンドンで撮影した映像で、偶然見かけたストリート・アーティストにインタビューをしたものです。道路にチョークでステキな絵を描いていたので、それに興味を持って撮影をしたのですが、会話が始まり、路上での表現行為を考える・・・という思わぬ展開になりました。

社会を考えるきっかけというのは、実はどこにでも転がっているということが、この映像によってより具体的にイメージとして伝われば・・・と思います。

また、映像の初心者にとって、ストリート・アーティストは格好の練習対象でもあります。私もこれまでに沢山、色んな路上アーティストを撮影させてもらいました。人にカメラを向けるというのが、まず大変なことで、嫌がる人が多いのが普通ですが、路上アーティストの場合、人に見てもらいたくて公の場で披露しているのですから、撮影をOKしてくれる可能性が高いです。そして、絵になりやすいので(←これもうれしいポイントcatface)、こちらの技術力不足をカバーしてくれるのです。

そんなわけで、路上にいるパフォーマーの撮影を、私は良くオススメしています。しかし、同じく路上にいるからと言って、野宿生活の人を撮影するのは、逆にこれは超ハードルが高いですよね。居たくて路上にいるわけじゃないんだから。無礼な撮影は、最悪の場合殴られるでしょうbearing 

ロンドンのストリート・アーティストを撮影した映像はこちらです。オリジナルは英語のキャプションを付けていたので、その部分のみ塗りつぶして日本語字幕を入れています。撮影があまりにもガタガタでスミマセン! 

一方、「インディペンデント」は自分で自由に情報発信が出来る反面、リスクもあります。講座では、インディペンデントならではの注意点についても触れたいと思います。撮影時の注意点、ネットで公開する際に気をつけること、撮る・撮られるという関係、カメラの可能性と暴力性、マスメディアとの付き合い、記者クラブ制度・・・etc、自分の苦い実体験(bearing)も交えながら話します。

JCJのジャーナリスト講座の概要は以下。このロンドンの映像を含め、新旧さまざまな映像をふんだんに交えて(30分以上の映像を用意!)「ドキュメンタリー映像を撮る」ことについて語ります&皆さんと語り合いたいです。ご都合の合う方は是非いらしてください!

開催概要:
2012年10月28日(日)13:30~17:00
築地社会教育会館・視聴覚室
(東京都中央区築地4-15-1 最寄り駅:東銀座駅または築地市場駅より徒歩5分)

①「脱原発報道で『こちら特報部』の果たした役割」
   東京新聞・野呂法夫デスク
②「ドキュメンタリー映像を撮る」
   早川由美子

※定員40名(要予約)
※申込はJCJ事務局 jcj@tky.3web.ne.jp または電話03-3291-6475(土日休み)

JCJジャーナリスト講座は全7回。講座一覧はこちらをご覧ください。

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[jp] The Peace Project経過報告

ロンドンのマリアより、アート・ギャラリーで行われた「The Peace Project」の様子がメールで送られて来ました。

The Peace Projectのホームページも作られていて、展示初日のパーティーにはターナー賞受賞アーティストのマーク・ウォリンジャーも駆けつけたそうです。

ホームページはこちら

他に送ってもらった写真を紹介します。

首相官邸のドアを模したPeace Plinth。それにしても本物そっくり!
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ギャラリー内の様子
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様々なアートが施されています。
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これ傑作!! イギリスの小売店最大手・テスコを戦争批判のアートに使ったもの。この作品を作ったアーティストの名前が「T. WAT」(twat=馬鹿)というのもすごいセンス!!
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展示は18日までだったそうです。

ちなみに、これまでパーラメント・スクエアに置かれていたPeace Plinthはオークションにかけ、その売り上げをイラクの子どもたちへ寄付するとしています。既に購入希望者がいるのか、それともこれからオークションをするのか、聞いてみようと思います。

パーラメント・スクエアでの恒常的な抗議活動を禁止する新法のせいで、Peace Plinthはパーラメント・スクエアから撤去されたわけですが、現在もマリアは裁判でこの法律の有効性を争っています。

既にこのブログで説明済みですが、この新法は厳密に言うと”恒常的な抗議活動”を禁止はしていませんが、夜通し抗議活動をするための寝袋やテントなどの持込を禁止する法律で、それにより実質的に恒常的な抗議活動を出来なくさせています。

本当に驚くべきことですが、ロンドンの厳しい冬と、ロンドン・オリンピックを乗り越えて、バーバラは未だに寝袋&テントナシの抗議活動を現在も継続中です。

以上、パーラメント・スクエア関連の報告でした。

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[jp] 映画が書証に

完成から約1年半あまり、裁判開始にあわせて大急ぎで作った「さようならUR」ですが、この度、弁護団からの要請により、住民側の最終準備書面に書証(裁判所に提出する証拠)として提出されることになりました!!

裁判になった際、世論形成の一助となってほしいという思いで映画を作りましたが、まさか映画そのものが裁判の証拠として提出されるということまでは想像していませんでした。(裁判所に提出されたとしても、だからと言って問題のあるような造りにはしていませんが)。

書証は3部作成しました。裁判所、原告(UR側)の弁護士、被告(住民側)の弁護士の分です。超マニアックにこだわって作ったお気に入りの”特典映像”は提出せず、映画本編のみを提出しました。(特典映像のこだわりやメッセージは、裁判官や企業弁護士といった人たちには理解されず、かえって映画のインパクトを薄めてしまうと思ったので)

映画が裁判の証拠として使われるという経験はもちろん初めてなのですが、それによってどうなるか、何かあるのか、興味津々です。

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[jp] 赤旗「ゆうPRESS」へインタビュー掲載

先週の月曜日、10月8日付けの「しんぶん赤旗」に、インタビュー記事が掲載されました。インタビュー&記事を書いてくださったのは、赤旗記者の栗原千鶴さん。インタビュー時には、私や映画に関するインタビュー以外にも、思いがけず韓国の自主ドキュメンタリー映画についても盛り上がったりして、楽しいインタビューでした。

許可を得て、掲載記事を紹介します。20121015_akahata_1

この記事が掲載された後、かなりの反響がありました。ほとんどは映画に関する問い合わせや申込でしたが、中には私の住まいを心配してメールを下さる方も!

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8日付日刊しんぶん赤旗で知りました。
家賃きびしいなら、小生の没後、拙宅にお住まい下さい。
ただその際、妻が生存している場合は、必ずもめます。
双子の娘と息子(24才:院生・大学生)がいますので、話し合いして下さい。

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幸い、現在は姉のところに居候できていますので(?!)、狭いながらも住居の心配はしていませんが、このように心配してくださる方もいるなんて・・・!と感激しましたhappy01

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[jp] 合う映像探しに難航

9月28日は、第4回目の「女たちの一票一揆」集会に、再び撮影スタッフとして参加しました。今回の集会は、福島原発被災避難者からの要望報告を中心に、後半はそう遠くない総選挙に向け、反原発を実現するための選挙対策が話し合われました。

約3時間に及んだ今回の集会で、私が一番印象に残ったのは、原発いらない福島の女たち・鈴木絹江さんによる「女風呂のすすめ」の朗読でした。鈴木さん自身が書かれた詩だそうです。

私はこの詩の朗読を、集会のダイジェスト映像とは別に編集したいと考えました。しかし、詩の持つあたたかでしなやかな雰囲気は、集会の会場である殺風景な参議院議員会館の風景とは合わないように感じました。

女風呂のわいわい、ガヤガヤした雰囲気を伝えるにはどんな映像を使えば良いか? 実際に銭湯の女風呂を撮影させてもらうというのはかなりハードルが高いと思いますし、実際に市内の銭湯を調べもしましたが、銭湯自体どんどん潰れていっているということが分かりました。(23区内は、家賃を少しでも安くするために、今でも風呂ナシアパート物件は結構あると思いますが、23区外で風呂ナシアパートは、なかなか需要もないと思います)

アヒルのビニールのオモチャでも買って、桶(木製の桶が望ましい)に浮かべるとか・・・も考えましたが、撮影後にオモチャと桶無駄になってしまうので、断念。さて、どうするか・・・

結局、お風呂や水とは関係ありませんが、以前友達の家のホームパーティーでお邪魔した時に灯されていたキャンドルの映像を使うことにしました。暖かみ、ぬくもりみたいなイメージは伝わるかな、と。

キャンドルの映像を探してみると、見つかりましたが1分弱ほどしか静止で撮影していません。朗読は3分ほどあるので、手抜きではありますが、同じ映像を数回繰り返してビデオの中で使うことにしました。

どこでどんな風に使うか分からないですから、今後何かいいな~と思う風景やちょっとした小物などがあったら、できるだけ長めに、カメラをぶれさせずにきれいに撮っておくことが必要だと思いました。

「女風呂のすすめ」映像はこちらです。是非ご覧ください。(約3分)

また、集会全体のダイジェスト映像はこちらです。福島原発被災避難者の要望報告のみ抜粋してまとめました。こちらは約57分。

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[jp] 「プータロー」の正確な意味?

日曜日は、韓国のクリスチャン系のラジオ局、CBSの取材を受けました。CBSは韓国の民主化にも貢献したラジオ局だそうで、社会問題の報道に定評があり、今回は来たる韓国大統領選のために、日本の社会問題を取材し、大統領候補に政策提言をするための番組を制作しているそうです。数日間の日程で、東京、大阪、南三陸などを取材し、日本で社会運動に携わる人たち、実際に貧困や福祉の問題で当事者になっている人たちに話を聞くとかで、私にも声を掛けていただきました。

事前に通訳の方に「さようならUR」のDVDを送り、映画を観てもらいました。その上で、日曜日に高幡不動駅で待ち合わせし、73号棟住民の会・村田さんのお宅へ、CBSのプロデューサー、通訳のイ・ヨンチェさん(恵泉女子大の先生)、先生の教え子の女子大生とともにお邪魔しました。

イさんは、村田さんに会うなり「映画で見るよりずっとお若くて、ハンサムですね!」と言いました。これと全く同じ言葉、15分前にイさんは高幡不動駅で待ち合わせした私にも言ったんですけど・・・!!!coldsweats01 もしかしてイさんの営業トークでしょうか?happy02

プロデューサーは、訪日は3度目ですが、日本人の家庭を訪問するのは初めてだそうで、典型的な日本の「団地」である村田さんの家庭を珍しそうに眺め、あれこれ写真を撮っていました。
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同行した女子大生も、「うわっ、昭和の香りがする。うち、こういう色の家具ないし!」と言っていました。昭和と平成の違いは「色」なのか・・・? 女子大生の発言に、ちょっとびっくり。でもそういえば、いまどきのデパートではこういう「色」の家具は売られていません。(売られているとしたら「人間国宝の家具職人による手仕事・実演販売」みたいな家具でしか、お目にかかれないでしょう)

これは「昭和」の色・・・?
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お菓子を載せるお盆やおしぼり置き。こういうアイテムもやはり「昭和」なのか・・・gawk
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挨拶の後、早速インタビュー開始。村田さんご夫婦が結婚してからの住まい、73号棟に入るまで、ここでの生活、立ち退きのこと、なぜここに住み続けているのか・・・etc、質問が続きました。彼女の質問を聞いていて、ことばの違いはあるものの、質問の内容が日本人に比べてかなりストレートだなと感じました。日本人同士だったらちょっと聞きにくいようなこと(当時の給料や現在の年金の受給額など)も聞いているのが印象的でした。

インタビューの様子
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ラジオ取材なので、ICレコーダーとマイクで取材をしているわけですが、性能が良さそうな彼女の機材に興味津々。
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日本に暮らし始めて15年のイ・ヨンチェさんの通訳は、日韓の社会運動に精通しているだけあり、素晴らしいものでした。

イさんのメモ書き。通訳の人によるかもしれませんが、イさんの場合は、村田さんのお話を日本語で聞きながらもメモ書きは全て韓国語。メモする時点で既に韓国語に翻訳しているわけです。
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この73号棟の立ち退き問題に対して、ひとしきりの質問があった後、プロデューサーがいまいち理解が出来ないのが、「URの対応のよさ」でした。以前、中国の雲南省で上映した時に、中国の追出しのすさまじさについて知りましたが、韓国でも同様とのことでした。建物の取り壊しを決めて、住民を追出すときには、立ち退き金や引越し金はほとんど支払わず、他の物件の斡旋もしない、立ち退きを拒否して住み続ける住民がいても、電気や水道は止め、建物を壊し始める・・・。日本は恵まれているのではないか?ということでした。

それに対しては、引越し金なんて全く十分な金額ではないこと、引越しで新しい土地に行くことにより、これまでのコミュニティや人間関係が破壊されてしまうこと、高齢者の場合は引越しで環境が変わることにより病気になったり、痴呆になったりする場合があること、これまでの家賃と変わらない場所へ移転したい場合は、とても古い建物だったり、交通の便が悪いような所しかない、エレベーターの付いていない場所への移転もあるetcを説明しました。

中国や韓国の状況からみれば日本はマシ、と言われるかもしれませんが、追出しのやり方があからさま・暴力的であるかの違いだけで、住まいが国家や大企業の都合によって奪われる、住まいが安定していないという点では全く同じです。そして、この日本の状況も人権の考えがより成熟した国から見れば、ヒドイ状態であると思います。

インタビューの7割ほどは村田さんで、3割ほどは私に対してでした。この73号棟の立ち退き問題について、取材者という立場から、村田さんの答えに補足的に付け加えたり、また、私自身の生活や社会に対して思うことなどを話しました。

どうしてこの問題に興味を持ち、映画を撮り始めたか、という質問をされたとき、私は「自分はプータローで、居候生活をしながら映画を作っているため、家賃のかからない暮らし方というのに興味を持っていた。それで住宅をテーマに映画を作って見たいと思った」などと答えました。

日本での生活が15年のイさんですが、「プータローとはなんですか? どんな字を書きますか?」と聞かれました。

・・・プータローを説明しろって言われても・・・

初めてのことに、私は戸惑いました。仕事をしていない人、定職についていない人・・・う~ん、でも、なんか響きが違うよなぁ・・・

女子大生がネットで検索すると、ウィキペディアのページを見つけました。

「就労可能な年齢等にありながら無職でいるものの俗称である。「プー」 などとも略す。「プー太郎」と表記されることもある。特に女性に対しては「プー子」と表記することもある。」

とのこと。え・・・そうなの・・・? あわてて村田さんが「え、それは違うでしょ」と言ったのですが、プータローの説明が難しい!

「ニートとは違うんですよね?」とイさんに言われたのですが、ニートとも違うと思う。フリーターとも違う。フリーターは正社員じゃなくて、アルバイトそしている人なんだから、仕事(賃労働)をしています。

フリーランスのジャーナリストたちの飲み会に参加すると、自虐的に「プータローです」と自己紹介する人も多く、私もそういうノリで使っているのですが、日本人同士だったら説明はする必要がないと思いますが、あえてプータローを説明するとしたら、どうなるのか?!

私自身は、生活の中で「ドキュメンタリーを作る」というのが第一で、それは職業かと問われれば、「職業」=「ビジネス」=「賃労働・それでお金を稼いでいる」という価値観の人からの問いであれば、「NO」になると思います。

ドキュメンタリーを作りつつも、お金を稼ぐには、マスメディアで働いてドキュメンタリーを作るのが一般的かもしれませんが、でも、マスメディアで働いたら、「社会問題を伝えたい」というモチベーションから、一番かけ離れたことばかりやらされそうだし・・・。

そういうわけで、就職はせず、ドキュメンタリーを作り、それを上映したり販売したりして少しでも費用を回収する・・・という現在の状況になってしまうのです。強く望んでそうしているというよりは、そうせざるを得ないからそうしている、というだけのこと。

以上の理由から「プータロー」をしているのですが、それがCBSのプロデューサーに伝わったかどうか。まぁ、韓国のマスメディアは、例の大規模ストライキにみられるように、日本よりもずっと健全ですからね。なかなか理解しがたいことかもしれません。

ツイッターでこれをつぶやいたら、ある人から「韓国にはプータローがいないということ?」という質問を頂いたのですが、私はプータローという存在は、ずっと昔から世界中にあると思っています。ただ、それを指す固有名詞がわざわざあるのが日本なのでは?と。イさんにも、詳しくプータロー状態を説明して、さらに「メディア・アクティビストのドヨンみたいな感じで生きている人とか」と説明したら、プータロー像が想像できたようでした。

それにしても、「プータロー」でこんなに盛り上がるとは、想像していませんでした!

でも、つくづく日本語って便利だなぁと思うのが、この命名の上手さ。世間にはあまり歓迎されないようなネガティブな事象に限って、朗らかな名前が付けられていることが良くあります。例えば、愛煙家とか、居候、そしてプータロー。

「お仕事は?」と聞かれて「無職です」と答えたら、ずいぶん暗い雰囲気になり、聞いたほうも(聞いちゃまずかったかな?)、とか(病気で失職したのか?)とか、あれこれ考えてしまうかもしれません。でも、「プータローです」と答えると、なんとかこの人は生きていっているんだな、とか、ずいぶんお気楽に生きているんだな、とか、軽く受け止めると思うのです。

もしかして人間関係を円滑にするための言葉なのかもしれませんhappy02!!!

その後、インタビューでは、日本の高齢化や孤独死などの話題にも及びました。主に村田さんが回答をしましたが、私も、私世代の立場から「今の高齢者たちは貯金もあるし、年金額も高いから、まだ恵まれている。でも、私たちの世代は貯金もなく、年金もほとんどもらえないと予想されている。問題はこれからだ」と答えました。だって、本当にそうだと思いますから。

約2時間のインタビューが無事終わり、記念写真を撮りました。
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私はソウルで4回取材を受けましたが、村田さんは海外メディアの取材が初めての体験でした。初の海外取材について色々と思うことがあったようです。帰りの車の中で、日本人同士では必要ない大前提についても、海外の人にはそこから説明しなければ分かりにくいだろうと話していました。特に、追出しに対する日韓の違いについては、日本は借地借家法で守られているところが大きい(改正によりだいぶ権利は後退していますが、それでもなお)と言っていました。

海外の人に取材してもらうというのは、普段と違う発見があって面白いですねhappy01

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[jp] 非暴力直接行動の真骨頂

先週土曜日の夜は、御茶ノ水の明治大学へ、新得空想の森映画祭でもお世話になった藤本幸久&影山あさ子監督による「ラブ沖縄@辺野古@高江」を観にいきました。

私が会場についた時は、ちょうど「One Shot One Kill」の上映が終わった直後で、藤本監督による解説がありました。

約1年ぶりにお会いする藤本監督は、沖縄での長期撮影のせいか真っ黒に日焼けしていました! 新得ではこの肌の色は相当浮くでしょうねcoldsweats01
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6時からは高橋哲哉さんによる講演。テーマは「犠牲のシステム 福島・沖縄」
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不覚にも半分以上寝てしまい、講演の内容はおぼろげ・・・bearing 会場には知っている人が何人も来ていて、「寝てたでしょ?」と指摘されてしまいました・・・! 知り合いのいる会場は、用心しなくちゃと思った次第。 

ですが、講演のあとの2時間の映画は、前列に移動し最後まで熱心に見ました。私は辺野古には行ったことがないのですが、高江は3年前に訪ね、ヘリパッド反対のキャンプに泊めてもらったこともあります。

沖縄の新聞と本土・東京の新聞での報道の格差は、以前このブログでも書いたとおりですが、辺野古の海上でカヌーに乗り、建設を阻止する人たち、高江の森の中で、建設の土嚢を運び入れさせないようにトラックの前に立ちはだかる人たち、そういう人たちの体を張った非暴力直接行動で、日々の作業工程を遅らせている様子が、映画では克明に描かれていました。

工事の妨害をして作業を遅らせることに何の意味があるのか、もっと組織的な抗議活動をしたら?という声もあるかもしれません。実際、ブライアンの活動に私が加わっていたときにも、沢山の人からそういわれました。「戦争を止められてないじゃない」と。

でも、映画の中で、辺野古の阻止行動に参加している女性が「私たちにできることは、少しでも(基地建設を)遅らせていくための闘い。その間に日本中、世界中が動いているじゃないですか。そんなふうに、世界中、日本中、沖縄中の心ある人たちが動いている、そのための時間作りが私たちの、海の上の役割だと思っている。だから休めないの。休みたいけど」と微笑みながら話すのを聞いて、はっとしました。建設を遅らせるための闘い。世の中の心ある人たちが動いてくれるまでの時間作り・・・

祝島、大間の原発建設反対のための、個人たちによる非暴力直接行動も同じ。現場の人たち、応援に駆けつけられる人たちが、最前線で頑張っている間に、世の中が動い事態を変えていく・・・。

非暴力直接行動はやっぱり大きな意味がある。改めてそう感じた夜でした。

「ラブ沖縄@辺野古@高江」は、最新の普天間の状況も加えて再編集し、12月8日からポレポレ東中野で公開されるそうです。

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[jp] 相手を選ばないと悲劇

先週末は連日出かけていました。土曜日はお昼から、ポレポレ東中野へ、「ハダカの城」アンコール上映に先駆けたトークイベントを聞きに行きました。

「ハダカの城」は、今から10年前に、雪印食品による牛肉偽装詐欺事件を告発した、冷蔵会社社長を追ったドキュメンタリー映画です。雪印食品といえば、食肉業界の中で超大手。その会社の不正を告発した社長は、会社を倒産に追い込まれながらも、世間からの支援によって再建を果たします。しかしながら、未だに内部告発者が冷や水を浴びる社会では、再建をしたとは言っても、以前の経営業態には及ぶべくもない状態。

映画は拝見していましたが、この日は映画に登場する社長、社長の息子さん、そして当時一緒に取材に当たっていたメディアの人も加わったトークイベントということで、行ってみたいと思ったのでした。

トークイベントの様子。壇上向かって左から、司会者の越智あいさん、水谷洋一社長の息子さんである水谷甲太郎さん、当時この問題を取材しテレビで報じた香川今生さん、「ハダカの城」監督の柴田誠さん。
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取材当時の様子などのエピソードが語られていました。

お話も興味深かったのですが、私は柴田さんお手製の一脚から目が離せませんでした。
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奥様曰く、柴田さんが自分で作ったものだそうです。こんなの、売っているのをみたことがないですから、自分で作るしかないですよね。一脚に2台のカメラを載せて、それぞれのアングルで撮影をするとは・・・! 柴田さんも自主制作監督なので、一人で撮影・編集をこなしています。機材も一人でやり易いような工夫をしていて素晴らしい! 私も見習いたいです。

自分で話すときにも撮影は続行!
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トークの後半からは、映画の主人公でもある水谷洋一社長が登壇。(中央のサングラスをかけた男性)
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映画の中でも、十分強烈な個性は伝わっていたのですが、舞台上ではさらにその存在感が強烈で、社長の登場以降は、司会の方も仕切れず、ほとんど社長の独壇場となっていました。「誤解を承知で話しますが・・・」と前置きしつつも、観客を置いてきぼりにもしかねない社長のワールドは、話を最初から最後まで聞けば理解し共感できるものの、部分的にカットして紹介すると、誤解を受けかねないような内容です。(トーク後に社長にそう伝えたら、「そうなんや!!」と言っていましたhappy01

関係者の方は、かなりハラハラドキドキでその展開を見守っていたことでしょうね・・・!

トークの最後に会場からの質問があり、「自分の父親も青果業を営んでいたが、内部告発をしたら倒産してしまった。自分の親戚もまだ青果業を営んでいることもあり、なかなか問題を表に出して広げにくい。内部告発はどうすればやりやすくなるのか?」(←詳細は間違っているかもしれませんが、大体こんな感じの内容)という質問が出ました。

水谷社長はその質問に対して「自分はメディアと協力してこの問題を広げた」とだけ答え、後はテレビで取材した香川さんにバトンタッチ。その香川さんの発言が、私にはとても印象に残ったのでした。

香川さんは、内部告発で事態が好転するか否かは、その人の「意思」と「行動」によるところが大きいと言っていました。周りの影響や先のことも考えるけれど、自分の信念に基づいて行動し、それによって周りの環境をどのように良く変えていくか考える。そういう人は、周りを巻き込んで事態を変えていく・・・といったような回答をされていました。

映画を観て、さらに水谷社長本人のトークを聞いて、この人の「おかしいと思えば、国・大企業相手だってケンカしてやる」という姿勢は揺ぎ無いものだと感じました。こういう社長自身の素地がまず根底にあり、それに周囲が巻き込まれていく、取材や応援する人も出てくる・・・ということなのだろうと思いました。

一方で、この話を聞きながら私は別のことも考えていました。それはつい最近、ドキュメンタリー映画を作っている人と話していて出た話題についてでした。現在、一部の被写体の人とのトラブルがあるそうで、制作者の深く掘り下げたいという気持ちと、被写体の「古傷に触れられたくない」という気持ちが折り合えず、映画の制作が中断しているということでした。

その人は原一男監督の指導を受けた事もある人なので、その影響も少なからず受けているのかもしれませんが、もっと深く掘り下げたい、語りたくないことでも語ってもらうことで根源的なものを問いたい・・・と思っているようでした(これは私が話から受けた印象に過ぎませんが)。

確かに、ドキュメンタリーの作り手である以上、被写体とぶつかることもありますし、語ってほしくないことを語ってもらう場合もあるでしょう。それによって映画の完成度がより高くなるということも多いと思います。

でも、一方で、原一男監督の指導を受けた人たちの映画を、これまでに10作品以上は観た機会があり(←これじゃ少ないかもしれませんが)、その中にはすごく面白いと思う作品もあれば、逆に観ていてこちらが苦しくなってしまう作品も少なからずあったのでした。このことについて、この日のトークを聞きに行って、自分なりにその理由が分かったような気がしたのです。

思えば、これは原一男監督自身が言っているのを聞いたのですが、現在は彼がドキュメンタリーを作っていない理由について、「もちろん作りたいと思っているし、例えば水俣で作りたいと思って、何度かインタビューにも行ったけど、水俣病の患者が今は2世、3世になってしまって、国と対等にケンカできる奴がいなくなっちゃった。だから撮れない」と話していました。

原一男監督自身は、国と対等にケンカができるぐらいの人を選んで、監督自身もその被写体と思いっきりぶつかり合いながら映画を作っているわけです。ちゃんと相手を選んでいる、ということです。相手を選ばなかったら、それは単にカメラによるいじめ・ハラスメントになってしまいますし、往々にして撮影中&完成後に問題も起こり易いと思います。(もちろん、撮影中に問題が生じ、撮影が続行できなくなってしまう理由は他にもたくさんありますが)。でも、原監督にあこがれて、指導もされたら、相手をそこまで吟味せずに、自分も被写体とぶつかり合うことで映画を作りたい、と思ってしまう人が出てくるのも無理ないでしょう。(※私自身は原監督の直接指導を受けたことがないので、指導内容を知らないですから、この推測は間違っているかもしれませんが)

「国と対等にケンカができる人」-私の「ブライアンと仲間たち」の主人公・ブライアンはまさにそういう人間の一人だと思いますし、水谷社長も然り。ですが、そこまでの人材はそう簡単に見つけることは出来ないでしょう。国とケンカが出来る人というのは、単に国を相手に訴訟を起こしている、ということではありません。裁判を起こしていなくても、必ずしも社会問題に関わっていなくても、その人の素地として国と対等にケンカができるようなものを持ち合わせている人もいるでしょうし、逆に国と裁判で闘っている人でも、本人の強固な意志というよりは強力な支援者に支えられて裁判を続行している人もいますから。

本当の意味で国と対等にケンカが出来るぐらいの人なのか、非凡な強さを秘めた人なのか。それを見分けることはなかなか難しいと思います。

また、被写体だけでなく、撮影する側も、「国と対等にケンカができる人」が発する膨大なエネルギーを受け止めるだけの度量がなければなりません。私自身は、ブライアンに対してぶつかり合うようなタイプの取材はしなかったものの、今振り返ると、ブライアンのような人を映画にするには、まだまだ自分自身のエネルギーが足りず、振り回されてたように思います。私の「この人を撮りたい」という気持ちの強さだけで映画は完成までこぎつけましたが、映画の中でブライアンを生かしきれていなかった、と正直思います。

・・・この先も作品を作り続けて、10~20年ぐらいたったらブライアンのような人とも対等にやっていくことが出来るようになるかしら・・・?happy02

そんなわけで、被写体とどっぷり四つに組んでぶつかり合いながら、映画のテーマを深く掘り下げて行きたいという場合は、それに耐えうるだけの相手を選ばなければ、撮影者自身もそれを受け止められるだけの度量を備えていなければ、そして言うまでもなく根底に両者の信頼関係がなければ、双方共にぶつかり合いながらの作品作りを望んでいなければ、お互いに悲劇になるだけ(心に傷、撮影の中断、上映の中止etc)・・・、そんなことを考えたトークイベントでした。

あ! でも、柴田監督の取材スタイルはぶつかるのではなくて、ある程度の距離を保ちながらひたすらじっくりと撮影するような感じと見受けました。相手が国とタイマン張るような人でも・・・catface

映画は10月13日から2週間ポレポレ東中野で上映されるそうです。

追加:
ちなみに、今回のトークイベントのために大阪から上京した制作チームご一行は、東京のカプセルホテルに泊まっているそうです。女性用のカプセルは1泊4000円もするんですって! 「東京の宿は高い」と嘆いていました。でも、カプセルごときで4000円も払うって、もったいなくないですか? 私は大阪で(といっても釜ヶ崎ですがcoldsweats01)、個室で1泊1500円だったのに。東京都内でも1泊3000円以下でビジネスホテルはないのかしらん???

ちなみに(2)、この前ネットで都内の民家泊1泊700円というのを見つけたのですが(多分これは都内最安値でしょう)、ちょっと怪しげで、もしかして神待ち系?!という感じだったので、ここを他人にオススメするのはどうかな・・・と思っていますcoldsweats01

どこか、東京で格安のビジネスホテルをご存知の方はご一報を!

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[jp] Peace Boxロンドンのギャラリーで展示

ロンドンのマリアより、久しぶりに連絡をもらいました。彼女がPeace Boxとして、SOCPA法の制限ギリギリのサイズで作り、首相官邸や警察の派出所を模したドアを付け、戦争と平和に関するアートを施した箱が、ロンドンのギャラリーで今週の木曜日から展示され、その後オークションに掛けられることになりました(売り上げは全額、イラクの子どもたちの活動へ寄付)。

展示に関する記事はこちらのウェブサイトにあります。展示は10月12日~10月18日まで。また、主催団体のArt Belowのページには、Peace Boxがパーラメント・スクエアから撤去されるときの写真や、ロスで展示されたときの写真なども見ることができます。会場では、マリアが6年以上に及ぶパーラメント・スクエアでの生活の中で撮りためた写真やビデオも見ることができ、ロンドンの第一線で活動するアクティビストやアーティストたちのトークも連日予定されているそう。

あ~、私もロンドンにいたら、毎日通うのに!!!!! と、歯がゆい思いですが、写真やビデオが届くのを楽しみにしていたいと思います。もしイギリスに住んでいる方、もしくはイギリスに遊びに行く予定の方はぜひ立ち寄ってみてください。10月12日の夜にはオープニングのパーティーも予定されているそうです。

ところで、展示のトークゲストとして登場予定のサイモンは、私もロンドンに住んでいたときには良く会っていたのですが、彼のアクティビストとしての変化(進化?)には目を見張るものがあり、最初はごく普通にデモに参加する若者風の感じだったのですが、その後国会の上に登って大きな横断幕を掲げたり、ヒースロー空港の滑走路建設予定地に自分の体をチェーンで縛り付けたり・・・と、現在ではイギリスの非暴力直接行動の最先端を行っています。

なんと彼は、イギリス初の、2年間の平和活動禁止を命じられたのですって(ASBO:反社会的行動禁止令によって)! ASBOといえば、確かにデモなどでも適用される場合が時々ありますが、一般的にはサッカー場付近で暴れるフーリガン、ストーカー行為、不法占拠、売春禁止地域で客引きをする売春婦などに適用されるもの、みたいな感覚で世間的には思われているものですが、ASBOで平和活動を2年間も禁止された人は、確かにかなり珍しいかも!

お知らせでした。

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[jp] お土産の達人

先日、カナダから一時帰国中のお友達に会いました。帰国前に、お土産は何がいいかと聞かれ、私はカナダに行ったことがないので、カナダ=メープルシロップぐらいしか思い浮かびませんでした。同居している姉にも聞いてみましたが(姉はカナダに行ったことがあり)、「メープルシロップが欲しい」とのこと。

とはいえ、日本に帰国するときは自分の持ち物やお土産などでかなりの荷物になるだろうということは、私自身の経験からも容易に予測できます。そんな中、メープルシロップの瓶なんて、重いし、万一スーツケースの中で割れたり漏れたりしたら大変です。なので、メープルシロップ入りのクッキーをお願いすることにしようと思っていました。

その人とのメールのやり取りの中で、「○○さんからは、いつもデンタルフロスを頼まれています。日本はやたら高いでしょう?」と書いてありました。

・・・確かに、デンタルフロスはスーパーやドラッグストアで、40メートル入りのものが5~600円程度で売られている(GUMやジョンソン・アンド・ジョンソン等)が一般的です。北米ではいくらで売られているのか分かりませんが、そんなに違うものなのか?と思い、私もデンタルフロスもお願いすることにしました。

先日、その方と久しぶりの再会を喜び、お土産もいただきました。袋の中から出てきた巨大なデンタルフロスに衝撃! なんと、200ヤード(183メートル)入りです!!

日本の標準的なサイズ(40メートル)と比較するとその差は歴然。
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メープルシロップのクッキーもhappy01 ありがとうございます!
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それにしても、こんなに大きなデンタルフロス、日本ではまず見かけたことがありません。コストコみたいな場所に行けばあるのでしょうか? イギリスに住んでいたときでさえ、こんなサイズのものは見たことがなかったので、ためしにポールに聞いてみると、イギリスのスーパーでも日本と同じ40メートルのサイズぐらいしか売られておらず、値段も3~4ポンド(500円前後)ですので、日本と同様です。ポール曰く「北米の人たちは歯に神経を使うから、こんな大きいボトルなのではないか?」と真面目に推測していましたが、真実はいかに?

デンタルフロスをお土産として思いつくあたり、お土産の達人だなと思います。日用品で便利だし、運ぶにも軽くて、壊れたり潰れたりしないもの。双方にとって良いアイデアだなと思いました。

ところで先日は、DVDを買ってくださった方より、ステキなプレゼントをいただきました。3・11に関する手作りの詩集と、ビデオカメラ三脚用のカバー(イスの足にかぶせるカバー)です! 
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以前、「ブライアン~」の上映後のトークで、イギリスでドキュメンタリーを始めた私が、日本に帰国してまず戸惑ったことは、靴を脱いで家に上がるという文化で、外でも使う三脚を畳の上で広げようとしたときに(あ・・・)と思い、あわてて幼児用の靴下を買い、三脚にかぶせた、という話をしたことがあり、そのことを覚えていてくださって、幼児用の靴下よりも、もっとすっきりとかぶせられるイス用のカバーを送っていただいたのでした!(靴下だとかかと部分がだぶついてしまうので、床に傷を付けないように、イスを動かす音軽減のために売られているイスのカバーの方が、三脚にフィットすると思います)

お手紙には、新作の撮影で使ってくださいと書いてあり、こういうプレゼントを頂くと、またそろそろ映画を作り始めたいという気持ちが沸いてくるのでした。どうもありがとうございました!

以上、お土産にまつわるお話でした。

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[jp] やはり映画館は・・・

先日、約3週間遅れで裁判のことを書きましたが、今日はその翌日のドキュメンタリー・ドリーム・ショーでの「さようならUR」上映@ポレポレ東中野のことをレポートします。

裁判(+打ち上げ)の翌日ということもあり、住民の皆さんの参加はなかったのですが、平日の昼間という時間帯にもかかわらず、会場にはかなりの方が観に来てくれました。山形で見逃して・・・という人、大学で建築を学んでいるという人、大学院で社会学を研究されている人、既に何度も見てくれている人etc、様々な方がこられていて、やはり映画館での上映というのは、自主上映会よりも色んな方が観に来てくれるのだなと思いました。

上映後の質疑応答の様子(写真は是恒香琳さんが撮ってくれました。どうもありがとうございます!)

司会は藤岡朝子さん
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調子に乗って喋り捲るワタシ!
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英語字幕併記の上映ということもあり、会場には数名、外国人らしき人も見えました。

上映後は、観に来てくれた人たち数人でポレポレカフェへ。私を通じての、見知らぬ人同士もいましたが、すぐに意気投合していました。

向かって左側は、「さようならUR」のチラシデザインを担当してくれた冨田吉樹さん。右側は明星学園の是恒朋子さん。
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皆さんと
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結局3時間ほどお茶をして、さらにその後時間のある人と近所に飲みに行き、9時ごろにまたポレポレ東中野へ戻りました。レイトショー上映の故・布川徹郎さんマルチスクリーン上映を観るためです。ソウルからメディア・アクティビストのドヨンも来ていました。

上映後、NDSにメンバー、その他で関わる人たちの舞台挨拶。
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金稔万(キム・イムマン)さん
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中村葉子さん
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終了は23時過ぎ。半日まるまる東中野な一日でした。

観に来てくださった皆さま、ドキュメンタリー・ドリーム・ショースタッフの皆さま、どうもありがとうございました!

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[jp] 9・13裁判証人尋問の報告

またまただいぶ時間がたってしまい、申し訳ありませんが、先月の13日に東京地裁立川支部で行われた、高幡台団地73号棟の裁判について報告します。

裁判は10時から4時まで行われました。予定では5時までだったのですが、UR側の弁護士による73号棟住民への反対尋問がなかったため、予定より1時間早く終了。・・・とはいえ、お昼休憩1時間をはさんで、延べ5時間にも及ぶ長時間の裁判でしたが、大法廷の約100席の傍聴席は終日ほぼ満席でした。

裁判の内容は、「高幡台団地を考える会」の通信にとても分かりやすくまとめられているので、そちらをご紹介します。もともと、団地内でのみ配布されることを前提にした通信のため、裁判をたたかっている住民以外の名前や連絡先は伏せていますが、もし連絡を取りたい場合は私までご連絡ください。取り次ぎます。

通信表面(写真はクリックすると拡大します)
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通信裏面(写真はクリックすると拡大します)
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ぜひ読んでみてください!

表面の「裁判終えて、日が暮れて」に、高幡台団地内の別の号棟の方が感想を寄せられていて、とても分かりやすく良いレポートだと思ったのですが、ちょっと昔のURを持ち上げすぎだとも思います。今の民営化や利益追求も問題ですが、では昔のURはそんなに良かったのか、崇高な理念を持ってやっていたのかというと、それは怪しいと思います。実際、40年以上前にURと取引していたという建築関係者は、私の映画を観て「40年前と全く変わらないURの体質にはあきれる。仕事をしていた当時も、信じられないことばかりだった」と言っていましたし、同様の発言はかなりの人から聞いています。「今よりはマシ」ぐらいに考えるのが妥当ではないでしょうか?

私自身は裁判を最初から最後まで傍聴しながら、なぜこの映画を作ろうと思ったのか、この人たちのどんなところに惹かれたのかということを思っていました。確かに、最初のスタート地点での動機は「住宅問題」でした。しかし、住宅問題というだけでは映画作りをするということまでの動機にはなりにくいと思います。住宅問題(というかなんらかの社会的な事象)は、たんなる最初のきっかけに過ぎないだろうと思います。

その後、本格的に映画を作ろうと思うに至るには、最初の部分でははっきりとは分からなくても、その被写体の人たちに、作り手が共感する、もしくは全く共感できないのはなぜかと興味を持つ、などの理由が根底にあるように思います。(もちろん作り手に寄って違うと思いますが)

私の場合、「住宅問題」をきっかけに彼らと知り合ったわけですが、星の数ほどある「住宅問題」の中で、あえて73号棟で映画を作ったのは、住民の皆さんの姿勢に共感したからだと思いました。午前中から午後にかけて、UR側の証人2名(住民説明会で耐震性不足を説明し、住民に退去を迫った担当者など)の証人尋問がありましたが、彼らにはまったく「自分の言葉で語る」ということがありませんでした。もしかして、裁判のためにわざとそうしているのではなく、長年組織の中で働いて、そういう思考になってしまったのかもしれません。

例えば、証人尋問で、73号棟住民の側の弁護士による反対尋問の際、「これを判断したのはあなたですか?」という、ストレートでYES/NOタイプの質問がありました。この質問に対し「いや、私というよりは、URです」とUR側の証人は答え、「ではURの誰の判断なのですか?」とさらに聞かれると、「誰のというのではなく、機構としての判断です」と答えていました。

そもそも、個々人の職員によって”機構”が存在しているわけですが、まるでその”機構”自体が人格を持った人間のようです。実際に一人ひとり、その場にいる人たちが重大な決断をして、それが国民生活にも住民の生死にも関わっているというのに、”機構”というお面をかぶって責任逃れをしようとする・・・。彼らの話には「主語」が不在でした。

これはURに限ったことではありませんが、このような仕組みが無責任な方針を打ち出させ、実際それに関わった個人を組織の名の下に陰に隠れさせているのだと思います。

一方で住民の方の証人尋問の発言にはすべて「主語」がありました。自分がどう考え、どう判断してここに住み続けているのか、よっぽど理路整然として堂々としていました。その姿を見たときに、私は(自分の言葉で語っている、主体性と主語のある人たちというのが、もっとも共感した部分なのでは?)と思ったのです。私はきっとここに惹かれて、映画を作ろうと思ったのかもしれません。

そんなことを思った裁判でした。ちなみに、証人尋問は今回で終わり、次回の裁判は12月13日(木)午前10時半~、場所は東京地裁立川支部です。ご都合のあう方は是非いらしてください。

裁判の後、裁判所の前で撮った写真(いったんお開きになった後、関係者のみなので少ない人数ですが)
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弁護団の飯田弁護士から報告
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その後はお約束の飲み会coldsweats01
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ところで、話は変わりますが、上に掲げた考える会通信の個人情報部分を削除したことに関連してですが、私としてはこれは団地内で配られることのみを想定したビラであるため、ネットで広く掲載する場合には、私がネットで紹介したい趣旨(今回の場合は裁判の報告)と関係ない個人情報は消し、でも連絡を取りたい人には私が取り次ぐとしたわけですが、最近は個人情報の保護が誤った方向に行き過ぎている傾向も多く見受けられますよね。

一昨日、ご近所のジャーナリスト・寺澤さんとお昼ごはんを食べたとき、寺澤さんは図書館に立ち寄るとかで少し遅れて来ました。(今どき小学生の自由研究だって図書館には行かないのに、どんな調べもの・・・?)と不思議に思い聞いてみると、新聞のネット上の全文検索サービスで、昔の事件の当事者(容疑者や被害者など)の名前がことごとく匿名(またはAさんなど)に変更されていて事実関係が全く分からないので、図書館に行って縮小版をみて確かめるしかないからだと言っていました。「あれじゃあ、全文検索の意味がない」とため息混じりに言いました。

数年前までは、新聞の全文検索サービスでは、当時の新聞報道そのままの文章が表示されていたそうですが、ここ数年、個人情報保護という観点から、名前がどんどん匿名にされていっているそうです。情報公開請求と同様、たまに担当者の「消し忘れ」があって、そこには名前が出ていたりとか!

新聞報道で過去に既に報道されたことで、それは将来にわたっても共有されていくべき情報であるにもかかわらず、なんでもかんでも個人情報保護で情報を外に出さないという姿勢はどうかなぁと思ってしまいます。

きっと私たち国民の間にこういう意識を浸透させておいて、黒塗りの情報公開や、文書保管の期間を短くするような風潮を「個人情報保護なんだから仕方がない」と思わせようとしているのでは?とさえ思ってしまいます。一方で、先日このブログで書いたインドの強制送還のような、公権力による過剰な情報収集や監視カメラ等による一方的な記録はますます盛んになっています。先日、著作権や肖像権について勉強する機会があり、そこでは「肖像権は本来、公権力にむやみに情報収集されることから個人を守るためにある権利」と言われました。「でも今は逆の使われ方をされていますが」と付け加えられていましたが、本当にその通りだなぁと。

そんなことを思いました。

追伸:
9月13日裁判の報告集会があります。ご都合の合う方は是非ご参加ください。
日時:10月28日(日)午後2時~4時
会場:日野中央福祉センター2階 集会室1・2
(甲州街道沿い「日野図書館」裏・JR日野駅から徒歩5分)
内容:弁護団より裁判の報告と今後の展望など説明。意見交換も予定。
参加費:無料

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[jp] 超!短期滞在

このブログでも時々登場する、ドキュメンタリー監督の中井信介さんより、先日メールが届きました。私の記憶では、その頃中井さんは確かインドに初めての取材(反原発運動の取材)に行くと言っていたので、インドからのメール!とワクワクしながらメールを開封。

「早川さん、お元気ですか?インドは、灼熱の太陽、スパイシーなカレー、鬱陶しいくらいに熱い人情にあふれた素晴らしい所です、と言いたかったのですが、チェンナイの空港に
着いた途端に強制送還で、日本に帰らされてしまいました。(以下省略)」

と書いてあるではありませんか! びっくりしてその後すぐに1時間ぐらい電話で中井さんと話し、詳しい事情を聞きました。飛行機を乗り継いで24時間かけてインドへ向かったにもかかわらず、たった2時間での強制送還。。。インドの反原発運動の取材に対する、インド政府の警戒は尋常ではないようです。

日本国内だけでなく、国外までもますます取材しにくくなっているんだな・・・と思っていたら、私のブログで中井さんが私と友人だということを知った方が(その方は全く違うルートで知り合った方なのに・・・世の中狭いですねhappy01!!)、中井さんを含む、強制送還された3名が出した声明を転送してくださったので、以下に掲載します。ぜひ読んでください。

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核のない未来をめざす友人たちへ

 タミルナドゥ州で、クダンクラム原発に反対する歴史的な運動が続いています。世界中の人々が、その闘いに感銘を受け、連帯の意を表明したいと思っています。

 私たちも、連帯の思いを伝えるため9月25日にインドを訪問しようとしましたが、チェンナイ空港で入国を拒否されました。1時間以上に及ぶ取り調べの後、入国拒否の書類に書かれたことばは「Inadmissible person(容認しがたい人 物)」でした。欧米から核の商人を次々と呼びこんでいるインド政府が、私たちのような小さな市民の入国を拒否したことは、許されることではありません。私たちの経験を皆さんにも知っていただきたくてこの手紙を書いています。

 チェンナイ空港で飛行機を降りて入国カウンターの方へ歩いて行くと、1人の係員が微笑みながら近づいてきました。

 私たちは彼に、到着ビザはどこで手続きをするのかと尋ねました。彼らは即座にわたしたちのパスポートを確認すると、入国管理事務所について来るようにと言いました。5人以上の職員がいて、それぞれ尋問されました。宇野田さんだけは別の部屋に連れて行かれ、開口一番「ノーニュークス・アジアフォーラムの活動家だろう」と言われました。その職員が「反原発運動のために来たんだろう」と聞くのではなく、具体的な団体名を言ったことに彼女は驚きました。

 「クダンクラムに反対する国際請願に署名したな? あなたの名前も乗っていたぞ。つまりあなたは反原発だということだ」とも言われました。私たち三人ともが、今年5月に取り組まれた国際署名に賛同していました。すると次に別の職員が「クダンクラムに行って何をするのか?」と詰問してきました。誰もクダンクラムという地名を一言も言っていないのに、彼らがクダンクラムの話を持ち出したので、さらに驚きました。しかしその男性職員は、私たちが乗ることになっていた国内線のフライトスケジュール表のプリントアウトを私たちに向かって突き出しました。私が、まだ見たこともない書類でした。なぜこの人たちがすでにそれを持っているのか?

 「あなたたちが国内線を予約したことはもうわかっている。だから、いくんだろう? 誰があなたたちを招待した? 今ここの到着ゲートで待っているのは誰だ? トゥティコリン空港に誰が迎えに来る? 彼らの名前を言いなさい。電話番号も言いなさい。抗議行動に参加 するんだろう!」彼らは大声で矢継ぎ早に質問してきました。そしてさらに驚いたことに、彼らはすでに私たちのインドの友人たちの名前を知っていたのです。私たちは恐怖を感じました。友人たちに何かが起きるのではないかと感じたのです。私たちは答えませんでした。

 原発に賛成する科学者や、原子力産業から金をもらった人々が次々とインドを訪れ、原発を擁護する発言を行っていることはよく知られています。こうした人々のインド訪問は、インド政府によって許可されて行われているというよりは、奨励されて行われています。インドが民主主義を標榜するなら、反対の見解を述べることも奨励されてしかるべきなのではないでしょうか。

 すると職員たちは、分厚い書類に目を通しながら、私たち自身のことも問い詰め始めました。「渡田さんの職業は?彼は上関原発の反対運動に関わっているだろう?」その書類を間近に見ると、3人がそれぞれ日本で取り組んでいる活動について多くのことが書かれていました。彼らはすでに詳細に調査を行っていたのです。

 彼らは、いろいろな質問をして情報を得ようとしました。最初のうち、彼らはにこやかに話していました。クダンクラムの運動について知っていることを話せば入国させてやる、と言った職員もいました。しかし、徐々に彼らはいら立ってきました。私たちをできるだけ早く強制退去させたかったのです。1時間半ほど前にクアラルンプールから私たちをチェンナイ空港まで乗せてきたエアアジアの飛行機が、チェンナイで乗客を乗せて再びクアラルンプールに向かうところでした。彼らは、私たちをその飛行機に乗せたかったのです。

 私たちの取り調べが始まってから、すでに1時間半もたっていました。1人の男性職員が言いました。「5分以内に全部答えなさい。そうでなければ強制退去だ」と言い放ちました。私たちは、答えられる範囲で答えましたが、その内容は彼らを満足させるようなものではなかったようでした。私たちは出国エリアに連れて行かれました。その途中、私たちはトイレに行かせてほしいと頼みましたが、拒否されました。トイレの中からインドの仲間に電話で連絡を取られるのがいやだったのかもしれないし、私たちが彼らの目の前で電話を取り出して誰かインドの活動家に連絡を取るのを待っていたのかもしれません。彼らはとにかく、私たちの友人たちの名前と連絡先を執拗に聞いていたからです。

 最後のゲートで、なぜ強制退去になるのかと職員たちに聞いてみました。すると若い男性職員が「インド政府がそのように決めたからだ。従わないなら牢屋に入れ」とにこりともせずに言いました。私たちが乗り込むと、飛行機はすぐに飛び立ちました。

 退去に際して、入国拒否の理由が書かれた書類を渡されました。解な文章ですが、「クアラルンプールからチェンナイ空港に到着したこの外国人は、インドへの入国を拒否された。1948年施行の外国人令の第6節で規定されている行動に外れた行いを取る可能性があるので、できるだけ早い航空便で国外に追放する」というようなことが書かれていました。

 私たちは、原発の危険性についてさらに学ぶために、平和的にインドを訪問しました。日本人として、軍事利用であれ、いわゆる平和利用であれ、核の持つ問題について知っておかなければなりませんインドでは、原子力産業による国際会議が開催され、原発関連企業の人々が国賓のようにしてやってきて、自分たちの商品を見せびらかしています。

 私たちには、何も売るものはありません。私たちにあるのは、原発がもたらし得る危険と痛みについてのたくさんの証言だけです。インド政府が私たちを入国拒否とし、インドの人々が私たちのために温めていてくれたもてなしの気持ちを無にしたことは、本当に残念なことです。民主主義の社会においては、とりわけ原発のように複雑な問題を含んだ技術については、抑圧されない雰囲気の中で、自由で公平な議論を尽くす必要があります。インドの原発推進側に、自由で公平な議論への準備ができていないことは明らかです。

 日本では、福島事故後に国会で組織された事故調査委員会が今回の事故に関して、秘密主義や、国民の疑問を政府が無視していたこと、原発を規制する者と原発を運転する者が癒着していたことなど日本特有の事情によってもたらされた面があると指摘しました。

 原発に関して自分たちとは違う意見を持っているというだけでインド政府が私たちを入国拒否にしたことは、民主的な理想や言論の自由に関して脆弱であることの表れではないでしょうか。私たちは、このように秘密主義に貫かれた抑圧的な文脈の中で、原発のような危険な技術を導入することの結果を考えると、非常に恐ろしく感じます。

 今回、私たちはクダンクラムの人々や、クダンクラムの人々に心を寄せる人々に会うことができませんでした。彼らに会えなかったことは、本当に残念でした。しかし入国を拒否されたことによって、私たちの懸念はさらに強まり、連帯の思いはさらに強まりました。原発推進側は、世界規模で緊密に連携しています。そして、核の被害にも国境はありません。ならば私たちも、国や言語の違いを超えて、何千、何万の仲間たちが手をつなぎ合って、核のない未来のために共に闘いましょう。 次の機会にインドでお会いできることを願って います。

渡田正弘(上関原発止めよう!広島ネットワーク)
中井信介(ビデオジャーナリスト)
宇野田陽子(ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン事務局

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[jp] すごい偶然で!

現在、絶賛(?!)発売中の「さようならUR」DVDですが、先日、DVDで初めて映画をご覧になった方から、感想のメールをいただきました。映画・特典映像共に見ていただいて、詳しい感想が書かれてあり、とてもうれしかったのですが、メールには写真が1枚添付されていました。

添付されていた写真はこちら
F1002328

えぇっ・・・ この写真は・・・?

メールでは、この写真についての説明が一切ありませんでした。写真に写っているロシア人形、実は私は全く同じものを持っていて、携帯電話のケースとして使っているのです。

私の携帯電話ケース
01

私は説明の書かれていない写真を見て、相当混乱してしまいました。その方は、伊藤芳保さんという方で、本業の傍ら、日本各地を飛び回って様々なジャンルの写真を撮っている人です。(伊藤さんの写真の一部はこちらのHPで見ることができます)。私は経産省前テントひろばで、初めてお会いしました。

経産省前のテントで、私の携帯電話ケースの写真を撮ってもらったことなどあったかしら・・・? そもそも携帯電話のケースを他人に見せて自慢して、写真まで撮ってもらうシチュエーション自体が想像しにくいことですし、もちろんそんな記憶もありません。

だとしたら、この写真は伊藤さんの携帯電話ケースなのか・・・? そうだとしても、なぜ私の携帯ケースと同じだと知っているのか・・・? 

一体どういうこと?!と相当混乱して、メールで聞いてみました。

すると、お返事には:

あのロシア人形は娘のもので、大きさは30センチあり、中には膝掛けが収納されています。畦地さんのインタビュー(特典映像)でテーブルの上にあるのを発見! また、早川さんが自宅からURに電話する場面でも、机の上にありましたね! 寡黙な栗原さんは、栃木か茨城出身の方かな?(方言が出てました)  吉津さんは群馬出身かな? 冷やし中華を作るシーンは、何度見ても笑えますね 絶妙です。 村井さん宅に大平さんを呼ぶシーンも凄いです。内容は違いますが、「ゆきゆきて、神軍」のワンシーンを思い出しました。 住民の皆さんが、心を開いて話してくれたのも、早川さんとの信頼関係の賜物ですね。

と書いてあったのです! メールと共に、ひざ掛けを広げた状態の写真も添付されていました。
F1002330

なるほど、私の映画に携帯電話ケースが映りこんでいたわけですね!! 確かにURに電話をするシーンでは、私の部屋(正確には姉の部屋)が登場するわけですが、あのシーンでは”散らかっている部屋”という印象しか、ほとんどの人には残らないと思います。私自身、携帯電話ケースが映っていたかどうかは覚えていないのです。良く見つけたなぁ!と感心。

そう考えると、果たして映画の中ではどんな風に出ているのか気になって、本編から探して見ました。

・・・すると、ありました! 携帯電話のケース! でも、うつぶせになった状態です。これで分かるんだ・・・??? びっくりです。
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映画の感想もうれしいものでした。DVDを注文していただいた人たちから、段々と感想が届き始めているのですが、特典映像の中で、吉津さんの冷やし中華を作るシーンの人気がダントツで高いのです! それは意外なことでした。ワタシ的には、吉津さんの家に10時間以上居座って、散々取材させてもらった挙句に、本編では30秒ぐらいしか使わなかったので、せめて特典映像で取り上げないと、吉津さんがお墓に行くまで文句を言われると思って入れたのでしたが・・・!

また、UR職員を呼び出す村井さんとのやりとりについてもよく感想を頂くのですが、伊藤さんが書かれた、「ゆきゆきて、神軍」のワンシーンを思い出すと言われたのは初めてでしたhappy01 確かに、あのシーンの無茶振りは通ずるものがあるかも!

それにしても、ロシア人形でこんなにびっくりするとは思いませんでしたhappy01

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