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[jp] NHKで講演!

ブログタイトルを読んで(えっ?)と驚かれた方、すみません。先日、あの日本放送協会ではなく、新しく立ち上がったNHK(=「日本の報道を考える会」)という、ジャーナリストを目指す大学生のサークルに呼んで頂いて、お話をしてきました。

10月のJCJジャーナリスト講座で講師をした際、受講していた大学生の永瀬さんが、NHKのキックオフイベントに講師として誘ってくれました。JCJのジャーナリスト講座では、マスコミ業界への就職を目指す学生が大半でしたので、(インディペンデントのドキュメンタリー監督なんて、就職の選択肢として考えていないのでは?)と思いました。

しかし、NHKを立ち上げた永瀬さん自身は、日本のマスメディア報道に強い関心があり、記者クラブ制度、記者のサラリーマン化、原発報道などの問題にとても詳しく、危機感を持っていました。周りで、マスメディア就職を目指す学生の中では、マスメディアの問題はそう認識されているとは限らないそうで、もっとメディアの問題を知ってほしい、サラリーマン化して欲しくないという気持ちから、NHKを立ち上げたのだそうです。

永瀬さんのその熱意には感動しましたが、やはり大半の学生さんは、それでも「腐っても鯛」的にマスコミに就職しようとする人が多いんだろうなぁ・・・とも思いました。

でも、事前にスカイプで2時間ぐらい永瀬さんとお話していて、学生の大半はマスメディア志望だったとしても、それでも、ジャーナリスト志望でなかった私が現在インディペンデントで情報発信をするに至った過程、海外でジャーナリズムを学んだ経験、周りの監督がどうやって生計を立てているのかなどをお話するのは、今は彼らに響かなかったとしても、将来思い出して何かの役に立ってくれることがあるかもしれないと、考えるようになりました。

普段は、マスメディアに対して既に懐疑的な人(市民運動や市民メディアに関わる人)に向けて講演することがほとんどなので、今回は何に重点を置いて、どこから話し始めたらよいのか考えました。ドキュメンタリーの制作ノウハウは、自分でも少しでも始めているような人に対してでないと、あまり意味がないし、機材も必要になるので、今回は触れないことにしました。

それに、最近知ったのですが、いわゆる”ジャーナリスト”に憧れる人たちは、圧倒的に新聞記者志望が多くて、テレビならNHK以外は行きたくない、と考える学生が多いのです。NHK以外のテレビ局で「は、ジャーナリズムは追及できない、民放は”バラエティー”、”エンターテイメント”業界という印象が強いようです。でもまぁ実際にテレビ番組のほとんどがバラエティーで、ドキュメンタリー番組は削減されたり、深夜枠に追いやられているのですから、あながち間違った分析でもないのかもしれません。

なので、私はドキュメンタリー制作の具体的な話ではなく、なぜ自分がインディペンデントで表現するに至ったのか、インディペンデントから見てマスメディアの報道や手法にはどんな問題があると感じているのか、などを中心に話すことにしました。NHKのメンバーと同じ、私が10代の後半~20代の中盤ぐらいまでの頃、どんなことを考え、どんな生活をし、価値観を形成していったのか。その頃の生活や人との出会いが、今私がしていることの基盤になっていると思ったのです。

会場は神宮前区民会館
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会場予約時は、混乱を避けるため「NHK」名は使わなかったそうですcatface
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この日の講座は、2部構成で、前半はJCJでおなじみの須貝さん。日経新聞を今年定年退職されました。普段、JCJなどで、イベント主催者側として活躍されていますが、須貝さん自身が講師として話されるのを、これまでに見たことがなかったので、この日、どんなことをお話されるのか楽しみにしていました。

須貝さんの講義の様子
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新聞記者に憧れて入社し、地方支局を経験されてきたことを中心にお話していました。須貝さん講演後の質疑応答では、記者クラブ制度について、須貝さん自身はどのように感じているか、かなり突っ込んだ質問がありました。須貝さん自身は、記者クラブで発表される情報に頼っては、良い記事は書けない、(所属部署のせいもあるが)自分は20年以上記者クラブとは無縁の記者生活をしていた、時代の流れから言っても、記者クラブはフリーにも解放され始めているし、段々その役割は縮小されていっているのでは?と応えていました。

10分ほどの休憩のあとは、私の番で、時間は質疑応答も含めて1時間半の予定でした。さすがに、高校生や大学生の頃の話は、普段の上映会などではほとんどしないので、あまり話しなれていないせいか、時間配分に苦戦。気がついたら、六本木で暮らしていた頃の話にたどり着くころには、既に話し始めて1時間近くたっていました。残り30分で、ドキュメンタリー制作、さらには(学生さんにとっては一番気になる)生計の立て方までたどり着くのか??!!

最後の方はかなりの駆け足になってしまいましたが、何とか時間内にまとめました。講義の最後に、こう付け加えても起きました。「今、こうしてインディペンデントでドキュメンタリーを作っている私の話は、マスメディアを目指している学生さんたちにはあまり響かない話かもしれません。現に、私自身も大学3~4年生の頃は、公務員を目指し、実際に公務員として就職しました。でも、マスメディアに就職して、社会を段々と知って失望したり、不当に解雇されたり、犯罪の被害者になって世の中への怒りが増したりしたときに(←別にネガティブな動機でなくても良いのですが)、ふと、今日の私の話を思い出して、自分で情報発信している人がいたな、じゃあ、自分でやってみよう・・・そんな風に考えてくれる人が少しでもいたら、それで十分だと思っています」と話しました。

肝心な生計の立て方に関しては、「いかに稼ぐかではなく、いかにお金を使わないで生活するか、お金をかけないで制作するかを考えたほうがいい」、と。これじゃあアドバイスとは到底言えないかも知れませんが・・・coldsweats01

質疑応答では、「映画をテレビ局に持ち込むのではなく、映画祭などのコンペに持ち込むのはなぜか?」、「取材対象に疑問を感じても、それを批判するような作品は作れるのか」、「今どんな作品を作っているのか」、「社会人になって、どんなところに遊びに行っていたのか」などなど、普段の上映会ではあまり出ないような質問もあって、面白かったです。

須貝さん講義後の質問でも出た、記者クラブ制度についても、フリーランスの立場から補足しておきました。確かに、時代の流れから言って、そして国際的な流れから見ても、日本の記者クラブ制度はおかしな存在です。しかし、それでもなお、時代や民意に逆らってでも、政府とマスメディアが記者クラブを必死に守ろうとしているというのが現状です。記者クラブはいずれなくなる、のではなく、原子力ムラと同じで、一部の人たちの既得権益のために必死に守ろうとしているのが現状ではないかと思います。

「フリーランスにも解放されつつある」というのは、記者クラブメディア側から開放したのではなく、一部のフリーランスの人たちの根気強い要求や訴訟提起などのおかげで、やっと外部からほんの少し穴が開いた、という状態です。民主党政権になったことも、開放の流れをやや後押ししたと思います。それでもまだフリーランスの出席を認めなかったり、出席は出来ても発言はさせない(オブザーバー参加)という省庁の記者会見も多く存在します。また、写真や映像のフリーランスに対しても、記者クラブメディアでの”署名記事”(原稿)を条件として要求されることが多いです。マスメディア業界のジャーナリストたちが、フリーランスの報道の自由を奪うために必死になっているというのが現状です。

民主党政権下でフリーランスにも少しずつ記者クラブが解放されてきたとはいえ、原発事故以降、記者クラブ解放の流れは後退し、自民党政権になったことで、今後ますますフリーランスやネットメディア排除の流れが強まることが懸念されます。そのためには、やはりフリーランス自身が声を上げて求めていかなければならないと思います。

・・・それにしても、さすがNHKと銘打っているだけあって、記者クラブ制度などに強い関心を持つ学生さんが少なからずいたのは、頼もしかったです。冒頭でしょせん「腐っても鯛」的にマスメディアを志望している学生と書いてしまいましたが、講義、そしてそのあとの懇親会を経て、「腐っても鯛」的な感覚ではなく、「自分が目指しているマスメディア業界は、世間では色々と問題も指摘されているけれども、少しでも”良いもの”であって欲しい、やはり”正義”の存在であって欲しい。おかしなところがあるのなら、それを変えていって欲しい」みたいな感覚なのかな、と感じました。

私はもう大人(というか中年)になってしまったので、マスメディアに正義とか、自浄作用があるとは全く希望を持てなくなっちゃったのですがgawk、これからマスメディアに就職を希望するジャーナリストの卵の皆さんには、ぜひ「中にいるからこそ出来ることがある」と信じて、サラリーマン化せず、メディアの信頼を回復させるべく頑張ってほしいです。

・・・っていうか、今思いついたのですが、「サラリーマン化しない」ための一番良い方策は、「社内出世コースから外れること」だと思います。須貝さんも、「記者たちの多くは、40歳を過ぎると出世のことしか考えなくなってしまう」と話していましたし、これ、かなり有効かもhappy01

NHK出身の皆さんが、これからジャーナリストとしてどんな道を歩んでいくのか、とても楽しみです。懇親会でも、皆さんそれぞれに素敵な個性があったので(中には、芸能人目指したほうがいいのでは?と思う人さえいましたshine)、その生まれ持った個性を生かして、自分にしか出来ないことを追求していってほしいと思います!

講義のあとで。定年退職された須貝さんへの花束贈呈
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皆さんと。とても楽しい一日でした!
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NHK、これからも頑張ってほしいです!!

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