上映会報告(日本語)

[jp] 『木田さんと原発』、スイス・チューリッヒ上映の写真と動画

3月12日に、スイス・チューリッヒのHalbwertszeit映画祭で、『木田さんと原発、そして日本』が上映されました。

映画祭の主催者であるBeatrice Jäggiさんが、映画をドイツ語に翻訳してくれて、初めてドイツ語字幕付での上映となりました。

上映後のディスカッションの様子を、スイスから脱原発を目指し活動する「スイスアジサイの会」、山本さんより写真と動画を送っていただきましたのでご紹介します。

写真
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ディスカッション(ドイツ語)の動画も送っていただきました。動画はこちらからご覧になれます。

ドイツ語の字幕は、今後ドイツ語圏での上映で使ってOKとBeatriceさんが言ってくださったので、今後またドイツ語圏で上映できる機会があると良いです!

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[jp] ベトナムのドキュメンタリー監督Nguyen Anh Thuさんイベント報告

8月17日、新宿2丁目のカフェ・ラヴァンデリアにて、ベトナムから初来日していたドキュメンタリー監督、Nguyen Anh Thuさんの上映とトークイベントを開催しました。

Thuさんとは今年2月にハノイDOCLABで知り合いましたが、その時は話をしませんでした。でも、今回彼女が日本に来るときに連絡をくれ、ではイベントをやろうと、トントン拍子で話が進みました。

当日は、彼女が現在製作中の長編ドキュメンタリー「Zone9」の話、Thuさん自身がなぜドキュメンタリー制作をするようになったかの話、ベトナムの検閲・表現の自由にまつわる話などなど、とても興味深い話が聞けました。見に来てくださった人たちからも、ベトナムのアート教育に関することやLGBTコミュニティに関する質問、日本とロシアから輸入する原発に関することなど、幅広く沢山の質問を頂きました。

イベントが終わったあと、何人もの方々からイベントの感想を頂きました。普段ももちろん頂くことはありますが、普段よりずっと多くの方々からメールをいただき、その反響に驚いています。

イベントのトークについては、中継の録画をこちらよりご覧頂くことができます(動画は複数に分かれていますので、早い番号のものから観てください)。

また、友人の横山哲也さんが、イベントの動画と写真を記録してくれました! 以下に写真を掲載します。

マイクを持って話しているのがThuさん
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Thuさんの初監督作品、Zone9の予告編などを鑑賞しました。
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Zone9プロデューサーのガブリエルさん。アメリカ人の彼から見た、ベトナムのここ数年の変化の話も、とても面白かったです。
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会場からも沢山の質問が。
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約2時間のイベント終了後は、ラフなスタイルで交流。ここでも、Thuさんに質問殺到^^
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それにしても、当日沢山通訳もしてくれた若井さんは、日本・欧米・アジアのドキュメンタリーや社会事情にも精通して、その辺の“差”も踏まえたうえでの通訳で、素晴らしかったです!! 私自身は2月に1週間ではありましたが、ハノイに行き、現地の事情を見聞きしてきたことが大きかったです。じゃないと、Zone9に出てくるいろんなことが、実感を持ってはなかなか説明できなかったかも。やはり、実際にその国に行き、その国の人たちと交流するって、当たり前ですがすごい力ですよね。
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見に来てくださった方々から頂いた寄付は、なんと16,000円になりました! 全額そのままThuさんにお渡ししました。どうもありがとうございました!
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イベントのあとは近くの居酒屋で打ち上げをしました^^
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Thuさんは、クラウド・ファンディングサイト、Kickstarterで資金集めをしています。クレジットカードによる支払いで5ドルの寄付から特典があります! サイトはこちらです。募集期間はあと3日。ご支援できる方は是非!

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[jp] オリジン弁当が貧困を救う?!

4月30日は、NPO法人日本希望製作所主催、NPO法人グリーンツーリズムネットワークセンター共催で、『乙女ハウス』の上映会が開催されました。

今回の上映会は、希望製作所のインターンの学生さんたちが中心となって企画してくれました。韓国からの留学生が主で、若者の住まいや仕事などに関心が高いということで、私の作品の中から『乙女ハウス』を上映したいと選んでくれたのでした。

司会のジネさん
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会場は東洋大学のキャンパスの一室。新しい校舎なので、設備が充実しまくりです! ひとつの教室に、スクリーンが二つも!
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そもそも、私が希望製作所を知ったきっかけはちょうど2年前に、ソウルの女性映画祭に参加する前でした。ソウルに行くなら、ソウルの住宅事情を取材したいと思い、ネット上で情報を探しました。そのときに、ソウルの貧困問題や住宅問題について、詳しく書かれてある日本語のページがあったのです。

それは、Asian Bridgeのナ・ヒョウさんが来日されたときに、希望製作所で行われた講演の記事でした。韓国の住宅事情について全く無知だった私にも、とても良く分かる内容で、ぜひソウルで取材させて欲しいと思い、希望製作所にメールを出したのがきっかけです。

希望製作所の桔川さんが、親切にも取り次いでくださり、ソウルでナ・ヒョウさんをインタビューすることが出来たのでした。(しかしまだそのインタビューをきちんと編集・翻訳していないという怠慢!!)

先月、ナ・ヒョウさんたちが再度来日するという連絡を桔川さんからいただき、希望製作所の方々、そしてインターンの学生さんたちにお会いすることが出来ました。私の映画にも興味を持ってくれて、上映会のお話を頂きました。

私のような自主映像制作者の場合、映画館での上映は稀で、自主上映会を企画してくださる場合がほとんどです。だからこそ逆に、毎回の上映は上映団体ごとに個性があり、とても楽しくもあります。今回もそうでしたが、今回は更に、頂いた上映料には特別な意味が込められていました。

というのも、現在、日本と韓国の関係が非常に悪くなっていることを懸念した、元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんが、日本と韓国の友好のために活動している団体に助成金(寄付金?)を出し、日本希望製作所もその助成を受け、その中から今回の上映会の上映料を出していただいたそうなのです! 

「日本と韓国の友好のため」と言うと壮大すぎるのですが、私は今回の出会いをきっかけに、それを私だけにとどめることなく、日本と、韓国のそれぞれの人たちに広げて、還元していけたらと思っています。

上映のあとは、歩いて懇親会の会場へ向かいました。会場を提供してくださった、東洋大学の青木先生の、ゼミ生・卒業生の方たちも来ていました。環境、農業や地方での生活などに興味のある方が多く、「東京では家が無い。地方には空き家がある、でも仕事がない」という課題をどう乗り越えていくかという話も出て、とても興味深く聞きました。

地方でお金をかけずに暮らすことは可能ではありますが、例えば子供が大きくなって大学に進学するとなったとき、まとまった“現金”(授業料)がかかったりして、私たちはやはり貨幣経済とは無縁ではいられないのです。青木先生は、「東洋大学がそういう学生たちを受け入れる仕組みを作ったらどうか」と話していました。

『乙女ハウス』は住宅の問題だけを取り上げていますが、家の問題というのは、どうやって生活して行くか、仕事や収入の問題とは切り離して考えることは出来ません。家がなくては大問題ですが、家があっても、仕事が全くなかったらそれもまた難しいわけで・・・。また、自分の家や仕事の確保だけではなく、地域全体がどうか(商店街がなくなり、買物難民になる。高齢者しかいないなど)も重要です。改めて、住宅の問題を考えることは、社会全体の問題に関わることなのだと実感しました。

懇親会では、映画を観てくれたインターンの留学生から「映画を見て疑問を持った」と言われました。「映画に出てくる若い日本人女性たちは、なぜあんなに貧乏なのか?」と。その人は、韓国からの女子留学生でした。「日本人なのに、なぜ稼ぐことが出来ないのか? 私は外国人だけど、アルバイトをしながら何とか生活しているのに」と。そして、「貧乏な人にはオリジン弁当がオススメですよ!」とも・・・??!!

聞くと、彼女はオリジン弁当でアルバイトをしていたのだそうで、24時間営業の店で、深夜から早朝までのシフトに入れば、時給は1100円以上もらえ、50~60代の日本の貧困女性たちも沢山働いていたそうです・・・

確かに彼女は自分で努力して、しかも海外で一人でよく頑張っていると思います。留学生の方がよっぽどたくましいし、彼女のような人からみれば「なぜ日本人なのに貧困に陥るのか?」と不思議に思われるかもしれません。でも、貧困状態に陥る原因は様々で、例えば学歴がないのでキャリアアップできるような仕事に就けなかった、派遣やアルバイトを転々としてきた、過酷な残業で体を壊した、職場環境が悪く精神的に病んでしまったetc、それぞれに事情があるのです。一度体を壊してしまうと、軽作業の仕事しか出来なくなる人もいます。メンタル面の問題を抱えている場合、接客を恐怖に感じる人もいるでしょう。

私はそんな事情を話しましたが、彼女によると、それでもオリジン弁当はオススメらしく「接客が苦手な人でも、深夜の営業はあまりお客さんが来ないので大丈夫!」とのことでしたcoldsweats01 そうか、そんなにオリジン弁当は貧困の味方なのか・・・ いざというときのために覚えておこうと思った私でしたhappy02

この日は、『乙女ハウス』に加え、『ホームレスごっこ』の上映もしました。上映の度にいろんな感想をもらうこの作品ですが(良くも悪くもcoldsweats01)、今回はクリスチャンの人たちから「なぜ聖書の言葉をホームレスの人の映像にかぶせて使ったのか?」という質問をもらいました。すごく違和感を覚えたそうです。

そのシーンに関して、私なりに意図はあるにはあり、説明もしましたが、でも後から考えてみると、意図や理由といったものは、結局私の後づけのような気もしました。自分が感じた、新宿という町の”違和感”を丸ごと映像にした、というのが正直なところかもしれません。(ちなみに長年、野宿者関連の映像を撮り続けている土屋トカチさんと飯田基晴さんからも、この映像を見て「色々と聞きたいことがある映像です」という意味深なメールをもらってしまったので、近々(恐る恐る)聞きに行って見たいと思いますhappy02

今回、インターンの学生さんたちの中心となって、この上映会を企画してくれたジネさんは、もうすぐ留学を終えて韓国に帰国されるそうです。この日は、懇親会で希望製作所の理事さんからインターンの修了証が手渡されました^^
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楽しい上映会と交流の機会をありがとうございました!!

懇親会後の集合写真
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[jp] Catch & Throwからの動画第2弾!

3月21日の西荻窪、Catch & Throwからの動画、第2弾をご紹介します。雅一さん率いるバンド、gajapoのライブです! こちらよりご覧いただけます。Catch & Throwからの動画は以上です!

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[jp] Catch & Throwからの動画

3月21日、西荻窪のタスカフェにて、第1回目のCatch & Throwイベントをやりました! 今日は、そのときに撮った動画を編集してYouTubeにアップしました。動画はこちらよりご覧になれます。

三浦モトムさんのパフォーマンス、ファンになりました^^

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[jp] ベトナム・ハノイDOCLAB訪問(その6)

6日目、いよいよハノイの最終日です! 天気は晴れ。最終日に限って晴れなんて・・・と恨めしく思いましたが、(晴れだとこんなに暖かいんだ?)とびっくりするぐらい、暖かいのでした。半袖でも大丈夫そうな気温です。

朝9時ごろに起きて、外に出てみました。ハノイの中心地から、30分離れるだけで、こんなに静かで、穏やかな生活が出来るというのは、私にとって驚きでした。ハノイに着いてからずっと、ど真ん中で生活していたので、町の喧騒、渋滞、建物がひしめく状態が、ある意味当たり前に感じていましたから。
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タオさんは撮影しようとビデオカメラを外に出しましたが、結局撮影はしませんでした。
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タオさんが、実家から送られてきたという卵で朝ご飯を作ってくれました。ちなみに、タオさんの部屋にある、このアンティークの椅子は、この近くの会社が潰れたときに「ご自由にお持ちください」と言われ、譲り受けたとのことです!
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朝10時ごろ、タオさんの家を出て、ホテルまで送ってもらいました。20分も走れば、段々景色は街中に変わって行きます。

このバイクの集団を見ると、ハノイの中心地に戻ってきたんだな・・・と思い知らされます^^;
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タオさんにホテルまで送ってもらい、そこでタオさんとお別れしました。今回の旅行で、ティさんに次いでとってもお世話になった人。感謝の気持ちで一杯でした。また会えるといいな!

ホテルのチェックアウトが12時だったので、急いで荷物をまとめ、チェックアウトをしました。 荷物はそのまま預かってもらい、外に出かけます。

この日は午後1時に、ニャーサン・スタジオのアーティスト、マミさんと会う約束をしていました。湖近くのカフェで待ち合わせ。通りとカフェの名前が携帯のメッセージで送られてきたので、地図で探して向かいます。一応、マーケットのあちこちには通りの名前の標札は出ています。

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「スタソプ」になってる^^
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通りの名前だけでカフェにたどり着けるのか不安でしたが、無事到着。 3階まである、ステキなカフェでした。CONGカフェというお店。
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マミさんは遅れるという連絡をもらったので、先に入ってコーヒーを注文。
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3階席に座ったので、行き交う車とバイクの様子が、上から良く見えました。つくづく、よく事故にならないなぁと感心。
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15分ほどするとマミさんがやってきました。マミさんは、アーティスト・イン・レジデンスで日本に3ヵ月滞在したそうです。滞在中、色んなギャラリーに行ったといっていました。数日前に、ニャーサン・スタジオのイベントで会ったときも、東京は色んなものが沢山あって、色んな人に会えるからうらやましいと言っていましたが、この日も同じことを話していました。

「でも、ハノイだから自分はアーティスト活動を続けていられる」とも言いました。東京やNYは、生活費が高いです。ただ”生きていく”だけで、とてもお金がかかってしまいます。そうなると、何らかのバイトをせずには、暮らしていくことは難しいですよね。

一方、ハノイの場合は、生活費はとても安いです。そして、家族や友人との助け合いがあります。マミさんは、アーティストとしての仕事がない時期、1年間ぐらい友人に食べさせてもらうこともあるそうです。でも、それも生活コストが安いベトナムだからこそ成り立つ話で、東京だったら無理だろう、と話していました。

生活費が安い国は、その分収入も低いのでしょうから、ベトナム人にとっても誰かを1年無償で養うのは、やはりそう簡単なことではないのでは?と私は思います。物価の安さがそれを可能にしやすくしている面はあるかもしれませんが、やはり人間関係のつながりがまだ生きている、という理由の方が大きいかもしれません。

マミさん
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マミさんと別れ、DOCLABに向かいました。

道中で撮った写真
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DOCLABに到着。この日は、オーストリア人もDOCLABを訪問していました。彼はドキュメンタリー・フォトグラフィーをしており、少数民族に興味があるそうで、DOCLABのメンバーにハノイから行ける少数民族の村について聞いていました。
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DOCLABでは、販売用DVD作業の真っ最中。DVDはここで手焼き、作品タイトルはスタンプ押し、DVDジャケットは自分で差込み・・・と、スタンプ押し以外は私と全く同じです^^ ちなみに「Hard Rail」は2011年に山形の映画祭でも上映された作品。
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ふと気がついたら、訪問客の男性が、一人でDVD作業を手伝っているではありませんか・・・!
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ニャーサン・スタジオのリンさんが、機材を借りに立ち寄りました。
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DOCLABの女性陣^^
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上の写真、一番手前に写っているニャーさんは、現在、完成間近の作品を仕上げ中で、その作品を見せてもらいました! ちなみに、DOCLABのパソコンは全てMac。

うわ~、タイムラインのこの感じ! 国境を越えて、私たちのやることは一緒だわ!と、当たり前なのに感動してしまいました^^
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彼女の作品から
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ドキュメンタリーというより、彼女の世界観を映像によって追表現(?)したというような作品で、自作の詩に、アリが群がり朽ち果てていく昆虫、腐った果物、静かに揺れる炎など、普通は好んで映されないような被写体が、静かな美しさを持って迫ってくるような、印象深い作品でした。完成が楽しみです!

夕方6時ごろになり、ティさん、ジェイミーさん、娘のアンちゃんとともに、レストランに行きました。敷居が高そうな高級レストラン。思えば私は、ハノイで”プラスチックじゃない椅子”に座ってご飯を食べるのは、これが初めてなことに気がつきました^^;

「普段、家で作らないものを注文しよう」と、メニューを覗く二人。
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アンちゃんも。ちなみに、アンちゃんはティさんとはベトナム語、ジェイミーさんとは英語、学校(フレンチ・スクール)ではフランス語を話す生活をしているそうです!
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ちなみに、このレストランは「1945」という名前のレストランでした。1945年は、ベトナムが日本から独立した年。独立記念日であると同時に、ティさんは「日本軍が米を強制購入して、ベトナム国民が200万人餓死した年」とも言っていました。200万人が餓死・・・? 恥ずかしながら、私はその話を聞いたことがありませんでした。帰国して、ネットで調べてみると、韓国や中国への加害同様、「本当だった」、「嘘だった」、「餓死は本当だが200万人ではない」等々の、ネット上の書き込みが氾濫していました。

食べながら、ベトナムの原発の話にもなりました。日本でもニュースで取り上げられていましたが、ベトナムは日本から原発を輸入することで合意しています。ジェイミーさんによると、「ベトナムは、世界で最悪の二つの国から原発を輸入する契約をしたー日本とロシアだ」と言っていました。確かに、大事故を起こした二つの国。。。

ただ、ベトナムの原発計画は、予定より5~10年ほど延期になったとも言っていました。ティさんは、危険な原発を管理できるほど、ベトナムの技術者は少ないからだろう、と話していました。「ベトナム人には、原発を管理するなんて無理よ」とも言っていました。原発建設が予定されている地域は、ある少数民族にとって聖地である土地だそうです。原発が作られるということは、少数民族もそこから立ち退かされるということなのでしょう。

ところで、ジェイミーさんは、私がビデオカメラをやり始めた初期の頃、60本ぐらいの短編を作り、それをYouTubeにアップすることで、撮影や編集の技術を覚えたと話しているのを、とても良いと思ったそうです。

ジェイミーさんによると、DOCLABのメンバーの多くは、映画を作る=「ワークショップに参加しないと出来ない」と考えがちなのだそうです。でも、本当に大切なのは、ワークショップで技術を教えてもらうことではなく、とにかく自分で撮り始めること。ジェイミーさんは上映後の質疑応答で「短編60本というのは、具体的にはどういう題材を撮っていたのか?」という質問をしたのですが、その質問の意図には「DOCLABのメンバーも、ワークショップにこだわらずに、自発的に撮影することで技術を習得する」という姿勢を見習って欲しいと思ったのですって! さすが、ワークショップの講師をしているだけあって、質問をするときも、生徒のためを思った質問をしたりするのですね!

私が初期の頃に作っていた短編は、その後、別のYouTubeアカウントを取得したときに閉鎖してしまったので、今は見ることができません。でも、DOCLAB、その他これから映像制作を始めたいと思っている人たちに、何か参考になる部分もあるのかもしれないと思って、何本か選んで現在のアカウントに再アップしました。

以下が、2007年~2008年にかけて撮影した動画です。日常生活のたわいもないこと、街中で出会ったアーティストなどを撮影しました。

- Eno appeals for gold diggers!
http://youtu.be/v4i_ljQeQWw
同じゲストハウスの住人、ブラジル人のロブソンは不安定な日雇いの肉体労働をしていましたが、ある日の給料が現金で支払われず、代わりに「本物のゴールド」(雇い主曰く)で支払われてしまう。その指輪をオモチャに、ペルー人のエノが即興で「お金持ちのアラブ人」を演じる!(イギリス、2007年)

- One day on Finchley Road - Street artist, Roland
http://youtu.be/stu3sF7XXws
ロンドン北部の通りを歩いていたら、道路にステキなチョークの絵が。これは、ストリート・アーティストのローランドによって描かれた絵。ペンキと違い、雨が降れば消えてなくなるチョークの絵だが、ローランドは警察から罰金を支払えと言われる。(イギリス、2007年)

- Tokyo Underground ~Night festival for adult~
http://youtu.be/AT9GbPTk8zQ
2008年、靖国神社の夏祭りで、見世物小屋を撮影した映像。日本で最後の「蛇を食べる女」小雪さん。(日本、2008年)

- Welcome to Eno's clinic
http://youtu.be/rKYvV6qerPI
ハウスメイトのエノは、耳に入ってしまった水を取り出そうと、新聞を丸めて火をつけ、耳に突っ込む!(イギリス、2007年)

- Tina's dynamite dancing
http://youtu.be/UnL6CWcdo9k
ルームメイトのベトナム系アメリカ人・ティナ。ダンスが得意な彼女が、家の中で踊りを披露し、レッスンをするが…(イギリス、2008年)

- "Making" of music video at Leicester Square, London
http://youtu.be/QCbhhyiJjOg
ロンドンの中心地、レスター・スクエアで、ミュージックビデオの撮影に遭遇。そのミュージックビデオの”メイキング”を撮影。(イギリス、2007年)

- Small creatures in our flat
http://youtu.be/m92IlHcByD4
国籍の違う7人で暮らしたゲストハウスは、ゴミが散乱し、ネズミが大量発生! ある日、戸棚を開けたら4匹のネズミが!(イギリス、2007年)

- TEAM MUSCLE
http://youtu.be/ZlXC2RAeEI4
ロブソンが筋トレマシンを通販で購入。正しい使用方法を見つけるべく、庭で奮闘する。(イギリス、2007年)

ちなみに、ジェイミーさんのホームページはこちら。トップページには、上半身裸のアンちゃんが! アンちゃんは、幼くして既にアーティストのような、強い存在感。まぁ、この両親にこの子あり・・・なんでしょうね。

レストランでの食事の後、ジェイミーさんとアンちゃんと別れ、私とティさんはハノイに新しく出来た、インディペンデントのアート・ギャラリー、Manziに行きました。
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ティさんの友人のアーティストたちが、共同で運営しているというこちらのギャラリーは、インディペンデント臭(?)のまったくない、めちゃエレガントな建物で、おしゃれな佇まいです。ちなみに、賃料は月10万円ほどで、このレベルの建物にしては、格安の値段で借りれているそうです。
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ドリンク・バー
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ハノイのインディペンデント・アーティストたちの作品が展示・販売されています。ティさんやジェイミーさんの作品も。
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つい先日、ここで初めて映画の上映会もやったそうです。入場は無料で、ドリンクを買ってもらうという方式で。私たちもこの日、ここでドリンクを買いましたが、スムージーは手作りで濃厚。値段も200円ぐらいと、他のカフェよりほんの少し高いぐらい。 「でも、イベントでみんな全くドリンクのオーダーをしないのよ!」とティさんは言っていました。何でだろう・・・? イベントの時間が長ければ(その上映イベントは6時間近くありました!)、ドリンクだって普通は飲むでしょうに。ここの運営や家賃は、主にアート作品の展示販売とドリンクの収入で賄われるので、ドリンクが売れないのは存続にも関わってきます。「塩辛いおつまみを無料で振舞ったら、ビールが売れるかもよ?」って、私にはそれぐらいしか思いつかなかったんですが^^;

Manziのパンフレット
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ティさんからもらった、ニャーサン・スタジオ15周年を記念したトートバック、ティさんの写真集とポストカード、ハノイのアーティストによる手作りのノート、ベトナムコーヒーとフィルター。大切に使わせてもらいます!!
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自分でも、ベトナムコーヒーは大量購入^^
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麺類も買いました^^ 美味しかったので、20袋ぐらい買って置けば良かったと後悔。
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あっという間のベトナム6日間。短い滞在期間ではありましたが、でも毎日フルに活動して、沢山の出会いもありました。その機会を与えてくれたティさんに感謝x100です。Manziカフェでも、話は尽きず、気がついたら夜9時過ぎ。。。

帰国便が夜11時55分だったので、夜9時にホテルからタクシーに乗れるように予約手配してもらっていたのですが、・・・遅刻!!! 急いでティさんにホテルに送ってもらいました。ティさんと再会を約束して別れ、私はタクシーに。

ノイバイ空港に到着すると、行きの便で相席になったベトナム人のバンさんに会えました。(彼女も同じ条件のバーゲンチケットだったため^^)

バンさんと
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お互いのハノイ滞在について話ました^^ 帰国便は、真夜中にハノイを発ち、早朝に成田に到着する便だったので、ぐったり疲れているのに、朝4時ごろに起きて朝食(=機内食)を食べるという、疲れにとどめを刺すようなスケジュール。

成田からの帰り道は、乗り換えの度に乗り過ごし、通常より1時間ぐらい余計にかかってしまいました^^;

以上、ベトナム・ハノイDOCLABの訪問記でした! 長い文章を最後まで読んでくださって、ありがとうございました&お疲れ様でした!

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[jp] ベトナム・ハノイDOCLAB訪問(その5)

ハノイ5日目、この日も朝からあいにくの小雨。この時期は、一応ぎりぎり乾季の時期のはずでしたが、結局私が滞在していた期間はほとんどが曇りか雨でした。

前日のブログに書きましたが、タオさんからまさかの”7時集合”を提案され、それを8時集合に変更してもらったわけですが、なぜタオさんがそんなに早く集まりたかったのかは、私は知りませんでした。こんなに早い時間に集まるなんて、もしかして朝しか撮れない何かの光景を撮りたいのかもしれないと、私は勝手に想像しました。

もしそうだとしたら、8時に会ってすぐ撮影ということにもなりかねません。朝ごはんナシで、場合によっては昼ごはんも食べる時間なく撮影ということだってあるかも。。。

そう思って、本当は1分でも長く寝ていたかったのですが、7時におきてホテルの近くに朝ごはんを食べに行きました。帰り際には、現地の人が雨の日に着るポンチョを購入。この日は終日バイクで移動するとしたら、傘ではなくポンチョが便利だろうと思ったので。

ポンチョはどこでも買えて、大体20円ぐらい。その代わりぺらぺらなので、念のため2枚買っておきました。さぁ、これで今日はどんなプランになっても大丈夫!!

8時にタオさんがホテルまで迎えに来てくれました。タオさんは朝ご飯を食べていなかったので、まず朝ご飯を食べることに。バイクを湖のそばに停め、良さそうなお店を探します。湖を囲むようにして、四方八方に道が伸び、カオス的に色んな店がごった返している印象のハノイですが、地元の人によれば、それでも大まかに、食材、洋服、くつ、みやげ物、お茶etc、などカテゴリーごとに集中したエリアというのがあるそうです。実際歩いていると、靴ばかりが売られている通りや、魚ばかりを売る通りなどを見かけます。

しばらく歩いて、食べる場所を決めました。こんな感じのエリアです。
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私は既に朝ご飯を食べたので少しだけ・・・といいつつ、ガッツリと食べます^^; 辛目のスープに、パイナップルがのっているフォー。
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ご飯を食べながら話していて、どうやら何か特定の撮影のために、こんなに早く集合したのではないようでした。 ご飯の後、そのままこのお店でしばらく話し込んでいました。

DOCLABの作品は、東南アジアだけでなく、世界中の色んな場所で上映されています。DOCLABのユニークな取り組みとその先進性は、日本でも山形のドキュメンタリー映画祭だけでなく、恵比寿映像祭や、広島、福岡などでも紹介されています。

ほとんどの場合、DOCLABの主宰者であるティさんが呼ばれて海外に行くことが多いのですが、DOCLABの他のメンバーも海外の映画祭やフォーラム、ワークショップなどに参加しています。

タオさんは、DOCLABを代表して、世界最大(ですよね?)のドキュメンタリー映画祭、オランダのアムステルダム・ドキュメンタリー映画祭(IDFA)に、昨年12月に参加しました。その映画祭に参加した経験が、相当強烈だったようで、タオさんは私が会うときはいつも、IDFAのロゴが入った映画祭バッグ(参加監督がお土産でもらえるトートバッグ)を持ち歩いていました。

IDFAのトートバックを持ち歩くタオさん
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いいなぁ、私もいつか参加したいなぁ、アムステルダム・ドキュメンタリー映画祭! 興味深々に映画祭の事を聞いて見ましたが、映画祭自体の印象はあまりないようで・・・???

なんと、タオさんは映画祭に参加していた、別の国からの監督と恋に落ち、タオさんにとってはIDFAイコール彼との思い出だったのでした・・・!!!! 「アムステルダムはとても寒くて、気温が1度だったけど、私は全く寒さを感じなかった」って、なんてロマンチックなんでしょう!!!

・・・ですが、アムステルダムで恋に落ちたその監督とは、帰国してから2週間ぐらいは頻繁にメールがきたものの、その後ほとんど連絡が来なくなってしまったのだそうです。あきらめるべきか、まだ可能性を信じるか、悩んでいるそうです。。。

別の日のブログで書きましたが、DOCLABの中心メンバーの多くは女性です。DOCLABによって女性たちの可能性が引き出され、いきいきと活動しているというのは、何度か訪問しただけの私でも、良く分かりました。

・・・しかし一方で、タオさんが抱える悩み=DOCLABでは男性との出会いがない、は、タオさんにとってかなり深刻なようでした。タオさん曰く「DOCLABでは出会いがないし、これからも期待できないだろう」とのこと。

別の日に、ティさんも「結局DOCLABに定着するのは、同じスピリットを持った女性ばかり」と言っていました。なぜDOCLABには女性が多く、入ってくる男性は定着しないのでしょうか? そのひとつには、やはりティさんの存在が大きいのではないかと思います。聡明で、利発で、クリエイティブなリーダーシップを取るティさんに対して、一般的(?)な男性はとまどい、居心地が悪く感じるのかもしれません。

それでは、男性も参加しやすい方法・雰囲気に変えるべきなのかというと、その必要も無いように私は思います。女性が情報発信する力を養う、ある意味”ラディカル”なDOCLABという場は、世間の常識とは関係なく、ぜひティさんはじめ、女性メンバーたちが自分たちのやりたいように主導していって欲しいと思っています。”出会い”の場は、他で探すとして^^;

この日は、タオさんと湖の周りを歩いたのですが、あちこちで見かけるブライダルの撮影を見ては、「私はもう26歳になってしまったわ・・・」(タオさん曰く、ベトナム女性は25歳で結婚するのが理想)と、立ち止まって深いため息をついているのをみて、彼女より一回り年上で独身の私は苦笑^^;

マーケットの中には、お店だけでなく、お寺などもあります。こちらは中国様式のお寺
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細い路地を入ると、ベトナムの昔の建築様式で出来た家を見つけました。現在は、資料館として開放されています。そこに入って見ることにしました。

立派な客間と先祖を祭る仏壇。テーブルと椅子には、美しい螺鈿加工が施されていました。
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刺繍
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刺繍は代表的なベトナムのお土産品らしく、みやげ物店でも沢山売られていました。(質も金額もピンキリ)
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タオさん
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せっかくなので、2人で記念写真を撮ろうということになり、近くにいた人に写真を撮ってもらいました。

・・・その写真がこちら。
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私、自分の姿を鏡で見ていなかったのですが、こんな格好して歩いていたんですね・・・!! 観光客でも、現地人でもなく、周囲から浮きまくっています^^; ピンクのスカーフは、タオさんからのプレゼントで、黄緑色のポンチョは自分で朝購入したもの。自分の姿に、ショックを覚えました。(ちなみに、この写真を帰国してからDOCLABの人たちに送ったところ、「100年前のベトナム人!」とか、「仏壇から出てきた精霊」とか言われました^^;)

しばらくまたマーケットの中を歩くと、路上でお茶を売る女性を見かけました。タオさんに誘われ、そこでお茶を飲むことに。

・・・かなり汚れたバケツからお茶を汲んでいるのをみて、私はドン引き・・・
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これ、水色のバケツの中に入った急須から出たお茶ですよっ!!
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これ、旅行者の私が飲んでも、おなか壊さないんだろうか。。。ガイドブックには、ベトナムでは水道水を飲まないようにって書いてあったんですが、このバケツは、水道水どころのレベルの話じゃありません! ・・・でも、ここで断るわけには・・・

ええい、おなかが痛くなったとしても、明日にはもう帰国するのだから!と、思い切ってそのお茶を飲みました。

・・・苦い! 茶葉は出がらしを何度も使いながら継ぎ足していくようで、めちゃめちゃ苦いのです。でも、彼女の売るお茶は1杯1,000ベトナム・ドン(日本円約5円)と、現地の人にとっても格安の値段。現在75歳のこの女性は、毎日100杯程度をここで売り、生計を立てているそうです。たくましい・・・
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お茶を飲みに、お客さんが入れかわり・たちかわりで訪れ、商売は繁盛しているようでした。お茶を飲むしばらくの間、話をしたり、自分のお弁当を広げて食べる人もいました。

タオさんは、お客さんの女性と話はじめ、その話が面白かったらしく、途中からさりげなくデジカメで動画を撮影していました。興味を持ったらすぐ撮る、タオさんにドキュメンタリストの姿勢を感じました。

私は彼女たちが何を話しているのか知りたい気持ちはありましたが、撮影の邪魔をしたくなかったので、私は私で黙って動画や写真を撮っていました。
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近くのお店
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タオさんの撮影が一通り終わったときに、私は自分が撮った彼女たちの写真や動画を見せてあげました。興味深々で見ています!
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後日、下の写真を見たティさんから、 「現地に溶け込みすぎ!」と突っ込まれました^^; 「あなたたちは、同じ起業家精神を共有しているわ!」とも。確かに、お茶道具一式を持ち歩き、路上で1杯5円のお茶を売る彼女と、ドキュメンタリー界における私の活動は、共通するものがあるかもしれません^^
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「路上でお茶」の動画を撮影し、YouTubeにアップしましたので、ご覧ください。

お茶の後は、アイスを食べに行きました(食べてばっかり^^;)。有名なアイス・クリームやさんがあるということで、そこを目指して歩きます。到着すると、がらんとした屋根付き駐車場のようなスペースにアイスクリームショップが数軒。みんなが静かにアイスを食べている光景が面白い。
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アイスは、ごく普通のアイス。
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タオさんによれば、ハノイの若者たちがデートで一番最初に来るのがここなのだそう。ここにアイスクリームを食べに行こうと誘われたら、それはデートの誘いなんですって! 確かに、来ている人たちはカップルのような人たちが多くいました。

・・・その光景を見て、タオさんはまた深いため息・・・^^;!

朝早くに集合したので、大分時間が過ぎたように感じても、まだお昼頃なのでした。この日は、朝8時からタオさん、そして午後2時からは同じくDOCLABのキムドックさんとFilming picnicの待ち合わせをしていました。

引き続きマーケットを散策。
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この洗濯物の干し方は、ワイルドすぎです!Dsc01631

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キムドックさんとの待ち合わせ時間に近くなったので、待ち合わせ場所の郵便局に向かいました。キムドックさんのボーイフレンドも参加。キムドックさんは、現在取り組んでいる作品があり、一緒に撮影をしたいと言っていました。その作品というのは、ハノイの市内に子供の遊び場を創るというプロジェクトを追ったもの。キムドックさん自身も、当事者としても関わっています。

これまでこのブログでお伝えしたとおり、ハノイ市内の交通はカオス状態で、交通事故も多いそうです。道路の近くでは子供を遊ばせるのは危険ですが、かといって、子供が遊べるようないわゆる”公園”もほとんど見かけません。子供たちは、路地裏で遊んでいるのを見かけます。

キムドックさんはボーイフレンドとの間に子供がいて(2人はあえて結婚しないで子供を育てる道を選んだそうです)、子供の安全な遊び場が無いというのは、まさに彼女にとっても深刻な問題。

そんな中、ベトナムを何度も訪れ、ベトナムが大好きになったという、一人のアメリカ人女性が、ハノイに子供の遊び場が無いことを憂い、100万円を寄付して、ハノイ市内に遊び場を創ることを申し出ました。

その思いに共感したキムドックさんたちが、ホアン・キエム湖の芝生の、小さな一角を遊び場にしたら良いのではないかと考え、それを実現すべく、ベトナム政府やアメリカ大使館に働きかけました。

遊び場の候補地としてえばられたのはこの一角(10x20メートル位のスペース)
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(↓翌日、別角度から撮影)
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ところが、政府は、「前例が無い」として遊び場を創ることを許可しませんでした。「ホアン・キエム湖は、ハノイ市民にとって神聖な場所だ。そこに手を加えるのは問題だ」などとも答えたそうです。

しかし、実際には、この一角のすぐ近くには、カフェが営業していますし、この芝生の敷地内には、日本の「サロンパス」の広告だって建てられています。なので、説明は食い違います。
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キムドックさんたちは、アメリカ大使館にも協力を求めました。しかし、アメリカ大使館の担当者は「予算が全く無い」として断ったそうです。その担当者が、前々日に行った、「10ヶ月で10本のドキュメンタリー」企画の担当者として、挨拶をしているのを見たとき、キムドックさんは怒り心頭だったそうです・・・! まぁ、アメリカ大使館も、確かに限られた予算内で、毎年何に使うかを考えているのですから、それは仕方の無いことかもしれませんけど。

実は予算よりも、アメリカ大使館が協力しない一番の理由は、そもそもベトナム政府が許可していない案件を、アメリカ大使館が後押しすることが出来ないということだと、キムドックさんの彼氏が言いました。ベトナムで活動する全ての海外政府やNGO・NPOは、ベトナム政府の許可が無いと活動できません。なので、ベトナム政府の意思に反した活動は出来ないのです。ある程度まで画期的な活動は出来ても、ベトナム政府の反対を押し切ってまでは出来ないのが実情だといっていました。

将来の子供の遊び場となるか? ”予定地”の前で、キムドックさん、彼氏、タオさん
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あいにくの小雨でしたが、キムドックさんはスポーツ用の小型ビデオカメラを持参! 湖周辺でしばらく撮影しました。
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ちなみに、キムドックさんの彼氏は新聞記者です。来る前、ベトナムのメディアはほとんど国営と聞いていましたが、彼は民間のメディア企業に勤めています。いわゆる”新聞”(色んな時事ニュースが速報で報道される)ではなく、主力は電化製品やバイクなどの新商品を紹介する雑誌。でも、その会社は雑誌の他にオンラインの新聞も発行していて、そこには電化製品の紹介だけでなく、小さなスペースではありますが、政治やアートなどを紹介するコーナーがあり、彼はその記事を担当しているそうです。

キムドックさんと彼氏。私が渡した日本からのお土産を彼氏が真剣に見ているので(賞味期限が過ぎたものを買ってしまったのかしら・・・)と不安に思いましたが、なんと賞味期限が彼の誕生日というのに驚いていたのだそうです! ヨカッタ。
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キムドックさんの背後に鶏が映り込んでます・・・!Dsc01642

キムドックさんの彼氏から、ベトナムの表現の自由について色々お話を聞くことが出来ました。ベトナムに行く前、「ベトナムはデモをする権利が認められていない」と聞いていましたので、本当にそうなのかと聞いてみました。デモは出来るものの、デモを行う場合は事前に申請が必要なのだそうです。

日本でも、デモの際は道路使用の許可が必要ですし、デモの内容によっては「警備が手薄になる」とかよく分からないことを言われて、デモコースの変更を命じられたりするので、似たようなものですよね?

でも、ベトナムの場合、デモが許可になっても、そのデモの当日、デモ会場で政府の側もイベントを主催して、例えば「大フォークダンス大会」(!)を開いて、デモ参加者が入ってこられないぐらいの大人数の”やらせダンサー”たちを投入して、デモが事実上開催不能となってしまうように仕向けるのだそうです!! (←それはそれで見てみたい光景ではあります^^;)。

または、デモ会場のすぐ近くで、政府側によって集められた人たちが、大人数で金属を叩いたり、石を割ったりする行為をし、不快な大騒音でデモ会場のスピーチが聞こえないようにするなどの、迷惑行為をするのだとか。それでもしデモ参加者が文句を言おうものなら、翌日には「せっかくの楽しいフォークダンス大会が、過激派によって襲撃されました」という新聞記事になってしまうのですって!!

・・・それって、漫画の世界じゃん!!・・・

と思わず言ったら、彼氏は「でしょ? 私もこれを漫画にして表現すべきじゃないかと思っている」と。デモ現場の取材は危険なのか聞いたら、「市民側に立って撮影していると狙われるけれど、海外メディアの取材者にはベトナム政府は手を出さない、あとで問題になるから」と言っていました。

というわけで、なかなかデモも報道も一筋縄ではいかないのですが、工夫しながら問題を伝えるべく努力しているそうです。例えば、彼がこの日着ていたTシャツには、ベトナムー中国間の問題を訴えるメッセージが。正面切ってデモをすれば逮捕されかねないけれど、さりげなくこのTシャツを着てアピールしているといっていました。「ベトナムは、隣のタイと違って、表面上は何も起こっていないように見えるだろうけど、そんなことはない」と。
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夕方近くになり、ご飯を食べに行きます。ハノイに来てから、毎日すごい量のご飯を食べていますが、ヘルシーだし、全然胃はもたれません。
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キムドックさんとのFilming picnicは、キムドックさんのプロジェクト(子供の遊び場)の撮影をするためでしたが、途中からなぜかタオさんの「彼氏募集」ビデオの撮影に変更。。。キムドックさんの彼氏にタオさんがデジカメを渡し、それでタオさんを撮影するように頼んでいました。

そんな、タオさん「彼氏募集」ビデオのメイキングを、私も撮影^^ 動画をYouTubeにアップしました。(使用している動画の一部が、路上でお茶を売る女性のとかぶっていますけど)。もしかして、日本から彼氏立候補の問い合わせが来るんじゃないかしら! どきどき。

ご飯の後、キムドックさんたちと別れました。
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キムドックさんの作品DVDを頂きました。観るのが楽しみです!
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この日、タオさんから家に泊まりに来ないかと誘われました。私は是非ベトナム人の家を見てみたかったので、泊めてもらうことにしました。タオさんの家は、ホテルからバイクで30分ぐらい。ハノイの郊外にあります。

バイクでホテルに戻り、15分ぐらいで泊まる支度をして、またバイクに乗ります。夕食のための食材を買って、タオさんの家に向かいました。

バイクを降りずに買物が可能。肉の量り売り。
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バイクで走ること30分。方向としては、空港に近い方角だと言っていました。混雑しまくったハノイ中心地から、段々と風景が横長に変わっていきます。タオさんの家に着く頃には、あたりはすっかり暗くなっていました。

タオさんは一人暮らしで、家賃は月5千円ぐらい。ベトナム人にとっても安い物件ですが、それはここの大家さんとタオさんのお母さんが知り合いだからとのこと。平屋建てで、中央には野菜畑(大家さんの畑)があり、それをコの字型で囲むように各部屋が並ぶという形式でした。

建物の様子(翌朝撮影)。ここでも、基本ドアは開け放した生活で、隣の家の様子もよく分かります。
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大家の女性
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大家さんの家はさすがに立派です!(上がらせて見せてくれました)
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広い台所もあるのに、外で作業をするのが私にはやっぱり不思議。
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さて、気になるタオさんのお部屋は・・・
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青い壁がステキな、 カラフルなお部屋です!(壁は自分で塗ったんですって)。そして、部屋にはDOCLABのビデオカメラも!

部屋って、本当にその人の個性とか人柄が出るなと思うのですが、タオさんの色使い、すごく素敵だなと思いました。タオさんの映像作品も、色使いがとても印象的な作品です。
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^_^
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台所で料理をするタオさん
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上の写真では、見づらいかもしれませんが、「流し」は左足元にあり、ホースから水が出て、その下の赤い洗面器で洗います。しゃがまないと洗えませんし、何よりスペースが狭すぎます。しかも、この水場の部分も、タイルやステンレスではなく、他の床と同じ、合板のような素材で出来ています。日本だったら、すぐにカビが生えてしまうでしょう。でも、もしかして、こういった台所の作りは、「外で調理する」ことを前提に作られているのかもしれません。ここで本格的な料理を作るのは難しそうです。ちなみにカセットコンロを使っていました。

洗い物をするのも大変。
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タオさんが料理を作っている間、私は他の部屋に行きました。なんと、このアパートには、もう一人DOCLABのメンバーが住んでいるのです! ハノイで活動する海外NGOのスタッフとして働いているそうです。
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そしてこの日は、将来DOCLABに参加したいという友達まで遊びに来ていました。なんと、このアパートに引っ越すべく、現在引越し準備中なんですって。このアパート、将来は新たなドキュメンタリーの拠点になるのでは?と密かに思っています^^ 

こちらの女性は、ハノイにある少数民族専門の美術館(?)に勤めていて、普段から少数民族の調査でビデオカメラを使っているとのこと。「まるで素人だけど・・・」と言って、携帯で撮影した動画を見せてもらいましたが、私には既に十分に思えました。
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タオさんのパスタが完成したので、みんなでいただきます! ワインも^^
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話しの中心は、もちろんタオさんのIDFA話^^ 周りは「またその話?」とからかいます。
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何だかんだ12時ぐらいまで話し込んで、お開きになりました。疲れたし、そろそろ寝ようかというときに、見知らぬ女性が入ってきました。なんと、タオさんの同居人だそうです。この部屋、二人暮らしだったんだ! この部屋に先に住んでいた人で、元々は知らなかった人とのこと。家賃を安く抑えるために共同生活することになったそうです。同居人の女性は、レストランで働いているので、朝早くに仕事に行き、夜遅くまで帰ってこないとのこと。普段は、同じ布団に2人で寝るそうです。今日は、私が突然泊まることになったので、どうやって寝るんだろうと思ったら、「彼女には倉庫で寝てもらうわ」って・・・! ”先住民”なのに・・・!

ところで、今回のハノイレポート初日で、「ホテルのホームページに”シャワーはお湯が出ます”と書いてあるのを見て逆に不安になった」と書きましたが、(なるほど)と納得しました。タオさんの家、お湯が出ないのです。

バスルーム
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右側においてある水色の桶に水を張り、トイレは赤い桶に水を汲んで流します。5回ぐらい水を流さないと、トイレットペーパーは流れていきません。お風呂は、やかんでお湯を沸かし、それをこの水色の桶に足してぬるま湯にし、それで体や髪を洗うのです。冬はかなり寒いハノイで、これは結構大変なこと! 私はこの日、結局顔だけ洗って寝ました。家の中の設備を総合すると、これでは屋外で家事をするほうが楽だろうと感じましたし、家の中にいても、かなりアウトドアライフな感じでした。

早いもので、ハノイの5日目が終わりました。

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[jp] ベトナム・ハノイDOCLAB訪問(その4)

ハノイに到着して、早4日目。無事、昨日の上映会を終え、今日からは「Filming picnic」です! 

・・・ですが、天気はあいにくの雨。空気も冷たいです。
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最近DOCLABに加わったばかりの大学生、ハンさんとの待ち合わせはお昼だったので、ホテルの近くで朝ごはんを食べることにしました。

今度は、また別のフォーの店へ。今日は店内で食べます。
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地元向けのお店では、店内にメニューが掲載されていることはないので、「フォー」とだけ言うのですが、そうするとこういった感じのものが出されます。
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連日フルで活動しているせいか、とても眠かったので、コーヒーを飲みに行くことにしました。ホテルの近くに、良い感じのお店があるのを見かけたので、そこに入ることに。
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店内に入ると、なぜか日本語の放送が。しかも、日本語のレッスン教材のようです・・・? コーヒーを注文すると、日本人かと聞かれました。

なんと、日本語の勉強中なのだそうです!
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聞いてみると、このお店はベトナムの少数民族を支援するために、海外のNGOによって運営されているお店で、日本から見学に来る人も少なくないため、彼女は日本語の勉強を始めたそうです。

店内には、少数民族が作った陶器やバッグなどが並んでいました。フェアトレードで取引しているそうです。
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(隣の食堂のお客さんが、このお店の外テーブルにも座ってしまっています・・・!)

ホテルの近くにある大聖堂。バイクで宿まで送ってもらう場合、「大聖堂の近く」というとすぐ分かってもらえました。ちなみにティさんは、このあたりのエリアで生まれ育ち、この大聖堂の裏にある学校に通っていたそうです! 今でも兄弟夫婦がその家に住んでいるとのこと。
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ホテルに戻り、支度をしてDOCLABに向かいました。ハンさんとの待ち合わせは12時でした。また歩いてDOCLABに行きます。

町並みの様子
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それにしても電線の混雑振りがすごい。 漏電しないのかと心配になります^^;
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図書館
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街中にはまだ、2月始めの旧正月の名残が見かけられました
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こちらの人たちは、マスクも、バイクのヘルメットもとてもカラフル。
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今日も朝からすごいバイクの量。通勤時間帯はもっとひどいそうです。
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Bunが食べられるお店
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街中で、結構ニワトリが放し飼いされているのを見かけます。
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このニワトリ、写真を撮った後に連れられていってしまいました・・・
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待ち合わせまでは、まだしばらく時間があったので、今のうちにお土産を買っておこうと思いました。いわゆる観光旅行ではない場合、お土産を買えるような場所にいかないことが多いので、買えるときに買っておいたほうが良いのです。

前日にティさんに紹介してもらったお店。
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こちらも、前述のコーヒー店同様、海外のNGOがやっている少数民族の製品を売るお店です。フェアトレード商品。少数民族の固有のデザインを現代風にアレンジしているとのことで、普段持ち歩いていても全く違和感のない、かわいい商品ばかり。

以下の写真、マグネット以外をこのお店で買いました。刺繍が入ったポーチ、クッションカバー(写真はたたんだ状態)、携帯ケース、亀の形をしたメジャー。
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お土産を買い、DOCLABに到着すると、マイフォンさんがいました。今日は彼女が、ここを管理する当番なのだそうです。
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「ハンさんとの待ち合わせでここに来た」と伝えたら、「彼女はまだ来ていないわ。でも、あなたは1秒も無駄にしてはいけない!」と言って、DOCLABが一昨年制作した作品を見せてくれました。 見せてくれた作品は、DVDももらった「The Sound We See  A Hanoi City Symphony」という、27分の作品。

ティさんがロスに住んでいた頃にかかわっていた、エコパークというメディアセンターのスタッフが2ヶ月ハノイに滞在し、DOCLABでワークショップをしたそうです。8ミリのフィルムを使って、各自が1時間の間で数分間フィルム撮影をした素材を繋いだ作品。モノクロで、映像と同時録音した音はありません。その代わりに、映像に、ハノイのコンテンポラリー・ミュージシャンたちが即興で音をつけた音楽がつけられていて、とても美しい作品でした。日本でも上映される機会があればいいな!と思います。

このDOCLABのスペースで、自分たちで現像もしたそうです。映画の完成時は、屋外で上映し、サウンドトラックで参加したミュージシャンたちによるオーケストラ演奏と同時に上映されたそうで、「生涯で忘れられない経験」とマイフォンさんは話していました。

やがて、ハンさんが到着し、早速Filming picnicに出かけることにしました。ハンさんは、DOCLABに加わったばかりで、まだ何もワークショップを受講していません。デジカメを持ってきていました。現在は大学生で、20歳だそうです。・・・うわ、私の半分ぐらいの年齢なんだぁ・・・。目眩がしてきました^^; お父さん、お姉さん共に弁護士ですが、彼女は大学で文学を学んでいるそうです。サルバトール・ダリとボブ・マーリーが大好きとのこと。

ハンさんとお昼ご飯(注文したのはブンと揚げ春巻き)
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「Filming picnic」をしたいと提案した私でしたが、具体的に何か撮りたいものがあるとか、ベトナムの滞在中に撮ったもので作品を作りたいとか、そういう目的はありませんでした。つまり、交流する口実が欲しかったのです。DOCLABのメンバーの人たちとゆっくり話したかったし、私が話す一方じゃなくて、彼らの事を聞きたかった。映像制作のこととか、興味のあることとか、社会や生活のこととか。

なので、撮影はかなりいい加減。しかも天気はカメラの天敵=雨。ビデオカメラはあまり使わずに、町を歩きながらデジカメで写真や動画を気ままに撮りました。真剣に撮影しようとしたら、会話どころじゃなくなってしまうので、それは今回の私の目的とは違いました。
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私が電線が混雑している写真を撮っているのが、”当たり前の光景”と思っているハンさんには面白かったようです。
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ハノイの中心、ホアン・キエム湖に到着
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以下、湖の周りを歩きながら撮った写真
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ハノイでは、この時期がブライダル・シーズンとのことで、湖の周りで写真を撮る新郎・新婦を良く見かけました^^
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2010年は、ハノイ建都千年だったそうで、こちらはその記念碑。
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元気一杯のハンさん^^
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ハノイのマネキン人形も元気一杯・・・!
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ず~っと歩いていたら、もう夕方近くになりました。この日は6時から、ティさんと待ち合わせをして、ハノイで15年以上続くインディペンデントのアート・ギャラリー「ニャーサン・スタジオ」のイベントに行くことになっていました。ハンさんも誘って、一緒に行くことに。

ティさんとの待ち合わせはDOCLABだったので、自転車タクシーに乗ってDOCLABに向かうことにしました。

自転車タクシーは、バイクとはまた違うスリリングな光景。。。バイクがびゅんびゅん抜き去る中、マイペースで自転車が走ります。
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私のビデオカメラを使って、ハンさんが初めて撮影に挑戦!
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道中、ハンさんが通訳となって、運転手さんにもインタビューをしました。自転車タクシーの運転手となって5年ぐらいだとのこと。その前は、工場で勤務していたけれど、今の仕事の方が一人で気ままに働けるから気に入っている、給料は前の仕事とほとんど変わらない、などと話していました。ちなみに、個人タクシーではなく、会社に所属している運転手だそうです。

運転手さんと
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ハンさんと
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DOCLABでティさんと待ち合わせするはずでしたが、ティさんはDOCLABまで来れなくなり、バイクで15分ぐらいのティさんの家の近くで待ち合わせをすることになりました。

これまで運よくバイクの後ろに乗って移動出来た私でしたが、ハンさんは自転車。ティさんの待ち合わせ場所まで二人乗りで行くのは厳しい状態・・・

ハンさんの自転車
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どうやって待ち合わせ場所まで行くか。。。すると突然、ハンさんが「どういう人が好み?」と聞いてきました。???と思っていると、「通りの向こうにいる、あの人はハンサム?」と・・・? 私は暗くて良く見えませんでしたが、テキトーに相槌をしたら、ハンさんが走って道路を渡り、その男性に話しかけているではありませんか! 

如何にも観光客風の私が、一人で街を歩いていると、よくバイクにまたがって暇そうにしている人たちから「送っていくよ!」と声をかけられます。何でもちょっとした商売になるハノイでは、タクシーよりも安い値段で(場合によっては白タクのように高い値段のこともあるかもしれません)、空き時間にバイクタクシーをする個人が沢山いるのです。ハンさんは、私のために、ハンサムなバイクタクシーを探そうとしていたのでした・・・!

私の好みとされた男性・・・^^;
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ハンさんが行き先を告げ、私は彼のバイクの後部座席に乗りました。ハンさんの自転車と併走するように、バイクは速度を落として走ります。でも、メーターを覗くと時速20キロ ! ハンさんはものすごいスピードで自転車をこいでいました!

無事、目的地にたどり着き、ティさんを待ちます。ティさんの家に立ち寄れるつもりが、時間が無くなってしまいました。ティさんの近所は、日本語のレストランが何軒かありました。日本人ビジネスマンが滞在するエリアなのかもしれません。

ここからはティさんのバイクの後ろに乗り、ニャーサン・スタジオへ向かいました。ハンさんはまたまた自転車で猛追。本当にすごい体力です。

ニャーサン・スタジオのウェブサイトはこちら。ニャーサン・スタジオは、関わっているアーティスト(ティさんもその一人)が何人か来日したこともあるので、日本のコンテンポラリー・アート界でも知っている人は多いみたいです。(私は今回初めて知りました)

ニャーサン・スタジオの経緯や現状が複雑なので、細かい点で間違っているかも知れないのですが、おおざっぱに言うと、このアートスタジオは、表現の自由が大きく制限されているベトナムでは珍しく、インディペンデントで運営されており、これまでに多くのベトナム人アーティストを輩出してきましたが、数年前、ヌードを伴うパフォーマンスをしたところ、当局から注意を受け、なんと1年間の閉鎖を命じられてしまったそうです!! しばらくしてまた再開しましたが、監視の目は更に厳しくなり、以前よりも活動しにくくなってしまった、とのこと。スタジオとは別に、ニャーサン・コレクティブという団体を作り、別の場所で活動をはじめ、軌道に乗り出したところでもありましたが、その場所から立ち退きを命じられ、つい最近閉鎖した(もしくは近々閉鎖する?)のだとか。。。

というわけで、ニャーサン・スタジオを取り巻く環境は、いまだに流動的なようなので、今後もし訪ねて見たいという人は、ニャーサン・スタジオに連絡を取って、最新情報を確認してから行ったほうが良いかもしれません。場所が変わっている可能性があるかも。

ニャーサン・スタジオ到着! 少数民族の古民家を移築したという建物は独特の雰囲気! めちゃめちゃカッコイイじゃないですか! 既に結構な数の人が集まっていました。
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2階部分には音楽の機材がセッティングされ、今日はこれからライブ演奏があるとのこと。1階部分にはアーティストの作品が展示されていました。
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両側には映像が投影されるようになっています。Dsc01513

2階から下を覗くとこんな感じ。
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今回、ハノイに行く前、ディスロケイトのエマさんから、ニャーサン・スタジオのアーティスト、リンさん(女性)とマミさん(男性)をメールで紹介してもらっていました。二人とも、レジデンスで日本に滞在したことがあるそうです。会場で二人にも会えました。マミさんは、「ハノイのアート・コミュニティは小さいから、いつも同じ顔ぶれなんだよ。東京は沢山イベントがあっていいよね?」と言いました。

確かに、沢山のイベントはありますが、では日々沢山の、”種類の違う”人たちと出会えているかと言うと、そうでもないと思います。まるっきりフィールドの違う人と出会う機会は少ないし、似た傾向のイベントばかりに顔を出しているかもしれません。知り合う人は、(良くも悪くも)みんなどこかで繋がっていたりします。ですので、「イベントが沢山あっても、沢山の人に出会えているわけではないよ」と私は言いました。かえって、イベントが沢山ある分、ジャンルが細分化されて、 似たような仲間でしか集わないという弊害もあるのでは?と思います。 コミュニティが小さければ、ジャンルがクロスオーバーして、異ジャンルの人とも強制的に知り合えるということが、逆にありえるのではないでしょうか? 

マミさんに、なぜニャーサン・スタジオは1年間も閉鎖しなければならなかったのかと聞きました。ヌードになるのは、そんなに大きなタブーなのか、と。すると、マミさんは「ヌードは表向きの理由。自分たちの活動が元々気に食わなかったのだと思う。でも、これまではアンダーグラウンドの活動だったから、さほど知られていなかったけど、そのヌードのパフォーマンスのときはメディアにかなり注目されたから、それがダメだったんだ。つまり、誰にも気にされないぐらいの小規模な活動なら許すけど、注目を集める存在にはなるな、ということだよ」と言いました。「でも、誰にも届かない表現活動なんて、意味が無いでしょ?」と悔しそうに話しました。ベトナムでは、大学の芸術学部も、現代アートは毛嫌いし、国民はほとんど現代アートに触れる機会がない→見ても理解できない→興味を持たない、という状況とのこと。

例えば、政府から閉鎖を命じられても、それを不服として裁判に訴えたらどうか?と私は聞いてみました。国相手では、負ける可能性の方が大きいかもしれませんが、裁判を起こせば内外の注目を集められるし、政府も外圧に負けて許可をする可能性だってありますよね? でも、マミさんは「政府の決定に不服を申し立てることは出来ない。そういう手続き自体がない。だから裁判は起こせない。政府はなぜ不許可としたかの理由さえ開示しない」と言っていました。不許可の理由さえ言わないなんて・・・! つくづく、マミさんたち現代アーティストが、ものすごい規制の中で表現活動をしているのだと感じました。

「自分は現代アーティストとしてこれまで何とかやってこれているけど、自分より若い世代でコンテンポラリー・アーティストになりたいなんていう人はいないよ」とマミさんが言うのが、私には意外でした。

偏見かもしれませんが、日本より数十年後に戦争が終わったベトナムでは、同じく遅れて経済が発展しはじめ、それに伴って文化的な活動も盛んになってきていると思っていたからです。DOCLABによって、ハノイにもインディペンデントのドキュメンタリーを作る人たちが、ここ数年になって生まれはじめ、コンテンポラリーアートや、難解そうなアートなど、芸術の幅が奥行きを持って広がっていっているのではないか?と思ったのです。

それが、30代半ばのマミさんや、40代のティさんがコンテンポラリー・アートの分野で活躍していても、後に続くもっと若い世代がいないというのは、不思議でした。でも、マミさんによると、「コンテンポラリー・アートをやっても、全然食べていけないし、政府からは迫害されているとしたら、目指したいと思う若者はいないでしょ? いたとしたら、相当な変わり者だよ」と。まぁ、日本でも現代アートを志す人は相当な変わり者(!)かもしれませんが、でも少なからずいます。歴史・社会情勢・政治なども複雑に関わっているのだから、単純に○十年遅れで芸術が広まるというわけでもないのだな、と思いました。

知らない女性からも声をかけられました。彼女は、前日のアメリカ大使館主催の企画説明会に出席していたそうで、そこで私を見かけたと言っていました。ドキュメンタリー監督で、作品は主にベトナムのテレビ局で放送しているそうです。でも、テレビ局の社員ではなく、企画を持ち込んでの請負制作。 テレビ局では扱えるテーマが限られてしまうので、海外のスポンサーにも企画を持ち込んだりする、と言っていました。”会社”じゃないと企画を持ち込めないので(←そういっていましたが、事実なのか不明です・・・)、仲間の監督と3人で会社を作ったが、オフィスはなく、いつもカフェで企画会議をしていると言っていました。
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しばらくして、ティさんと一緒に2階に上がると、秘宝館のような部屋を発見!! 20畳ぐらいの部屋の四方が、無数の仏像に囲まれています!

写真右側のインタビューを受けている男性は、リンさんのお父さんで、このスタジオの持ち主です。
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如何にも、都築響一さんとかの写真集に載っていそうな部屋!
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この部屋にある仏像や器などは、全てお父さんのコレクションだそうで、ただ飾っているのではなく、販売しているそうです。ただし、値札は付いていないようでした^^

しばらくしてから下の階に降りると、リンさんのお母さんがフォーを振舞っていました。聞くと、無料だとのこと。このイベント自体も無料だったし。。。ハノイで有料イベントは、やはりハードルが高いのかな、と思いました。でも、ライブは素晴らしかったし、実際こうしてご飯まで振舞われているし、どこかのスポンサー主催のイベントでもなさそうだし・・・ リンさんのご両親の負担だけで成り立っているのでしょうか・・・? ご両親がとんでもないお金持ちだったらそれでも良いのかもしれませんが、私としてはみんなの少しずつの負担で、こういう場所が維持されていって欲しいと思いました。
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フォーを食べていたら、また見知らぬ男性から声をかけられました。「あなたが、すごいインディペンデントで映画を作っている日本人?」ですって・・・!!! 私、この日は既に何人かから、このように声をかけられていました。小さいハノイのアート・コミュニティでは、すぐに噂が広まるのでしょうか? しかも、私の場合、作品よりも、私のインディペンデント魂(制作手法)で注目されてしまっているようです! それって微妙・・・!!

「望んでそうしているわけではないですが、結果的にはそうです」と消極的に答え、自己紹介をしました。彼は、タンさんというハノイ在住のアーティストで、ゲイを公言している人でもあります。今年、ハノイでLGBTに関する大きなイベントを開催したいそうです。マミさんとの話しの中で、ヌードでギャラリー1年閉鎖を命じられたぐらいですから、LGBTはどうなのかと思い、聞いてみました。

タンさん曰く、ヌードは難しいかもしれないけれど、LGBT自体はそんなに問題視されないと思う、と話していました。実際、昨年LGBTに関するディスカッションイベントを行い、かなり盛り上がったが、当局からは何もいわれなかったとのこと。(でも、こちらに関しても、今後規模が大きくなったり、注目されたりしたら分からないですよね?)

タンさんとLGBTについてあれこれ話していたら、気になる発言が! 「ベトナムのLGBTの世界では、日本の用語が多く使われているんだよ。日本の言葉でしか、言いようがないから」と・・・! 私はその発言を聞いて、LGBT以外でも、性的表現の中でなぜ日本語が多く”輸出”されているのか、常々思っていた疑問が甦ってきたのでした。

世界で知られている日本語は、「サムライ」や「ヤクザ」や「スシ」などだけではなく、「カロウシ」、「ヒキコモリ」といった社会現象も(広く一般にではありませんが)知られています。さらには、「ブッカケ」なんて言葉さえ、「Bukkake」として世界で通用しているのですからね・・・! イギリスの美術館で、その言葉を見つけたときには仰天しましたが、一緒に行ったイギリス人は、全員「知ってる」と(うつむき加減で^^;)。なんなんでしょうね、これ。日本人は何かの行為に敢えて名前をつけ、カテゴライズする国民性なのでしょうか???

ベトナムのLGBT界でどんなニホンゴが使われているのか聞きそびれてしまったので、現在NIPAFのパフォーマンスで来日しているタンさんに、是非聞いてみようと思います!

夜10時ごろになり、ティさんが家に帰るタイミングで、私もホテルに戻ることにしました。翌日は、朝8時にDOCLABのタオさんとFilming picnicの予定が入っていたからです! 8時と聞いてティさんはとても驚いて「そんな時間、ありえないわ! 断っていいのよ、全てはあなた次第なんだから」と言われました。まぁ、私にとっても、確かに8時は早すぎるのですが、タオさんからは、最初は7時集合を提案されたのです! でも、それを8時に変更してもらったのだし、何よりもFilming picnicに意欲的に参加したいという意思がうれしかったので、8時にホテルに迎えに来てもらうことで合意したのでした。

そんなわけで、翌朝は7時には起きなければならなかったので、まだ盛り上がっていたニャーサン・スタジオを10時過ぎに出て、ホテルに戻り、早めに寝ました。

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[jp] ベトナム・ハノイDOCLAB訪問(その3)

ハノイ3日目。さて、いよいよ今回の訪問の一番の目的である、DOCLAB訪問と上映の日です! 普段、海外旅行に行く前は、(パスポートとクレジットカード)と念仏のように唱えながら持ち物の確認をするのですが(この2つさえあれば何が遭っても何とかなるので)、今回は(HDDとパスポートとクレジットカード)と、この3点セットを唱えました。HDDとは、自分の映画のデータを入れた、携帯用のハードディスク・ドライブのことです。

でも、HDDがもしDOCLABのパソコンで認識されなかったときを想定して、各種の代案も用意していきました。HDの映像データ(約2GB)をDVDに直接焼いたものと、DVDデータとしてDVDに焼いたもの(こちらは解像度は低くなりますが、上映できないという最悪の事態は防げます)、など。

そして、ハノイで知り合った人たちに渡すための、英語の名刺と、これまでの自分の作品(英語字幕付き)をまとめて焼いたDVD。日本で買ったお菓子。ティさんの娘さん(アンちゃん)へ文房具(消せるタイプの色ペンセットと「リラックマ」のお絵かき帳)。これまでの経験から、「持って来ておくと便利なもの」、「喜ばれそうな日本のお土産」をそろえて持って行きました。

この日の上映は午後2時から。でも、11時半にDOCLABでティさんと待ち合わせして、お昼ご飯を食べることになっていました。ハノイに到着して3日目になるのでしたが、ティさんと会うのはこの日が初めて! 滞在中、ティさんが持っている予備の携帯電話も貸してもらうことになっていました。(その日以降、色んな人と待ち合わせしたり、待ち合わせ時間が変更になったりしたので、携帯電話は本当に必需品でした)

あらかじめ日本から、DOCLABの地図を印刷して来ました。地図上で見る限りでは、私のホテルから歩いて15分ぐらい(距離にして1キロぐらい)で到着するようです。DOCLABは大通り上にあるので、行き方も複雑ではなさそう。ベトナムはタクシーが安いので(初乗りが100円ぐらい)、「分からなくなったらタクシーで来れば大丈夫」と言われていました。

でもまあ、午後2時と言うのは早い時間ではないですし、前日はハノイを離れてハロン湾に行っていたので、私はまだハノイの町並みをほとんど知りません。観光がてらDOCLABまで歩いていくことにしました。

初めて、地図を片手に、ホテル周辺のエリアから離れて歩きます。事前に聞いてはいましたが、とにかくすごいバイクの数。信号らしきものはほとんどなく、横断歩道もありません。途切れることなく走ってくるバイク(スクーター)と車の間を縫って、歩行者は道路を渡るのです・・・! しかも、歩道を走るスクーターや、道路を逆走するバイクもあったりして、まさにカオス!!! 「車が全く来なくても、信号が青に変わるまで待ち続ける」日本では、全くありえない光景です!(日本だったら、築地のマグロ売り市場内で、買い付け人たちが小さな乗り物を荒っぽく縦横無尽に乗り回している、あの光景が近いかもしれません)

縦横無尽に走るバイクは、私には暴走族にしか見えませんでした・・・^^; ヘルメットを着用している人は8割ぐらいで、二人乗りも多く(中には4人乗りや、子供を片腕で小脇に抱えて後部座席に乗っている人も!!)、さらには直径1メートルぐらいの大きな樽を積んでいたりもします。スクーター本来の稼働能力をはるかに超えた利用方法ですが、ベトナムの国民にとっては、なくてはならない日常の道具なんだろうな、と実感。
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自転車の駐輪場のような感覚で、バイクがずらりと停められています。
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ハノイの道路のめちゃくちゃぶりを、デジカメの動画で撮影しましたので、ご覧ください^^ ほんと、道路を渡るのがものすごく大変なのですが、不思議なことに、自転車をこぐおばあさんが、超スローモーションで道路のど真ん中を優雅に走っていたり、地元の人たちは車とバイクの間を器用にすり抜けながら、走ることなく道路を渡っているのです。私も実際、地元の人と一緒に歩くときは、走って渡る必要がありませんでした。・・・一体何が違うのか、いまだに謎です!

自転車に沢山の荷物を積んだこちらの女性は、マイペースで道路を渡っていました。よく分かりませんが、ハノイで道路を渡るには”毅然”とした態度を見せることが大切なのかもしれません?!
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天秤を担いで行商をする女性も多く見かけました。食料や日用品などを載せて、声を掛けながら歩きます。下の写真の女性は、道路を渡る途中で果物がひとつ、道路の真ん中へ転がっていきました。どうするのかな?と思ったら、車がびゅんびゅん走る中、走って果物を拾いに・・・!! 見ているこちらの方がヒヤヒヤしてしまいました。
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これだけの交通量ですから、排気ガスで空気はかなり汚れています。ずっと道路を歩いていると、それだけで喉がガラガラしてきそうな感じでした。ハノイでも、バイクに乗る人の多くは、バンダナを口の周りに巻きつけたり、カラフルなマスクをしていました。

でも、空気が悪くても、意外に寒い気候でも、ハノイの人たちは日常生活を”外”で送るのが文化のようです。物を売るお店だけでなく、普通の人たちも路上で野菜を洗ったり、料理の下ごしらえをしたりしています。お茶を飲む店では、どこも外に小さなプラスチックの椅子が出され、沢山の人がお茶を飲みながらくつろいでいます。
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床屋さんだって、路上にあるのです!
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こんなに空気の悪いハノイ市内ですが、通りを歩いていると、あちこちにコトリのカゴがつるしてあるのを見かけました。この空気の悪い状況から飛んで逃げ出せないのが、ちょっとかわいそう。。。
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旅行者丸出しではありましたが、色んな人に道を聞きながら、何とかDOCLABのある大通りまでたどり着きました。

電車の線路。家はかなり接近して立ち並んでいます。
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大通りの様子
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混沌とした、古い建物が密集するハノイの町並みの中で、突如、別格の洋風建物が現れました。
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地図で番地を確認すると・・・ DOCLABの住所ではありませんか! ドイツのゲーテ財団の建物です。そもそも、DOCLABは設立当初、ゲーテ財団から場所、機材、資金の提供を受けて始まったので、ゲーテ財団の建物の中にDOCLABがあるのです。
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明らかに周囲と比べて異質な佇まい。
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門番がいましたが、ご飯を食べながら雑談している最中だったので、私はするりと中に入りました。それにしても立派な建物で、中には六本木ヒルズにでもありそうな、おしゃれなレストランもありました。
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地図で確認しようにも、ドイツ語とベトナム語だけが併記されたところで、私には理解不能です。
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階段を上がると、小さな部屋がいくつもあり、各部屋では少人数の授業が行われているようでした。後で聞いたところ、ドイツ語教室とのこと。DOCLABはどこかと聞いたら、隣の棟の1階だといわれました。

ありました、DOCLAB! 入り口に映画のポスターらしきものが貼られています。
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DOCLABの看板!
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ドアを明けて中に入ると、スタッフらしき男性がいて、ティさんは10分ぐらい遅れて到着するとの事。しばらく待っていると、ティさんが到着して、ティさんのアメリカ人の夫であり、写真家のジェイミーさんとともに、ご飯を食べに行きました。

「何が食べたい?」と聞かれたので、「ベトナム料理だったら何でも」と答えたら、Bun(ブン)を出すお店に連れて行ってもらいました。串焼きにした肉と米麺を、ちょっと酸っぱいスープにつけていただく料理です。付け合せの野菜は、コリアンダーやシソなどハーブ類が沢山。健康的で美味しいし、ローカロリーだし、ハノイ滞在中どこで何を食べても”ハズレ”はありませんでした。
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ティさんとは、2011年の山形の映画祭以降も、会っていました。昨年2月の恵比寿映像祭とか。でも、DOCLABについての話を詳しく聞くのは、山形でティさんにインタビューをしたとき以来でした。(そのときの動画はこちら)。

山形の時と比べ、ティさんはDOCLABに対する不満が色々とあるようでした。アメリカに長く住んだあとに、夫と娘とともにハノイに戻ってきたティさんは、2009年からDOCLABの活動を始めました。最初は、ドキュメンタリー映画を一緒に観る仲間が欲しいと、その時々で場所を借りて上映会などをしていたそうです。その後、ゲーテ財団の支援を受け、本格的なメディアセンターとしてDOCLABがスタートしました。

山形で作品を上映した2011年というのは、センターの開設から2年。ちょうど、ティさんの初期の努力が報われ始めた時期です。ゲーテ財団からの財政的な支援もあって、各種の映像ワークショップを開催し、そこで学んだインディペンデントのドキュメンタリー作家たちが自分の作品を作りはじめ、それが世界的にも注目を浴び始めた時期であると言えるでしょう。

しかし、そこからまた3年近くたち、ティさんの中では色んな思いがあるようでした。まず、一番大きいのは、ゲーテ財団からの支援が終わってしまったこと。ベトナムをはじめ、東南アジア諸国では、欧米系の企業や文化財団(ゲーテ財団の他、フォード財団や、ブリティッシュ・カウンシルなど。日本からは日本財団も)が色んな文化事業への助成をしています。

しかし、それらの助成は、大抵はプロジェクト単位の、期限付きのものが多く、更新されることはなかなか難しいのです。企業としては、自分たちの社会貢献をアピールするために、広く浅く、色んな事業にかかわりたいという思惑もあるのでしょう。DOCLABの場合は、最初の2年間は手厚い支援を受けましたが、その後は支援額がぐっと下がり、現在ではゲーテ財団の建物内の一角を使わせてもらう以外は、財政的な支援は”全く”ないそうです。(ゲーテ財団が主催する、単発的な映像イベントで手伝う場合などを除き)。また、DOCLABの他に別のメディアセンターが別の財団の支援で出来たそうですが、こちらも2年ほどで支援が終了し、今はなくなってしまったとのこと。

募金を呼びかける箱(アンちゃん作)
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ティさんは、「お金を募るなら、もっと悲壮感にあふれた感じにした方がいいかしら? これでは、ちょっとハッピーな感じだわ」などと、真顔で言っているのが面白かったです。

建物を無料で提供してもらえるのは、それだけで既に大きな支援ではありますが、財政的な支援がないと、例えば、センターの留守番を持ち回りでスタッフが担当していますが(メンバーが機材を借りに来たり、ここのパソコンで編集作業を行ったりするため)、スタッフ手当てのようなものは出せません。また、以前は海外の映画を上映する際に、ベトナム語の字幕をつけていましたが、今はそのための資金もありません。ワークショップも、単発のワークショップは開催しているものの、その数は少なくなりましたし、長期のドキュメンタリー制作ワークショップは、今は開いていないそうです。

財政的な問題だけでなく、ティさんの中では、DOCLABの運営についても不満があるようでした。ベトナムのインディペンデント・ドキュメンタリー界を牽引しているといっても過言ではないティさんですが、ティさんの立場を担える・引き継げるスタッフが全く育っていないというのです。「みんなは、私に頼りすぎている。作品は作りたがるけど、運営をしたり、どこかから助成金をもらったりするような、そういう組織運営の能力がない」と言っていました。

なので、いまだにアドミン業務の全てをティさんがやらざるを得ず、それだけでも日々かなりの時間を占め、ティさんは自分の作品を作る時間が全く持てないと言っていました。時間をかけて取り組む長編作品が出来ないし、海外でのアーティスト・イン・レジデンスも、参加で来て1ヶ月がマックスだ、それ以上自分がDOCLABを不在にしてしまったら、運営に支障をきたす、と言っていました。実際、昨年には他のスタッフにワークショップの担当をしてもらったことがあるのでしたが、ティさんとジェイミーさん曰く「ディザスター(最悪)だった」と言っていました。

常々、DOCLABはインディペンデント・ドキュメンタリーの希望の星!と思っている私としては、こういう話を聞いていると(←滞在中、しょっちゅうこの話になりました)、ちょっと悲しくなってしまうのですが、今後はティさんはもっと意識的に「他人に任せる」ことをしていくべきだと思いますし、ティさんのようにテキパキとハイレベルな仕事は出来なくても、フォローしながらでも他人にやってもらうということに、しばらく重点を置いたらよいのかもしれません。とにかく、ティさんは頭切れまくりで、能力が高すぎるので、それを他人に期待しても、思い通りになるはずがありません。。。あと、彼女が運営にかかる負担を、どの程度メンバーの人たちに訴えているかも不明です。大変だと知れば、運営に関わる人も出てくるのかもしれませんが・・・

DOCLABが出来て5年。DOCLABは初期の頃の問題とは別の、新たな局面に向かっているのだと感じました。DOCLABは是非続けていって欲しいし、ティさん自身も映像作家なのですから作品を作り続けて欲しい。他所の人間としては、勝手にこのように期待しています^^

一通りティさんの話を聞いた後は、今度は私の話になりました。山形の映画祭のあとは、どのような活動をしてきたかとか、どのように映画作りを可能にし、作品を作り続けているのかなどについて。私の場合、スポンサーもなく、助成金も受けずに作品を作っているので、制作費用の回収(とまでは行きませんが)は、自主上映会やDVDの販売などが主です。自主上映会をどのように広げてきたか、自主上映の条件、DVDの販売方法やこれまでの販売枚数などを話したところ、ティさんからとてもびっくりされたのです!

でも、日本人からすれば、それはまったくびっくりするような話や金額ではないかもしれません。コンビニでバイトをするほうが、よっぽど稼げます。しかし日本でも、映像制作でお金を稼ぐとなると、それは結構難しい話です。映像制作自体、完全な個人でやっている人というのは、意外に少ないと思います。インディペンデントと括られる作品でも、制作会社があったり、配給会社があったり、特定の支援団体が全面的に支援していたり・・・という形態の方が多いと思います。なので、本当に全くの個人ながら、定期的に作品を作り、自主上映会をし、DVDもそれなりに販売され続けているというのは、金額的な規模は小さいながらも、珍しいことかもしれません。

「ベトナムでは、文化にお金を払うという習慣がないのよ。だから、ユミコがやっていることは、ベトナムでは無理だわ」と言いました。映画に対してお金を払うのは、シネコンで見るハリウッド映画ぐらい。ドキュメンタリー、しかもインディペンデントの作品なんて、お金を払ってみる人はいないだろう、と。日本も決して恵まれた環境であるとはいえないかもしれませんが、少なくとも”有料”の上映会は珍しいとは思われないでしょう。(行く、行かないは別として)。

DOCLABはこれまでの作品をDVD化していますが(パッケージも凝った立派なDVDです)、何と販売価格は5ドル。物価の安いベトナムとはいえ、電化製品やパソコン周辺機器などの値段は、日本とそんなに変わりません(輸入するので、逆に高いものもあるぐらいです)。なので、DVDの原価に既に2ドル以上かかり、手間賃も考慮すれば5ドルで販売しても、ほとんど利益はありません。でも、「5ドル以上の値段を付けたら、絶対売れない。今出しているDVDだってほとんど売れずに、棚に眠っているわ!」と自嘲気味に言っていました。

話は尽きず、そろそろDOCLABに戻る時間になりました。上映は2時から。既に何人か来ていました。結局15分ぐらい遅れて始まり、途中から来た人&途中で帰った人を合わせれば、全部で20人ぐらいの人が来てくれました。なかでも、一番乗りで来た大学生のハンさんは、Filming picnicをとても楽しみにしていて、早速翌日に待ち合わせることに。

DOCLAB内部の様子
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写真中央の女性がティさん
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この日上映した作品は『踊る善福寺』(全編)、『ホームレスごっこ』(全編)、『さようならUR』(一部)。まず、冒頭にティさんから私の紹介があり、私たちが山形で知り合ったこと、その後DOCLAB作品の上映会を東京(路地と人)で行ったこと、そして「彼女は、私が今まで出会ったインディペンデント・ドキュメンタリー制作者の中で、一番インディペンデント度が高い人」と、褒められているのかどうか微妙な形容をされました。

その後、私から簡単な自己紹介をしました。山形でDOCLABの話を聞いてから、いつか必ず訪れてみたいと思っていたこと、DOCLABの参加者は厳しい選考を勝ち抜いて選ばれたメンバーであるので、そういう人たちの前で上映できる機会を与えられ、とてもうれしく思っていること、短い滞在期間ではあるが、沢山の制作者と交流したいと考えていること、などを話しました。

自己紹介のあとは、まず『踊る善福寺』を上映。
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所々で笑いもおき、楽しんでくれている様子が分かってちょっとほっとしました^^

『踊る善福寺』上映後は、1時間ぐらい話しました。まず、大学卒業後、公務員・会社員として働いていたときのことから始まり、ジャーナリストになりたいと思って留学したこと、小型のビデオカメラで日常生活や路上で出会った人を撮影し、編集してYouTubeに60本ぐらいの短い動画をアップしながら、独学で映像制作を学んだことなどを話しました。

その次には、実際に自分が作った作品を、どのように上映して行っているかについて、具体的な方法や、上映の金額なども交えながら話しました。例えば、初監督作を作って日本に帰国したときには、映画業界にも、この映画に関心を持ちそうな平和団体などにも、全くツテがなかったこと。自主上映の条件を定め、チラシを作り、新聞で見つけた自主映画の上映団体に、片っ端から電話をかけるなどの方法で自主上映を呼びかけたこと。上映会が始まってからは輪が広がって、最終的には北海道から沖縄まで100箇所近くで、初監督作品を上映できたこと。ブログの必要性や、上映後のトークで心がけていること。上映会場とホームページ上でのDVD販売。どんな機会を、どう映画の上映のチャンスに生かすか・・・などなど、自分が普段実践している方法を詳しく話しました。

この部分に関しては、ある意味、映像制作のレクチャーというより、さながら起業セミナーの様だったかもしれませんが、“インディペンデント”というのは起業家の精神と重なる部分も多いと思います。

そして、日々の暮らしについても率直に話しました。実姉のところに居候をして映像制作を続けていること。それで生活費についてはずいぶん免除されているけれど、お金はもらっていないこと(←当たり前か^^;)。でも、映像制作や日々の出費は全て自分のお金(すなわち自主上映などでの収入)ですし、7年近くほとんど無職ながら、映画を作り続け、毎年海外旅行にも行けているというのは、かなり幸運であると思います。

トークを聞いていた参加者から「あなたは自分が幸運だと思いますか? それとも、努力してそうなったと思いますか?」と質問を受けました。私は、「自分は幸運なほうだと思います。でも、それなりに努力もしています。努力しているから、運が向いてくるというのもあると思います」と言ったような内容を答えました。

するとすかさずティさんがそれに割り込んで、「ドキュメンタリーを作るのに、運も何も関係ない。作れないのは、本人の努力が足りないだけ!」とぴしゃり^^; やっぱり、ティさんって厳しい人なんだなぁ・・・と思った瞬間でした。フォローではないですが、「自分は幸運だと信じることも、大切だと思う。そう信じることで、あきらめないで努力し続ける源にもなるわけだから」と、私は付け加えました。

運もそうですが、最近思うのは、運とか才能以前に、“継続する”ための精神力をもっているか、持ち続けられるかどうか、というのが実は一番大きいのではないか?と思うようになりました。これは映画制作だけでなく、何においても当てはまることかもしれません。「これからどうするの?」、「そんなことをやっていて、収入は?」、「芽が出るかどうかも分からないのに」・・・こういった周囲の心配(?)を聞き流して、続けるだけの”ふてぶてしさ”を持てるかどうか。ある意味それが、一番大きなポイントでもあるように思えてきました。運や才能があったって、それは続けなければ発揮される場がないのですから。。。

実際、DOCLABのメンバーからも、「インディペンデントのドキュメンタリー制作を続けたいが、実家の親からは地元に帰り、小学校の先生になれと言われるが、どうすれば良いか?」という質問(相談?)も出たので、「あ、とりあえず聞き流してください」と、お答えしておきました^^

しばらく質疑応答が続いた後、私は、私自身の暮らし方がきっかけとなり、住宅問題への関心が高まり、2作目の『さようならUR』を作ったという話をしました。『さようならUR』から部分的に抜粋して見てもらいました。理事長直撃取材のシーンでは、観終わったあとに拍手が!! 理事長直撃の裏話(ノーパンしゃぶしゃぶ等)をしたら、超受けてました^^ また、「無許可の取材をして、映画を上映するのに圧力はかからなかったのか?」などの質問ももらいました。

トークの様子(以下3枚の写真はDOCLAB提供)
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写真を見てもらうとわかりますが、DOCLABは圧倒的に女性メンバーが多いのです。そして、熱心に質問したり、最前列に座るのも女性。男性は後ろの方でおとなしく座っているという状態。日本でも、私が映像制作のワークショップなどをやるとき、熱心に興味を持って取り組むのは、女性が多いのです、なぜか。これって不思議ですよね? なぜなら、“業界”自体は、映像なんて男性中心の社会ではないですか? でも、インディペンデントや入門者の世界では、意欲的な女性がこんなに多くいるのです!

以下の写真は、今回DOCLABからもらったDVDや写真ポストカード。女性監督の多さを反映して、女性監督作品集もあります!(上列右)
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ついでに説明しておくと、こちらは、ジェイミーさんが講師となった写真のワークショップ作品をポストカードにしたもの。昨年、ゲーテ財団内で大きな展示会を開催したそうです。
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DOCLABのリーフレット(英語版)
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(写真はクリックすれば拡大しますので、そうすればギリギリ読めるでしょうか・・・?)
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これまでにDOCLABを訪れたアーティストの中に、日本からは小泉明郎さんの名前がありました。

気がついたら2時間以上もトークと質疑応答が続いたので、最後に『ホームレスごっこ』を上映して、更にその作品についての質問に答え、5時半ごろに終了しました。本当に、熱心でやる気のある制作者ばかりだったので、話し終わった後は、結構ぐったりしました^^; 

DOCLABの皆さんと
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上映のあとは、夕方からDOCLABのメンバーの何人かが、ドキュメンタリー作品を対象にした助成プログラムの、応募条件説明会があるとのことで、私もそれについていくことにしました。

昨年末、DOCLABを代表して、有名なアムステルダムのドキュメンタリー映画祭に参加したという、気鋭の女性監督・タオさんのバイクの後ろに乗るように言われました。

・・・え・・・
私もバイクの後ろに乗るんですか・・・ 

無法地帯の、ハノイの道路に放り出される自分の姿を想像しました。

でも、全員がバイクで、バイクで移動するのが当たり前の雰囲気で、既に私はヘルメットを渡されていました。しかも笑ってしまうのが、20代の彼女たちのバイクが、どれも日本では「配達のおっさん」(失礼!)が乗っていそうなバイクで、かなり古そうだったこと。比較的新しく見えるティさんのバイクでさえ、「80年代製のホンダを中古で買った」と言っていました。

タオさんの後部座席にまたがり、恐る恐る彼女に掴って出発。走る側になって見るハノイの町並みは、また違った風に見え、数分もたつと段々爽快になってくるのでした。

5分ほどで会場に到着。受付で名前を記入し、階段を上がります。階段を上がったところのスペースには、沢山のケーキやフルーツ、軽食などが並んでいて、自由に食べられるようになっていました。

開始時間になり、会場の中に入りました。30人弱の人が来ていて、そのほとんどは20代ぐらいの若者でした。
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プロジェクトのタイトルは、「10ヶ月、10本のドキュメンタリー映画」という意味だとの事。
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これは、アメリカ大使館が主催するプロジェクトで、10ヶ月で10本のドキュメンタリー映画を制作するという企画です。昨年、フィクション映画で同じ企画をしたところ、とても好評だったので、今年はドキュメンタリー映画で同じ内容の企画をするとのことでした。

締め切りまでに、自分が作ってみたいドキュメンタリー映画の企画書を提出します。その企画が選ばれれば(10数本の企画が選ばれます)、その人はドキュメンタリー制作のワークショップに参加してドキュメンタリー制作の基礎をきっちりと学び(費用は無料)、映画の制作に必要なサポートを受けながら、10ヶ月の間に1本の作品を仕上げます。完成作品は、完成上映会で披露される他、海外の映画祭に応募したり、もしかしてオスカーを受賞するかもしれないのですよ、と、アメリカ大使館の担当者は説明していました。
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気になる、アメリカ大使館からの製作資金の額ですが、 これがなんとたったの150ドル/人! 聞いていたベトナム人の監督からも「少なすぎ。馬鹿にしてる」と不満が出ていました。ワークショップを無料で受けられたり、必要な設備を使わせてもらえるというメリットはあるものの、150ドルで「自分たちは支援した」とスポンサーロゴをでかでかと掲載するのは、買い叩きすぎじゃないでしょうか? このアメリカ大使館の担当者は、ベトナムに暮らしながらも、給料はきっと40万円以上はもらっているでしょうに!

会場の参加者からの質問を聞く限りでは、ドキュメンタリーを全くやったことがない人が多いようでした。そういう人にとっては、悪くない話に聞こえるかもしれませんが、DOCLABからの参加者は、しらけた様子でアメリカ大使館の説明を聞いていました。

条件以外でも、このイベントについて私には違和感がありました。単なるプロジェクトの説明会なのに、会場内でひっきりなしに参加者は写真を撮られます。会場がスカスカだったからか、グループで座っている私たちは特に写真を沢山撮られました。そして、アメリカ大使館の担当者が登場するときは、なぜか会場の照明が暗くなり、その間だけ壮大な音楽が流れ、スポットライトを浴びて彼が登場し、花束を受け取るのです・・・ 映画が完成したときならまだしも、まだこれって企画説明会の段階でしょ?!?!

この異様な演出はなんなのだろう? そう思って、後日そのことをティさんに話すと、「要するに、彼らのためのイベントなのよ」と言われました。「途上国で、こんなに素晴らしいことをやりました」、「現地の文化を育てるのに役立ちました」というのをアピールするために、ベトナム人から花束を贈呈させ、その様子を写真に収める。そしてそれは担当者の功績になる。。。ティさんからは「あなたはベトナムの文化の、リアルな実情を見ることができたのよ」と言われました。

欧米諸国が、東南アジアで沢山の文化助成をしているのは、悪いことだとは思いませんし、現地の役にもそれなりに立っているというのはわかります。でも、どこか、その援助の仕方や発想が、途上国に進出する多国籍企業による、現地の人々を搾取する構造にも重なって見えてしまうのは、私だけでしょうか。。。

イベントのあとは、DOCLABメンバーのマイフォンさんとゴタンさんとともに、ご飯を食べに行きました。

ゴタンさん
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ゴタンさん、マイフォンさんともに、DOCLAB初期の頃からのメンバーで、DOCLABを機にドキュメンタリー制作を始め、それによって人生が変わってしまったという女性たちです! 二人の作品は、東京の「路地と人」でDOCLAB作品を上映したときにも、上映作品として選んだほど、私のお気に入り。一見普通の人たちなんですが、話してみると、ドキュメンタリー制作にかける思いが熱い!! 現在は、ハノイで活動する海外NPOから委託を受けて、その団体の広報ビデオや教育ビデオのようなものを制作しながら、生活をしているそうです。(←DOCLABメンバーには、こういう人が少なからずいます)

どうやったらこの先もずっと映画を作り続けていけるのか、それが彼女たちの最大の関心事であるようでした。親はドキュメンタリーの道に進むことは歓迎していないようで・・・^^;(世界中どこも同じですね)。

話ながら、国籍が違うとは思えないほど、沢山の思いを共有できる人たちなのですが、ティさんをはじめ、DOCLABの面々と実際に会って話してみて、(これはハノイの一般的な感覚・水準なんだろうか?)という疑問もわいてきました。気さくな人たちだけど、でも、実家はかなり豊かなんだろうなというのは、話していて分かります。学校に通えない子供をサポートする海外NGOがあるベトナムで、DOCLABの人たちは女性もみんな大学卒。留学経験のある人もいます。ボーイフレンドは欧米人という人も少なからずいて(欧米男性だから女性を尊重するとは限りませんが)、ある意味、現在のベトナム社会に窮屈な思いをしていた女性たちが、DOCLABと出会って、ドキュメンタリーと出会って、自分たちを解放する術を手に入れた・・・という側面があるのかもしれない、と思いました。

そして、作品のテーマに「祖父母」を挙げる人が多いのも、私には最初意外でした。もちろん、家族をテーマにしたドキュメンタリーは珍しくないですが、8割以上の人が「祖父母」または「父母」を被写体に作品を作っている(もしくは作りたい)、と言うのです。

でも、考えてみたら、ベトナム戦争が終結したのは、私が生まれた年(=1975年)。ティさんは私より数歳年上ですから、ベトナムで言えば“戦前”の生まれとなるわけです。親世代、そして祖父母の世代はリアルに戦争を体験し、その記憶はそう昔のことではありません。祖父母個人の人生をインタビューするだけで、それはもう戦争や歴史とは切り離せない題材となるのでしょう。

ゴタンさんとマイフォンさんと
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すっかり遅くなり、お開きになりました。今度はマイフォンさんがバイクでホテルまで送ってくれると言います。既にバイクに2度乗車済みの私は、後部座席から撮影することに挑戦! ホテルまでの道のりを撮影した動画はこちら。(無編集なので、ちょっと長めです。ハノイでバイクから撮影した映像は、かなりの動画がYouTubeにアップされているようです。やっぱり、旅行者は撮りたくなってしまうんだろうなと思いました^^)。ちなみに、マイフォンさんはバイクに乗ってしばらく経ってから、「私の後部座席に乗るなんて、あなたずいぶん度胸があるわね。みんな、私の運転を怖がって乗らないのよ」ですって! 今更遅い!!!

それでも何とか無事ホテルに到着し、ハノイ滞在3日目が終了しました。

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[jp] ベトナム・ハノイDOCLAB訪問(その2)

ハノイ到着2日目。朝7時半にハロン湾日帰りツアーのお迎えが来ると言われたので、朝6時に起き、支度をして、朝食を食べに外へ。宿は繁華街の中にあるので、通りのあちこちでご飯を食べられるお店があります。・・・というか、道路わきで湯を沸かし(一見炊き出しチック)、道路に小さなプラスチックの椅子をズラ~っと並べた店構えで、どこからどこまでがお店なのかとか、そもそもお店の営業許可なんて持っているのだろうか?とか、そういった考えが頭をよぎります。

ホテルの周辺

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結局、お客さんが多く入っているこちらでご飯を食べることにしました。フォーが大体200円ぐらい。
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ご飯を食べ終え、ホテルに戻り、ツアーのお迎えを待ちました。終日・日帰りのツアーで、昼食付き、参加費用は25ドルというのは、かなり安い値段だと思いましたが、現地で申し込めばそれぐらいが相場な様です(ただし、現地人による英語のツアー。日本語のツアーはそれより高い)。ツアーバスは混載で、マイクロバスに20人ぐらいがすし詰めの状態に。足を伸ばすこともできません。ほとんどが個人または友達同士のグループでの個人旅行のお客さんでした。オーストラリア、アルゼンチン、日本、タイ、韓国など。途中、ツアーにありがちですが、トイレ休憩と称して結構高額なみやげ物店で、30分近くの休憩。お昼頃にハロン湾に到着しました。船に乗り、船上でランチをいただきます。

ハロン湾の様子
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天気はうす曇で、気温は大体13度ぐらい。ベトナム・ハノイというと、暑い場所と勝手に想像していましたが、私のように油断して来る人には、結構寒いです!
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ハロン湾内をゆっくりとクルーズしていると、時々小型船が近づいてきます。果物を載せた船が、クルーズ船に近づいて、販売しようとしているのです。クルーズ船にぴたりと横付けして、並行して走るのだから、結構危ないのですが、それでも果敢に近づき、あちこちのクルーズ船に販売を試みる小型船。たくましいなぁ!
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その様子をデジカメの動画で撮影してみました!(是非クリックして動画をご覧ください)

やがてクルーズ船は、水上の村に到着。テレビなどで見たことがある人も多いかと思いますが、水上に家があり、学校があり、水の上だけで生活する集落です。(かなり観光地化していますが・・・)
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水上の村に到着したところで、クルーズ船から下船。船着場は沢山の人でごった返していました。
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ここから、現地女性の漕ぐイカダに乗り、 洞窟に行くそうです!! イカダの上から撮影したい!と期待に胸が膨らみ、急いでビデオカメラをセットしました。
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・・・すると、イカダに乗れるのは高いお金を払ったツアー客のみで、私は安いツアーへ申し込んだので、自分でカヌーを漕いでいけ、と・・・!!!!! カヌー乗り場へ案内されてしまいました・・・!
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実は、私は大学時代、一瞬だけカヌー同好会に参加していた過去を持つのですが、何度かしか乗ったことがありませんし、カヌーって意外に簡単にひっくり返ってしまうのです。だから、乗るときには必ずライフジャケットを着用します。

・・・でも、いくら溺れなくてすんだとしても、デジカメやビデオカメラ、その他自分の荷物はどうなってしまうのか・・・ 水没したらアウトです。かなりドキドキでしたが、同じツアー参加客のオーストラリア人バックパッカーとともに、ベルトの壊れたライフジャケットをかぶり、恐る恐るカヌーで漕ぎ出しました。

目指すは写真中央の洞窟。イカダに混じって洞窟方面に漕ぎます・・・ でも、プロの漕ぎ師である現地女性に追いつけるわけはなく、どんどん抜かされていきます。
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カヌーの上から撮った写真
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こちらの女性は、バックパッカーとして3週間の旅行をしているとのことで、カンボジア→タイ→ベトナムの順に回っているとの事。その3カ国を回るバックパッカーの人が、とても多かったです。
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結局洞窟までたどり着いたものの、イカダで大渋滞し、イカダは容赦なくカヌーを端に追いやるため、私たちは洞窟の中に入っていくことを断念し、引き返しました。ひっくり返らなくて良かったですが、だいぶ水を浴びてしまい、ズボンは水浸しに。。。もし水上村で洞窟に行く場合は、多少高くてもイカダの方がお勧めです!
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カヌーの後は船に戻り、またしばらく湾内クルーズ。ベトナムの紙幣にも印刷されている、二つの有名な岩が見えてきました。(向かい合った岩の様子は、カップルだとも、鳥がケンカしている姿にも見えるそうです)
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ここでまたクルーズ船を降り、今度は鍾乳洞へ。きれいにライトアップされた観光名所ですが、昔は武器を隠す場所としても使われていたそうです。中はかなり広く、天井も高く、奥深くまでありました。鍾乳洞では、同じツアー客の韓国人2人組みと話しました。そのうちの一人が、仕事で半年前からホーチミンに住んでいるそうで、友達と二人でハノイに旅行に来たと言っていました。ベトナム語を覚えるのが大変で、買物で使う単語ぐらいしか分からないとのこと。私も結局、何一つ言葉を覚えずに帰ってきてしまいました^^;
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ところどころ、自然光も差し込んで綺麗。Dsc01252

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鍾乳洞を出て、高台からの眺め。
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高台自体はこんな感じ。
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クルーズ船に戻り、港へ戻ります。港へ戻る途中、このような船を沢山見かけました。船の上に住んでいるのかな・・・? 真相は不明です。
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港について下船し、マイクロバスに戻ってハノイ市内へ。また3~4時間、脚を縮めた状態でのドライブです。ハノイに戻ったのは夜9時過ぎ。翌日は、午後からDOCLABでの上映で、そもそもそのためにハノイに来たのですから(!)、早めに寝て翌日に備えました。

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