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[jp] 岡山映画祭2012(その4:11月19日)

映画祭の前半は、前日で終了したので、この日からは自由な時間でした。ブログにも既に書きましたが、ヒロシマ平和映画祭の高雄きくえさんに、岡山で活発に活動している女性として、市場恵子さんを紹介していただいていました。岡山に行く二日前ぐらいに突然メールをしたにもかかわらず、市場さんは岡山滞在中の訪問先についてあれこれ提案していただきました。

滞在中はずっと川端さんのお宅へお世話になる予定でしたが、市場さんから、2日連続で待ち合わせをするもの大変だし、最後の1泊は市場さんのお宅に泊まってはどうか?とお誘いを受けて、市場さんのお宅に留めていただくことになりました。

待ち合わせはお昼だったので、朝9時ごろに起きて朝ごはんを食べに母屋へ向かいます。ちょうどお父さんが出勤前で支度をしているところでした。お土産にと、地元産のブドウをいただきました。(皮ごと食べられるタイプで、美味しかったです!)
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市場さんとの待ち合わせは正午で、メールには「岡山駅の赤いポストの前で」とだけ書いてありました。ポストは駅周辺に何箇所か有りそうだし、そもそもポストってどれも赤いよねぇ・・・と一抹の不安を抱えつつも、バスに乗り岡山駅へ向かいます。

交番で「待ち合わせ場所になりそうな赤いポストはどこか?」と聞くと、「あぁ、桃太郎の乗ってるポストね」と言われました。

確かに、これは目印になりそうです! しかもポストの前はロータリーになっていました。
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駅前の広場にはこんな銅像も。(これが唯一の岡山観光らしい写真かもcatface
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無事、市場さんと待ち合わせることができました。この日は、車で40分ほどの「建部(たけべ)町」へ。すぐ売り切れになってしまう、美味しいお蕎麦屋さんに行こうということになっていました。同じ建部町に住む、市場さんの娘さんともお店で落ち合うことに。

ちょうど紅葉シーズンできれい。
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お店に着いたのは12時半を少し過ぎたぐらいでしたが、既にお店の前には「売切御免」の看板が! 予約をしておいてもらって、良かったです。
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お店の看板
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しかも、満席だったので、しばらく外で待つことに。お店の外観など。
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15分ぐらい待ち、やっと席に座れました。それにしても、こんな人里離れた場所で、特に宣伝らしきものもしていなくても、大人気のお店なのですね。

店内の様子。古民家を改造し、8年前にオープンしたお店なのだそうです。
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天ぷらそばを注文。ちょうど新そばの時期でもありました。天ぷらは、もみじ、ブロッコリー、ヨモギ、ジャガイモ、サツマイモなど、かなりボリュームがあります。さすが平日でも12時台には売り切れるだけあって、おそばも超・美味しい!
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(なんか、この写真見ながらブログを書いていたら、またお腹すいてきました・・・!!)

市場さんと、娘さんの大塚愛さんと
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愛さんは、私とひとつ違いで、なんと大工さんなのだそうです! 華奢な外見からは想像できませんが、住む家を自分で手作りしたのだとか! 海外を放浪した後、自然農を学びたくて、受け入れ制度のある福島へ移住しました。川内村にある「獏原人村」に自分で小屋を建て、電気も水道もなく、自給自足で野菜を育てながら、超・大自然の中で暮らしていたそうです。

その後、大工の見習いをして大工となり、建築家のご主人と出会って結婚し、「獏原人村」内に、2階建てのおうちを自分で建て(なんと一軒家の建築費用は150~180万円!!)、お子さん2人と共に幸せに暮らしていました。

・・・ところが、昨年の3月11日で、福島第一原発からわずか20数キロの「獏原人村」は、高線量で住めなくなり、生まれ故郷の岡山へ一家で避難して、建部町で新たな生活を始めることになったそうです。(ちなみに、愛さん一家は地震の起きた3月11日に、すぐに原発のことを思い、その日のうちに岡山へ非難したそうです。直後だったため、道路も、ガソリンなども大丈夫だったとのこと)

現在は、建部町の雇用促進住宅で暮らしていますが、建部町内に家を見つけ、現在はそこの大規模リフォーム作業中。大工さんなので、自分でやっているそうです。お昼ごはんを食べた後は、リフォーム中のお家を見せてもらうことに。
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屋根の上にはソーラーパネルが!
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玄関の前で。
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この大きな母屋に、離れ(下の写真)もついて、家賃は月1万円!!! なんか、つくづく”家賃”って何なんだろうと考えてしまいます。
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母屋のリフォームの様子。かなり大掛かりのリフォームですが、年内には完成させて移り住みたいとのこと。その後は、離れのリフォームにも取り掛かり、だんなさんは人が集まれるようなカフェをオープンさせたいそうです。こういうことを自分たちでできるって、ほんとうらやましいです。
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いくら自分たちでリフォームができるからとはいえ、賃貸の物件でここまでリフォームをやっちゃっても良いのか?という素朴な疑問がありました。すると、この物件にはこれまで高齢の女性が独り暮らしをしていたのですが、施設に入居したので、住んでくれる人を探していたそうです。今後、もしかしてその女性が今後戻ってくるという可能性もありますが、リフォームは好きなだけやっていい、家の中のものは捨ててよい、しかし仏壇だけはそのまま家においておいて欲しい、というのが貸し出しの条件だったそうです。

現在、全国的に空き家は増加傾向にあり、誰も住まないで傷んでいく家もあれば、借り手を見つけて住み続けられている家もあります。愛さんが見つけたような、「家賃1万、リフォームし放題、仏壇だけ残す」といったような、普通の不動産賃貸・売買ではありえないような条件の家は、どうやって見つけるのか?と聞いてみました。

すると、特に限界集落や田舎で家を探すには、村の世話人のような人に聞いてみることだ、と言いました。村の世話人なら(あそこはずっと空き家になっている)、(おばあさんがなくなった以降空き家になっているが、遠くに住む息子たちは格安でも住んでくれる人を探している)とか、そういう情報を持っているのだそうです。それで仲介してくれるのだとか。

普通私たちが家を探すときに頼るような、不動産の仲介業者には逆にこういう物件は出ないそうです。長い間空き家となっている家は、大抵マーケットには出せないほど傷んでいたり、前の住人の荷物が運び出せないほど置き去りにされていたり、という場合が多いからだそうです。そしてもちろん、仲介業者を通せば、手数料も発生します。

住み手を探している人、住む場所を探している人、そういうニーズは多いのだから、それをマッチングさせるためには、間に入ってくれる人の存在が重要、と話していました。確かに。

特に311を機に、この地域へは移住者が増えているそうで、町の小学校は児童の数が21人から30人を越えるぐらいまでに増えたそうです。

建部町で発行されている新聞「タネピリカ」。建部町に新しく苗を育てに来た人と、この里を守りたいと願う地元の人との交流新聞なのだそうです。こういった新聞が発行されるのも、きっと外から移住する人が増えてきたことに関係するのでしょう。
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非電化冷蔵庫の作り方も!!
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ちなみに、「タネピリカ」のバックナンバーはホームページでも見られます。

愛さんのリフォーム中のお宅を見せてもらったあとは、現在お住まいの雇用促進住宅に行きました。
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福島からの避難者に限り、家賃は無料で住めるのだそうです。(ただし、新規の受け入れはこの12月まで)。福島以外でも、近隣の県から自主避難をする人は多いのに、福島だけに限定するのはおかしい、と愛さんは話していました。

愛さんは岡山に移住後、福島の子どもたちの保養プログラムや移住支援、移住して新しい生活を始めた人たちのしゃべり場などを積極的に行っています。

愛さんが立ち上げた「子ども未来・愛ネットワーク」のパンフレットと、ご主人が開設した「せとうち市民放射能測定所」のチラシ
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愛さん夫婦の活動は、現在、ドキュメンタリー映画監督の海南友子さんが撮影されているそうです。どんな映画になるのか、楽しみですね!

雇用促進住宅は、間取りも広く、家族4人で暮らすのに十分な広さのようでした。「雇用促進住宅」という言葉の響きから、なんとなく独身用とか、狭いみたいなイメージを勝手に持っていたのですけれども。
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リビングに飾られた、「獏原人村」で愛さんが自分で建てたおうちの写真。放射能があるとはいえ、やはり愛着のある家を置いて出てくるのは、とても辛いだろうなぁ・・・と思いました。
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愛さんとお別れした後は、また車に乗って、今度は市場さんのお友達が経営されている宿へ。ステキな田園風景の中に立つ、木造のゲストハウスです。

トゥッティ・ゲストハウス
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別角度から
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お庭でとれた柿
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ゆったりとしたエントランスは隠れ家ホテルのよう・・・と思ったら、元はホテルをやるつもりではなく、ご夫婦2人で住むために建てたお家なんですって! びっくりです!
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友達が来たら泊まれるように・・・と思って作った客用の寝室やバスルームが、今はゲストハウスに。1日一組限定、食事は全てベジタリアンフードというこだわり。岡山に行く機会のある方は泊まってみてはいかが?
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この風景を独り占めできる椅子happy01
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この宿をされているご夫婦
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紅茶と、お手製のバナナケーキをいただきました。
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柿も美味しい
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カシューナッツに塩少々とガラムマサラ(カレーなどに使われるスパイス)をふり、ひまわり油で炒めたもの。これ、超美味しかったです。カシューナッツは、私はこれまでただそのまま食べるだけ(ピーナッツみたいに)だったのですが、今度挑戦してみたいです。
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こんな大自然の中で暮らし、美味しいベジタリアンの食事をしていれば、さぞかし健康なのだろうと思ったら、田舎に住んでいると逆に運動不足になってしまうのだそうです。何しろ、何をするにもクルマが必要で、ゴミだしさえも車で行きます。都会に住んでいるほうがよっぽど歩くとも言っていました。

ご夫婦とお別れした後は、また車に乗って、市場さんのお宅へ行きました。市場さんはこの日の夜、現在勉強中の手話クラスがあったので、晩御飯はご主人と私でいただくことに。ちょっとした”お留守番”気分です。

美味しそうな晩御飯
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いただきます!!
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ご主人は、備前焼の陶芸をされていて、ビールグラスも手作り。
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小児科医のご主人は、産業医としても保健所で勤務してきました。岡山市役所に勤務する職員で、月の残業時間が100時間を超えると申告した人の面談もされているそうです。公務員とはいえ、サービス残業で100~200時間を超す勤務の実態について、お話を伺いました。

岡山の保健所では、3年ごとに岡山の労働事情を調査しているそうです。その調査によれば、平成9年頃から、夜9時までに家に帰れる労働者の割合は6割にしか満たないとのこと。「地方=職住接近で、帰りは早い」というイメージがあるけれど、地方でも長時間労働の実態があると話していました。

9時ごろに市場さんが帰宅しました。遅めの晩御飯を食べながら、私の映画の感想なども話してくれました。市場さんは、私の映画を見て、その後のトークを聞いて、「権力と個人」の視点に興味を持ったのだそうです。住宅問題に興味を持ち、取材を始めた私が、結局73号棟問題に絞って映画を作ったのは、UR(=国家権力)に素手で戦う住民の姿に共感を覚えたから・・・というようなことをトークで話していました。

「権力と個人」は、ジャーナリズムの原点だと思うけれど、今のマスコミには、それが一番欠けている、と市場さんは言いました。特に、長年、大学などで心理学を教え、児童虐待、家庭内暴力などについても講演し、慰安婦問題にも精力的に取り組んできた市場さんは、慰安婦問題の報道に関して、特にそれを感じるそうです。よく、「2001年のETV・慰安婦報道以降、報道が萎縮した」と定説のように言われていますが、市場さんによればそれよりずっと以前から、報道は慰安婦問題に対して自主規制が激しかったと話していました。

市場さんから「”権力と個人”の視点は、いつ・どのように体得したのか?」と聞かれました。市場さん自身は、学生運動の只中を過ごしたことで、世の中の見方が変わったのだそうです。

私は、いつどこで”権力と個人”を思うようになったのか・・・

家庭環境はごく普通、高校・大学は保守的な学校で、卒業後は公務員でしたので、”学生運動”ほどの強烈な体験は私にはありません。でも、あえてこじつけるなら、”好奇心”がゆえに自分から関わっていったように思います。差別は良くないとか、正義とか、そういう気持ちからではなく、社会のセーフティネットから外れた人たち(野宿者や不法就労者、売春婦など)の、外れているがゆえにたくましくサバイバルしている姿を、単純に”すごい!”と思ったのです。そして、彼らから聞く話が、どれもこれまで家庭や学校では聞いたことが無い話ばかりで、とても面白かった。

・・・そんなわけで、自然に(?)個人と権力、国家、この国の歩んできた歴史などを、考えるようになった、みたいに思います。

学生運動の頃から社会問題に取り組み、ご主人も医学部生で公害の人体に及ぼす影響などを勉強していたこともあり、市場さん夫妻は昔から自然食や玄米、環境と人体に優しい、合成の界面活性剤を含まないせっけんなどを使ってきたそうです。

お母さんの教えを受け継ぎ、今でこそ自然農を実践している娘の愛さんは、反抗期にはお母さんの方針に反発したそうです。自分用に、石けんシャンプーのかわりに「エメロンシャンプー」を買い、せっけん歯磨きの代わりに「ライオン歯磨き」を買い、白米を食べ、合成洗剤で体操着を漂白する・・・などなどの”抵抗”があったそうなのですが、”反抗期がエメロンシャンプー”なんて微笑ましいと、思わず笑ってしまいましたhappy01

話しているとあっという間で、既に10時を過ぎていました。お風呂に入り、寝る前に愛さんの「獏原人村」での生活がテレビ放映された番組のDVDと、翌朝訪問する予定の「長島愛生園」で暮らすハンセン病回復者の金泰九(キムテグ)さんのドキュメンタリー映画「虎ハ眠ラズ」のDVDを観てから寝ました。

私が寝かせてもらった部屋にも、沢山の備前焼が!
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盛りだくさんな1日でしたhappy01

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コメント

バナナ、で私もブログに書きました。おっしゃるとおりですね。今後ともよろしくお願いします。

投稿: 戦後史の激動 | 2012年11月26日 (月) 12時58分

戦後史の激動さん

コメントをありがとうございます!
ブログ、読んでいただいてありがとうございました。戦後史の激動さんのブログも拝見します。

投稿: yumiko | 2012年11月26日 (月) 17時38分

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